ナザリック地下大墳墓 第?階層 ????
闇に包まれた部屋の中に潜む複数の影。
棚にはよくわからない生物や内臓のようなものが液体とともに詰まった瓶や摩訶不思議な形が描いてある本。壁には魔法陣とともに、鹿の首の骨がかかっている。人間の頭蓋骨の目に灯る青い白い光が映し出す、複数の影が取り囲む机にある紙は一見乱雑に置いてあるように見えるがパズルのようになっており、離れて見ると複雑な魔法陣が描かれていることが分かる。
スーツとマントを着ている山羊の顔をした悪魔、ウルベルト・アレイン・オードルが机に向かって前のめりになっていた体を、疲れたように悪趣味な椅子に腰を下ろす。
「ふう、やっと終わった・・・じゃなくて、んんっ。久しいな諸君」
魔法陣のパズルを完成させたのは彼のようだ。何度か咳払いをして声を低くすると、部屋の中はしんと静まる。
「さて、今日来てもらったのは他でもない、見ての通り“あのお方”からの指令が来たようだ」
「「おお・・・」」
部屋の中にざわめきが起こる。するとざわめきに続いて疑問の声が上がる。
「はーい、ええっと質問。あのお方って誰かな?」
この部屋の中でただ1人浮いた存在の、白い服を身に纏った堕天使のアバターのるし★ふぁーが手を挙げて聞く。なんでこいつがいるんだ?空気を読めよといった視線が飛んでくるが、彼は全く気にしていないようだ。
棘のついた鎧で大きな体を覆い隠し、その巨体ゆえ相対的に小さく見える盾と先端の尖った槍の様な杖を持った、ばりあぶる・たりすまんが何かを言おうとするのを遮るようにウルベルトが話し出す。
「おっと、色々説明し忘れていた。彼は新しいメンバーに迎えることとなった」
今度はさっきとは違った驚きの色が多いざわめきが起こる。そのの中で水死体の頭にタコがついた姿をしたタブラ・スマラグディナが質問する。
「彼には何も説明をしていないのかい?ルールとか活動とか・・・。我々の活動は秘密裏に行われているものだ。そこら辺はしっかりしてもらいたいね」
「すまない、急なこともあってざっくりとしか教えていないんだ。まぁ、彼のことも含めた集まりだからね。彼の紹介と共にこの組織の事を話していくつもりだよ」
ウルベルトは話を一区切りして話を戻す。
「さて、“あのお方”とは誰か・・・だったかな?簡単に言えばこの組織、『闇夜の集い』の結成、主導者だ・・・」
「『闇夜の集い』・・・?それとリーダーはウルベルトさんじゃないんだ」
ウルベルトがその場を仕切っているので意外そうにるし★ふぁーが言う。その言葉に、目が隠れるほど大きな帽子を被りコートを着たディス・タイニーが返す。
「“あのお方”がいない時の取りまとめだな。とはいえ一度も来た・・・いや、姿をお見せになったことがないし、ここにいる全員誰なのかも知らないからな」
「私も不敬を承知で誰だか調べたが全く分からなかったよ・・・。本当にこのギルドにいるのか怪しいくらいだね」
タブラがお手上げとでも言うように両手を上げた。
「なんだって!?おっと、んんっ・・・勝手に“あのお方”の捜索をしたことには今は何も言わないが、ここまで存在を秘匿するということは自分の存在を明るみに出したくないということだ。これ以上の捜索は・・・分かるな?」
最初は少し驚いたような言い方だったが、ウルベルトの口調は元に戻っていく。タブラはわかっているように言う。
「了解。ただここまで痕跡を残さないとは・・・おっと話が逸れているね。続けてくれ」
「うむ、この組織のルールはただ一つ。『闇夜の集い』のことは秘密にする、これだけだ。あと活動は“あのお方”の指令をこなすことだ。主にギルドの支援だな」
再びるし★ふぁーが手を挙げて質問をする。
「支援って何するの〜?あと、僕ら以外にこの組織の事を知っている人はいるの?」
「支援か・・・・・まぁ、色々だな。オメーの尻拭いやら後片付けやら。メンバーはここにいるやつで全員。俺らのこと知ってるのはれいじぃーの奴だな。あいつはよく資源の補給とかしてしてくれるから間接的な協力関係にある」
ばりあぶる・たりすまんが教える。
種族がドッペルゲンガーであるれいじぃーは、実質的に多くの職業を持っているためよく裏方の仕事を担っている。るし★ふぁーが勝手にゴーレム作りに使った鉱石などもよく補充してくれるので、れいじぃーは色々な意味でるし★ふぁーと関わりが深い。
「要するに雑用?」
「言い方よ。でもまぁ、言ってしまえば便利屋みたいなところはあるが、重要なのは“秘密裏に活動する”ってとこだ。そこだけは忘れるなよ」
「うむ、さて他に質問は?」
「特になし!」
るし★ふぁーが元気よく返事をする。
「さて次の議題に入るとしよう。次はなぜるし★ふぁーくんをメンバーに迎えるかと言う話だ」
そう言うとウルベルトは部屋の装飾に目をやりながらるし★ふぁーに問いかける。
「さて、るし★ふぁーくん。この部屋を評価するなら何点だね?」
突然の謎の質問にみんなは理解できていないようだ。
「うーん・・・60点くらいかな〜。全体的なテーマはいいんだけど、例えばこれ」
るし★ふぁーは部屋の隅に置かれている机の上のフラスコを持つ。
「不気味ってテーマとしてはあってるけど・・・黒魔術のテーマとしている空間にサイエンスチックなフラスコが置かれているのはなんかおかしくない?それと棚にホルマリン漬け?だっけ、それも数個SFチックな入れ物があったのが目について気になったな〜」
皆一斉に棚を見てみると数個ほどボタンや、ランプのついたメカニックな入れ物が置いてあるのを発見する。確かに遠くから見ると少し違和感を感じる。
皆が納得している中、ディス・タイニーからウッという声が聞こえる。
「あとここら一体に貼られている呪符。これ陰陽師の奴だよね?ここにあるほとんどが中世西洋的のものなのに日本の魔術・・・?があるのなんかおかしくない?」
今度はたりすまんから唸り声が聞こえる。
「あと壁の・・・」
「はいはーい、ここまで。さて・・・なぜ私が彼を勧誘したか、これでわかったかな?また、彼を入れることに異議がある者はいるかい?」
先程のことで皆、なぜ勧誘しようとしたのか理解したようだ。
るし★ふぁーはよくギルド1番の問題児だという認識が強いが、建築、美術のセンスは一級品で、王座の間の芸術的なほどまでに美しいゴーレムや扉の彫刻のほとんどはるし★ふぁーが作ったものである。また、さっきの部屋の批評からこの部屋の改善をするために勧誘しようとしたというのが分かる。
部屋の中は静けさは異論はない事を意味している。
「うむ、よろしい。これで彼も正式なメンバーだ」
るし★ふぁーの周りに拍手が起こる。
「さて、部屋のギミックに関してはタブラくんに、アイテムに関してはたりすまんくんとタイニーくんに、部屋の拡張に関してなら私に言ってくれ」
「りょうかーい」
「・・・では、始めようか・・・」
皆、気が引き締まるのが雰囲気から分かる。
「まずは司令の複雑な暗号の解読からだ・・・」
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「第6回アインズ・ウール・ゴウン全クエスト制覇大会始まり!!」
円卓で純白の鎧を身に纏った剣士、たっち・みーが高らかに宣言する。それと同時にパラパラと拍手が沸き起こる。
もはやギルド内で恒例となりつつあるこの企画は、諸事情などが有り全盛期の頃クリア出来なかったクエストのクリアを目指すというものだ。
「さてさて、どんなクエストにしたいか提案のある人!」
2人、さっと手が挙がる。
「では最初に、ペロロンチーノさん」
翼と鳥の頭と足の体をもち、金色でエフェクトの漏れ出す装備を着用したペロロンチーノが立つ。
「スゥー、まず俺はエロモンスターを・・・」
「はい、ではチグリス・ユーフラテスさん」
若干大きな声で遮りながら、ペロロンチーノを無視する。
「前々から言ってたけど、天界系クエスト行きたいです!」
チグリス・ユーフラテスの発言にその場にいる殆どの人が嫌そうな反応をする。
悪のギルドアインズ・ウール・ゴウン。
41人のメンバーの全員が異形種であり、その中の殆どがカルマ値が低い。つまり悪に寄っているのだ。そのため、聖属性のようなカルマ値の低い相手に対して効果の大きい技を多く持つ相手には非常に分が悪く、メンバーのほとんどが天使などの聖属性をメインとして使うモンスターを不得手としている。
もっとも天界系のクエストは、ボスである神を主軸に聖属性を扱う天使が多数出現するので、メンバーの反応は尤もである。
「俺はやりたいぜ」
そう言ったのは全身全てを大きな鎧を覆い、盾と槍を背中に背負うスーラータンだ。
「久しぶりのユグドラシルでリハビリばっかだったからな、もっとやりごたえのあるクエスト行きたいんだよ」
「そうですねー、最近はコラボイベントクエストもそんなにないですし・・・」
「そうそう、だから難しいクエストに行きてーなーって」
チグリス・ユーフラテスとスーラータンは周りの反応を窺う。
嫌そうではあるが、あまり否定的ではなさそうだ。
数多もの不気味な目がついた見た目をしているぬーぼーが、顎に手を当てながら悩ましげに言う。
「いいですけど・・・結構ハードル高いっすね〜」
「でも案外いけるかもよぉ?」
その場には似合わないクロリ・ディウム・ロイ子の女の子のような可愛らしい声がする。
「ユグドラシルやってなかった間に結構アイテムとか防具追加されてんじゃん。多少は楽に倒せたりするかもしれないしー。確か建御雷さんの武器も結構変わってたよねぇ、たっちさん」
「おかげさまでPvPに誘われてばっかりですよ・・・」
円卓に小さな笑いが起こる。
たっち・みーがユグドラシルに復帰したと聞いて真っ先に駆けつけた武人建御雷。彼はまた目標であるたっち・みーを倒すために武器の製作に勤しんでいる。
「武器、アイテムの性能の話は生産職の人たちに聞きましょうか」
「そうですねー。では天界系のクエストでいいという人は手をあげてください」
見渡すとその場にいるペロロンチーノを除いて全員の手が挙がっているのが分かる。
「ペロロンチーノさんどうしましたか?」
「俺はエロモ・・・」
「とりあえずこれでいいですね!30分ほど準備の時間を作るので、装備とか生産職の人に聞いてみたりしてください!遅くなったりする場合は私に連絡お願いします。では解散!」
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多くのメイドが食事のために集う第九階層の食堂。
食器の鳴る音の中に、魚とカニの怪人の大きな話し声が聞こえる。
「ちょっと聞いてくれよさーもん!」
キッチンにいる魚人の『さーもんキング』には見えないが、カニの異形種のあまのまひとつの声が席の方から聞こえてくる。
「今忙しいんやけどなぁ・・・ええでちょっと聞いたるわ、あまのま」
今時珍しい関西弁で巨大な包丁を持ち、レアそうなアイテムのエフェクトを出す食材と睨めっこしながらさーもんキングが言う。
「お前見た目と中身どっち優先する?」
突然深刻そうな声色であまのまひとつはは聞くと、その様子と発言のギャップにさーもんキングは呆れる。
「なんや、女の話かいな・・・」
「え?あ、いや違う!装備の話だよ!」
「なんやねんややこしい。でもどうやろうなぁ・・・時と場合によって変わるんとちゃうか?」
食材との睨めっこをやめてさーもんキングは一旦、無数の調味料の入れ物が魔法によって浮かんでいる天井を見上げる。そして少し考えてつぶやくように言う。
「でも・・・やっぱり見た目になるんかな」
「・・・っぱ、そうだよなぁ!聞けよさーもん、ちょっと前に建御雷がなー・・・」
ワンテンポ遅れて、あまのまひとつの嬉しそうな声が食堂に響き渡る。
それに対して、さーもんキングは耳に手を当てながら負けじと大きな声を出す。
「あーもう、うるさい!大きな声を出すな!アイデアが抜けてくやろ!」
「おお、ごめんごめん。てか何やってんの?」
あまのまひとつのゴーグルと布を被った顔がひょっこりとカウンターから出てくる。
「自分がしばらくやっとらん間に、ようわからんアイテムがめっちゃ追加されとってな・・・色々鑑定してんねん」
生産職の殆どが
「俺もさっきやったなー。結構面白い性能のアイテムあって見てるだけでも楽しかったぞ」
その言葉に対してさーもんキングは困った様子で言う。
「そうなんやけどな、こいつら本当に使い道がよくわからんねん・・・」
「攻略サイト見たら?」
「見たけどなかった。やっぱり料理人は不人気・・・じゃなくてマイナーな職業やからな〜・・・。」
ユグドラシルというゲームは未知を探る事をテーマにしているため、公式の攻略本なんてものはなく、一からプレイヤーが調べなければならなかった。またユグドラシルには大量の職業や広大なマップ、アイテムなどとにかく膨大なデータがあり、一つ一つを情報にまとめるのはほぼ不可能であるため、攻略サイトは完璧ではなく頼りにはなり得ない。
「いやちょっと待てよ・・・これはいけるかもしれへん!あまのま、ちょっと静かにしてくれる?」
さーもんキングは何か思いついたように声を大きくし、突然黙り込む。
「了解で〜す」
この状態のさーもんキングに下手に話しかけると碌な目に遭わないことは身をもって知っている。あまのまひとつはそそくさとカウンターから退散しようとするが、狙い澄ましたようなタイミングで何者かが食堂に入ってくる。
「すいませーん、対聖属性のバフ料理くださーい」
(「おいちょっと黙れ!!」)
あまのまひとつがペロロンチーノのクチバシを掴み、身を引き寄せる。
(「なんですか突然。クチバシ掴んでも声は出ますよ?」)
(「それぐらい知ってるわ!今さーもんキングがアイデアを必死に出そうとしてるんだよ!」)
ペロロンチーノは厨房に視線を動かした後、理解したように頷く。
(「なるほど・・・これは少し待った方がいいですね。この事を後でみんなにも・・・」)
ペロロンチーノが言いかけたその時、今度はクロリ・ディウム・ロイ子が大きな足音をたてながらやって来る。
「こっちゃーっす!聖属性の耐性付きバフ飯一丁!素材はシェフのおまかせで〜!」
(「「バカー!!」」)
クロリ・ディウム・ロイ子の少し呂律が回っていない可愛いく甘ったるい声が食堂中に響き渡ると同時に、厨房からさーもんキングの悲鳴に近い叫びが聞こえた。
「うわああああ!全部なくなった!アイデアがぁ・・・」
「どうしたぁ!さーもんさん!」
呂律が回っていないのはお酒のせいであり、クロリ・ディウム・ロイ子の可愛い声は音声変換器を使われている。
実際に声をよく聞くと、言われて気づくほどの機械っぽさを感じる。
「はぁー・・・もうええわ。で、ご注文はなんやった?」
「ええっとぉ・・・なんだっけぇ・・・」
「その、あざといのマジでいらん。ロイ子といい、タマ美といいなんで男が女の真似すんのやろうか・・・」
さーもんキングが愚痴を言いながら厨房から出てくる。落ち着かせるようにようにあまのまひとつは言う。
「まぁまぁ落ち着いて・・・それで、なんだっけ対聖属性の飯?」
「そうそうユーフラテスさんが天界系のクエストに行きたいって。でも、俺はエロモンスター狩に・・・」
「だからそのクエストに見合ったバフとか欲しいなっ!」
クロリ・ディウム・ロイ子はさっきとは違いハキハキと喋る。
「ほーん・・・天界系か珍しいな。・・・ちょっと待って!いい素材あったで!」
さっきと雰囲気が180度変わり、さーもんキングは元気よく厨房に向かって飛び出す。取り残された3人は訳がわからずしばらく呆然と立ち尽くすばかりだった。
「へいお待ち!」
その言葉とともに何やら神聖な輝きを放つ豪華なパスタが運ばれてきた。3人で顔を見合わせた後、さーもんキングに尋ねる。
「性能とかってどうなってるの?」
「カルマ値上昇、聖属性耐性、火炎耐性、etc・・・とまぁ、こんな感じやな。etcの部分は結構標準的やから説明はええわな」
「「カルマ値上昇!?」」
クロリ・ディウム・ロイ子とペロロンチーノから驚きの声が漏れる。全く驚いた様子のないあまのまひとつは何か納得したように言う。
「なるほどね〜。それなら俺も使い方わからないわ」
「なんやねん驚かせよう思ったのに。知ってたんか?」
「俺も同じ特殊効果付きの防具見たからな、でもこんな使い道があったのか・・・」
あまのまひとつの反応に、さーもんキングは満足げに頷く。
聖属性の攻撃の多くがカルマ値が低ければ低いほど大ダメージを与えるものが多いため、その攻撃の対抗策として作ったのだろう。まさに天界系クエストに打って付けの料理だ。
「あ、もしこれ食う人おったら攻撃力とか、カルマ値に依存する技を持ってる人に注意しておいてな」
「なるほど・・・これはすごい」
「あまのまさん、同じ効果の防具あるって言ったよね?」
ロイ子の声がさっきとは違い、真剣なものに変わる。
「そうそう、PKの戦利品を鑑定してたらいくつか見つけてね。それに必要な素材もあるよ。・・・でもあるにはあるけど数が全然足りなくてね」
「でも性能的にクエストに打って付けですよね・・・。うーん・・・ロイ子さん、今日は素材集めだけにしませんか・・・?」
「それいいかも、天界系って沢山あったから装備は次にも使えるしね。ちょっとたっちさんに《
再び食器の音がその場に鳴り響く。
「ふぅ・・・なんか色々スッとしたわ。」
「そうかそうか。それは良かった」
「あまのま」
さーもんキングは名前を呼び、顔は動いてないがキメ顔(?)で言う。
「本物の職人ちゅうのはな・・・見た目と性能を両立させれる人のことを言うんやで!」
「??・・・まぁ、そうかもしれないな」
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次の日、ナザリックでは小さな騒動が巻き起こっていた。
「なんか材料の数おかしくないっすか?」
それはぬーぼーがアイテム保管庫で材料の個数を確認していた時に発覚した。その言葉に反応して、近くにいたスーラータンが慌てて駆け寄る。
「るし★ふぁーに素材持ってかれたか!?くそ〜やりやがったな・・・」
「いや逆っす。すごく増えてます」
素材が突然増えているのも減っているのもナザリックでは日常茶飯事だ。真っ先にるし★ふぁーを疑ったスーラータンはぬーぼーの言葉に疑問を覚える。
「なんだよ。どうせ、れいじぃーが素材増やしたんだろ。」
「いやぁ・・・増やしたどころの話じゃないっすよこれ」
スーラータンがボックスを覗き込むと驚きの声を上げる。
「はぁ!?必要数大幅に上回ってんじゃねぇか!こんなにいらねーだろ・・・」
中にはボックスの収納上限ギリギリまで入れられたアイテム素材が大量に入っていた。
「でも減ったよりはマシじゃないっすか?とりあえず材料のこと、あまのまひとつさんに報告しときますね」
「・・・了解」
(「でも1人でこんだけ集められるもんなのか・・・?」)
ナザリックのメンバーの数に相応しい大きさの倉庫の中で、闇に潜む気配に気づかずスーラータンは独り言を呟きながらぬーぼーと倉庫から出て行く。
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「実質第・・・6回?アインズ・ウール・ゴウン全クエスト制覇大会始まり!!」
前回よりも沢山の拍手の音がする。
実質というのは前回が防具の素材集めで終わってしまったこともあり、クエストはをクリアできていないからだ。ぷにっと萌えは円卓にいる人数の確認をした後に司会を始める。
「今日は難易度の高いクエストに行くということで、複数の助っ人とともに来させていただきました。今日はモモンガさんがいないようなので今回は私が司会を務めさせていただきます」
指揮力が非常に優れているぷにっと萌えは作戦会議などでよく呼ばれている。今回も作戦を考えたようなので、自前のメモを見ながら作戦の説明をする。
「まずは役割から説明します。前衛の人から。スーラータンさん、たっち・みーさん、デットレバーさん、クロリ・ディウム・ロイ子さん。あと補足はいらないかも知らないですが、いつも通りロイ子さんはデットレバーさんにつきっきりでお願いします」
「了解ですぅ〜」
「えぇ〜今日もロイ子さんお酒飲んでるじゃないですか・・・」
デットレバーは嫌そうに言う。
デットレバーは体力が一定以下になると攻撃力が大幅に上がるスキルを持っている。
ゾンビであるため種族的に体力が多いが、高火力を出すためには実質的に体力が半分にまで下がってしまうので、安定した火力を出すためには常にサポーターが付いている必要がある。
クロリ・ディウム・ロイ子が音声変換器をつけている時は大抵仕事に疲れてお酒を飲んでいるので、通常より非常にテンションが高くミスを起こしやすい。そのため、デットレバーは不安に思っているようだ。
「大丈夫だよぉ〜。今までこのコンビで一度も死んだことないじゃん」
「それはいつも私がギリギリでなんとかしたからですよ・・・。とりあえず水でも飲んで少し落ち着いてください」
「は〜い。うぇっぷ・・・やばい吐きそう・・・」
ログアウトのログとともにロイ子の姿が消える。
「・・・ええっと、続けます。中衛はチグリス・ユーフラテスさん、ばりあぶる・たりすまんさん、私、ベルリバーさん。後衛はぬーぼーさん、ペロロンチーノさん、れいじぃーさんで。補足としては、中衛と後衛はとにかく前衛のサポートに徹してください」
質問は?という言葉とともにぷにっと萌えは辺りを見渡すが特に何もないようだ。
「作戦としてはとにかくボスを叩いてください。ボスはどんどん雑魚を生み出してきますが正直雑魚にかまっている暇はないです。雑魚は後衛の人が主に処理、前衛の物理アタッカーが多いのでサポートを徹底的にお願いします」
「人数的に僕は回復役にまわった方がいいですか?」
ドッペルゲンガーのれいじぃーの手が挙がる。彼は様々なギルメンやモンスターに変身できるオールラウンダーとなっている。
「そうですね・・・物理アタッカーが多いのでヒーラーメインの魔法アタッカーでお願いします。それと皆さん聞いたかもしれないですが、カルマ値を上げるアイテムがあるそうなので、タンクの負担が大幅に減ります。ある程度自由にしてもらっても構いません」
「自由にされすぎたら俺は困るぞ〜!」
ばりあぶる・たりすまんが笑いながら言う。
「さて、これぐらいでいいですかね。では、ロイ子さんが帰ってきたら行く準備をしましょう」
オリジナルキャラクター
カノウ=タマ美 種族:妖狐 クロリ・ディウム・ロイ子と同じくネカマ。巫女の見た目をしていて、陰陽師の職業を取得している。
ロイ子のことは師匠的な立ち位置で見ていたりするが、ロイ子本人はそのことを全く知らない。
名前の元ネタは御食津神・ウカノミタマからきている。
さーもんキング 種族:海人 見た目は完全に魚人だが、全く別の種族。食材を手に入れるために一応戦闘用の職業をとっている。あまのまひとつと非常に仲がいい。
リアルでも料理人をしており、食料自体リアルでは高級品で富裕層相手にB級グルメなども振る舞うこともあるので広い分野の料理ができる。
れいじぃー 種族:ドッペルゲンガー 非常に飽きやすい性格でであるため、自由度の高いユグドラシルに見事にハマり、種族をさまざまな職業を使うことができるドッペルゲンガーにする。彼自身1人で遊ぶのが好きだが、ソロプレイ中に異形種狩りにあったところをギルメンに助けられ、仲間と遊ぶことの楽しさを知ってギルドに加入。変身後の能力は大きく下がるため、課金で90レベル程度まで能力を引き上げた。
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キャラクターの設定を考えるのは非常に難しいですね。自分はネーミングセンスがないのでオリジナルキャラクターの名前にとても時間がかかりました。
一気にキャラクターを増やしすぎて、こんがらがった人がいれば本当に申し訳ございません。自分では色々設定を詰め込み過ぎたと思っています。
わかりにくかった!という人がいれば感想に書いていただければうれしいです。もしあったら所々修正を加えるつもりです。
天界系のクエスト編は書くか迷ってます。迷ってばっかりですね・・・