至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

19 / 148
過去と現在と未来と★

side 倉田 3年生 ライト

 

新入生が入ってくると、同学年の山岡と併用で、使ってもらっていた場所を、1年生の柳にあっという間に、取られてしまった。

 

一緒に練習をするが、守備でも、スタミナでも、特に打撃で圧倒的な差を感じる。これが怪物ってやつかと周りを見ると、サードでは手塚と間中が東に、セカンドでは伊達が西に、それぞれ格の差を見せつけられていた。

 

2年間の差など関係ないと、実力を見せつけてくる怪物共に、去年、伊藤が入ってきたセカンドのように、3年生が場所を取られるのかと俯いていると、監督に呼ばれて、このままでいいのか?と問われた。

 

何を言ったか覚えてはいないが、気がついたら素振りをしていた。喉が痛いし、手はいつもよりジンジンする。

 

バットを握りしめ、力強く振り切る。

何があっても、俺にはこれしかできねぇんだ。

それに俺も一般スカウトで来た身だ。先輩にしてもらったように、同室でも、ライバルでもある柳の、怪物の面倒を見てやろうじゃねぇかと、柳を自主練習に誘いに歩きだした。

 

 

 

side 伊藤 2年生 ファースト

 

痛む右足首を擦る。

 

秋の都大会、4回戦でのことだった。2塁へ盗塁する際に、無理をしてしまった。激痛が走り、動けない。足をただ抑えることしかできなくて、ようやく考えることができるようになったのが、痛み止めがようやく効いてきたころ。激痛を感じながら、本当にこれは痛み止めを飲まされているのか疑問に思うが、点滴で打たれたというなら納得するしかない。

 

チームは負けていた。

 

無理をしていたんだと思う。元から右足首に違和感を感じてはいた。夏の大会、唯一の1年生でのレギュラー。打の青道で他の先輩を押し退けての1番バッター。

 

夏の大会が終わった、終わらせてしまったその日、甲子園から寄宿舎へと帰る途中に、踏み外し、右足首を痛めた。その痛みは翌日には違和感へと落ち着き、そのまま練習へ向かう。

 

3年生が抜けた穴を、1年生から共に夏の20人に選ばれていた藤堂や川口と共に埋めるため、必死に練習をし、同級生を鼓舞して、俺たち1年生がやってやるんだと持っていって‥

キャプテンは藤堂、俺が副キャプテン、川口がエースになる将来像を語り合っていた。実現のために動いていた。

 

その矢先の怪我であった。

 

入院から戻ってくると、藤堂が荒れていたのを止め、次期エース候補の川口とも話し合う。

 

必ず戻ると約束し、療養し、冬合宿でリハビリメニューをこなし、このぶんなら春からやれると、俺たちが中心のチームが来年作れると思っていた目の前で、川口と角田の接触プレーが起こった。

 

 

 

 

今でも治ったはずの右足首が、痛みがあってしょうがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 藤堂

 

7月に入り、夏の都大会の抽選会が行われた。

 

順当に行けば、3回戦までは快勝するだろう。しかし、4回戦には仙泉学園が、5回戦では稲城実業が、決勝では市大三高と当たる可能性がある。

 

バットを振り、感触を確かめる。

いつもと変わらない鋭いスイングをする。

だだ少しだけ、バットが重い気がした。

 

 

 

side 片岡

 

都大会の3回戦を終え、チームの状況を整理していく。

爆発的な得点力、2年生ピッチャーの乱調。

この数字を見るたびに頭を抱える。

 

 

 

1回戦 シードにより回避

2回戦 24得点3失点 5回コールド

3回戦 25得点4失点 5回コールド

 

 

打の青道と言われるのはいいが、これはつらい。

糸原と武藤は計算できるが、川口と坂井が難しそうだ。

 

2回戦は糸原先発で、4回に坂井に任せると緊張したのか、四球を2つ与えてピンチになり連打を献上。武藤が最後まで抑えた。

 

3回戦は川口先発で、2回までパーフェクトピッチングをするが、3回に急に乱れて、ストライクが入らなくなり、糸原から武藤への継投となった。

 

2,3回戦の、あまり振れていない打線に対して、乱調するのであるから、4回戦に当たることとなった、去年1人のエースが入ってから、都大会で、昨年夏ベスト16、昨年秋ベスト4と好調の、仙泉学園での登板は、厳しいであろうと判断する。

 

仙泉学園戦は、糸原と武藤を軸に考えることを決めた。

 

 

 

side 中山

 

チーム全体で対仙泉学園のミーティングを行う。

 

エースとして主戦を務めるはずであった、遠藤が議長として仕切っていた。相手のピッチャーを見て苦笑いをし、各打者の情報を整理しながら戦略を共有する。ふと、ベンチ入りした3年生と藤堂、伊藤、川口を集めて遠藤から話を聞いた日のことを思い出していた。

 

 

 

side 川口

 

6月の半ば、急に引っ張られて集められた場所には、1軍の3年生と藤堂、そして椅子に座っている伊藤がいた。

 

そしてエースの遠藤さんが夏の大会、それも甲子園に行ったとしても出られないことを、本人から告げられた。

 

3年生は呆然とし、藤堂は上を向く、俺と伊藤は俯くしかなかった。

 

 

 

 

 

あの時託された想いをと意気込んだ3回戦では、ランナーが出ると気合いが入りすぎて、コントロールが荒れてしまった。

 

遠藤さんと話し合い、調整し、次の出番を虎視眈々と狙っていく。




分析されてしまった仙泉学園のエース

今井 定晴 2年生 ピッチャー 城南シニア出身
右投げ右打ち

シニアでキャッチャー西に魔改造されてしまって素質充分

2年生ながら4番でエースとして君臨し、チームを勝利へと導く。

140キロ前半のストレート
カットボール、高速スライダー、パーム、縦スライダー、シンカーと豊富な球種を持っており、全てにおいて完成度が高い。

都大会において、3年生の世代であれば田辺が、2年生の世代であれば今井が現在No.1とされている。

将来的に真木が入る頃に近年ベスト8,4常連だと、言われているのはだいたいこいつのせい。憧れて入った選手もいるため、決して青道に入れなかったやつらばかりではない。


二階堂 照 1年生 キャッチャー 城南シニア出身
右投げ右打ち

シニアで西がショートへ戻ると、頭角を表した万能キャッチャー

走攻守すべてに穴がなく、チームの底上げをしてくれる頼もしい存在。

西の存在で霞んではいたが、全体への影響力や、キャプテンシーもあり、監督としては助かるであろう。
仲の良い今井さんについてきた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。