有能な秘書や優秀な側近が居るってのはかなり得だ。
海外の物語で言えばアーサー王のマーリンやシャルルマーニュの勇士、日本で言えば徳川家康の本多忠勝や伊達政宗の片倉小十郎。
何が言いたいかってと、優秀な王様だけじゃなせることは少ないって事だ。
そこに気付いた俺は最初にスカウトしたのは有能な秘書系ウマ娘だ。
心当たりは有ったので土下座せん勢いで口説き、何とか何とか今日までやってこれた。
エイシンフラッシュ
ドイツだったかイギリスだかアメリカから来た超絶ド真面目ウマ娘だ。
ちなみによくドが着くとかド級ってのはドレッドノート級のドらしいよ。
「おはようございます
5分の寝坊ですよトレーナー」
「おはようさん」
朝目が覚める度、コイツの正面顔が目の前に。
フラッシュは時間に正確だし食事の栄養バランスとかを兎に角考えている真面目な性格だ。
朝弱い俺は目覚ましがてらついでに起こして貰ったり朝飯を作って貰ってる。
あ、別に不法侵入とか学園の規則とかは平気だぞ。
そもそも俺の家は自腹で購入した一軒家だし、規則は寮に入るなよ系だから。
合鍵を渡してるから侵入楽々、まぁお陰で此処ってフラッシュの家だっけ的な錯覚を起こしちゃうけどね。
しかしその錯覚とは今日でさよならバイバイ、俺はこの家に引きこもる!(ゴリチュー)
顔を洗ってリビングに行けば一汁三菜の整った朝食が。
席に着いて手を合わせて「いただきます」をしてから味噌汁を一口。
朝の味噌汁はジャスティス、具が豆腐と油揚げってのも最高にハイって奴にしてくれる。
ちなみに2番目に好きなのはネギと油揚げだ、これテストに出すから覚えておけよ。
「あ、俺トレーナー辞めるから」
「そうですか…………はい?」
「ミー、トレーナー、辞める、ユー、これから、フリーダム、ネクスト、トレーナー、決まった」
「わざとらしい片言で理解出来ません、もう一度!確りと!報告!」
流石におふざけが過ぎたのでそれっぽい理由を付けて説明を試みる。
何が良いかな?両親は健在だし(60代なのにいまだにデートしまくりな関係)……そうだ友人の言ってたあれを使うか。
「いや実はな親に孫の顔をいい加減見せろって言われてて、流石にこの仕事をしながらだとほらアレがアレじゃん
だからいっそ前からの夢だったデザイナー(名前だけでニート)をやりながら的な……ね?」
そう言うとフラッシュはスマホを取り出して何処かに電話をかけた。
うーん、何か嫌な予感がバリバリだな。
「息子さんは両親から早く孫を見せろと言われたと申しておりますが本当ですかお義父さん?」
『いや、孫は満太郎と空太郎が居るからそんなこと言わないよ』
「…………本当の理由は?」
アイエエエ、オヤジ、ナンデオヤジ!?
いつの間に知り合ったんですかねフラッシュさん!?流石に俺の親はトップシークレットだからウマ娘の誰も知らないはずなのに!
「早く言ってくださいトレーナー」
手に持っていたタンブラーがフラッシュの握力によってドンドンと前衛的なオブジェに変わっていく姿は、俺が返答をミスるとこうなる的な姿と重なる。
さてどうするか、悪戯IQこそ高いが普通のIQは平均成人男性しか無いぞ。
「あー……燃え尽き症候群って言うのかね、若かりし日のソウルが……な」
「?」
「フラッシュはクラシック、シニア、更にはURAも優勝
ルドルフは7冠達成、他にも他にもで……な
ぶっちゃけやる事が無くてな
そんな訳で新しい目標が見つかるまでお休みしようかな~……なんて」
そう言うと何かを考え出すフラッシュ。
おや、まさか納得してくれた系?スゲエ爽やか、初日の出を新しいパンツで迎えた位スゲエ爽やかだ。
「解りました……」
「まぁ、ちゃんと後任は信頼出来る奴だししかも実力もある超スゲ─────」
「つまり再燃出来れば辞めないのですね、では行きましょう準備は出来てます」
「ホワイ?」
玄関から旅行カバンを2つの持って来た。
何ぞやそれ?
「フラッシュさん?」
「丁度良かったです」
「?」
「本日より3日間休みなのは知っています
休日を利用して1度故郷に戻り挨拶をして貰おうかと思ってましたし」
んー、話がさっぱりわからんですしお寿司。
「男と女が1つ屋根の下、それでトレーナーは再度燃えれば辞めない
なら方法は1つです結婚しましょう」
「生命体の思考をしてほしいかなぁ~何でそこから結婚に飛躍したの?
君は会話のキャッチボールはしないで会話で銃撃戦でもしてるのかい?
てか担当してきたウマ娘って皆言葉で戦争しまくってるじゃん、何故どうしてトレセン珍獣百科でトップページに乗ってるゴルシだけマトモに会話できて君達は出来ないの?
チームプレアデスはゲリラ地帯なの?駆け込み寺扱いされてるけど実は隔離施設なの?」
チームプレアデスってのは俺の担当してるウマ娘達のチームで何故か駆け込み寺扱いされてるんだ。
正規メンバー(プレアデス所属)はフラッシュ含めて5名。
後はスランプに陥ったり訳ありなウマ娘が複数ちょくちょく顔を出す程度だな。
さて、この理解不可能な状況はどう対処すれば良いんだ?
「互いの両親に顔を会わせるのは当たり前の事でしょう
それを断るならウララさんに注意して貰いますよ」
「止めておけフラッシュ、その術は俺にきく」
ハルウララ
走ることが大好きな超純粋ウマ娘で、コイツが居るだけで普段の3割増で商店街が盛り上がるとか何とか。
まぁ、結果が伴わないからと理事長に半ば強引に担当させられたんだ。
夢は有馬記念の優勝なのだが……そもそもウララの脚質はダート向けの短距離型。
前提から間違えているのだが、あんな純粋な目でお願いされたら俺だって断れん。
ちなみにマックとかオペラが東京大賞典で優勝したいなんて言ったら「NO!」って言うけどな!
まぁ、そんなこんなでウララファンが応援に来て奇跡を見て貰ったって話。
うん……まぁ、短距離ダートってのはトレーナー間でも有名でウララが出た時に他のトレーナーが「ドベは無くなった」なんて言ってたんだけど勝っちゃった♪
ライスもブルボンもあのゴルシでさえ泣きながら喜んでたなぁ……お陰で人生3回分頭を使ったけどな!
そんな訳で俺にとってウララは妹とか娘的な存在なんだよ。
それに注意なんてされたら心が折れる、物理的には骨が折れるけどな!
「納得しましたね、では挨拶に向かいましょう
今から出発すれば予約1時間前には空港に到着するのでゆっくり出来ますよ」
「ふっ……譲二戦法No.1
隙は逃がすな!」
「っ!?」
「ペプシメーン!」
視線が搭乗チケットに行った瞬間、豪快に窓を破り全力疾走(100m18秒の鈍足)で裏道から裏道へと渡り逃げていく。
フハハハハハ!まだまだ尻が青いな小娘め!
「『今回は』逃げられましたか、ですがいつまで持ちますでしょうか?
早く諦めて楽になった方が身の為ですよトレーナー♪」
飛散した窓ガラス片を1つ1つ丁寧に取り除き、テープとシートを使って簡易補修しているエイシンフラッシュ。
その作業が終わるとキッチンから砥石と包丁を複数持ってくると丁寧に研いでいく。
1度研げばあの人の為
2度研げば幸せの為
3度研げば子の為
4度研げば……愛の為
「でも厄介なゴルシさんに知られる前に手は打っておきましょうか」
チームプレアデスの唯一の良心にして抑止力と呼ばれるゴールドシップの存在は計画に邪魔なのでどうやって引き離すか。
プレアデス正規メンバー5人は勝利する為にテレビ電話で作戦を練るのだった。
中井譲二(CV愉悦神父)
もう頭を使いたくないと言う程にウララ育成を頑張った猛者
ウララの優勝を見たファンからは神の様に崇められ、学園内では奇跡を起こした男や不可能を可能にした男、靡く春風の快男児等々多数のアダ名を持つ