2話 A組
根津校長から招待を受けてから数週間後、私の家に雄英から私宛の手紙が届いた。
中を開き見てみると、根津校長から私が講師として教える学年とクラスが記載されていた。「まずは3日後、【1年A組 ヒーロー講習】を担当してほしい。授業内容によって担当講師が変わるから毎回出るわけじゃないよ。それ以外の日は特別講師として色々な生徒を指導できる機会があるだろうさ!」と記載されていた。
1年A組……どのようなクラスだろう……。
三日後、私は指定があった雄英高校の大きな門を超え学園内に入った。長い廊下を歩く私、すると目の前から一人、カラフルなヒーローコスチュームを身に着け顔の画風が明らかに違う男性がやってくる。彼の名前はオールマイト、私の大先輩であり私より以前から№1ヒーローに君臨している「平和の象徴」と呼ばれる生きる伝説だ。
「おや!君は律者君ではないか!」
「お久しぶりですね、オールマイト」
「HAHAHA!本当に久しぶりだ!」
「オールマイトは授業ですか?」
「ああ、今から1年A組に向かう所さ!」
「え?オールマイトもですか?」
「おや、君もかい?……そういえば校長から特別講師を参加させると聞いていたが、まさか君だとは!」
「そうでしたか、よろしくお願いしますねオールマイト」
「ああ、まーかされた!!」
「(元気あるなぁ、オールマイト……(汗) )」
二人で話していたら教える予定のクラスの目の前に到着した。クラスの扉は床から天井まで届くほど大きく、巨人でも居るのかと思う程デカい。いや実際巨体の体になる個性がいるからその配慮か、そんな大きな教室からは大勢の未来のヒーロー候補達の声が聞こえてくる。
「ではまず私が先に生徒の前に入ろう。その後、君を呼ぶから待っててくれたまえ!」
「わかりました」
「では!わーたーしーがー……普通にドアから来たぁーー‼‼」
普通に入るって考えは無かったのか……。突然のオールマイト登場で教室からは歓声が聞こえてくる。流石は元祖№1ヒーロー、人気がすごい。
「おっと、今回君達に教える先生は私だけじゃないぞ!今回特別講師に来てもらった‼さあ入りたまえ‼‼」
「特別講師!」「誰だ誰だ!?」「オールマイトでもスゲェってのにまだ先生の授業が受けられるなんて!」
「特別講師は~~~~?こ・の・人・だっ‼」
生徒の期待の声がプレッシャーになりそう。でも私はオールマイトと同じ№1ヒーロー「律者」、生徒たちに恥じない先生を見せなければ……私は軽く深呼吸をしてから教室へと足を運んだ。
「あ、あの人って!」
「マジか!」
「同率№1ヒーローの ――」
「律者さんだー!!」
「皆さん始めまして、オールマイトと同様№1ヒーローとして活動している、律者です」
「"オールラウンダーヒーロー"律者!!世界初、わずか12歳でヒーロー免許を取得した若きヒーロー!その実力と個性の強さで次々と事件や災害から人を守り、16歳でオールマイトと全く同数の人気と支持を集めて同率№1ヒーローになった神童とすら言われているヒーローだよ!」
「デク君、№1ヒーローが二人も現れて壊れちゃった?」
「今回は私オールマイトと律者君の二人で授業を行うぞ!」
オールマイトは常に周りを盛り上げ笑顔にする為常にハイテンションで行動している。№1ヒーローとして、平和の象徴として相応しい立ち振る舞いを常に心掛けているのだろう。
だが彼の事情を知っているヒーローなら分かる、彼は常にヒーローとしての重すぎる土台を一人で支えてしまっている。それも町の人に悟られないように常に余裕に見せている。この人は既に"ボロボロ"なのに……。
私はいつか、オールマイトの代わりに……その土台を支えないといけない……のかもしれない。
「――着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!」
『はーい!』
「ん、どうかしたか?律者君」
「あ、いえ何でもないです」
私が余計な事を考えているうちに話が進んでしまっていた。いけない、あまりに緊張しているからか普段考えない事まで考え始めている……少しリラックスしないと。
「それじゃ律者君!我々は先にグラウンドβに――」
「先行ってますね、オールマイト」
私は雷の律者の力を使い、雷の速度でグラウンドβに向かった。緊張のせいで「一緒に行こう」と言っていたのを完全に聞き逃して……
「あれぇ~?律者君、聞いてなかったのかい……?」
「うわ律者先生はっや!」
「でも走った時の勢いとかは全く感じなかったな!」
「あれは
「雷の律者?デク君、律者先生は"律者"って名前じゃないの?」
「あぁ、えぇと……律者先生は複数の個性を持つ複合型って言われてる個性の持ち主なんだ」
「それって轟みたいな半分熱で半分氷みたいなもんか?」
「それとはちょっと違うみたいだよ。轟君は"氷と炎の両方を持ってる"タイプだけど律者先生は"一つの個性で複数の個性を切り替えて戦う"タイプなんだ。」
「ケロ?それって何が違うのかしら?」
「えっとそれは……」
「コラコラ少年少女諸君!授業が始まるから急いで着替えに行きたまえ!」
「あっ!す、すみません!」
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私とオールマイトは先にグラウンドβにて待機していた。グラウンドβの出入り口から各々が要望したヒーローコスチュームを身に着けた生徒達が次々とやってきた。
それぞれ各々の(特徴的な意味の)個性が十分に引き出されている良いコスチュームだ、自分のモチベーションを保つためには気に入ったデザインのコスチュームってのは意外と大事。まあ私はいつも雷の律者の衣装だから自分の考えたってわけじゃないけど。
今回行うのは屋内で行われる戦闘訓練、外で発生するヴィランの殆どが計画を多く考えず、感情の爆発や私利私欲、愉悦を満たすため等で起こる犯行が殆ど。屋外の個性関係の事件の方が実は意外と対処がしやすいというヒーローが多い。
だが強盗や立てこもり等の屋内だと計画を練っての犯行が多く、犯人達は個性を優位に扱える方法を考えて犯行を実行している。それによる人質の確保や爆弾の解除等の難しさを一年生の内に学ばせようとしているのは流石雄英と言ったところか、この学校の授業内容は他の学校より数歩先に進んでいる。
内容の設定としては「ビルに核爆弾を設置したヴィランを確保し、爆弾を回収する」って感じの爆弾事件のスケール大きい版。それぞれヒーロー・ヴィランは2名で1チーム。クリア内容はヒーロー側は「ヴィラン全員の体の一部に確保テープを巻き付け無力化・又は爆弾の模型の回収」、ヴィラン側は「制限時間15分経過まで爆弾を防衛」がクリア条件となっている。
私やオールマイトは別室でモニタリングしそれぞれの生徒の「動き」や「戦闘技能」などを点数として評価したり、1試合事に生徒の講評するのが今回の授業でやる事である。
最初の試合、爆豪君と緑谷君との戦闘で緑谷君が自分の個性の反動と爆豪君の爆発による大きめの怪我があり一瞬不安にはなったがそれ以降の試合は特に大きな怪我は出ず授業はスムーズに進んだ。
爆豪君が大分荒れていたが理由は知らないかとオールマイトに話を聞くと、どうやらあの二人は幼い時からの幼馴染で爆豪君は周りに褒められ育ったがそれがきっかけで自意識の塊となってしまい性格があの様に荒れてしまった。緑谷君はここ数週間前まで無個性だったが最近「怪力」の個性が発現、其の為自分でも制御出来ず個性を発動すると肉体が耐え切れず大怪我をしてしまうらしい。
爆豪君は今まで無個性だった緑谷君が突如個性が使える様になり、それが自分より強い個性だったという真実が彼を焦らせ今回のような事が起こったのかもと話していた。
今回の出来事でそれぞれ今までの自分を見つめなおすきっかけになっただろう。二人のポテンシャルは高い、爆豪君は戦闘においてはセンスがずば抜けているし、緑谷君は咄嗟の判断能力の高さと思考の速さが高い。これから数年この高校の授業を学び彼らがどんなヒーローになるのか楽しみだ。
「さて!今回の授業はここまで!っと言いたい所だが…いささかスムーズに進み過ぎて時間が余ってしまったな」
「先生、もう一度戦闘訓練するというのはどうでしょう」
「うーむ、確かに八百万少女の言う通り戦闘訓練を行いたい所だが……全員回る程の時間は無いな~。」
「でしたらこういうのはどうでしょう?」
「む?何かあるのかい、律者君?」
「"私が彼らの相手をする"と言うのは?」
『えっ!?』
「ほう、詳しく聞かせてくれ!」
「私vs生徒で戦闘訓練と同じ事をするんですよ。ハンデとして私は一人、生徒はー……そうですね...3~4人で行動するってのはどうでしょうか」
「なるほど、生徒にプロとしての№1の実力とヒーローの目安を見せつけるのもいいかもな!よし、それでいこう!」
「マジか!№1のヒーローと戦うなんて!」
「いやいやいや、勝てっこないだろぉ!」
「だが、プロの実力をこの身で感じるいい機会でもありますわ」
「参加は挙手制で良いですよ。ヴィランとヒーローと一回ずつ行いますので」
1年生からこれ程早く先に進んだヒーロー基礎学を学んでいるのであれば、早く現役ヒーローの戦いを生で体験するのは彼らのこれからの成長を進める良い体験だろう。
自分で言うのはあれではあるけど、№1の戦い方を知るのは自分の戦闘スタイルの見直しにもつながるかもしれない。
「さて、では誰が参加します?」
「俺は一度やってみたい」
「わ、私も!」
「漢を磨くにはいい体験だと思うし、俺も参加するぜ!」
次々と参加者が現れる、今挙手したのは男子が飯田君と轟君、上鳴君、障子君と切島君。女子が八百万さんと芦戸さん、耳郎さんか。
「わかりました、じゃあ……チーム分けはこのくじで。中には1~8までの数が書かれてるから偶数と奇数で別れてチームを組んでね」
生徒は順々とくじを引いていく。そうして出たチーム分けは……
偶数チーム
轟君・八百万さん・上鳴君・耳郎さんチーム
奇数チーム
飯田君・障子君・切島君・芦戸さんチーム
と、このようなチーム分けになった。
偶数チームは広範囲・高威力の氷と炎を扱える轟君と物質を生み出し、頭も回る八百万さん。広範囲単騎が強い上鳴君と索敵が優秀な耳郎さんとバランスが良いチーム
奇数チームも堅実で適格な行動が得意な飯田君に硬質化で攻防対応できる切島君、索敵や伝達に長けている障子君に酸による妨害が可能な芦戸さんとこちらもなかなか良いチームだと思う。
「それではもう一度くじを引いて白いボールがヒーロー側、黒いボールがヴィラン側で進めていくよ」
再度くじを引き出た結果は「偶数チーム:ヒーロー」、「奇数チーム:ヴィラン」となった
「それじゃあまずは偶数チームから先に始めましょうか」
「はい、よろしくお願いしますわ!」
「手加減なんかいらないから本気で来てください、先生」
「頑張ろうぜ!」
「索敵は任せてよ!」
こうして、1年生vs私の特別戦闘訓練が始まった。
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