至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

111 / 148
後攻 青道

1 神田 セカンド (左)
2 西 ショート (左)
3 栃谷 ファースト (右)
4 東 サード (右) ○
5 柳 センター (左)
6 玉森 ライト (右)
7 城之内 レフト (左)
8 藤谷 キャッチャー (右)
9 井手 ピッチャー (左、左スリークォーター)



先攻 稲城実業

1 神谷 レフト (右)
2 白河 ショート (左)
3 南野 ピッチャー (右、右サイドスロー)
4 烏丸 センター (右) ○
5 加藤 ライト (左)
6 原田 キャッチャー (右)
7 吉沢 サード (右)
8 山岡 ファースト (右)
9 平井 セカンド (左)

7回表
0-0
2アウトランナーなし


夏の西東京都大会 決勝 part3

[ここまで稲城実業のエース 南野と青道の井手、2人ともが無失点の好投で投手戦となっています!夏の西東京都大会 決勝!7回表 ツーアウトまできていますが、稲城実業は6番 原田のヒット1本のみ。それに対して青道も、2番 西のヒット2本と5番 柳の四球のみで、チャンスは作れているものの、もう一押しができません]

 

〈井手のコントロールの良さに、稲城実業打線は完全に抑え込まれていますね。南野も多彩な変化球で翻弄して、西以外からは打たれていませんから。両チームとも継投が難しいのではないでしょうか〉

 

[そうですね、稲城実業の4番 烏丸!7球目のインコースのストレートをファール!甘いところには一切ボールがきませんが、必死に食らいついていきます!]

 

〈こうして見ると井手もいいピッチャーですね。しっかりと強豪に対して試合を作れるのは素晴らしい。何よりこのコントロールですよ〉

 

 

 

カキィン!

 

 

 

[打ったー!バット一閃!打った瞬間に入るとわかる強烈な打球!入りました!男・烏丸!魂のソロホームラン!高々と手を挙げたあと、ベンチにいるエースを指差しガッツポーズ!稲城実業に待望の先制アーチが出ました!]

 

〈試合が膠着して、ピッチャーが疲れ始めた頃ですよね。あぁ、リプレイですが決して甘い球ではないですよ。フロントドアとなる低めギリギリいっぱいに決まるスクリューを、レフト方向に引っ張ってスタンドまで運んでいきましたね〉

 

[青道ベンチは動きませんね、井手が続投するようです‥‥空振り三振!‥‥いやぁ、強烈なホームランを打たれたあともしっかりと抑えました。7回表、稲城実業が先制しています]

 

〈エースの武藤不在の中、よくやっていますね。失投ではないですから、打った烏丸を誉めるべきですね〉

 

[そうですね、ここから青道の追い上げはあるのか!期待していきたいですね]

 

 

 

 

 

 

「ごめん、しっかりコントロールしてたんだけど、たぶん読まれてたわ」

 

井手はベンチに戻ると、開口一番に謝罪を口にする。

 

「援護できてない俺らが悪いんや、すぐに追い付いたるから、座って休んどれ」

 

東は比較的優しく井手に声をかける。

 

(ここで打たな負ける。相手の4番が打ったんや、打の青道たる4番の俺がここで打たんかったらあかん)

 

東は覚悟を決めて打席に入る

 

「お願いします!」

 

ここまで2打席無安打で完全に抑えられているが、南野に余裕は見られない。

 

 

 

ドォン!

 

 

 

「ストライク!」

 

(最初よりも球威は落ちてきてるな)

 

地面をならしてバットを構え、南野を睨み付ける。

 

 

ギィン!

 

 

ボール球を見極め、6球目のスライダーまで丁寧にカットして2-2の平行カウントとなる。

 

(さぁ、何でくる!)

 

 

キィン!

 

 

「おぉぉぉ!まわれまわれー!」

「あずまぁぁぁ!」

 

レフト線近くをボールが転がっていく。カルロスは回り込んで捕球すると、2塁へ送球した。

 

「セーフ!」

「おっしゃぁぁぁ!」

 

東は2塁ベース上で雄叫びをあげた。青道側スタンドや、ベンチから歓声があがる。

 

「ここで選手の交代があります。ピッチャー 南野くんに代わりまして、成宮くん 背番号 11」

 

(ん?南野は点を取られていないのにもう下がるのか?)

 

1年生坊主が投球前練習をする。

 

 

バァン!

 

 

(こいつ、左腕で既に140キロくらい出すのか)

 

チラッと打席を見ると柳がウインクしてくる。

 

(味方を信じて堂々としておくか)

 

ギロリとピッチャーの成宮を睨み付けながら、2塁から第1リードをとる。柳が2球、3球と軽くカットすると、白髪小僧がイライラし始める。

 

(なるほど)

 

ザッ!と1度大きく土を蹴り出すと牽制球がきたので、悠々と帰塁して白髪小僧をなんでもないような顔で見る。さらにイライラし始めた。

 

 

キィン!

 

 

柳の打球はセカンドの平井を越えて、右中間でバウンドする。

 

「東!ノースライ!」

 

しっかりとホームベースを踏んで玉森とハイタッチをする。二者連続ツーベースで同点となり、青道側スタンドの歓声がさらに大きくなる。

 

(あの小僧はっと‥‥なるほどな‥‥打たれて逆に心が燃え上がったか。)

 

 

ギアが上がり、マウンド上の成宮が躍動し始める。

 

 

パァン!

 

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

玉森も粘るがバックドアのスライダーに対応できず、見逃し三振となった。続く城之内はセカンドへの進塁打を放つが、藤谷は三球三振に仕留められ、7回裏は同点止まりで終わってしまう。

 

8回表も井手がマウンドに上がり、先頭打者の6番 原田にセンター前ヒットを打たれるが、後続をシャットアウトし切り抜ける。

 

東がベンチに戻ると、結城がバットを握っていた。

 

「結城、お前打てよ。来年あの小僧はお前たちに立ちはだかってくるで。前哨戦や、かましたれ」

「はいっ!」

 

「9番 井手くんに代わりまして、結城くん 背番号15」

 

結城は打席に入ると、深く深呼吸して成宮と対峙した。

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