至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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怪物たちの産声

春休みからスタートした寮生活、野球部での練習

無我夢中でやっていたからだろうか、気づけば3月が終わりかけていた。

 

対外での試合はないものの、上級生のピッチャーとの対戦は、東、西、柳の確かな糧となっていた。

 

そして流動的であったサード、セカンド、外野の2年生、計3名を2軍に下げ、東、西、柳が一軍に昇格するという、片岡監督の思いきった判断が下された。

 

これには練習を見にきていた青道OBは驚くが、実際のプレーを見ると別格だと、片岡監督の経験の浅さを考慮しても、妥当な判断と納得せざるを得なかった。

 

4月となり、入学式を終えると、春季東京都大会が開催された。

 

 

 

 

 

青道のオーダーが発表されるなり、シニアに興味のない者は首をかしげ、シニアの情報を集めているものはうーんと唸った。

そして、相手である修北側スタンドからは、舐めているのかと言わんばかりの怒声が何ヵ所かから響いた。

 

 

青道オーダー

 

1 藤堂 センター

2 西 セカンド

3 江藤 ショート

4 植松 ファースト

5 東 サード

6 柳 レフト

7 中山 キャッチャー

8 佐々木 ライト

9 遠藤 ピッチャー

 

 

side 江藤 3年生 ショート キャプテン

 

相手側のスタンドから嫌なオーラが出ているが、これが今の青道のベストメンバーであることは変わらない。

 

というか西がどのポジションでも、どの打順でもやれますよ、とあの無表情から言ったときは冗談かと思ったが、俺や中山、藤堂を除いたやつらより、うまく全部こなすとはな‥怪物め

本当に味方でよかったし、守備がめっちゃ楽になったんだもんな。本当に助かるわ。

 

うちの先攻で、藤堂が(遊んで)粘って四球、西が綺麗に右方向へ引っ張って、ノーアウト1,3塁。

後ろに植松がいるしまた1,3塁を作るのもいいなと、1年生に簡単に引っ張られて焦る相手エースの得意球のカーブを右中間へ狙って軽打する。1点入ってまたノーアウト1,3塁となった。

 

 

 

side 植松 3年生 ファースト

 

今までは藤堂が出たら、確実に佐々木がバントで2塁にランナーを置き、江藤がヒットで返して、俺が決めるというパターンだった。打てる打者を2番に置くと、まだノーアウトかつランナーが2人もいる状況。燃えるぜ‥相手がどの球を投げればいいかわからなくなり、自信のある球のカーブを狙い打ち、ライトスタンドへと鋭い打球が突き刺さった。

 

 

 

side 東

 

あー、これは終わってんなぁと相手ベンチを見ると、次のピッチャーが必死に肩を作るために、ブルペンへ走っていくのが見えた。とりあえず肩ができるまで時間かかるだろうからと、死んだ目をした相手エースから放たれた、力のないストレートを思いっきり引っ張り、レフト方向の場外へと打球は消えていった。

 

 

side 柳 1年生 レフト

 

うはー、初打席くる前に試合決まってるとか、やっぱうちの打線おかしいねー。打者5人で5得点とか、シニアではうちしか打たんやったし、こんなん初めてだわ。

 

まぁ次のピッチャーになったみたいだしって、めっちゃ睨んでんねー。これは内角くるっしょ!ほいっ!高校通算1本目ってね♪

しっかし、一番怖い同期が、大人しくチームプレイしてるの見ると少し申し訳ねーの。いつまで大人しくしてんのかな?

 

 

sideout

 

5回表

片岡監督から何か言われ、うなずくとバッターボックスへと2番打者が入っていく。

修北の守備陣の動きが急に悪くなったように見える。

ピッチャーからはまだ交代して1球も投じていないのに、滝のような冷や汗が出ている。

1年生のピッチャーか‥20点差以上もついた試合で、初試合なんだろうな。

まぁ5番、6番のホームランを2本ずつ打った、他の1年生の怪物よりマシだろうと、バッターを見ると、そこにも怪物がいた。

 

 

 

恐らく高校デビューの球なのだろう。

少し自信なさげに放たれたボールは、見ていた誰もが理想的だと言ってしまうようなスイングの軌道の煌めきに姿を消し、いつの間にかライトスタンドへとライナーで着弾していた。




柳は元々、自分以外も打てる高校に行く気満々でした。
そして高校を選ぶときに、中学3年生の秋に召集されたU-15で4番東、5番西が他国代表のピッチャーを蹂躙しているところを現地で視察し、それが揃って青道に行くというのを聞いて、3番柳として加わって、高校最強クリーンナップを作りたいと思い、前から来ていた青道のスカウトを受けました。
本来なら大阪桐生の4番として、1歳下に入ってくる舘の、バッティングの師匠になっていたかもしれません。
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