落合コーチは、夏の西東京都大会の抽選結果を見ながら、ミーティングをするチームを見守る。それとは別に、頭の中で現在の情報を整理する。まずは選手の背番号
1 武藤 3年生
2 岸谷 3年生
3 道川 3年生
4 神田 3年生
5 東 3年生
6 西 晴之 3年生
7 栃谷 3年生
8 柳 3年生
9 玉森 3年生
10 井手 3年生 ピッチャー
11 伊佐敷 2年生 ピッチャー
12 真木 1年生 ピッチャー
13 藤谷 3年生 キャッチャー
14 会田 3年生 ファースト
15 結城 2年生 ファースト
16 小湊 2年生 セカンド
17 西 影次 1年生 外野、ショート、サード
18 城之内 3年生 外野
19 石橋 3年生 外野
20 御幸 1年生 キャッチャー
3年生を中心とした、紅海大相良でも経験したことのない、磐石な体制に、油断すると笑みがこぼれそうになるのをグッと我慢する。しかし、このチームですら確実に勝てるわけではないということを、合宿最終日の西邦戦で思い知らされた。
西邦の明石の他にそんな存在はいないか、なりうるものはいないかと探してみればいるではないか。同じ西東京の、それも強豪の稲城実業に入った、昨年の城南シニアのエース 成宮 鳴。
右の明石、左の成宮。中学時代に場所は違えど、そう持ち上げられた2人の逸材。U-15日本代表としての登板経験のある2人は、世代の中でも飛び抜けた存在であることは明白。
西の弟の方、影次は成宮から2打席連続の本塁打を記録してはいるが、兄とは違って、試合によりムラのある影次のことだ。本当に絶好調のときに、成宮と当たったのだろうことを考えると、明石の例があるため、楽観視はできない。
稲城実業のエース 南野を打ち崩したとしてもリリーフとして成宮が出てくると考えた方がいいだろう。
具体的な高校名が出てきたので、当たるであろう高校をトーナメントから予測していく。
1回戦はシード、2、3回戦までは弱小校との戦いとなる。しかし、4回戦では市大三高と成孔の勝者と、5回戦では創聖、仙泉学園、紅海大菅生の勝者、準決勝にはどこが上がってくるかわからないが、決勝にはおそらく稲城実業が上がってくるだろう。
完全にこちらのブロックに名の知れた高校が、固まっているトーナメント表を見て、顎をさすりながら色々と考えをまとめていた。
ミーティングが終わると、選手達は後悔のないように自主練習として素振りをし始める。
(いつでもどこでも、就寝時間以外は誰かしらバットを振り込んでいる。これが片岡監督の信頼に応えようと、選手達が作り上げてきた雰囲気、普段の上級生の行動からくるもの。3年生がやっていたものを2年生が引き継ぎ、それに1年生が加わってきた。こういうチームは強い)
目をキラッと輝かせ、自主練習している場を離れる。
▽
(少しでも長く!少しでも上へ!)
そういう思いで結城は、3年生との素振りの時間を大切にする。去年は西さんの怪我というアクシデントがあったとは言え、唐突に伊藤さんの世代と野球をする時間が終わってしまった。
西さんのマウンドでうずくまる姿、頼りにしていた先輩達が泣き崩れていく瞬間は忘れもしない。
「今の調子で行けば大丈夫だ。スランプに陥ったとしても、今の自分を貫く。深呼吸をして適度に力を抜く。それさえできれば、お前なら次に何をすればいいかわかってくるはずだ」
西さん、柳さん、東さんに言われたこと、アドバイスをされたことを思い出しながら、3年生と練習する時間を噛み締める。おそらく4回戦で当たるであろう、市大三高にリベンジを果たすために、ひとつひとつの動作を大切にこなしていく。
(甲子園で優勝したとしても後2ヶ月弱‥‥学ぶべきところはまだたくさんある‥‥俺の代でもチーム全員で相手投手を崩す攻めかたができればいいのだが)
最近は自分が自主練習をする周りに、同学年の亮介、増子、純を中心としたメンバー、そして後輩の影次や倉持、御幸も一緒になってバットを振りにくる。
自分が1年生の頃に憧れた2,3年生の面影を、自分達に重ね合わせ
(先輩達のように、言葉で、プレーで下の学年を引っ張ることはできないかもしれない。だが、その先輩達を見て俺たちも成長している。)
受け継ぐべきものを受け継ぎ、秋以降のチーム事情が頭に浮かんでくるが、頭を振って打ち消して、素振りに集中し直すのであった。
ふと、今後どこまで書くかなと思ったのでアンケートを1つ。よろしくお願いします。
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東世代の卒業まで
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結城世代の卒業まで
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御幸世代の卒業まで