ロスト・キャスター   作:練り物

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 感想、評価、読了ツイートありがとうございます。
 返信はしていませんが中身は見ています。
 おかげで無事日刊入りしました。

 とりあえずこれで僕の宿題は終わりです。


秋の記憶/城壁からの景色

 とうとうアルトリアが十六歳になってしまった。

 予言に従うなら、これから村を発ち、巡礼の旅を始め、ブリテン中を巡り、各地の鐘を鳴らすことになる。

  

 夜も更けた漂流岬。

 ケイはすっかり慣れた石のベッドに寝ころびながら、これまでの日々を振り返っていた。

 鉄を打って、布を縫って、訓練してばかりの毎日。

 

 なぜか日に日に顔色が悪くなっていくエクターの代わりをすることが多くなり、目が回るくらいに慌ただしい毎日だったが、それなりに思い出もあった。

  

 ふと、思い出すのは二年目の夏。

 いつもはベタつくだけの潮風も穏やかで心地よい日、思いつきで他の妖精たちが近づかないような崖のふもとまで、アルトリアを連れて行ったことがある。

 

 たまには良いだろうと気分転換にケイが誘うと、予想以上に食いつきが良かったことが深く印象に残っていた。

 

 資材や漂流物の調達、と大義名分を言っておけば変なやっかみも来ないだろうと思ったが、現実はなかなか厳しく、村からの監視はどこでもついてくる。

  

 全く、妖精とはつくづく厄介なものだ。

 尾行を撒いたり、幻覚を見せる魔術とかないのかと聞いたところ、アルトリアは目を逸らしながら首を振る。

 

 本来ならマーリンの十八番とも言える技。

 単純にアルトリアが使えないのは、日常生活に役立つもの以外は鍵開けだの爆破だのテロ的なものを好き好んで教えてほしいと言っていたから。できるのは簡単な擬態程度。さすがにマーリンもドン引きだろう。

 

 当然、そんなことをケイは知らない。

 お得意のマーリン魔術、意外と使えねー、と口にする。

 通信教育の教材になかっただけ云々とブラックドッグのように噛み付いてくるアルトリアの顳顬を握り拳ですり潰す。

 

 結局、村の連中に見つかって騒ぎになったところをエクターに助け舟を出されて家に帰った。

 気分転換どころもできやしなかった。

 

 遊ぶようなことをしたのはこれくらい。

 ここ数年間はこんな慌ただしいし、肉体的にキツイし、何より喧しかった毎日だった。

 しかし、間違いなく平穏である部類だったとは思う。

 

 ケイ自身、そろそろ寿命が来てしまう頃だ。

 残りの余生も、こんな風に過ごせたら充分大往生と言えるだろう。

  

 ただ、アルトリアに自由はあったのだろうか。

 それだけが少し──────ほんの少しだけ心残りであったと思う。

 

 旅に出るということは、裏を返せば村の妖精から解放されるという意味でもある。

 仕事関係でグロスターやノリッジに行く時、無理して作った笑顔で見送りする役目ともおさらばだ。きっと巡礼の旅も碌な目に遭わないだろうが、少しはそんな憧れた楽しみを享受してくれればいい。

  

 あとは、餞別(・・)でも用意してやろうと考えていた。

 旅立ちの日に自分の成長を見せつけてやろう。 

 そんな野心を胸に、いよいよ床につこうとした時だった。

 

 

「──────」

 

 

 ギィギィ、床の軋む音に意識が冴える。

 足音からして重々しいエクターではない。

 どうやら、招かれざる客が来たらしい。

 

 ケイは忍ばせていた棍棒を手に、寝室を後にする。

 親子ともども、村からは悪い感情が向けられているのだ。評判に嫉妬した妖精や税が払えない妖精が忍び込むことなんてザラにある。

 

 

「──────と。──────いと」

 

 

 狙いは金目のものか、それとも命か。

 とにかくこの鍛冶屋に目をつけた不届き者の顔を拝んでやろうと足音を辿り、エクターの部屋を覗いた。

 

 

 写ったのは、見慣れたアルトリアの背中だった。

 

 

「…………ないと…………さないと」

 

 

 こんな時間に何をしているのか。普段なら何気なく聞いただろう。

 彼女の手元をみれば、錆びついて果物すら切れるか怪しいような粗末なナイフ。聞かなくても、何をしようとしているかなんて、一目瞭然だった。

 

 

「殺さないと、わたしがみんなに殺されちゃう。

 また偽物だったって、殺されちゃう」

 

 

 ケイが聞いたことのないほどに、アルトリアの声は震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、そうだ。思い出した。

 妖精なんて、所詮こんなものだった。

 

 大方、本当に“予言の子”ならあの嫌われ者どもを殺してこい、なんて言われて、あいつは断れないままここに来たのだろう。

 どうせ殺しても殺さなくても、他に嫉妬した妖精がでっち上げの証言で陥れようとすることなんて目に見えているのに。

 

 本当に阿呆らしい。

 後先を考えず、平気で残酷なことをやる妖精どもが。

 圧政はしても、こんな奴らを生かしている女王が。

 とっくに終わりを迎えているのに続いているこの島が。

 

 何より、それでも予言の子であろうとするアルトリアが、心の底から気持ち悪い(・・・・・)

 

 

「──────、───」

 

 

 ナイフが小刻みに震え、呼吸が荒くなるアルトリア。

 そら見ろ、お前だってこんなのやりたくないんだろうに。

 

 嫌だったら嫌、と言えばいい。

 予言の子なんてまっぴらだ、と言えばいい。

 

 そうすれば、エクターもケイも手を差しのべた。しかし、アルトリアは一言も口にしなかった。

 お前のせいで、自分がこんな目に遭っているんだ──────なんて、恨み言のひとつでも言ってくれれば、こっちも決心がついたというのに。アルトリアは心の中では思っているくせに、彼らの前では不満ひとつ口にしなかった。

 

 

 予言? 厄災? 救済? 

 知ったことか。お前らは自分たちが犯した罪なんだから、都合の良いように他人に救いを求めるな。反吐がでる。

 

 ああ──────だからそんな役目、俺と同じようにさっさと捨てちまえ。

 

 

「っ──────」

 

 

 そして、姿に全く似合わない凶器が振るわれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 振り下ろした先は、隅に置いてあった廃品の兜。

 甲高い金属音が鳴り響く。貧相な錆だらけのナイフでは

 傷ひとつつけることすらままならない。

  

 

「はあ、しんどいなぁ」

 

  

 肩を落として部屋を後にする。

 当然、見つからないように身を隠す。

  

 こうして、何もすることなくアルトリアは家を後にした。

 結局のところ、アルトリアは自分のために怒ったり、誰かを蹴落としたりすることが根本的に向いていない。他者との競争なぞ大の苦手だろう。そんなモノが、ましてや他人を犠牲にするような真似なんてできるはずもない。

  

 だから止めに入ることもなく、成り行きを見守ることにした。

 まあ、あんな得物でエクターが死ぬはずもないと、日々の訓練で嫌というほど知っていたから、という理由もあったが。

  

  

  

「親父、起きているだろ?」

 

「──────まあな」

 

  

 他に妖精の気配がないことを確認した後に話しかける。

 重そうに上半身を起こしたエクターの顔色は良くないものの、表情は呆れ顔。まるで鏡を見ている気分だった。

  

  

「どうだ、村の奴らを言いくるめられると思うか?」

 

「無理だろう。あいつ、俺の口の悪さだけしか真似できなかった。でっち上げでも目撃証言する奴が居ればそれで終わりだ」

 

 

 今思えば無理もない。あんな損な性格をしているかぎり、その手の話術はケイに及ぶべくもない。他人になすりつけることができないなら、言いくるめなんて向いていないのもいいところだ。

 でも、なぜだろうか。勝っている点のはずなのに、ケイの心中に敗北感しかわかないのは。

 

 とにかく、適当に誤魔化せたとしても、そうでなかったとしても、確実に村は荒れる(・・・・・・・・)

 

 元より、予言の子を信じる派と信じない派で割れていた村だ。

 今回の一件を見たと言う妖精が一翅もいれば、天秤は傾くだろう。

 勿論、健気に予言の子を信じる妖精も出てくる。そんな派閥で分かれた妖精たちの末路なんて、大抵決まっている。

  

  

「猶予は三日だな」

 

「……根拠は?」

 

「予言の子をよく思っていなかった連中は大手を振るって排除に動けるわけだ。王宮に密告すれば、ウッドワスの処刑隊が動く。牙の氏族とはいえ、こんな辺鄙な港町に来るには少なくともそれくらいは必要だ」

 

「ちっ」

 

 

 心の底から出た舌打ちは思ったよりもずっと大きかった。

 こういう時に限って動きがいいように思えてしまうのは偏見と思いたいところだった。

 

 とても、とても長い間が開く。

 寝ている時くらいしかこの家から会話や物音が途切れることはないというのに。

 

 ケイは考える。

 アルトリアを助ける方法を。そして、穏やかな旅立ちを迎える方法を。ふつふつと湧き上がる感情で考えがまとまらない。

 村の妖精に関しては今更。もっと根本的な問題を解決する手段がないと言うことを無意識に認めていることが何より腹立たしいから。

 

 

 考えて、考えて、考えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くだらねぇ」

 

 結局──────諦めは早かった。

 喉に絡んだ痰を吐き捨てるような言葉だった。

 

 

「心底くだらねぇ。こんな内輪揉めに巻き込まれるなんて御免被る。

 明日、俺はここを出ていく。適当に旅して、そこそこ穏やかなところで死んでやる」

 

 

 助ける? 逃がす? 

 馬鹿を言うな。そもそもあいつはここに迷い込んだ盗人だ。成り行きで弟子になっただけで、たかだか四年程度共にしただけの妖精だ。そんな奴のためになぜ自分が動かなければならない。

 予言の子だとか、もうそんなものにはうんざりだ。

 

 

「アンタもここを離れるなり何なりすればいい。

 性格はクソ偏屈にしても腕は確かだ。ノリッジでもグロスターでも、マンチェスターもいいかもな。引く手あまたで羨ましいったらありゃしない」

  

「お前…………」

  

  

 ひとりで生きていく術は身についている。

 他の妖精も寿命が近い人間など相手にすらしないだろう。なら、残りの余生を自由に使おう。

 

 言いたいことだけ言って身を翻すケイ。

 何て思われても、振り向くつもりはなかった。

 

 そんな彼の背中を見るエクターは何を思ったのだろう。

 恩知らずなんて言われても知ったことではない。

  

  

「……世話になったな」

  

 

 そんな言葉を残して、ケイは部屋を出ていく。

 これが、彼ら親子がこの家で交した最後の会話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 夜が明ける。

 予言の子の噂は瞬く間に村中に知り渡る。

 ほれ見たことか、と納得する者、落胆する者、反応はそれぞれだった。

 そして、ウッドワスの処刑隊がこの村にやってくることが決まる。女王派の妖精がこれぞとばかりに、それとも予言の子を信じていた妖精が裏切られた腹いせに密告したのか、そんなことはもう誰もが気にしていない。

  

 気は進まないが、事実は事実として伝えようと村長の使いが嫌われ者の鍛冶親子の家へと足を運ぶ。

 

 岬の家はもぬけの殻だった。

 さあ、冬はもうすぐだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 シェフィールドの城壁からは、妖精國を一望することができます。東西南北あらゆる敵を見逃さないため、という臆病な領主ボガードの狙いがあります。

 そんな彼のお妃さまになったアニス──────いえ、マシュは、ここから見下ろす景色が好きでした。ハベにゃんたちから貰った純白の花嫁衣装に身を包んだ彼女もとっても綺麗! 

 

 でも、その表情はどこか浮かない様子。

 美しいものを見ているはずなのに、心と記憶にぽっかりと穴が空いているから。

 そっち関連の話は後でハベトロットが責任をもって相談に乗りますが──────これは、そのちょっと前のこと。

 

 

「いつもいつも飽きもせず外ばっか見やがって。これじゃあ領主の花嫁ってより囚われの姫様の方が似合っているんじゃないか?」

 

 

 がしゃりがしゃり。

 見るからに不機嫌そうに口をへの字に曲げた、いけ好かない男がやってきました。

 

 

「そうでしょうか。たまに城下まで降りているので囚われてはいるわけではありませんよ。この間だって一緒にモース退治をしましたし……」

 

「それはそれで問題なんだよボケナス。勝手に動かれると怖い顔の領主サマのご機嫌が斜めになっちまう。これじゃあ俺の話も一向に進まん」

 

 

 この黒騎士、領主のボガードから諌めるように頼まれたみたいだ。 マシュは強いから、そんじゃそこらの悪漢やモースなんかには負けやしない。護衛が必要ないどころか、兵士がやるような仕事まで頼まれればやってしまう。シェフィールドの住民は、ますますマシュを予言の子として敬って、どんどん士気が上がっていく。

 

 けれど、それがボガードはあまり面白くないみたい。

 戦争前だからピリピリしてるのかね。まあ、ボガードも色んな意味でマシュには勝てないから、こうして周りから言ってやるしかないんだ。

 

 そんなことしても無駄だろうな、なんて黒騎士は思っているからそんなにやる気はないみたいだけど。

 

 

「この前のモース退治だってそうだ。おかげでこっちも無駄な戦闘に付き合わされる。俺だけじゃなくて、ハベトロットのやつも振り回されてへばっていたぞ。兵士も兵士で牙の氏族のくせに仕事サボってんじゃねぇよったく」

 

「す、すみません……せっかくお二人が作ってくださった衣装も皺まみれにしてしまって……」

 

 

 それは優しいハベトロットも完全に同意するだろうね。

 戦いなんてキツイわりに見返りが少ないもの。

 やる気満々のマシュに引っ張られて、ハベトロットと黒騎士があーだこーだ文句を言いながら戦ったやつとかもそれ。

 おかげで美味いランチにありつけたけど、あれ、絶対お嫁さんがやることじゃなーい! 

 

 でも、いつの間にか黒騎士の愚痴大会になっちゃってるのも頂けない! マシュも巻き込んだ身だから、ちょっと落ち込んじゃったじゃないか! 

 こいつ、口先だけは達者だし、手先もそこそこ器用だけど、騎士のくせに気が利かないし、性根がカーブ針みたいにひん曲がってるんだ! 誰がこんな育て方したんだ! 

 

 まあ、素直に謝ってくるマシュには敵わないのか、今度は黒騎士の方が調子を狂わされちゃうんだけどね。それがボガードに似ているのか、マシュもおかしくなって笑顔になっちゃうみたい。

 

 

「……何で、“予言の子”としてあろうとする」

 

「えっ」

 

 

 一通り話し終わった後、黒騎士は城壁にもたれかかりながら問いかけます。

 ここまでロブたち三人組やハベトロットが居たから、なんだかんだマシュと二人きりになる時がなく、このタイミングでようやく切り出せたってわけ。

 

 

「そうですね。ロブさん、ワグさん、ウィンキーさんに言われて、皆さんがとても喜んでいらっしゃったからですが……貴方がそんなことを聞きたいわけではないんですよね?」

 

「当然だ。いつまでそれを黙っているつもりだと聞いている。お前だって記憶がないにせよ、自分がそんな救世主とかいう大層な存在ではないことは、薄々気づいているんだろう?」

 

「………………」

 

「じゃあ俺が代わりに答えを言ってやる。

 お前は“予言の子”でも何でもない(・・・・・・・・・・・・・・・)。ただ、その方が都合がいいから名乗らせられているだけだ。ボガードの奴も負け続きの権力者ではあっても、その辺の嗅覚は健在なんだろうよ」

 

 

 ずっと聞きたかったし、言ってやりたかったんだろう。

 マシュもそれは感じていたみたい。

 捲し立てるような黒騎士の言葉にちょっと驚きながらも、ちゃんと受け止めている。

 

 だから、気づいちゃった。

 

 

「……貴方は本当の“予言の子”をご存知なのですね」

 

 

 さて、今度は黒騎士が黙る番だ。

 マシュは純粋だけど、決して鈍いわけじゃない。

 悪意じゃなくて、こんな不器用な善意なんか特にね。

 

 

「貴方が私をとても気遣っていただいているのはわかります。決して、この時だけではありません。あの狼さんのように、私達がシェフィールドに着くまで貴方は常に私を守ろうとしてくださいました」

 

「何言ってやがる。護衛を名乗り出たのは俺だ。なら護衛対象を守るために気を配るのは当たり前に決まっているじゃねぇか」

 

「それはそうなんでしょうけど……すみません、私では上手く言葉にすることができないようです。きっと、記憶のない今の私では貴方に届かないでしょう」

 

 

 話が逸れてしまいましたね、とマシュは仕切り直します。

 

 

「たとえ予言の子ではなかったとしても、私のやることは変わりません。今まで出会ってきた皆さんは、誰もが“救われたい”と願っていました。少しでも、私はその力になりたいと思います。だから、私は──────」

 

「もういい」

 

 

 呆れるように言葉を挟む。

 乱暴に側頭を掻いて、黒騎士は大きな溜め息を吐いた。

 マシュの立ち位置から見れば、聞きたくないと耳を塞ぐ子どもに見えたのかも。

 

 

「クソっ、そうだ。元々こんな話するつもりはなかった。つい魔が差して不躾な質問をした。悪かったな」

 

「いえ、その」

 

「俺は少しここを離れるってことを伝えに来ただけだ。何日かで戻ってくるとは思うが、ハベトロットのやつが手伝いなんか求めてきたら『ざまあみろ』とか言っておいてくれ」

 

 

 ハベトロットがやりたくもない仕事を頑張っているのに! この後、本当に助けを求めたら、律儀なマシュは一言一句ちゃんと伝えるんだぜ! 酷いだろ! 

 まあ、黒騎士には黒騎士なりに事情があったみたいだし、ちゃんと人助けのために動いていたから、心の広いハベトロットは許してやることにしたんだけどね。

 

 

「ただ、忠告はしておく。

 今のお前は綺麗なものばかりを見ているんだろうが、ここで戦争を始めれば──────いや、始めなくても、お前は見たくないものを見ることになる。それが嫌なら新婚旅行だの何だの適当な理由をつけてどっか行け」

 

「……あ、ありがとうございます」

 

 

 言いたいことを言った黒騎士は、そのまま城壁から飛び降ります。すると、どこからか現れた白馬に乗って空を駆けます。

 空を駆ける馬に乗る無骨な騎士なんてヘンテコな光景だなー、とは思うけど、女の子的にはメルヘンに感じるらしいよ。これが口を開けば毒を吐くような男が乗っていなければ良かったのに。

 

 でも、マシュに言った忠告は現実のものになります。

 シェフィールドの籠城戦を、攻撃戦に変えてしまった凶行を見たとき──────彼女はそれを思い出すことになるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どいつも、こいつも。そんなに役目が大事なのかよ」

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