個性「律者」のプロヒーロー   作:siera

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仕事が忙しいといい内容浮かんでも書けず、そのけっかなんか違うの繰り返しになり、遅くなってしまいました……。こんな風に長期間空くかもしれませんので、気長に待っていただけると嬉しいです。それでは久しぶりの更新「期末試験回」です。


14話

職業体験終了から3日後、私はイレイザーが保存していた生徒の演習映像を職員室で確認している。残されている演習は一番最初に目標へ到着した方が勝ちというシンプルなモノ。こういったシンプルなモノほど、それぞれの成長速度や、改善点などが分かりやすい。その為今回の映像を見て思った。

 

「皆この数日でかなり変わったわね…凄いわ」

 

皆の成長速度が凄まじいのである。以前私が行った講習の改善点や動き方を取り入れて、以前とは見違えて良くなっている。特に驚いたのは緑谷君の成長である。以前は体を必ず壊してしまう為、個性制御が一番の課題点だったが、それが大きく成長している。まだ動きがたどたどしい部分が目立っているが、大きく制御し安定したパワーで行動できるようになっているのだ。

あの行動スピードから考察すると、おそらく1割程のパワーで固定して身体能力を低出力ではあるがパワーアップさせている様だ。以前だったらビルからビルを飛び越えるだけで骨と筋肉が粉微塵になってしまっていたのに、余裕のある表情で演習をこなせるまでに成長していた。(結果は途中で滑って落ちた為に二番手ではあるが……)

 

「子供の成長って凄い早いのね……」

 

それぞれの成果を見ていると、後ろから二人組がやってきた。電磁波の感覚から察すると一人はおそらくオールマイト、もう一人は女性だろう。なにやら話し合いつつ、私の方にやってくるということは…おそらく何か話すことがあるのだろう。

 

「お二人とも、何か話しがあるんですね?」

「うわぁ!ビックリした……。気づいていたのかね」

「ほーんとビックリ、こっち振りむいてもないし、イヤホンしてて私達の会話も聞こえてなかったはずよねぇ。なんでわかるのかしら!」

「私は常日頃、周囲の電磁波等を察知しながら生きてきてるので、どれがどのような電磁波で、何が起きてるかはわかりますよ」

「彼女が感じる電磁波は、人間の微弱な生態電気すら100%伝わってくると聞いたことがあるよ。それで大分苦労したともね」

「そうなの!律者先生のそういう過去、初めて聞いたわ……」

「……まぁ、話す理由もないので」

 

そう、この個性は幼少期から私の生活に大きく影響させた。

初めて個性を実感したのは保育園の時だ。先生が持っていた携帯が気になっていた小さいころの私が携帯を手にしたとき、なぜか携帯の画面に充電マークが表示されたのだ。音にビックリしてすぐに手を離すと充電は止まり、また触ると開始される。この頃はまだ前世の記憶を思い出せなかったので、自分の個性とはしらず先生に慌てて相談しにいったモノだ……。

その後、小学生になり前世の記憶も少しずつ戻ってきたころ、この個性の不便なところが分かった。それは「あらゆる"電気"を常に知覚してしまう」という点だ。町を歩くたびに町の信号や街灯、車や電化製品等々……あらゆる電気が関係するモノが24時間365日知覚してしまう。その不快感は表現がしようがない程険悪なモノで、雷雨の時なんかはそのせいで体調を崩し40度近い高熱さえでてくるほどだった。

今は制御して範囲を半径1~2mにまで縮められるようになったが、昔は半径2kmもあった。この時だけは、この個性を持ったことを後悔した。夢で女神様に会った際も、このようなデメリットがあったとは想定外であり、転生したからには神様は干渉できないと言われてしまったので、修行してなんとか縮めた。生態電気を探知する修行もその修行の延長線で考えたものだ。

 

「っと、話が反れてしまいましたね。御用は何でしょうか?」

「おっとそうだったわ!はいコレ」

「これは?」

 

そういってミッドナイトに渡されたのは一枚の紙、読んでみるとそこには「期末テストについて」と書かれている。読み進んでいくと、底には意外な事が書かれていた。学園長との抗議により、今期の期末テストは「対ロボット戦闘」ではなく、「2人1組vs先生1人による戦闘演習試験」と書かれていた。

 

「先生1人による生徒2人1組との戦闘演習試験……ハードなのでは?」

「まあそうなんだけどね…」

「今、生徒が襲われる事件が増えた現状、我々だけではフォローするにも限界が見え始めてきたわ。だから、これからは実戦に焦点を当てた試験にしょうとなったわけなの」

「成程、我らヒーローに限界があるなら…ヒーローの卵達を育て雛、から鳥になってもらうと言う訳ですか」

「そーいう事!ちなみに律者君にも出てもらうからね!」

「…ん?でも、それだと教師一人余りませんか?20人のクラスだから、10組で、先生も10人…校長にミッドナイト、マイクにイレイザー…あと13号さんとセメントス。スナイプにオールマイトエクトプラズムにパワーローダー……そこに私が入ったら――」

「あー、それについては大丈夫よ。根津校長出ないから」

「はい?出ない?」

 

なんでも「リカバリーガール」から、「アンタはやり過ぎるから!」と試験員を降ろされたそうだ。私の過去よりずっと重そうな何か、一体何があったんだろうか……。

 

「それで、上鳴君と芦戸さんの担当を私がするということですか。たしかに以前二人とは模擬戦で相性の悪さは身をもって知っていると思いますので、妥当ではありますね」

「ああ、あとそれだけじゃなくて…これ」

 

オールマイトがふところから取り出したのはなにやらゴツゴツとしたリストバンド型の何か。もってみるとかなり重さがあり、しっかり持たないと手から落としてしまいそうなほど。聞くとこのリストバンド型のモノを身に着けて教師陣は試験を行う、つまりはハンデである。さっきの紙には、教師と戦いカフスを駆けるか、脱出するのが試験クリアの条件、つまりこれを駆けることで、教師陣との戦闘を視野に入れやすくするという事だろう。

 

「それを複製して欲しいのだけど、教師陣の重さの半分にしたいのだけど…重りの調達で少し手間取っていてね」

「成程…私の"理の律者"の力で教師1人1人にあった重りを擁してほしいって事ですね…」

「すまないね、君の個性に頼ってしまって」

「ふふ、全然気にしませんよ」

 

瞳を理の律者に切り替え、受け取った重りを解析する。機動性をしっかりと奪いつつ、その他余分なデメリットを出さないように余計な箇所を極限までそぎ落としている、中々良いアイテムだ。一通り解析したのち、渡された紙に書かれていたオールマイトの体重の半分の重さに重りを調節し、複製する。複数つけると余計な邪魔になりそうなので、手足に一つずつ付けられるように調整を加え、4つの重りを創りあげる。

 

「……よし、できましたよ」

「助かるよ!どれどれ……うおっ、これ結構きついな……手に持っただけだけど、これホントに生徒に負けるかもしれないな」

「まあそれが目的だから当たり前よねぇ」

「ミッドナイトさんのは~……後ほどお聞きしますね」

「あら、配慮してくれるの?ありがとう♪」

 

ミッドナイトと話しつつ、自身の分の重りを創り試しに一つ手首に装着してみる。すると着けた途端一気に重量が腕に襲い掛かり体制が崩れる。これは、確かに良いハンデになるだろう。特にオールマイトと戦うことになった…緑谷君と爆豪君には――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後、期末試験が始まった。

生徒全員がホール前に集まっている。ソワソワとして落ち着きがない者、先生の多さに困惑する者、能天気に気楽そうな表情の者、何が始まるのか思考を加速させている者……様々だ。私はというと、何故かホールの頂上でオールマイトと待機している。何故わざわざ上で待機するのだろうか?

 

「オールマイト、何故上で待機なんでしょうか?」

「ん?私の個性をギリギリまで使わず、すぐに合流できる場所だからだよ。あと――」

「――生徒達に緊張感を伝える為の演出用かな!HAHAHAHAHA!!」

「その姿になったって事は、そろそろ出番ですか?」

「ああ、今根津校長と相澤君の説明が始まったところだ!よし行くぞ!」

「……了解です」

 

下をみると、緑谷君と爆轟君が驚きの表情で互いを見合い、上鳴君と芦戸さんは元気よくハイタッチを交わしている。下からは生徒に説明しているイレイザーの声が聞こえてくる。とにかくオールマイトが行こうと言っているので、一緒にホールを飛び降りた。

 

「――そして、緑谷と爆豪がチーム」

「「っ⁉」」

「上鳴と芦戸でチームだ」

「よっしゃあ!やってやろうぜ芦戸!」

「おうよ!それで、相手は誰なんですか?」

「お前らの相手は――」

 

ズドンッとうえから大きな巨体が勢いよく落ち、その数秒後スタッと軽い女性の影が落ちてきた。生徒全員がその姿を見て驚いた。そこに立っていたのは、この日本を支えている二大巨頭なのだから。

 

「「私がする!/します」」

「協力して勝ちに来いよ、お二人さん‼」

「……‼‼‼」

「頑張ってクリアしてね、二人共♪」

「「……。(シーン)」」

 

あぁ、芦戸さんと上鳴君が燃え尽きたように白くなってフリーズしてしまった。そりゃそうだ、試験の内容が日本一だと知ったら絶望するのは必然…でも、それを乗り越えなければヒーローはやっていけないので、速めのヒーロー座学として学んでほしい。……私もちょっとゴメンネと思わず本気で相手にしよう、うん。

 

 

 

 

 

 

そしてそれぞれの試験会場に到着したら、それぞれスタンバイの時間。今回の会場はパイプやタンクが並ぶ工場地帯。校長はこの場で自身の個性を使ってどう立ち回ろうとしていたのかわからないが、個性の性質から察して……おそらく地形を利用した戦い方を想定していたんだろう。

 

「私もそれに準ずるべき……いや、それじゃあ私が選ばれた意味が無いかしら?」

「……そうだ、新しく覚えた"姿"を試してみようかしら」

 

そういい、私の身体がやさしく光り始めていく。これから見せるのは新しい力、今まで引き出せなかった新しい私を――……

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『上鳴・芦戸ペア 期末試験スタート』

 

大きなアナウンスと共に上鳴・芦戸ペアが会場を走り進めていく。場所はパイプがあちこちに走る工場地帯、少しでも気を抜けば足がもつれ兼ねそうな場所だ。そんな場所をあの№1に気を付けながら進まなければならない。

 

「あの律者先生が相手はさすがに分が悪ぃ!急いで脱出ゲート向かおうぜ、芦戸!」

「そうだね!私達じゃ相手にすらできないもんね!」

「あの電撃吸われっからなぁ……」

「私の酸も簡単に弾かれちゃうし……」

「「逃げ一択‼‼」」

 

二人は全速力でゴールゲートに向かって走り進めていく――……

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

その光景をモニタールームで見ている緑谷や麗日達。少しでも自分達の試験に役立つものを得ようとしていた。

 

「始まったね……」

「うん。二人を相手するのはあの律者先生、相性が悪すぎる」

「やっぱ逃げ一択だよね」

「ケロ、無理な相手は逃げて応援を呼ぶのが一番ね」

「……ああ、そうだな」

 

緑谷と飯田は蛙吹が何気なく言った一言に少し表情が暗くなる。2人は以前、彼女が言ったような事態を経験していたから。その行動がどれだけ重要か、身に染みている。そんな二人の表情は、蛙吹や麗日は気づかなかった。

 

「№1ヒーロー「律者」。彼女の能力の底は未知数だからね、この試験はどうなるのかは、あたしでも予測できないよ……」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

上鳴ペアが走り続けていると、突如頭上から黒い剣が無数に落ちてきた。それはまるで水墨画の様に揺らめき、一定の形を保っていない。だがそのような硬度を感じない剣でも、コンクリートを砕き貫く程の鋭さは持ち合わせているらしい。

 

「な、なんだぁ⁉黒い剣!?」

「なにこれ!律者先生の創造したヤツ!?」

「い、いや!緑谷が言うにはシッカリとした無機物を創るって話だったゾ!どう見ても無機物ってやつじゃねぇだろコレ‼」

「じゃ、じゃあこれ何!?……ってまた来たぁ!?!?」

 

空から降ってくる水墨の雨。それはまるで通り雨の様であり、晴天の空模様の上から無常にも降り注いでくる。上鳴達がそれぞれ個性を使い応戦する。だが質量に押されてしまう。二人の思考は建物に避難する以外、この場をやり過ごす案がないと瞬時に理解した。芦戸の酸が建物の壁を溶かして脱出口を作り、中へ避難する。

 

「ぜぇ、ぜえ…なんだったんだ、今の…!」

「黒い剣の雨とか、怖すぎる~!」

「とりあえず、何とかして突破しねぇと……!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「な、なに今の!」

「剣の雨とは!あんな能力も持っていたのか、律者先生は!?」

 

その光景はモニタールームの者達にも衝撃を伝えた。広範囲を一瞬で制圧した恐るべき能力、だがあのような力を持っているとは誰も知らなかったからである。緑谷でさえ、ヒーローの情報はほとんどメモしているというのに、あれが"何の律者の能力なのか"、"能力の概要は何なのか"が予想できず、思考を巡らせている。

 

「"理"の『創造』ではないし、『浸蝕』のかな?いやでもそれだと外見が違いすぎるし、だとしたら"識"の武装なのかも?いやそれでも色合いが違いすぎるどちらかというと"影"に近いけどあれは赤と黒が混じった色合いだったそれにくらべてあの剣は黒と白のグラデーションに周囲に揺蕩う青いオーラだったし……ブツブツ」

「出た、デク君のブツブツ…!」

「あれは…あたしも初めてみたねぇ…」

「リカバリーガール先生も初めて見るのですか!?」

「ああ。こりゃあ、いろんな意味で目が離せない試験になりそうだねぇ」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

建物内で一息付けようとしている上鳴達。だがそんな猶予を与えてあげられるほど、ヴィランというモノは甘くはない。

 

「三尺の水…雲を絶つ……『太虚剣神』」

 

先ほどまで快晴だった上空に雲が上り始める。そして、上鳴ペアが入った建物の上空が光始め、何か大きな影が徐々に地表へと近づいていく。雲を絶ち、その姿を現すのは巨大な仙剣。古代文字に似た文様が掘られた巨大な剣は、剣先を光らせながら建物の上えと落ちていく。

建物の数十、いや数百倍はあろう巨剣の一撃に耐えられるわけもなく、無慈悲にも焼き菓子の様にバラバラと壊していく。天井が砕け外の景色が見えるようになった二人は、何が起こったのかをその目で確認することとなる。

 

「な、なんじゃこりゃああああああああああああああ‼‼‼‼」

「剣、でっかい剣がおちてきたぁああぁぁぁあ‼‼」

「二人共、格上のヴィランと相対したにしては、不用心なんじゃないかな?」

 

空から声が聞こえてくる。雲が絶ち、そこから指す陽光が影を作り姿が一瞬見えなかったが、そこには白い仙服を身にまとい、繊細なを刻まれた手甲と握られた星空の様な鮮やかな剣を持ち、片手で印を結んだ一人の少女の姿。上鳴と芦戸にその姿は見覚えがないが、これほど強大な力を振るう存在はあの人しか思い出せなかった。

 

「り、律者先生……⁉」

「何だよあの姿!?テレビや雑誌でも見たことねぇぞ!?」

「それはそうさ。なんたってこれは今は初めて使ってるからね」

「「えっ!?」」

 

優しいほほ笑みを作りながら、空からやってくる麗しき仙女。それは日本を支える英雄、現代に生きる太虚仙人その人だ。

 

「私は"剣の律者"、名を「李素裳(リ・スショウ)」…以後お見知りおきを♪」

「「あ、あわわわわわ……!」」

 

優しいほほ笑みに恐ろしさを感じ涙目になっていく二人。この試験、最初から鬼畜だと思っていたが……私達が一番"恐ろしい組み合わせ"だった事を、今ようやくこの場で悟った上鳴達。

 

「さぁお二方……――」

 

ここから、地獄の30分が――

 

……――"試験"はこれからですよ?

 

――始まる。

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