至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

101 / 148
夏合宿 part5

夏合宿の最終日、青道のグラウンドには、昨日よりも多くの高校野球ファンが詰めかけていた。

 

青道vs西邦

 

春の甲子園では実現することのなかった幻の好カード。それが今日、青道グラウンドで行われようとしていた。お互いのオーダー発表にどよめきが起こる。

 

青道の先発投手は1年生の真木 洋介、それに対して、西邦の先発投手は1年生の明石 聖也。両チームが将来のチームの柱を、この試合に持ってきたことに、コアな高校野球ファンは歓声をあげる。

 

 

 

先攻 青道オーダー

 

1 神田 セカンド (左)

2 玉森 ライト (右)

3 西 晴之 ショート (左)

4 東 サード (右)

5 栃谷 レフト (右)

6 柳 センター (左)

7 道川 ファースト (右)

8 岸谷 キャッチャー (右)

9 真木 ピッチャー (右、右オーバースロー)

 

 

 

対する西邦はクリーンナップに、3番 飯岡、4番 佐野、5番 明石の3人が並んでいた。

 

 

 

ドォン!

 

 

 

「ストライク!」

「おぉぉぉ!はぇぇぇ!」

「いいぞー!聖也ー!」

 

青道の先頭打者、神田に対する初球のストレートは、神田にとって、見たことのないスピン量をした、鋭いものであった。

 

(この1年はやばい!)

 

すぐさま当てることを優先にし、球数を投げさせようと画策する。

 

 

 

ドォン!

 

 

 

「ストライク!ツー!」

「神田が空振り2つ?」

「地方大会で明石はかなり活躍してたけど、あのストレートもしかして相当やばいのか?」

 

 

 

ドォン!

 

 

 

神田は3球すべてを空振りし、三振に終わった。観客はどよめき、青道の応援席からは悲鳴のような声さえ聞こえる。

 

「孝太、スピンがえぐい。かなり伸びて見える、気を付けろ」

「りょーかい!」

 

2番の玉森の打席を神田は見守る。

 

(スピンのかかったストレート、球速はだいたい140キロ前半くらいか。変化球をまだ投げていないが、緩急があればうちの打線でも、攻略に時間がかかるかもしれない。しかし、ストレートの質で言えば、あの大阪桐生の兵藤以上かもしれないな)

 

冷や汗をかきながら、西邦のルーキー、明石 聖也を分析していく。低めにボールが集まり、玉森は5球目のストレートで空振り三振となった。青道打線からの二者連続三振スタートに、観客からの声が大きくなってくる。

 

「明石ー!すげぇぞー!」

「西邦のスーパールーキー!これはくるぜ!」

 

 

 

ドゴォ!

 

 

 

西の放ったライトフェンス直撃の豪打に、観客席の声が一瞬途切れ、おぉぉぉと感嘆するような声が響く。

 

(あっ、空気が変わった)

 

 

 

ガィン!

 

 

 

4番 東の放った打球がレフト後方に落ち、タイムリーツーベースヒットとなる。

 

「青道先制ー!東ー!いいぞー!」

「スーパールーキーを初回から攻略ー!」

 

青道応援席からは息を吹き返したように、声援が聞こえ始めた。

 

 

 

カキィン!

 

 

 

綺麗な金属音が聞こえ、グラウンドを見ると、右腕を天に掲げた栃谷がダイヤモンドを一周していた。

 

(得点圏での薫は、東よりも怖いからなぁ)

 

柳は四球で出塁するも、道川はストレートの球威に負けて、センターフライに倒れた。初回から3点をとられた西邦のピッチャー 明石はワクワクした表情をしていた。

 

(目の前のプレーに全力で、野球を楽しんでいる。1年生、ルーキーであるが故の振る舞い、活躍か。乗せると危うい、なんとか点をとり続けて勢いづかせないようにせねばならないな)

 

そう思いながら、神田はセカンドの守備につく。

 

(西邦は強力打線と言われるが、飯岡、佐野の2人が突出したチーム、5番にあの1年生が入っているがどんなものか)

 

真木も1、2番打者を簡単に抑えると、3番の飯岡に粘られる。それでも真木は根気よくゾーンで攻める。

 

 

ギィン!

 

 

二遊間に強烈なゴロが転がってくる。なんとか飛び付き、そのままショートの西へグラブトスをすると、西は右手で直接ボールを掴んで、ファーストへ送球した。

 

「アウト!」

 

飯岡の足が遅いことにも助けられ、3アウトでチェンジとなった。真木がベンチに戻りながら話しかけてくる。

 

「先輩ありがとうございます!」

「なんとかなってよかったな、俺らの世代No.1キャッチャーって言われてるやつはどうだった?」

「ストレートの後、初見のカーブに、下半身が最後まで崩されないのはすごいと思いました。打撃に関しては間違いなく世代No.1って言われても、文句は出ないと思います」

 

ベンチについて、スポーツドリンクを飲む。

 

「さっきもヒット性の当たりだったからな。だが、おそらくセンター前へのヒット狙いだったのをゴロにできたんだ。力は負けてない。合宿の疲れもあるだろうが思いきってやってみろ」

「はいっ!うちの打線よりは脅威ではないですから、積極的に攻めてみます」

 

そう言って真木はネクストサークルに向かっていった。明石はエンジンがかかったのか、ストレートのキレが更に上がり、カーブを混ぜて緩急を上手く使ってくるようになる。飯岡のリードにより上手く手綱をとって、青道打線を抑えようとするが、青道打線でも別格の西、東、栃谷、柳の4人を完全に抑えることができずに、少しずつ失点を重ねる。

 

それに対して真木は二巡目の飯岡にヒットで出塁されると、

佐野のタイムリーツーベースで1失点目、続く明石のツーランホームランで計3失点をして、5回を投げきったところでマウンドを降り、伊佐敷と交代した。

 

明石は異常なほどのスタミナで9回を投げきり、6失点で完投。伊佐敷は6回から登板すると、4回3失点でなんとか引き分けに持ち込んだ。

 

春の甲子園で、高校No.1右腕、大阪桐生の兵藤が青道打線を7回5失点したのに対して、明石は1年生ながら、甲子園優勝校に対して、9回6失点で引き分けに持ち込んだ。このことから、明石の元から高かった評価が更に上がり、1年生世代のNo.1ピッチャーとして、高校野球ファンの中で持ち上げられることとなった。

 

 

ふと、今後どこまで書くかなと思ったのでアンケートを1つ。よろしくお願いします。

  • 東世代の卒業まで
  • 結城世代の卒業まで
  • 御幸世代の卒業まで
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。