「はぁ・・・」
薄暗く狭い部屋の中で深いため息を吐きながら、モモンガこと鈴木悟はパソコンのモニターの前でうなだれた。モモンガというのはDMMO-RPGである、ユグドラシルのプレイヤー名であり、非公式ラスボスとまで呼ばれその名をゲーム内で轟かせていた。
「マジでどうやって生きていこうかな・・・」
ため息の混じった声でつぶやく。
モニターに書かれているのは[ユグドラシルサービス終了のお知らせ]という文字だ。ユグドラシルを初めてからもはや生活の一部と言っても過言ではないほど繰り返してきた、公式ホームページの最新情報欄の確認中にそれを見つけた。
今までバグの修正によるアップデートや、メンテナンスのお知らせ、ごく稀にコラボの情報が掲載されていたが、それは突然やってきた。
とは言っても、ユグドラシルもリリースされてから10年以上も経っている。鈴木悟もそろそろ終わるかも知れないなどと考えたこともあった。しかしサービス終了まで6ヶ月以上もあるとはいえ、多少の覚悟はしてあったがやはり心にくるものがある。
ひとまずゲームを起動し、日課の金策をしようとしたがやる気が起きなかった。
やはりユグドラシルというのは心の支えにもなっていたのだろう。今日はいいかなどと考えたが、もしかしたら仲間が戻ってくるかもしれないという考えが頭をよぎる。
「頑張るか」
そう呟き鈴木悟は、リアルからユグドラシルへと向かった。
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ここはユグドラシルでも比較的に安全な草原。いつも通りにモモンガは、素材が高く売れるモンスターを倒し、ドロップアイテムをエクスチェンジボックスに入れて換金し、また倒してドロップアイテムを換金するのを繰り返していた。
フィールドはいつもと違い、少々賑やかであった。狩場に向かう途中にもプレイヤーをちらほら見かけた。
ふと耳を澄ますと近くから話し声が聞こえてくる。つい条件反射で《
「懐かしー」
「確かここの近くにいる、虹色の羽の生えた鳥のドロップアイテムが金策に使えたっけ。昔と変わらないね」
「そうそう、確かレアドロップの確率がとんでもなかった記憶があるなー」
「そんなのあったねぇ、名前全然思い出せないんだが」
「よく鉢合わせしたプレイヤーと戦ったよね・・・俺は勝った覚えそんなにないけど・・・」
「くははっ!おまえ、まともな職業取ってないもんな!」
おそらくサービス終了を知り、復帰してきた人間種の二人組が歩いていた。話からして観光目的できたのであろう。そこへモモンガが、しめたとばかりにバフの魔法を唱え、攻撃の準備をした。
「《
《
一体どのくらいの実力なのかを測るために撃った攻撃だったが、一人はあっけなくやられてしまった。もう一人の剣士はそれに気が付き、急いで抜刀し、攻撃態勢に入った。
「マジか!くそっどこだ!」
「後ろですよーっと、ちょっと気を緩めすぎじゃないかな」
そう相手に聞こえてもいないのに話しかけつつ、あっさりと同じ魔法で二人目も倒した。
「弱かったなー、アイテムもそんなに期待できないかも」
そう言いつつも少し期待しながら戦利品を物色する。やはりというべきなのか相当昔にやっていたプレイヤーだったようで、懐かしいアイテムがわんさか出てくる。アイテムコレクターとして見た希少価値はなかなか良かったものの、アイテムの性能は全部微妙だった。
「いやーやっぱり微妙だな〜」
若干嬉しそうな声で回収を始め、あるアイテムを手に取るとふと途中で作業の手を止める。ギルドのみんなとの思い出が少しずつ蘇ってきたのだ。
「当時ぶっ壊れって言われたっけ・・・。確率もぶっ壊れだった覚えもあるけど」
それは主に近接攻撃の威力を五分の一にさせるが、五回攻撃になるコラボアイテムだった。結局威力が変わらないというジョークアイテムのつもりで運営は追加したが、実際は一回の攻撃で実質クリティカル確率が上がり、状態異常にさせやすくなるというとんでもない性能であった。当時、そのアイテムの弱体化を望む人が多く、流石の運営も対応をしたが、武器に対して直接の弱体化が入ることはなく、クエスト報酬で得られる確率が大幅に下がることになった。しかし、運営の調整も火に油を注ぐ結果となった。
脳の片隅にも残らない記憶を、モモンガは必死に呼び覚ました。
「確かギルメン全員で近接職のためにクエストを回したけど2個しか手に入らなくて・・・」
もうだめだと叫びながら一人ギルメンが逃走し、しばらくして捕まえられたが、その手には例のアイテムがあった。なんと逃走している途中で、試しにアイテムを使っているらしきプレイヤーを見かけて、八つ当たりでPKして奪ってきたのだ。
しばらくしてほぼ八つ当たりで、似たようなことをしだすプレイヤー達が次第に増え始め、“使っていると仲間にも攻撃される” “なんかすごいヘイトが集まる”という呪いのアイテムとなり、ユグドラシルでは暗黙の了解で、そのアイテムを使ってはならないということにもなった。また、レベルの上昇などによって得られる《上位物理無効化Ⅲ》の登場によって結果的に使われなくなったが、これをきっかけにクエスト報酬やドロップアイテムの確率が低くなっていくインフレにもなった。
「あのクソ運営、戦争でもさせる気だったのかよ・・・」
懐かしい思い出も呼び覚ますことができ、ほんの少し気分が上がると再びアイテム回収に集中する。
一通りの作業を終えてモモンガの拠点である、ナザリック地下大墳墓へと帰還する。やはりいつもよりプレイヤーの数が多く、寄り道(PK)をすることにもなり、ここ一週間は何もしないでもいいほどの蓄えもできた。ふと時間を見てみると、いつもならそろそろ起き始める時間だ。ブラック企業勤めの朝は早い。とはいえモモンガの会社は比較的まともな方で、ギリギリグレー企業とも言える。
(ヘロヘロさん元気・・・とはいえないだろうけど、元気にしているかな)
ブラック企業の代名詞とも言えるギルメンのことを心配しながら、ユグドラシルからログアウトする。
今日もまた来てくれるかもしれないギルメンを待ちながら1日を過ごす。
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サービス終了が発表されてから半月が経った。未だギルメンは来ておらず今までとは変わらない。しかしリアルは大きな変化が起き始めていた。
今日も疲れたような顔をしながらいつも通り鈴木悟は仕事をするが、数少なく、短い休憩はいつもとは違ったソワソワした空気となっていた。同僚に聞いてみたところ、何やらとある大企業のまずい情報がどこからか漏れ出したという話だ。リアルでは、実質的に大企業が国家を支配している状態で、その噂が本当なら情報は国家機密とも言えるであろう。場合によっては国全体に大混乱が巻き起こる可能性もある。
社会に疲れた人間がデマを流すなどよくある話だが、今回は実際に社会を変えようとする改革組織が動いているらしい。世間に対してあまり関心がない鈴木悟であるが、少なからずとも危機感を抱くようになった。
同僚はため息をつきながら。
「私ももっと昔に生まれたかったですね〜。そうすれば少なくとも今より裕福な生活ができてる・・・なんて考えますよね。」
「貧民層の人間はみんな絶対思ったことがありますよ」
(でもユグドラシルがないと考えると、少し考え直しちゃうかな)
「ですよねー・・・。でも実際のところ改革組織がいるとか、大規模なテロを起こすとか、ありきたりというかあんまり信憑性がないですよね」
「デマであっても、事実だとしても苦しい生活であるのには変わりはありませんよ・・・。世界が丸々変わるほどの改革が起こらない限りは」
鈴木悟は苦笑しながら言葉を返す。同僚もそれもそうかと返し、あっという間に短い休み時間が終わった。
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数日後、世界が変わった。
いつも会社はどんよりとした空気だったが、社員たちは慌ただしく働いている。この中で確かな情報を持っている人はおらず、今の状況に困惑しているが、社内のほとんどの人がまず初めに例の噂について考える。
今日も防毒マスクをして出社する。
この時代では環境の破壊が進んでおり、空気や水、大地のほぼ全てが汚染されている。星空はおろか青い空、本物の自然を見たことがないのだ。このような環境で、防毒マスクをしないことなど自殺行為に等しい。
鈴木悟は会社に着いてすぐに社内の雰囲気が、いつもと違うことに気がついた。未だかつてないほどの忙しさが伝わってくる。とりあえず、いつも一足先に会社に着く同僚を捕まえて事情を聞く。
忙しそうな手を止めさせるのは、少々心苦しいがこの際は仕方がない。
「どうしたんですか一体これ!みんな大慌てですよ!」
「あっ、鈴木さんちょうどよかったです!詳しくは知りませんが本来、他の会社に依頼するべきことがこっちに回ってきたらしいです!とりあえずこれと、これと・・・」
手元にだんだんと書類の山が積み上がっていく。しかし同僚のデスクの上に散らばっている書類は一向に減っていく気配がない。鈴木悟は呆然としながら、積み上がっていく大量の書類を見つめる。
「この一番上の黄色の付箋が貼ってある書類は、パソコンの方でデータとしてまとめておいてください。その下の赤いやつは・・・」
呆然としていた意識を慌てて戻し、早口で喋る同僚の指示を一つ残さず頭に叩き込む。説明が終わった後忘れないうちにと早足で自分のデスクへと向かう。
雰囲気のせいなのか焦りながらもいつもより早く作業を終わらせることができた。一息つこうとした瞬間。
「すいませんいいですか?この書類をグラフとかで簡易的にまとめて、私の方に送ってきてくれませんか?」
返事をする間もなく書類の束が手渡される。今さっき渡された量の数倍はあるであろう。
「え?あ、はい」
「ありがとうございます!量の割には内容は少ないので、早く終わらせられると思います!ではお願いしますね」
またもや呆然とし、渡された書類をパラパラとめくる。確かに見た目の割には内容は少ないが、さっきの仕事以上に忙しくなるだろう。今日一日これがずっと続くかもしれないと考えるとゾッとする。
(あれ、これ死なない!?こんなのブラック企業どころじゃない!!助けてヘロヘロさん!!)
命の危険を感じ、出しそうになった声をかろうじて飲み込みながらも再び作業に取り掛かる。最近よく思い浮かべる、いもしないギルメンに助けを求めながら・・・。
ちなみに当の本人はもはや無の境地にまで達しており感情をなくし、ただひたすらロボットのように仕事をしているというのは、今は知る由もないであろう。
休憩などなかった。
絶えず鳴り響く電話の音と、幾度となく行われる打ち合わせの中で、ただひたすらモニターの前で手を動かす。作業が終われば書類が送られてまた手を動かし、また作業が終われば書類が送られてくる。もちろん昼食を食べる暇もない。
(朝ご飯食べておいてよかった・・・)
鈴木悟は密かに朝食をちゃんと食べた今朝の自分に感謝した。しかしそんな思考を一瞬でもする暇もない。
仕事が終わったのは、いつも通りの時間だった。一斉に解散し、暗い雰囲気を纏いながら帰っていく。いつも通りとはいえ十分に遅い時間だが、疲労はいつも以上に溜まっている。
ぼんやりとしながら、いつもの帰り道を歩く。ふと周りを見渡すと、さっきも見たような暗い雰囲気を纏っている人を見かける。異様な光景ではあったが、それについて考える気力さえも起きなかった。
家に着いてそのまま流れるようにベッドに向かった。お腹が空いていたがそんなことは気にしない。
鈴木悟はそのまま服をも着替えずに深い眠りにつく。
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「えー、皆様本当にお疲れ様です。そしてまず謝罪から。今回なぜこのようになったのか、それにつきましては・・・」
同じような地獄の日々が一週間ほど続いた。
それからは仕事の量が徐々に減ってゆき、今でも多く感じることはあるが今までと同じ生活に戻り始めていた。
オフィスの中で人に囲まれて話しているのは部長だ。謝罪とともに今回の事態の説明、それにともなって会社の方針などの変化について話している。
内容としては、複数の大企業の倒産によって本来なら依頼する予定の仕事が小企業に回されたということだ。
隣の同僚にこっそりと小声で話しかける。
(「噂は本当だったんですね!」)
(「まさか本当にそんなことをするなんて誰も思いませんよ。ですけど不思議じゃないですか?」)
(「大企業が倒産したことですか?」)
(「それも含めてですけど、一連の流れの手際の良さについてですよ。多少なりとも物資の供給とか政治がストップするものじゃないですか?」)
(「そうですね・・・。それら全てに手を回したとか?」)
(「流石にそれは・・・と言いたいところですけど、現在今まで通りの生活ができているのが、証拠のようなものです。小企業に仕事を依頼するのも計画に入っているのでしょう」)
(「我々も知らずに計画の一部となっていたということですね・・・。」)
なんかかっこいいなどと呑気なことを考えながら仕事に戻る。地獄を掻い潜ったおかげか、皆いつも以上に早く仕事が終わった。
時間に余裕があるので、自分にご褒美に何か買おうとショッピングモールによる。お金はあの一週間のボーナスで大きな余裕がある。
(思わず同僚に金額を間違えてないか、聞いてしまったもんなー)
食品売り場に行くと、人で溢れかえっていた。このような場所は富裕層の人がよく買い物に来る所なので、あまり来ない鈴木悟は気づかなかったが、普段以上に人が多い。
見渡す限り高級品が並んでいる。珍しいものを探していると、値札が全て張り替えられていることに気がついた。主婦たちの話をこっそりと聞く限り、全体的に安くなっているとのことだ。
(大企業より小企業の運送業者の方が安いからかな・・・)
しばらくしてお酒コーナーの前で立ち止まる。それぞれ瓶は美しい装飾が施されており、一目で高級品だとわかる。
(確か「安いお酒は絶対買うな!30%以下はただの水だぞ」だっけな)
アインズ・ウール・ゴウンのアル中のギルメン、「デッドレバー」の言葉を思い出す。鈴木悟はお金がないこともあり、全くと言っていいほどお酒を飲んだことがない。そのため酔うという状態を一度経験してみたいと思っていたこともあり、お酒を手に取る。そこでふとギルメンと共に思い出す。
(やばい!完全にユグドラシルのこと忘れてた!)
最近忙しいせいで全くユグドラシルにログインできていなかった。蓄えは十分にあり心配する必要はないが、ログインしていない間に侵入者がいる可能性もある。
お酒については全く知識がないので適当なお酒を選び、デッドレバーの助言(?)の通りに少々高いものを買う。興味本位で一周回って他にいいものがあるか見てみたが、買うと流石に財布の余裕がなくなってしまう。
無人レジで酒の料金を払い、急ぎ足で家に向かう。ギルド拠点のナザリックの安否の心配と、始めてのお酒の好奇心による心臓の高鳴りが、鈴木悟の歩みを少しずつ加速させていく。
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気がつけば電気のついてない部屋の机にうつ伏せになって寝ていた。近くにはゲームのヘッドセットゴーグルが置いてある。
「痛たた・・・。これが二日酔いってやつかな」
頭痛が邪魔をするが、少しずつ思考がはっきりしていく。
朝昼晩関係なく外は薄暗く、時間感覚がなくなるのですぐさま時計を見る。一瞬遅刻をしたのかとヒヤリとしたが、久しぶりの休日であることを思い出しホッとする。
ギルメンの「二日酔いをした後は脱水症状を起こしやすいので、必ず水分をとりましょう!私は二日酔いの後はお酒を飲みます!」という言葉を思い出し、キッチンに向かう。
「何したっけ・・・。家に帰った後の記憶がないなー」
記憶はないがあまり焦らない。一人暮らしで誰にも迷惑をかけてないはずだし、記憶がない原因もわかっている。水を飲み少し落ち着き、今日は何をしようか考える。
「まあいいか、久しぶりにユグドラシルやろう」
多めに水分補給をし、気分をスッキリさせる。
ヘッドセットゴーグルを装着し、ナザリックが心配でドキドキしながらゲームを起動する。
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ログインしてすぐに周りを見渡す。そこは傷一つない見慣れた場所であった。とりあえず一安心だ。念のためにマスターソースで、ナザリック内の罠の発動による侵入形跡や、資金が足りているかの確認をする。何も問題はないようだ。
「よかった〜問題なく・・・」
安堵を口にしようとした瞬間、ログイン履歴が目に入る。
履歴は3つ入っていた。1つ目はもちろん今ログインした自分のもの。ではこの2つの履歴は一体なんなのだろう。
モモンガは震えてる手で操作し、2つ目の履歴の詳細を見る。
「なんだよ自分のやつかぁ・・・」
それは昨日の夜中にログインしたものであった。期待を裏切られたような気分になり肩を落とす。記憶がないが、お酒を飲む前にログインしたのだろう。
「ん?ということはこれは・・・?」
3つ目の詳細を見ようとした瞬間、後ろから声がかかる。
「久しいな我が友よ。この巡り合いこそもまた運命・・・」
突然声をかけられて驚き声が出そうになる。すぐに後ろを振り向くとそこには、全身黒一色で大きなコートと帽子を身に纏い、腰のあたりにコートの隙間から複数の懐中時計を覗かせるモンスターがいた。
「・・・・・あれ?もしもーしモモンガさん?ただの屍だったかな?」
「いえいえ!ただ驚いただけです・・・。お久しぶりです!タイニーさん!」
彼の名前は「ディス・タイニー」。その名の通りに運命を司るようなロールプレイをしており、時間系魔法を主に使う
「突然どうしました?」
「あれ?あのメール、モモンガさんのものじゃないんですか?」
「え?」
「え?」
少しの間沈黙が流れる。最近モモンガはメールを使った覚えは全くない。しかし全く覚えがないということに覚えがある。
(酔ってる時にメール送ったのか!?)
「すみませんが、内容とか教えてくれませんか・・・?」
「ありきたりな感じで是非来て下さいって書いてありましたね。後すごく誤字脱字が多かったような気がします・・・」
(絶対にそうだー!)
困惑しているディス・タイニーに今日のことを説明する。
「・・・。ご迷惑をお掛けしました。」
「いえいえ!別に迷惑だなんて思っていませんよ。むしろ・・・感謝をしよう!我が友よ」
突然のロールプレイ。しかしロールプレイにはロールプレイで返すのが礼儀であろう。
「ふむ、そういってくれるとありがたい。私も来てくれたことに感謝をしよう!・・・それはそうと、どうして来てくださったんですか?」
「それこそ運命・・・もとい偶然です。まぁ偶然メール見て、偶然息抜きしたくなって、今に至る感じですね」
「それは運命と言っても過言ではないのでは?」
それからは他愛もない世間話、とはいっても最近の話題ばかりだが互いの話をする。モモンガは最近以外そこまで面白い話はないからだ。
話をするだけで、あっという間に時が過ぎた。話を切ったのはモモンガだ。
「おっと、すいません話し過ぎましたね。お時間大丈夫ですか?」
「休日なので大丈夫ですよ!いやー、久しぶりに楽しい時間を過ごしましたよ。そういえば他の人って来たりしました?」
「いえ、ここのところ全く・・・。ですが1人だけでも来ていただいてうれしいです!」
「なるほど。他の人も来てくれたらいいんですけどねー」
「ええ、そうですねー・・・」
そこでモモンガはディス・タイニーの言葉に引っかかりを覚える。
「タイニーさん、もしかしてわたしが他の人にもメールを送った可能性は・・・?」
「内容からして、全員に同じものを送っても違和感のない内容だったので可能性はあるのでは?」
(何やってんだ俺ー!)
あのメールは絶対に酔っていないまともな状態のモモンガでは、書けないであろう。来てくれるかもしれないという嬉しいと思う反面、迷惑をかけたかもしれないという罪悪感で複雑な気分だ。
他のギルメンが来てくれるかもしれない。嬉しそうになる声を抑え、ため息をつきながらモモンガはつぶやく。
「これもまた運命ですかね・・・」
「あ、セリフ取られた」
オリジナルキャラクター
デットレバー 種族:ゾンビ アル中だが基本的には非常に紳士的でいい人。ギルメンの中では未だ誰も酔った姿を見たことはない。
ディス・タイニー 種族:悪夢の精霊 「定め」「宿命」といった運命を感じさせるものが好き。未来予知を思わせるような鋭い勘を持っていて、アインズ・ウール・ゴウンの中でもトップを誇る厨二病。