個性「律者」のプロヒーロー   作:siera

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22話

~連合襲撃2分前 廃倉庫~

 

ヴィラン連合の拠点の一つ「脳無保管庫」と思われる廃倉庫に集まるヒーロー。律者、彼女の分体"薪炎の律者"、マウントレディ、ギャングオルカ、ベストジーニストが集まった。ヒーロー個人個人が実力派で集まったチームはヴィランにとってかなり嫌な編成になった所だろう。

今回の作戦の流れとして、エンデヴァーチーム突入30秒前にマウントレディが建物玄関付近を巨大化させ破壊、中に構成員がいた場合破壊の混乱に乗じ瞬時無力化する。もし脳無が起動している場合律者の二人が瞬時殲滅する流れに決まっている。

ちなみに私のサイドキックであるブローニャが居ないのは、彼女には後方支援に徹底してほしいとお願いしため。今回の人員、ほとんどが救出と連合捕縛にヒーローを裂いている。一応後方支援担当のモノも居るがごく少数。

そこで、私のサイドキックであるブローニャを後方に置いてもらった。彼女の個性「鉱物構築」

 

「そろそろ時間だな。マウントレディ、準備を」

「了解でーす」

キアナ「それにしても、こんな住宅街のど真ん中に拠点を構えているとは、思いもしなかったね」

芽衣「「木を隠すなら森」ということよ、キアナちゃん。ヴィランだって"善人の皮"を被ればただの一般人、私達の様な人間が出会わなければまずバレる事は無いわ」

キアナ「嫌な現実だね。すれ違う人間一人一人がヴィランである可能性があるっていうのは……」

 

この国では個性が無かった過去、単純計算ではあるが「人間は一生の内に殺人鬼に15回すれ違っている」……という雑学が流行っていたが、今はこう言われている「人間は一生の内にヴィランに30回すれ違っている」と。

オールマイトが台頭しヴィランが減ったという事実はあくまで表面的、実際にヴィランが減っているというデータも上がっているが、「陰に潜みヴィランとしての衝動を抑え込んだ人間が増えた」というデータは表に上がっていない。

軽い罪を繰り返したモノ、銃犯罪に手を染めたモノ、それを生業とするモノ……そのような異能による暴走がオールマイトの出現により、表に現れなくなっただけなのだ。だから、いまこうしてヴィランの基地を襲撃しようとしていることも、もしかしたらどこかの家で仲間がいた場合バレている可能性もある。個性という産物は、陰に隠れた数多の咎人を隠す壁になってしまった。だからこそ我々ヒーローが、悪を見つけ、捉え、正しき償いをさせる必要がある。そう、ヒーローとは()()()()()()で良いのだ。

 

「……時間だ。始めます、二人共」

 

そんな暗い思考を遮るように、ベストジーニストが合図をだす。腕時計をみると予定時刻1分前、私達はすぐに対処できるように武器と個性を構える。

ベストジーニストが時間のカウントを始める。「30秒前―――」とカウントを進めていく。ジーニストの腕時計から小さく聞こえてくる秒針の進む音が、この場の緊張感を高める。あと数秒などあっという間に過ぎていくはずなのに、まるで数分、数十分と長く感じる思考。極度の緊張感が張り詰める倉庫前の現場で、いよいよその時がやってきた。

 

「8、7、6、5、4……いけ、マウントレディ!」

「お任せを!」

 

ジーニストの合図に合わせ、マウントレディが勢いよく巨大化する。そして、足にはめ込んだ軽トラックと共に足を大きく上げる。そして、カウントが0を指し示すタイミングに合わせ、巨体から振り下ろされる重い一撃が振り下ろされた――

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

某ビル ヴィラン連合拠点・バーの一室

 

 

「グがぁ…あぁグ……があ…ぁぁ……!」

 

バーのカウンター前で一人の少年がもがき苦しんでいる。その肉体は宙に浮かび、少年の身体を赤黒い光が包み込み、黒羽が少年を取り囲む。その儀式を行っているのは少年の前に立つミツヴァと呼ばれたシスター服の女。

少年、爆豪の思考が少しずつ組み替えられていく感覚が脳内で膨大な不快感と強烈な苦痛の幻覚を体中に巡らせる。自身の脳内がいじられていく、自分の感情・記憶・思考……その全てを強制的にパズルのピースの様にバラバラとパーツの様にされ、幼少期からの記憶が無理矢理改変させられそうになる。

彼の脳内空間は今、ミツヴァによる強制改変されていく自分の全てを自身の精神力で無理矢理引き戻し抵抗を続けている。

 

脳内の一部のピースが抜け、歪なピースがはめ込まれては精神力でソレを跳ね除け自身の記憶を取り戻し、幼少期の憧れた"ヒーロー"という概念を取り外し消されそうになっても、それを無理矢理引き戻し復元する。脳内で繰り広げられる洗脳しようとする女とそれに抵抗する少年による綱引きは、彼に想像もできない苦痛を与える。だが、彼は苦痛と洗脳に蝕まれても自身のプライドと意地でソレを耐え続けていた。

 

この拮抗状態が続いて6分が経つ。ミツヴァの言っていたことが事実なら、この洗脳行為は10分で完了してしまう。あと4分で自分はこのいけ好かない屑共の仲間になるかもしれないと思うと、さらに精神が揺らぎさらなる苦痛を身体全身に稲妻の如く電波させる。

 

「くそがあぁぁあぁぁぁああああああああ……‼‼」

「おーおー、見てて恐ろしいねぇ」

「怖イ。大丈夫?死んジャうンじゃ……」

「大丈夫ですよー。ああなってるのも自業自得ですぅ。彼は素直に仲間になればよかったんですよぉ」

「あと3分、もうすぐ終わるわ。凄まじい抵抗力…()を思い出すわね」

「そうか。……もうすぐ君は俺達の仲間、最終クエスト達成だ、ハハハハ…!」

「クソがあぁぁあああ、がぁぁああああああああああああああああ!!!」

 

苦痛、苦痛、苦痛、苦痛、苦痛、苦痛、苦痛……自身のプライドも瓦解寸前まで来ている。人に助けを求めることなど無い彼であったが、彼の脳内は、ある人物に…助けを求めている。助けて欲しいなんて俺は認めたくない、俺は強い俺は負けるわけにはいかない、そんな波の様に流れ出すプライドの濁流の中、少年は苦悶の表情を浮かべる。その時だった―――

 

――木霊するチャイムの音がバーに響き渡ったのは。

 

「どうもー、ピザーラ神野店ですぅ」

 

バーの空気を壊すような気の抜けた妙な訛りのある声がバー入り口の扉奥から聞こえてくる。この場にいる全員がこの声に気を取られる。爆豪へ"調整"を続けるミツヴァも、ドアの方を見る。

数秒間訪れる静寂、この場にいる誰もが警戒し扉に向かうことなくその場で立ち上がり扉を警戒していた。だが、その警戒は無意味となった。なぜなら、3階にあるこのバーの()をブチ破ってくる事など想定できるわけなかった。

 

SMAAAAASH!!!!

 

轟音と共に壁が吹き飛ぶ。黒い羽と共にバーに突入し現れたのは、ヴィランの誰もが忌み嫌う平和の象徴である「オールマイト」、そして平和の象徴と同じ地位にたどり着いたもう一人の頂点「律者」であった。

扉前にいるヒーローの合図を受け、ワタリガラスが熱を持つ黒羽の刃を壁に投げつけ、高熱により脆くなった壁をオールマイトが全力で壊し突っ込む。強引な作戦であるが、この強引さが相手の意表を突く形となった。

 

「何だぁ!!?」

「(ヒーローだと…⁉)黒霧!ゲートーー」

 

「先制必縛……ウルシ鎖牢!!

 

シンリンカムイの必殺技が壁を突破してから数秒でヴィランの身体を拘束する。腕から伸び生える樹々がヴィランの身体に巻き付き何も行動させることなくヴィランを捕縛した。だが、シンリンカムイは木の個性、この場には炎を操るヴィランがいる。

 

「木ィ!?んなモン―――」「―――逸んなよ」

 

荼毘の身体から一瞬噴き出した青炎は、目にも止まらぬスピードで荼毘の顎に一撃を入れたグラントリノの手によって阻止される。ヴィランの行動全てが後手に回り、対応する前にさらに上からヒーローが押さえつけていた。

 

「大人しくしておいた方が身のためだぜ、小僧」

ワタリガラス「さすが若手実力派だな…シンリンカムイ」

「そして目にも止まらぬ古豪、グラントリノ!!」

ワタリガラス「もう逃げる事はできないぞ、ヴィラン連合…」

「何故って……⁉」

 

 

「「我々が来た」」

 

 

「オールマイトに律者……‼あの会見後に、まさかタイミング示し合わせて……‼」

ワタリガラス「(っ、この姿(ワタリガラス)が律者だとバレてる…やはり、一度でも表で見せたことのある姿は共有されている可能性があるか……。)正解だ、大人しくしろ」

「木の人引っ張んなってば!押せよ‼」「や~~~‼」「……。」

「攻勢時ほど守りが疎かになる者だ…ピザーラ神野店は俺達だけじゃない。外はあのエンデヴァーをはじめ手練のヒーローと警察が包囲している」

 

ピザーラの店員を装ったエッジショットが自身の身体を極薄に平たくし、扉の隙間を通り店内内側からカギを開ける。開いた扉からなだれ込む様に重装備の警察がバー一帯を囲う様になだれ込み整列する。

店の外では待機しているエンデヴァーが、何故後方なのだと騒いでいる声が遠くから聞こえてくる。ヴィラン連合は完全に包囲された、現状逃げ場など…ない。

 

ワタリガラス「よく耐えたな爆豪。もう大丈夫だ」

「ああ!流石だ、爆豪少年!!」

「(この黒フード…カラス女の律者か…)こっ…怖くねぇよ、ヨユーだ…クソッ……」

 

ヒーローを見て安堵したのか、爆豪がふら付き頭を押さえる。不調に気づきすぐに肩に手をかけ、状態を確認するワタリガラス。"理の律者"の能力をもって、爆豪の身体を解析し始める。身体に怪我なし、体内の不調も見当たらない……だが、異常なまでの脳波の乱れが感じ取れる。

 

ワタリガラス「爆豪、ここで何された……」

「……わっかんねぇ…アイツが…調整とか言って…クソが」

 

気分が悪そうな爆豪であったが、徐々に回復している様子。ワタリガラスは爆豪が指さしたのはシンリンカムイに拘束されたシスター服の女性。ワタリガラスは…その女性に見覚えがあった。なぜなら、彼女はグレーシュと同じ場所で知り合い、同じ場所で亡くなったハズの人間だったから。

 

ワタリガラス「……お前は――」

「―――クソっ、せっかく色々こねくり回してたのに……なんでそっちから来てくれてんだよラスボス・裏ボス共」

「(全員押さえられたか……簡単には逃げられそうにねぇ……いや、()()()はどこ行きやがった?…まだ最悪じゃあねぇな…)仕方がない…俺達だけじゃない?……そりゃあこっちもだ」

「ッ!脳無だな!!!」

「黒霧ィ……持って来れるだけ持って来い!!!!

 

だが、その死柄木の叫びは空虚に消えていった。何も起こらない、本来起こり得る事象が何も起こらないのだ。本来ならこの瞬間、黒霧が脳無保管庫から複数体の濃霧を呼び出して乱戦状態になっているハズだというのに、声が虚しく消えていくだけで、この場には何も起こらなかった。

 

「すいません死柄木弔……所定の位置にあるハズの脳無が…()()!!!!」

「ッ!?」

「やはり君は青二才だ。死柄木弔」「あ?

「ヴィラン連合よ、君らは舐めすぎた。少年の魂を…警察のたゆまぬ捜査を!そして……我々の怒りを!!おいたが過ぎたな、ここで終わりだヴィラン連合!!」

 

そう。既に同時作戦は開始されているのだ―――

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「はぁああああああ!!!」

 

マウントレディの強烈な一撃をもって廃倉庫の入り口は豪快に壊された。強烈な衝撃と土煙が舞う中、入り口が空いた瞬間を見逃さず、芽衣とキアナは全速力で土煙内に突入する。それを追う様にジーニストが自身のファイバーを操作し、中に居るであろう脳無の捕縛を始める。

建物内部は非常に暗く、工業部品や廃材が乱立する中、奥から人きは異質な光を放つ機械が並んでいる。緑色の気味の悪い培養液に付けられているのは全ての脳無、無数の脳無の保管庫が倉庫奥に何十機も並んでいた。

その機械は既に誰かが起動させたのか、培養液から抜け出した脳無が数体いる。瞬時に芽衣とキアナは刀と剣を抜く。そして、突入時の勢いそのままに、豪快に動き始めていた脳無目掛け突撃し、一閃した。

 

右側に固まった脳無達を芽衣が、紫電を纏った「浄罪七雷」が右側格納庫から這い出てきた脳無数体の胴体を真っ二つに切断する。それだけに留まらず、通り過ぎた斬撃を追う様に走る紫電が斬り伏せられた脳無全てに感電させ、肉体を炭へと変えた。神速の斬閃は紫の輝かしい残光を残しつつ、害するモノ全てを葬り去った。

 

左側の脳無達は、キアナの双銃「炎空の境:不滅の劫炎」と「涅槃の剣・スルト」が一体となり、新生した「不滅の劫剣(こうけん)・スルト」を手に持ち、大振りの横降り一閃。スルトの刃は超高熱を発し、周辺に纏わり揺らめく劫炎は、脳無の身体をただ斬るではなく、「溶かし斬る」という荒業をもって殲滅した。キアナが通った後には、劫炎に燃える薪となった脳無がボトリと落ちるだけだった。

 

芽衣は斬り伏せた勢いをパルクールの如くバク宙や側転を交えた動きで突撃時の勢いを抑えると、着地時、床に手を当てたまま直ぐに雷を放出。床に伝導し広がる雷は、周囲の全ての保管庫の電気系統をショートさせ、全てを壊した。バチバチと火花が散り、小さい爆発が起こる。爆発の衝撃で培養液で満たされた容器のガラスはひび割れ、割れたヒビから漏れ出した培養液がさらにショートを広げ、全てを終わらせた。

 

入り口付近では、自身のファイバーで既に拘束を終了しているジーニストと巨大化した大きな手でガッシリとホールドし嫌そうな表情で脳無を捕縛しているマウントレディが入り口兼脱出場所を確保。ギャングオルカは脳無を無力化しつつ、個性を使い部屋の全貌を把握しようと行動している。

虎は液体入りのカプセル内に入れられていたあの時連れ去られたラグドールを見つけ、すぐさまカプセルを破壊し、力なく倒れ掛かるラグドールを優しく抱きかかえている。

 

芽衣「脳無格納庫、制圧完了――」

「流石は№1、素晴らしい手腕」

芽衣「これくらいは、当然です。そちらも迅速な対応、お見事です」

「まだまだ、これでも研鑽は足りないと感じている」

「うぅ…それにしても、こんな楽な仕事でいいんですかね?ベストジーニストさん。オールマイトの方に行くべきだったんじゃないですかね」

「難易度と重要性は切り離して考えろ新人(ルーキー)

 

ベストジーニストは自身のファイバーの拘束を緩めることなく、後ろの機動隊に指示を出しつつ、周囲を警戒する。

適格に現状を報告しつつ、機動隊の動きを細やかに伝え行動する様は流石といった所だ。

 

その横では救出したラグドールに声を掛け続ける虎の姿があった。何度も強い口調を交えつつ声を掛けるが、救出されたラグドールは瞳は開いているが、どこか生気がない。開いた瞳は虚ろでどこか虚空の彼方を見ている様。口は力なく開いたままで動く様子を見せない。

息はあるのに死体の様に静かなラグドール、いったいこの場所で何をされたというのだろうか。

 

キアナ「……とりあえず無事、なのかな」

芽衣「アレを無事と捉えて良いのかは、分からないわ……。っ!」

 

芽衣は前方、暗闇に沈んだ通路の奥底から何か不快な何かが迫ってきている感覚を直感的に感じ取った。

急ぎ鞘に納めた刀に手を掛ける。横に居たキアナも最初は気づいていなかったが、芽衣の警戒度を見てすぐに顔色を変え、双銃を引き抜き前方に向け構える。

まだヴィランらしき姿は見えてこない、だが確実に何かかこちらに近づいてきている。そんな気がするのだ。

 

キアナ「芽衣先輩……」

芽衣「気を抜かないで……」

芽衣「(この圧倒的強者の威圧感…まるでオールマイト並か、それ以上……!)」

 

次第に奥から音が聞こえてくる。コツ、コツと一歩一歩こちらに近づいてくる何かが。

素足の音ではない、革靴から発せられる高くどこか少し乾いた軽い音だ。脳無ではない事は明らか、では脳無を研究していた研究者だろうか。

だとしてもこれほどの威圧感を感じ取れる存在が研究者として居るモノなのか?もしくは脳無でも研究者でも無い第三者――

 

「すまない虎、前々から良い"個性"だと思っていたんだ……丁度いいから、貰う事にしたんだ」

「こんな身体になってから、()()()()も随分と減ってしまってね……」

「「「「!?」」」」

 

暗闇から聞こえてくる声。後方のジーニスト達4人のヒーローにも耳に入り瞬時に警戒態勢に入る。

 

「止まれ、動くな。…連合の者か?」

「誰かライトを……」

 

まずその姿を確認しようとする虎とオルカ、だがジーニストは相手を確認するより先に身体を動かした。

瞬時に個性を発動し、相手の繊維を操り相手が着用していた服で拘束を始めた。

まだ完全に相手の姿が見えておらずシルエットしか見えていないが、ギリギリと嫌な音を響かせながら縛り上げられているのが分かる。

 

「ちょ、ジーニストさん!?もし民間人だったら―――」

「状況を考えろ!その一瞬の迷いが現場を左右する…ヴィランには何もさせるな!」

芽衣「(素早い判断…これなら拘束できる)……あなた、何者」

「……。」

 

暗闇に隠れた黒い陰は何も答えない。だがその態度で相手がどのような存在なのかは十分把握できる。

いまだギリギリと縛り上げられている陰へ少しずつ近づく芽衣。最大限の警戒を怠ることなく、相手の一挙手一投足を見逃さぬように。

だから気づけた、前方に拘束され佇む人物の腕が、少しずつであるが()()し始めているのが。

それは明らかに危険な動作だと直感が告げていた。芽衣は戦闘行為ではなく、この場の全員を守る事を最優先した。

 

芽衣「(ッ!?マズい……‼‼)」

キアナ「えっ…芽衣先輩!?」

 

すぐさま隣に居たキアナをサイドに突き飛ばす。力加減などしている余裕はない、とにかく勢いをつけキアナを突き飛ばし建物の最端の壁まで突き飛ばした。

そしてすかさず他のメンバーも助けようとしたが、時間はもうすぐそこまで来ていた。

男の腕がはち切れんばかりに膨張し、今すぐにでも爆ぜそうな程だ。拘束する服の繊維を限界まで抵抗し、ブチブチと繊維が悲鳴を上げている。芽衣は助けるのは不可能だと判断し、最低限の被害で抑える様に行動した…この間、わずか2秒――

 

芽衣「ッ……<キンg――

 

だが、言葉が出るより先に、爆風がこの場の全てを消し飛ばした――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ― 

 

 

  

     ――  

 

 

           ――― 

 

                  ――――――――

 

……建物が倒壊する音で意識が覚醒するキアナ。気絶していた時間は5秒程であったが、この場の光景に…絶句した。

 

キアナ「―――そんな……」

 

まるで廃墟街の如く崩れ倒壊した町の一角。あちこちで巻き上がる土煙と共に聞こえてくるのは市民の悲鳴。

建物があったであろう住宅街は只の瓦礫の広場とかし、火災と爆音が静かな町を一変させ地獄絵図へと姿を変えていた。爆心地であった工場は建物の2分の1だけを残し消滅し、市街地へと延びる二本の抉れた地面の痕跡が、何が起こったのかを伝えていた。

 

そんな中、爆発を起こした始点…この現状を創り上げた中心に、一人の男が佇んでいる。黒いスーツに機械で歪な機械を顔に取り付けたマスク顔の男――その男からは、ただならぬ悪意と殺気を醸し出していた。

そう…この男こそヴィラン連合の新の親玉、かつて日本を恐怖の底に叩き込み、オールマイトに致命傷を負わされながら、再度表舞台に舞い降りた諸悪……

 

―――オールフォーワンであった。

 

 

 

 

 

「さて……やるか」

 

 

 

 

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