「ノアの方舟・・・?あの旧約聖書の創世記の物語ですか?」
「流石タブラくん詳しいね。まぁ簡単に言えば、大洪水を巨大な船で免れるという物語だ」
ウルベルトは暗い部屋の中で輝くコンソールを操作すると、その場の全員にメッセージを送信する。メッセージには装飾クリエイトツールのURLや、データ移行アプリのファイル、その他諸々と主にアバターや装備の外装を作成するのに必須アイテムが揃っていた。
「世界の終焉と共に我らのナザリック地下大墳墓が消えるのを、指を咥えて見ているだけなのは耐えられる者などいないだろう。だが終焉は確実なものであり、ナザリックの消失はどうしようもないこと・・・・・
私を含めたここにいる全員がそう考えていただろうな・・・ そう“あのお方”以外は」
ウルベルトの言葉に3人から驚きの声が溢れる。
「終焉を止める方法があると言うのか!?」
「残念ながら終焉は止められない。しかしノアがありとあらゆる種の生き物を方舟に乗せて洪水から難を逃れたように、我々もナザリックを終焉と共に消える運命から助け出すことが出来る。今送ったツールを使ってな」
「「このツールで・・・?」」
理解できていない2人とは違い、ゴーレムや建物の外装を作るのによくこれらを使うるし★ふぁーが何かわかったように言う。
「もしかしたら、これを使ってナザリックを安全な場所に移動出来るかも・・・!?」
「一体何処にだい?ユグドラシル自体が消えるのに安全な場所なんてあるはずないだろう」
「移動?・・・・・・!いや、可能だ!
長年拠点として使っていたため、ギルドのメンバー全員がナザリックは巨大な建築物であるという認識になっているが、実際はユグドラシルというゲームの膨大なデータの塊だ。
「ククク・・・これだけのヒントでここまで辿り着いてしまうとは流石だな。」
ウルベルトは拍手をしながら立ち上がる。彼の声は若干の驚きが混じっていた。
「もう説明はいらないようだが一度話を整理しよう。まず我々はナザリックのデータをクリエイトツールで収集する。これらはユグドラシル外のデータをユグドラシルに持っていくことが可能であり、このように使った者は少ないであろうがその逆にユグドラシルのデータをユグドラシル外に移すことが出来るからだ。
注意して欲しいのは収集するのは“ナザリック内の外装データ”だけであるということ。宝物殿のアイテムなどは流石に無理だ。量が多すぎるからね」
ナザリックのデータ引っ越しは膨大なデータの塊であるが故に非常に時間と手間がかかる。それにより、細かいアイテムなどは残念ながら持って行くことは出来ない。
また、ユグドラシルオリジナルの外装データはそもそも外装をいじることが出来ないので同じく持って行けない。
「必要最低限のものを持っていく・・・まさにノアの方舟だね」
「NPCも持っていくデータに含まれているが、流石に設定や一般メイドの巡回ルートのようなプログラムは厳しい。もちろんナザリックのギミックもだな。そこはすでにリストにまとめてあるからそれを見てデータを選んでくれ。・・・では他に質問は?」
「ひとつだけいいかな?これは引っ越しの準備の話をしてるようなものだけど、引っ越し先はどこ?」
るし★ふぁーがこの話の一番重要なことを言う。このままでは引っ越しトラックに荷物を載せただけで終わってしまう。
「・・・引っ越し先は“今”はない」
「今は?」
「最初に言っておくべきだったが、この計画はほぼは賭けだ。引っ越し先は生まれ変わった世界、そうユグドラシル2だ。」
サービスが開始されてから12年経つユグドラシル。
サービス終了が近くなりつつあるのと、社会的に人々に余裕ができたためか全盛期ほどではないが数ヶ月前と比べ物にならないほどの賑わいを見せていた。それはギルドアインズ・ウール・ゴウンも例外ではない。
これらのことからユグドラシル2の望みはまだある。
「なるほど・・・非常に面白い計画だ。私もその賭け・・・いや方舟に乗らせて頂こう!」
タイニーが大声で宣誓する。それに続き、るし★ふぁーとタブラもそれに同意する。
「ふむ、よろしい。これらの計画をギルドメンバーの皆に一切話さなかったのは、余計な期待をあまりかけさせたくないという“あのお方”のご配慮で秘密裏に行われている。今メンバーが誰一人いない状態でなら作業がやりやすいだろう。計画の全貌を話し終え次第、早急に計画を進めるぞ」
「・・・なるほど!だから前回の指令で大量にクエストに必要なアイテム素材を集めて、予定より早く行かせたのか!」
「おお!私もてっきりギルド貢献のためだけかと思ってが・・・私もまだまだだね」
「このミッションで一番大切なのは写真を撮ることだ。一度データ化してバラバラにしたものを再び組み立てるのに必要だ。それと、たりすまんくんは私の指示でクエストに同行させている。彼からの連絡が来たらなるべく早く作業を終わらせるようにしろ」
「「「了解」」」
「では解散!」
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毒々しい紫色の空と、それを映す水溜りほどの薄く広い水の貼られた湖のフィールド。周辺にはカボチャの馬車とそれを引く二頭の大きな狼、たまに出現するカエルのようなモンスター以外何もないような殺風景な場所である。
「おい弟!もっとちゃんと撮れ!」
「ねぇ、茶釜さん・・・やっぱりカボチャの馬車は恥ずかしいですよ・・・」
捻れたツノの生えた草食動物の骨を被り、肩に棘のついた鎧の上に鎖を巻きつけた、馬車を運転するギルメンのフルスロットルが背後の座席に向かって言う。それに同意するように窓際で頬杖をつきながら、スクリーンショットを撮るペロロンチーノが頷く。明らかに退屈そうだ。
「そうだそうだー!俺だってねーちゃんなんかより、シャルティアちゃんを撮りてーよ」
「いいじゃない!この馬車写真撮っただけで、一度も走らせたことなかったんだもん。それに誰も私たちのことを見たりなんかしないわよ」
ぶくぶく茶釜の作ったような幼い女の子の声がする。しかし声のトーンは作られたものではなく、純粋に楽しそうな雰囲気が溢れ出ている。
「いやぁ、懐かしいですね!自分で言うのもなんですけど、なかなかすごいクオリティじゃないですか!?」
この馬車はぶくぶく茶釜の依頼で作られたものであり、その製作者の一人であるブルー・プラネットが興奮したように言う。
しかしこの時代、本物のカボチャを見たことのある人などごく少数の人しかいないため、クオリティの高さについてこの場にわかる人はいない。
「そういえば誰かがこの馬車にギミックを作っていましたね。どんなものかは覚えてないですけど」
「そうなの?初めて知った」
ブルー・プラネットの言葉を聞いたぶくぶく茶釜が身の回りを触り出す。
天井からはジャック・オー・ランタンがぶら下がり、蜘蛛の巣の綺麗な装飾が施されている。綺麗な内装はオレンジと黒でほぼ統一されており、ハロウィンのイベントの時にも使ったせいか、気品あふれる内装の中にある若干のハロウィン感が否めない。
すると、座席と壁の間に黒い小さな穴を2つ見つける。
(これかな、覗いてみたら目が合うなんてないよね?)
ホラーの耐性が人一倍高いぶくぶく茶釜。反射的に片方の穴を触手で塞いでしまうと、塞いでいない反対から緑に物体が現れる。
「うきゃあああああ!」
ぶくぶく茶釜が猿のような奇声をあげる。
それに驚いたフルスロットルが馬車を急停車させると、慣性の法則に従い馬車の後部座席に乗った2人がぶくぶく茶釜に覆い被さる。
「どうしました!?」
フルスロットルが慌てて扉を開くと、ブルブルと震えた触手の指す場所には通常の二倍ほどの大きさの芋虫が覗いていた。まるで生きているかのようにうねうね動いており、ご丁寧に擬態の模様から足の本数まで忠実に再現されたものであった。
それを見たブルー・プラネットは思い出したかのように口を開く。
「タブラさんだっけな。穴があったらとりあえず指突っ込んじゃう、ってことでどちらかの穴を塞ぐと反対から芋虫が出てくるようになってるんだよね。ちなみにその芋虫は私が・・・」
ブルー・プラネットの話を最後まで聞かずぶくぶく茶釜は馬車から出て行ってしまう。
ペロロンチーノが笑いを堪えながらフルスロットルに小声で話しかける。
(「ヤベェ、マジで笑える。あんなねーちゃんいつぶりかなぁ・・・」)
(「あれですよ、恐怖公のときじゃないですか?」)
それはナザリックのNPCお披露目の時であった。
NPCを制作する際には、ギルド内のNPC制作可能レベルというものを使用する。そのためNPCを作る時には必ずギルドメンバーの承諾が必要で、NPCの細かい情報をメンバー内で共有しなければならない。
NPCが完成したから見て欲しいと言われ突然、転移で
その普段大人しいメンバーですら発狂させる見た目は、見る者全てを不快にさせることができる、ある意味ナザリック最強のNPCの一体だ。
「おい、なんか言ったか」
低く獣が唸るような声でぶくぶく茶釜が言うが、3人は聞こえないふりをする。
「お気に入りだったのになぁ・・・。おいフルスロットル、こいつしまって新しいの出せ」
明らかにぶくぶく茶釜が不機嫌になっているが、結果的にフルスロットルは恥ずかしい馬車を引かなくていいようにはなった。
フルスロットルは魔法によって手に収まるほどに小さくし、アイテムボックスに収納すると、今度は和風の牛車のようなものを取り出す。
「おっ、いいじゃんこれ。では気を取り直してレッツゴー!」
さっきよりいくらか声が明るくなり、触手を挙げて牛車に乗る。
「茶釜さん、本来の目的を忘れてないですか?」
「忘れてないって!えっと〜PKでしょ?」
「あってるような違うような・・・」
わざわざ狙われやすいだだっ広いフィールドに狼車で来たのは、課金アイテムの消費のためだ。
近々サービス終了になるにもかかわらず、リアルマネーを使って手に入れたアイテムを使わないのは非常にもったいない。主にモモンガから使うことに対してのもったいないブーイングがきたが、せっかくならPKをして使おうと言う話になり、いくつかの班に分けて消費している。
「え?ロストした俺のレベルを上げるためじゃないの?」
「誰がお前のことなんか考えるか」
相変わらずぶくぶく茶釜は弟のペロロンチーノには辛辣である。
「もういいですよ・・・。フルスロットルさん移動しましょう」
フルスロットルの気合の入った「はいやぁ!」という掛け声と共に牛車ならぬ狼車の旅が始まる。
「そーいえば、他にも乗り物ないのー?」
乗り物の種類はさまざまだが、地上や水上、空中までも魔法で補えるので、殆どが移動を兼ねた装飾品となっている。また今回のフルスロットルたちはわざと他のプレイヤーの目につくようにするために使っているが非常に目立つため、大体のプレイヤーは作ったはいいが使い所が分からずそのまま倉庫の中で眠り続けている場合が多い。
他にも海や空で行われるイベントなどで使ったりはするが、それ以外の用途は非常に限られてくる。
「ガチャのハズレが大量に倉庫にあるので見てみては?そういえばちょっと前にユーフラテスさん、ウィッシュさん、ガーネットさんのコンビで船作ってましたね。今ノーアトゥーンで海賊ごっこしながら課金アイテム消費してますよ」
「え!?初めて知ったんですけど!」
(あ、やべ。ブルー・プラネットさんには言うなって言われてたんだ)
比較的自由の多いユグドラシルであるが、ペロロンチーノが弓で超超遠距離狙撃を狙おうとしても描画距離の問題でできないように、モモンガがいくらはるか上空に行こうとしても高度限界で行けないように、何事も限界というものがある。
主に海や湖のような水のあるマップは、水というオブジェクトがぎっしり詰まって物理演算で動いているため、通常のマップよりサーバーの負担が大きい。そのため過去に夏のイベントで一斉に海にプレイヤーが集まりサーバーがダウンしたことがあったので、イベント期間中はフィールドに入れる人数の制限など設けられたことがあった。
なのでブルー・プラネットが張り切って装飾を増やしてデータ量を増やしてしまうと、海賊ごっこどころではなくなってしまう。
「クソっ!こんなところにいる場合じゃねぇ!」
「いや、いる場合ですよ・・・。もうなんで目的を忘れる人が多いんですか・・・」
もはやこのメンバーの中にまともな人間は自分以外いないかもしれない。フルスロットルがそんなことを考えていると、突然爆音と共に狼車が大きく揺れる。
「目的が向こうからやってきましたよ!」
「ええ〜めんどくさい〜」
「別にお前は後ろから弓でチクチク打ってればいいだけだろ!さっさと戦え!」
少し苛立ったぶくぶく茶釜の注意の言葉にカチンときたのか、ペロロンチーノは大きな声で反論する。
「はぁ!?姉ちゃん弓の難しさを全くわかってないね!弾道の位置の計算や相手が次どこに移動するかの予測、これのどこが簡単なんだよ!姉ちゃんこそ、ただただ攻撃を受けるだけの簡単なお仕事じゃない?」
「はっ!ヘイト管理をしなくていい後衛が何言ってんだか!誰のおかげでのうのうと敵に攻撃できてるんでしょうかね〜!」
ペロロンチーノの言葉がぶくぶく茶釜を煽り、それに対してのぶくぶく茶釜の言葉がペロロンチーノを煽るというのが繰り返され白熱してゆき、ついに喧嘩にまで発展した。
(ああ・・・もうだめだ。二人は喧嘩してるしブルー・プラネットさんもやる気ないし・・・。俺もモモンガさんのパーティーに入りたかったな・・・・)
後悔先に立たず。
何やかんやあって襲ってきたプレイヤーは返り討ちにはできたが、フルスロットルはパーティーを選ぶときはもう少し慎重になろうと心に決めた。
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ギルド内でがなるべく課金アイテムを使う方針に切り切り替わってから、しばらく経ったある日。
ギルドのありとあらゆるアイテムや武器、防具が保管されている宝物殿の整理に来た二人の異形種、源次郎と音改がいた。
音改は商人系のスキルを多く取得しており、宝物殿のいらないものの換金や、逆に必要なものを手に入れるのが、その高いプレイヤースキルもあり非常に得意だ。
最近は復帰プレイヤーが増えてきてアイテムや素材の価格が少しずつ上がっており、それを見越して需要がありそうなものを買い占めることによって、さらに価格を高くして売り捌いて大儲けしているそうだ。また、稀に計画がうまくいきすぎて普段のイメージとはかけ離れた、発狂している姿がエクスチェンジボックスの前で見られる。
それに対して源次郎は音改ほど宝物殿に毎回通っているわけでもなく、特に生産系のスキルを持っているわけでもない。彼自身整頓好きではないと話しているがよく宝物殿の整理整頓に現れ、今のようにアイテムの仕分けなどを行なっている。
「うーん・・・・勿体ないからアイテムをなるべく使うって話になったんだよな?」
「そうですね・・・。課金アイテムをメインに消費するらしいですけど・・・アイテムが減ってるどころか増えてるんじゃないですか・・・」
膨大なアイテムと金貨のせいで宝物殿によく来る人でないとわからないが、いくつか金貨の山が増えていた。
それに加えて明らかにそれに関連した
「・・・この課金アイテム消費政策って意味なくないか?」
現在課金アイテムを消費するために今まで以上に積極的にPKを行っているが、消費するのに比例してどんどん倒したプレイヤーの装備やアイテムが溜まっていく。それどころか同じ考えをしている人が多いのか、ほとんどのプレイヤーが課金アイテムを持っており、手持ちの課金アイテムは増えていく一方だ。
「プラマイゼロどころじゃないですね・・・。とりあえず査定と片付けだけはしましょうか」
「これもか?」
源次郎は無数の
わざわざ倉庫から素材を集めたのに片付けられていた、となっては大変なので源次郎は念のために中身を確認する。
「中身全部指輪でしょ。それ結構前から置かれてるんですけど、どうすればいいのかわかんなくて置いたままなんですよねー」
「・・・ほとんどゴミだな。たまにいいの入ってるけど・・・・・これPKで手に入れたやつじゃなくて、全部ガチャだったりする?」
音改が少し考えたように黙るが、すぐさま笑い飛ばすように言う。
「流石にないですよ!実はこの
「ほーん。まぁそうなると倉庫から全部引っ掻き出した感じか。とりあえずそのままにするか」
二人は
中身は高レベル低レベルまで様々。しかしどれもアインズ・ウール・ゴウンのメンバーの装備に取るに足らない物ばかりだ。
黙々と作業を続けていると入り口付近に、ヘロヘロと獣王メコン川とタブラ・スマラグディナが現れる。
「お仕事お疲れ様でーす。これお願いねー」
「うわー・・・もういらないですよ・・・」
ヘロヘロと獣王メコン川がアイテムボックスから
「タブラさんはないの?」
「私は彼らと別の用件できたのでね。気にしないでくれたまえ」
そう言うとタブラは金貨の山の中に姿を消すと、スクリーンショットのカメラのシャッターを切る音が聞こえてくる。
妙に音が耳元で聞こえているのは盗撮防止のためで、一定距離近づくとシャッター音が聞こえるような仕様になっている。
((いや、それは気になるだろ!))
しかし、そんなことを気にせず獣王メコン川は次から次へと
「メコン川さんにはもう言ったんですけど、昨日
「まじ!?すごい偶然ですね。体の方は・・・・まぁ色々想像がつきますが大丈夫ですか?」
「ふっふっふ・・・健康診断はレッドすぎて逆にグリーンだったのがレッドにまで治りましたよ!でも急な職場の環境改善で精神的疲労が出てきたりはしましたけどね」
ヘロヘロは特に誇れることでもないことを自慢する様に言う。なかなか仕事は大変そうだったが、大企業倒産の影響か業務の改善がされているようだ。
「それでですね。待合室でしばらく待っていたら、元気そうな高齢の男の人が入ってきて私の横に座ったんですね。その人バックにユグドラシルのキーホルダーつけてて、暇だったのでユグドラシルやってるんですか?って聞いたら死獣天朱雀さんだったんですよ!2人してずっと驚いていましたねー」
「ヘェ〜、なんというか世間は広いようで狭いですね」
アイテムボックスの中の
「そうだ、これはおまけ」
「これももういらないっ!うちには十分すぎるくらい金貨があるんですよ!」
中からは高く売れるため、よく金策に使われる
この数週間で、すでにギルドの資産は以前の2倍以上にほどに膨れ上がっている。ありすぎても一切困らないが、音改の仕事が増えるという点では面倒だ。
「
「その言い方語弊があるんですが・・・・・。まぁ《異臭》のことを完全に忘れていたのは私が悪いですけどね」
2人は金策のために
それもそのはず。ヘロヘロのスキル《異臭》で一定レベルのモンスターが近づいて来ず、2人のいる範囲外で狩りが行われていたからだ。
一応嗅覚による探知を妨害できるという能力もあるが、実用性はあまりなく
「それはそうとヘロヘロの奥さん。原価の100倍ほどでアイテムを売り捌いて順調にナザリックの資産を増やしている商人がいるそうで」
「あらあらメコン川の奥さん。その人にもう十分すぎるほど金貨があるってことを教えて差し上げなければいけませんね!」
「「オホホホホホホホホ!」」
「くっ・・・・」
2人の皮肉に音改は何も言うことはできない。
聞くに堪えない裏声でふざけていると源次郎からどやされる。
「用がないならさっさと出てけ!」
「いやいや、俺たちもただ駄弁りに来ただけじゃないよ。サービス終了まですぐですけど“アレ”忘れていないよね?」
「“アレ”・・・・・・ああ、わしは適度に匂わせたよ」
「・・・・・やべ、忘れてた」
音改の言葉を聞いたヘロヘロが呆れたように触手で頭を抱える。しかしこんなやり取りも、今まで幾度となく行ってきたヘロヘロはもう慣れっこだ。
「絶対忘れないでくださいよっ。一応1ヶ月くらいから計画してるんですよ!絶対ですよ、絶対!」
刻々とサービス終了が近づく中、モモンガの知らぬうちにもう一つのイベントができていたのであった。
オリジナルキャラクター
フルスロットル 種族:デュラハン 騎乗に特化したスキル構成。名前の通りバイクが好きであるが、実物に乗ったことはない。妻帯者で子供を持っており、幼少期からバイクに乗る特撮ヒーローものが好きであることからたっち・みーと非常に話が合う。よく熱弁するたっち・みーへの身代わりにされる。
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非常に遅れてしまい申し訳ございません。この2週間ほどワクチンやら学校開始やら色々ありまして・・・。
これからも少々投稿頻度が低くなっていくのでご了承ください。
次はギルメン異世界に行く!編です。アニメ、原作を見ながら頑張ります。