至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

110 / 148
後攻 青道

1 神田 セカンド (左)
2 西 ショート (左)
3 栃谷 ファースト (右) ○
4 東 サード (右)
5 柳 センター (左)
6 玉森 ライト (右)
7 城之内 レフト (左)
8 藤谷 キャッチャー (右)
9 井手 ピッチャー (左、左スリークォーター)



先攻 稲城実業

1 神谷 レフト (右) ○
2 白河 ショート (左)
3 南野 ピッチャー (右、右サイドスロー)
4 烏丸 センター (右)
5 加藤 ライト (左)
6 原田 キャッチャー (右)
7 吉沢 サード (右)
8 山岡 ファースト (右)
9 平井 セカンド (左)

1回表
0-0
1アウト3塁


夏の西東京都大会 決勝 part2

(やっぱ晴ちゃんは別格だね)

 

そう思いながら、南野はマウンドをならして一息つく。冷静に周りを見回すと、1,2年生の動きはぎこちない。

 

(初回から飛ばす、これしかないな。2年の井口、1年の成宮もいるし、できるだけ点を取られない。これが大事だよな)

 

常に1点、2点を争う戦いをしてきた南野は落ち着いていた。

 

 

パァン!

 

 

「ストライク!」

 

初めて見せるスローカーブでカウントを稼ぐ。続いてフロントドアとなる曲がりの弱いスライダーで2ストライク。

 

「次飛んでいくかもだから足動かしてねー!」

 

そう言ってセットポジションに。

 

 

ギィン!

 

 

外へ逃げる1番曲がるスライダーを、栃谷は打ち上げ、ファーストファールフライとなる。

 

「ツーアウトー!あと1人でピンチぬけるからねー」

 

(薫も初めて見る1番曲がるスライダーについてきた。晴ちゃんなら普通に見逃してたんだろうけど、やっぱり差があるよね。次は清国ちゃんだから、芯をずらすだけじゃだめだから、どう抑えるかな)

 

右打席に目を向けると、強打者特有のオーラを放った東がこちらを睨み付けてくる。初球、インコースのストレートを東は空振りする。

 

(偵察の映像も見たけど、本当にプロへいくようなバッターに成長してたんだな、清国ちゃん。振りが鋭いわ)

 

 

パァン!

 

 

アウトコース低めギリギリに入るカーブで2ストライクとなる。ロージンを手にとり、精神を落ち着かせる。

 

 

ガキィ!

 

 

インコースの低めに外れるストレートを引っかけて、3塁方向へのゴロになる。

 

「ファール!」

 

強い打球がくると思って、ワンテンポ遅れたサードの吉沢が捕球するのが遅れ、3塁線をきれる。

 

「ツーアウトだよー!まだ初回だし落ち着いて!ボール1つでいいからねー」

「はいっ!」

 

しっかりとした返事に満足する。

 

(だいぶ青道打線の出す空気にみんな慣れてきて、落ち着いてきたかな?)

 

 

 

カキィン!

 

 

 

「ファール!」

 

しっかりと捉えられるが、ライトポールの右側に打球がきれる。南野と東、お互いに一筋縄ではいかない相手に、自然と笑顔になる。

 

(全力だっぞっ!)

 

 

 

ドォン!

 

 

 

全力ではあるが、低めにコントロールされたストレートに、東は空振りをする。

 

「スリーアウト!チェンジ!」

 

ピンチを切り抜けてキャッチャーの原田とハイタッチをすると、視界には楽しそうにする西と東の姿が映った。

 

(本当、まぁ勝負を楽しんじゃって‥‥それでこそ俺の4番だよ‥‥晴ちゃん)

 

南野はベンチに戻りながら、次はどう抑えるのかを考えるのであった。

 

 

 

 

 

 

(チャンスに強い薫、清国を翻弄するなんてな。竜‥‥やっぱりお前はいいピッチャーだよ‥‥)

 

西は東と話ながら、原田とおそらく次の展開を話している南野を見る。

 

「チャンスは活かせなかったがまだ初回!まだまだ回はあるからじっくりいこう!」

「おぅ!」

 

キャプテンの神田の言葉に全員が応え、守備位置に散らばる。

 

「ノーアウトー!ランナー俊足!セーフティーあるよー!」

 

神田の言葉を受け、東は一歩だけ前に出る。

 

先頭打者のカルロスは、2球目のスライダーを引っかけて、簡単にセカンドゴロとなる。

 

「1アウトー!いつも通り三者凡退!無理せずにー!」

 

そう西が言うと、サードの東、ファーストの栃谷が少しだけ前に出て、セカンドの神田が少しだけ後ろに下がる。2番の白河はバットに当ててなんとか付いていこうとするが、3球目のチェンジアップに体勢を崩されて空振りをしてしまい、結果として三球三振に仕留める。

 

「ツーアウトー!ランナーなし!打たれても問題ないよー!捕ったらファーストねー!」

 

 

キィン!

 

 

「アウトー!」

 

横っ飛びした西のグローブに直接ライナー性の打球が入る。

 

「スリーアウト!チェンジ!」

 

コントロールよく抑えてくれた井手とハイタッチをする。

 

「圭司、俺みたいに球数投げさせとけばまたチャンスくるから!頼んだ」

「はいよ!粘ってくる!ついでにヒットも打ってくるから先制点をうちらがとるで」

 

柳がニヤッとしながら返事をする。

 

柳はゾーンにきたボールを全て丁寧にカットしていく。それに南野は気づくと、10球目のカーブをわざとボールにし、四球で逃げる。

 

続く玉森は1塁方向にバントを綺麗に決め、1アウト2塁のチャンスとなる。バッターは今日スタメンの城之内。

 

「いけー!城之内ー!ここで決めろー!」

「点取り屋ー!いけー!」

 

深く深呼吸をして城之内が打席に入る。

 

「セーフ!」

 

南野は1球牽制をして、内野陣に向かって何かを話す。

 

(青道ベンチからは聞こえないな‥‥何をたくらんでいるのやら‥‥)

 

西は、南野のあまりすることのない牽制の意味を考える。

 

 

 

カキィン!

 

 

 

しっかりと弾き返された打球はレフトへ飛んでいく。

 

「いけー!」

 

 

 

 

 

「うぉぉぉぉ!」

 

 

 

 

 

「アウトー!」

 

カルロスのダイビングキャッチに、スタンドからの大声援が球場を揺らす。そこに全員が注目している間に、抜け目なく柳は3塁へタッチアップして到達する。

 

「8番 キャッチャー 藤谷くん」

「藤谷ー!ここで打てよー!」

 

しかし

 

「ストライク!バッターアウト!チェンジ!」

 

全力で南野が抑えにかかり、藤谷は5球目のアウトコースのストレートを見逃してしまった。

 

(順調に竜の体力を削っているが、相手にもいい打者がいる。早めに点数をとっておきたいが、焦りは禁物。できることをしっかり実行していかないとな)

 

そう思いながら西はショートの守備位置についた。

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