41匹の愉快な異形種達   作:ちくわ部

3 / 15
誤字報告というものを3話投稿する直前に知りました。報告ありがとうございます。
もしかしたら今回も良くお世話になりそうです。


噛み合い、連結する歯車

 ユグドラシルの中で、一番広大で平坦なサバンナのようなフィールド。そこには干上がった大地に枯れた草木、複数の異形を先頭に土煙のエフェクトを巻き上げながら走る大量の影がいた。

 

 

「もうおしまいだぁ!」

 

 異形の中で一際目立つ人間の見た目の異形が言う。すると横で一緒になって走っている、鎧を着た大きくツノの生えた異形が豪快に笑う。

 

「ガハハハ!多分大丈夫だろ!ワンちゃん」

 

「だからその犬みたいな呼び方やめろよ建やん!いや無理だろこんなの!」

 

 もはや日常化しているあだ名ネタで返事をするが焦っている。

 

「一体のどこの誰だよこのクエストでチキンレースしようって言ったやつ・・・」

 

 足音もなく忍者走りで近くを走っている、忍者の格好をした異形が呟く。

 

「「「お前だよ!」」」

 

 

 事の発端は、腰に刀を差し鎧を着た異形種の建やんこと、武人建御雷の武器制作の素材集めのために、クエストに行きたいという話から始まった。

 

 このクエストは特定の条件を満たし、植物が枯れているサバンナに似合わない青々とした植物の生えるオアシスに行くと、周辺に大量の苔水牛(モス・バッファロー)が大量に出現する。その苔水牛(モス・バッファロー)の殲滅がクエストの内容だ。

 魔法は使ってこないし、体力防御力共に低いので倒すのは非常に簡単だ。しかしこのクエストの難所は、そこそこ高い攻撃力とその圧倒的な数にある。一回でも大群の渦に入ってしまえば、踏み付けによる連続攻撃に巻き込れて高い防御力を持つものでも即死する。

 

 ここまで聞くと、とんでもなく難しいクエストなのではないかと考えてしまうが、実際は遠距離にめっぽう弱く、超位魔法で一掃することも可能な簡単なクエストだ。

 そう、超位魔法が使えればだ。しかし今回は違う。

 

「だから誰か魔法詠唱者(マジック・キャスター)のメンバーが来るまで待とうって言ったんだよ!」

 

「それだとチキンレースの意味がなくなるじゃん!」

 

 人間形態の異形、ワンちゃんことエンシェント・ワンの悲痛な叫びに対し、若干楽しそうに忍者の異形の弐式炎雷が答える。このパーティーは全員前衛で、遠距離で一掃できる能力はほぼ持ち合わせていない。

 

「そういえばワンちゃん!ドラゴン形態で空飛べるんじゃねぇの?」

 

 ライオンの頭をした異形、獣王メコン川が聞く。

 

「だからワンちゃんって・・・・・!あ、ほんとだ」

 

 人間形態とドラゴン形態の2種類を持ち合わせている彼は、焦っているあまり忘れていたようだ。するとエンシェント・ワンの体に光のエフェクトが集まり、たちまち屈強なドラゴンの姿に体を変化する。そして翼をはためかせ段々と宙に浮かび始める。

 それを見計らったように建御雷が大きく跳躍し、エンシェント・ワンの足を掴み一緒に浮かび上がる。

 

「あっ!それはずるいぞ建やん!」

 

 弐式炎雷が悔しそうに叫ぶ。そして建御雷は嘲笑うかのように、

 

「移動速度は俺が一番遅いんだよ!お前ら3人は仲良く走ってろ!」

 

 すると建御雷は人数に違和感を感じる。このクエストには弐式炎雷、武人建御雷、エンシェント・ワン、獣王メコン川、フラットフットの5人で参加しているが、1人足りないことに気づく。

 

「ワンちゃん!フラットのやつがいなくねぇか!」

 

 建御雷に言われてエンシェント・ワンは、はっとしたように辺りを見渡す。苔水牛(モス・バッファロー)を後方に走っているのは2人だけだ。

 

「マジ!?あいつ俺らにヘイトなすりつけて逃げやがったな!?」

 

 今回の元凶であるフラットフット。どれだけ気付かれずに倒せるかというルールで初っ端から気付かれて失敗し、今に至る。

 

「クソ〜あいつ影薄いから気づかなかったぜ・・・」

 

「おい、そんな呑気に話してる場合かよ!少しずつ距離詰められてんぞ!」

 

 獣王メコン川が獣のように四足歩行で走りながら、吠えるように言う。

 このクエストの面倒なところは通常のクエストとは違い苔水牛(モス・バッファロー)の追跡時間と距離がほぼ無限であることだ。文字通り死ぬまで追いかけられる。

 今度は弐式炎雷が叫ぶ。

 

「もうおしまいだぁ!」

 

 大量の砂埃と足音の中に、スキルのエフェクトや爆音が混じる。

 スキルや投擲物で遠距離から攻撃するが、一向に数は減らない。そうこうしているうちに、もう大群は一番後ろのメコン川の真後ろについている。

 走っている2人の顔は、飛んでいるエンシェント・ワンの方向を向いている。

 

「たっ、助けてぇ!すぐ後ろから足音が聞こえてくる!」

 

「すまねぇなメコン。このドラゴンは1人乗りなんだよ」

 

「うわああああああああああ!!」

 

 叫んでいる途中で腹を殴られたような声が聞こえた。建御雷とエンシェント・ワンは必死に笑いを堪える。

 獣王メコン川がついに追いつかれ、苔水牛(モス・バッファロー)の頭突きによって宙を舞い、大群の中へと吸い込まれていった。

 後日彼は「まるで《時間遅延(タイムスロー)》をくらったみてーに、世界がスローモーションに見えた」と語る。

 

 しばらくその場から聞こえて来るのは翼の音と苔水牛(モス・バッファロー)の大群の足音だけになる。

 

「よーし、一旦ナザリックで作戦会議でもするか。行くぞ古代龍一式(エンシェントドラゴン・ワン)!」

 

「はぁ?おいちょっと待・・・」

 

「相変わらずな名前の付け方だよな・・・。了解、ぎゃおー」

 

 2人は弐式炎雷の声を無視する。エンシェント・ワンはまのぬけたドラゴンの鳴き真似をし、翼を動かしながらゆっくりと高度を上げていく。

 

「おい!ふざけるなあああああああああああーー・・・」

 

 弐式炎雷から遠ざかるのに比例して段々と声と姿がが小さくなっていく。数分後死亡ログが流れ、やがて聞こえるのは翼が風を切る音だけとなる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 真っ暗であった視界が段々と明るくなり、景色が円卓(ラウンドテーブル)に切り替わる。モモンガは慣れた手つきでコンソールを操作すると、まず癖になっているログイン人数の確認する。今日はモモンガを含めて13人ログインしていた。アインズ・ウール・ゴウンの全盛期ほどの人数だが人数が二桁超えても、もうモモンガは驚かない。

 たっち・みーが武人建御雷を呼び、武人建御雷が弐式炎雷を呼ぶといったように、あれから一ヵ月もしないうちに半分ものメンバーが連鎖的にナザリックを訪れた。今ではまだ全員揃ってはいないが、全員から返事がきている状態になっている。

 

 コンソールを閉じて今日は何をするか考えながら歩くが、モモンガは異様な光景に足を止める。それは本来いないはずのNPC、一般メイドが列をなして集まっていたからだ。

 中央あたりから列は乱れ始め、先頭には不恰好な戦隊モノのヒーローのポージングをしているメイドが複数いた。頭が追いつかずにしばらく呆然としていたところに円卓から声がかかる。

 

「やぁモモンガくん久しぶり」

 

 2度目の驚きにまた声が出なくなりそうになる。

 

「お、お久しぶりですね朱雀さん!体の方は大丈夫ですか?」

 

 彼の名前は死獣天朱雀。

 ギルドメンバー最年長であり、体調を壊してしまい長い間ログインできなかった。モモンガのメールの返信で体の調子が良くなり、最近やっと退院できたと書いてあった。

 

「全然大丈夫だよ。ほいっと、この通り!」

 

 重い腰を上げるように席を立ち、椅子から離れて無駄のない動作でモモンガに見事な逆立ちを披露する。

 

「おおー・・・って逆立ちしているのはアバターじゃないですか」

 

「まぁまぁ、そのくらい元気ですよって感じで。あと、また教授って呼んでほしいなー」

 

 リアルでは大学の教授をしていて、ギルドのみんなからはよく親しみを込めて教授と呼ばれている死獣天朱雀。このおちゃらけたような性格のせいか、年齢と職業を聞いたときに皆がひどく驚いたのを今でも思い出せる。

 

「すみません、久しぶりだったので・・・」

 

「えぇ〜ホワイトブリムくんはちゃんと呼んでくれたんだけどね」

 

 すると死獣天朱雀はメイドの行列の方を向く。モモンガは大量の一般メイド達がなぜいるのか少しだけわかったような気がした。

 モモンガも釣られてメイドの行列を見る。そこには少しずつ腕の位置を変えて遠くから見て、また腕の位置を変える作業をを繰り返すホワイトブリムがいた。

 

「・・・何してるんですか?」

 

「なんでも漫画の資料だとか。ヒーローものでもやるのかねぇ」

 

 ホワイトブリムはリアルでは売れっ子の漫画家で、生粋のメイド愛好家でもある。実際に「ビバ、メイド服」といった発言も多く、ナザリックの3分の1の一般メイドは彼が作ったものである。

 数分後、ホワイトブリムはようやく納得がいったのか作業の手を止めてこちらを見る。どうやらモモンガがいることに気がついたようだ。

 

「おお、モモンガさん来てたんだ」

 

「ちょっと前に来ましたね。何してるんですか?」

 

「簡単にいえば新連載の資料としてこの子達を使わせていただいています!次はメイドのヒーローモノだ!」

 

 よくぞ聞いてくれましたとでも言うように、ホワイトブリムは軽やかに喋り出す。

 

「へぇーなんというか、まぁホワイトブリムさんらしいですね・・・。この話絶対たっちさんの前でしないでくださいよ?」

 

 メイドオタクとヒーローオタク。ただでさえ1人でも厄介なのに2人が合わさるとなると、とんでもないことになるのは目に見えている。本人は意味がわかっていないらしく、首を傾げている。

 

「まぁそんな感じなんだけど、なかなか思い通りのポーズにならないんだよね〜」

 

 ホワイトブリムは再びメイドのポーズをいじくるのを見て、死獣天朱雀はメイドに近づき興味深そうに聞く。

 

「へぇ、ポーズの構想は頭に入ってるの?」

 

「ぼんやりって感じですね。イメージをはっきりとさせたいのでNPCを使わせてもらったけど・・・なかなかねぇ〜」

 

 ホワイトブリムは再びメイドから離れて様々な方向からメイド達を見る。しかし納得できてないような声を出し再びメイドに近づく。

 円卓で頬杖をつきながら朱雀は適当に言う。

 

「うーむ、いっそのこと君がメイドになればいいんじゃないか?」

 

「・・・・それだ!」

 

 ホワイトブリムは突然大声を出し、アイテムボックスをいじくる。するとどこからともなくメイド服が現れる。それを見たモモンガは慌てて止める。

 

「え、冗談で言ったんだけど」

 

「はぁ!?ちょっと待ってください!それ着るつもりですか?その見た目で?」

 

 一瞬罵倒に聞こえそうな言葉だが、ホワイトブリムの異形の姿を見ると納得できる。白銀のすらりとしたボディに、頭から垂れるように生えるクラゲのような触手。ホラー映画に出そうな見た目で正直言って可愛さのかけらもない。

 

「でも思うように体が動かないんですよ!3Dモデリング担当のク・ドゥ・グラースさんだったらうまくできそうですけど、あの人今日いないし・・・じゃ、じゃあ教授着てくださいよ!」

 

「なんでそうなるのさ・・・いや無理だよ。人間の見た目をしている者が着てこそ映えるのがメイド服じゃないのかい?」

 

 死獣天朱雀の見た目はを虎の体をもち、蛇の尻尾を持った見た目をしていて、可愛いというよりかっこいい見た目だ。正論を言われて撃沈するホワイトブリム。諦めたようだ。

 

「無理か〜。そうだ、女性メンバーは今日はいない?」

 

 否、諦めていなかった。呆れながらモモンガはログイン履歴を見る。

 

「ログインしてますね。どこにいるかは分かりませんが」

 

「よーし、《伝言(メッセージ)》でどこにいるか聞いてみる!」

 

 止める暇もなく少し離れたところに移動すると、聞こえはしないが何か話し始める。

 

「あれ?ホワイトブリムくんがメイド服を着るって話じゃなかったっけ?」

 

「・・・都合のいいマネキンが欲しいってことじゃないですか?」

 

「仮に女性陣がメイド服を着ても結果は我々と同じじゃないかな?メイド姿のスライムはなかなかシュールで面白そうだけど」

 

 ぶくぶく茶釜さんならノリノリで着るかもなんてことを2人で話していると、突然ログと共に獣王メコン川が現れる。何故か一部装備を付けていない。

 

「おお!ビックリした。何このメイド・・・」

 

 突然のメイド達に驚きしばらく繁々と見つめた後、2人を見る。

 

「まじか、胴の装備ドロップしちまった。・・・こんにちはモモンガさん、教授。これなんですか・・・?」

 

 メコン川は朱雀がいる事にそこまで驚いた様子はなかった。モモンガと朱雀は《伝言(メッセージ)》を使用しているホワイトブリムの方を向くと、察したようにメコン川が頷く。

 それはそうとモモンガも聞きたいことがある。

 

「死亡ログ出てましたけどPKでやられたんですか?」

 

 するとメコン川は、思い出したかのようにクエストに行きフラットフラットに嵌められ死んだことを話す。

 ユグドラシルでは死んだペナルティとして5レベルの消失と装備ロストがある。もしPKによって殺されたのであれば、急いで装備の回収に向かわなかればならない。それを聞いてモモンガは安心する。

 数分後、今度は弐式炎雷が現れ、メイドの大群にビクリと驚く。メコン川は意外そうな反応をする。

 

「あれ、弐式もやられたか。乗せてもらったりしなかったの?」

 

「・・・・・見捨てられた。それと、こんにちはモモンガさんと・・・教授!?」

 

 朱雀がいる事に弐式は、モモンガと同じように驚いたようだ。

 やぁと片手をあげて朱雀は返事をする。そしてメイド達を見て弐式が何か言おうとしたのを察知して早口で状況の説明をする。

 

「このメイド達はホワイトブリムくんの漫画の資料としているから気にしないでねっ!」

 

「おお・・・なるほど。でもなんですかこの構え?」

 

 やはり皆、真っ先にメイドのポーズに疑問を持つようだ。

 話が終わったのか、ホワイトブリムがこっちにやってくる。

 

「今人間の街で買い物してるらしいですね。もうすこし待て、って言ってましたけど、いつまで待てばいいのやら・・・」

 

 それを聞いたモモンガが疑問に思う。

 

「あれ?本当に人間の街って言ってましたか?」

 

「なんでですか?ちゃんと言ってましたけど・・・」

 

「そういえば異形種は人間の街に入れなかったね。他に方法なんてあったっけ?」

 

 死獣天朱雀も同じように疑問に思ったようだ。人間の街にはゲームシステム的に異形種は入ることはできない。何か裏技でもあるようだ。

 

「そういえば、るし★ふぁーも良く素材買いに行ってたりしてたな・・・」

 

「人間化のやつじゃなかったっけ?なんかガチャの指輪の」

 

 メコン川には心当たりがあるようだ。

 話を聞くとガチャのレア枠で精巧な幻術魔法によって人間になれるという設定の指輪があるらしい。人間だけ街に入れるのはずるい!といった声が多く、そのための救済措置として追加されたらしいが、ガチャの確率はお察しの通りとても低い。戦闘に使うにも戦闘向きではないのは明白なので、指輪自体もそれ以外の用途はほぼなく、非常に影が薄くなってしまった。

 

「へぇ〜そんなのあるんだ。初めて知ったかも」

 

 面白そうに弐式は話を聞いている。モモンガは街にあまり興味がなかったので、初めて知ったかもしれない。

 

「ちょっとアイテムボックス探るわ。もしかしたら持ってるかも」

 

「どうかなー、確率低いんだっけ」

 

 皆一斉にアイテムボックスを漁る。モモンガも整理整頓しないとなんて考えながら探すが見つからなかった。とりあえずみんなのアイテムボックスの中にはないらしい。

 

「そういえば丁度今指輪ガチャやってなかったっけ?まぁいらないと思うけど」

 

 弐式の言葉に反応し、突然ホワイトブリムが何かいいことを思いついたように言う。

 

「それ付ければメイドになれるのでは・・・?」

 

「確かに・・・?これなら人間種になれるから、理想のポーズを追い求められるかもね」

 

 朱雀は顎に手を当て、なるほどと頷く。メコン川と弐式は途中から来たので、話の意味がわかっておらず、2人して首を傾げている。

 

「そうとなれば課金だ課金!」

 

 ホワイトブリムは素早い動きでコンソールを操作する。

 

「そうだ。久しぶりのログインで無料分のガチャが大量にあるから一緒に引こうかな」

 

「ホワイトブリムさんも教授も引いちゃってくださいよ!」

 

 皆に囃され死獣天朱雀も調子に乗ってガチャを引く。

 指輪ガチャとは、指輪型アイテムの確率と種類の数が増えているガチャだ。流れ星の指輪(シューティングスター)が欲しいのなら狙いどきだが超低確率である事には変わりはない。モモンガもアイテムコレクターとして、アイテムコンプリートしようとしたが、それ以前に流れ星の指輪(シューティングスター)を引けずに大爆死。それからあまりガチャ自体引かなくなった。

 緊張の空気に包まれた中、ぽつりと朱雀が声を漏らす。

 

「あれ、出た」

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 モモンガが奇声を上げる。モモンガの頭の中に様々なトラウマが蘇る。夏のボーナス全溶かし、無料50連全部はずれ・・・。共感できる人がいるならモモンガと一緒に発狂できるだろう。

 

「おお!また出た」

 

「ぐはぁ・・・こんなのって・・・」

 

「「モモンガさーん!!」」

 

 モモンガはその場で倒れ込む。豪華な部屋で豪華な服を着た王族の白骨死体のような一種の作品が出来上がる。

 結果から言えば、朱雀のガチャはモモンガに精神的ダメージを与えながら大当たりで終わった。ではホワイトブリムの方はというとガチャの沼へと引きずり込まれていた。。

 

「んんん・・・出ないぃ・・・メイドへの愛が足りないぃ・・・もっと課金をぉ・・・。愛さえあれば必ずぅ・・・」

 

「ホワイトブリムさん!もうやめるんだ!」

 

 ホワイトブリムの様子がおかしいのを気づいたメコン川が、ホワイトブリムを取り押さえようとするも、その手を払いガチャを引く。

 

shut up(黙れ)!!あぁ・・・違うぅ・・・流れ星の指輪(シューティングスター)、お前ではないぃ・・・」

 

 さらっと流れ星の指輪(シューティングスター)を手に入れた発言をしたような気がする。このままではホワイトブリムが色々とまずい。

 見かねた朱雀が咄嗟にモモンガに指示を出す。

 

「モモンガくん!強制退室を!」

 

「なるほど!すいませんホワイトブリムさん!」

 

「おい!やめるんだ!うわああああ・・・」

 

 叫び声が途切れ、円卓に静寂が訪れる。モモンガのギルドマスターの権限で強制ログアウトしてもらった。みんな一斉に顔を見合わせてため息をつく。

 

「教授ナイス・・・。ホワイトブリムさんは・・・疲れているんだろうな、うん」

 

 そのメコン川の言葉に同意するように、皆で頷く。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 しばらくして疲れた雰囲気の中、突然明るい声と共に女性メンバーが現れる。

 

「やっほー!えぶりばでぃ・・・え?何この空気・・・」

 

 女性メンバーの1人の餡ころもっちもちが異様な空気に気付く。4人は一体何から説明すれば良いのかわからず、すこし間が空いた後にモモンガが口を開く。

 

「特になんでもないですよ!まぁ色々あったっけど解決・・・?したので!そうですよね皆さん!」

 

 モモンガの後ろから、うんうんと頷く声が聞こえる。

 

「それならいいですけど。あとなんで一般メイドがここに?それに何ですかこのポーズ・・・」

 

 今度はぶくぶく茶釜が聞いてくるのに、すかさず朱雀が答える。

 

「あー、それはホワイトブリムくんが漫画の資料に、ってことで使ってたね」

 

「ふーん・・・。後でちゃんと元の位置に戻してって言っといてくださいね」

 

 まるでみんなで隠し事をしているような気分になるが、やましいことなどひとつもない。モモンガは雰囲気が段々と良くなっていくのが分かる。

 

「あと私のメイド服どこ!」

 

「そうそう、ホワイトブリムさんに用事があったんだけどどこにいるの?」

 

 4人はさっきまでの出来事を思い出したのか、やまいことぶくぶく茶釜の言葉によって空気が一瞬で元に戻る。突然の空気の変化にやまいこは一歩後退りながら聞く。

 

「あ、あれ〜・・・ボク変なこと言ったかな・・・?」

 

「いやいや!そんなことはないですよ!まぁただ・・・うん・・・」

 

 すると餡ころもっちもちの目がキラリとひかり、何かわかったように自信のある声で喋り出す。

 

「なるほど、喧嘩したんだね!だめだよみんな仲良くしないと!」

 

 それを聞いた朱雀が慌てて否定する。

 

「あ、違うの」

 

 モモンガは落ち込む餡ころもっちもちを死獣天朱雀が慰めているのを横目にこれまでの経緯を説明すると、ぶくぶく茶釜も男性陣と同じような反応をする。ホワイトブリムの奇行はそれほどのものだったのだろう。

 

「うーん、了解。とりあえずヤバそうなら止めろってことでいいんですね?・・・なんだか精神的に疲れたヘロヘロさんみたいだなぁ」

 

「はい、容赦なく止めてください」

 

「なんというか・・・色々お騒がせしました・・・」

 

 メコン川も申し訳なさそうに謝っていると、メコン川が驚いたように飛び上がる。どうやら伝言(メッセージ)がきたようだ。しばらく話しているような仕草をして、伝言(メッセージ)を切ったのかモモンガに近づく。

 

「モモンガさん、ヴァナヘイムの天空山にダンジョンってあったっけ?」

 

「ないですね。あそこはただのドラゴンの素材集め場ですよ」

 

 得意げに言うモモンガとは違い、メコン川はモモンガの答えに興奮したように言う。

 

「もしかしたら、エンシェント・ワンが新しいダンジョン見つけたかもしれない!」

 

「「マジで!?」」

 

 

 

 刻一刻とサービス終了に近づくユグドラシル。しかしまだユグドラシルの中には見つかっていないアイテムや、ダンジョンがまだ数多く存在する。

 アインズ・ウール・ゴウンのユグドラシルの冒険はまだまだ続く。




キャラ紹介はまたいつか。楽しみにしていた人は申し訳ございません。人数が多すぎたので・・・。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一気に新キャラ10人ほど投下してしまいました・・・。正直頭がパンクしそうです。あまり遅れなくてよかったです。
はっきり言って蛇足かな〜・・・なんて思いながら書いて、いつのまにかできた3話。今回はキャラの定着と伏線を敷かせてもらう回です。
 なので名前が出ているけど詳細には書かれていないギルメンが多めに出ていますが、名前とキャラが合っているか自信がありません。それに伏線が見え見えなんですよね・・・。

 (ここから編集しました)
 予定が変更し、もう少しユグドラシル編を続けようと思います。
 私が無計画なせいで恐らくこれからも、突然変更になることが出てくるので、次回予告(?)は信用しないでいただけると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。