至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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エピローグ

8月1日、青道高校のグラウンドでは、1,2年生の野球部員達が汗を流していた。

 

片岡監督は、内野陣へノックを打ちながら色々考えていく。センターにはキャプテンの2年生 藤堂、ライトには3年生がいたときからレギュラー争いに加わっていた副キャプテンの2年生 佐々木、レフトにオールラウンダーの1年生 柳。

 

サードは、1年生ながら長打の期待ができる、敗戦から立ち直った東、ファーストに足が遅くなっているが、それでもなお機敏な守備を見せ、打撃の上手い副キャプテンの2年生 伊藤を。

 

セカンドには守備範囲は狭いものの、打撃の確実性が上がってきたように思える2年生 角田、ショートは3年生がいたときから、打線の中核を担っていた1年生 西を持ってきた。

 

キャッチャーの2年生 蜂須賀は打てないものの、堅実な守備を誇っており、ピッチャー陣にも不満はなさそうだ。

 

そのピッチャーは2年生 川口、坂井、そして1年生 武藤が中心となる。各々課題がたくさんあり、まだまだエースとは呼べないが、1つずつステップアップする意志を感じさせ、雰囲気もよい。

 

また、前チームには1人しかいなかった副キャプテンを2人にし、責任感が強すぎる藤堂を、しっかりと補佐するための体制を整えようと画策していた。

 

練習をチラッと見にきた榊前監督には、このようにレギュラーが最初から固まるような年は滅多にないと言われたので、目の前の選手達を頼もしく思うとともに、少し、自身の采配が、この戦力を活かせるのか、不安に思う自分がいる。

 

打順としては

 

1 藤堂 センター (右)

2 伊藤 ファースト (右)

3 柳 レフト (左)

4 西 ショート (左)

5 東 サード (右)

6 佐々木 ライト (左)

7 角田 セカンド (右)

8 蜂須賀 キャッチャー (左)

9 ピッチャー

 

として現在は考えている。夏と比べると、7,8番の打者としての格落ち感はどうしても否めない。だが、このオーダーで練習試合をこなしていき、打順の変更や、1,2年生関係なく、調子の上がってきた者、実力を発揮できるようになってきた者を加えて、新チームをより良い形にしていくつもりだ。

 

 

 

そうして迎えた練習試合1試合目、川口が時折乱調するも、6回まで2失点に抑え、3年生の涙を見て、一回り成長した坂井が、残りの3回を無失点で抑えた。しかし、打線は藤堂、東、佐々木が気負いすぎて無安打に終わり、伊藤、柳、西の3人だけで点を重ねていくこととなり、5得点と、想定していたよりも、爆発力は今一つなものとなってしまった。

 

その後の練習試合で、伊藤、柳、西が素晴らしい成績を残せば残すほど、他のメンバーが焦り、ミスをする。特にキャプテンの藤堂は、チームは勝っているが、自身もあまり結果は残せていない状況に、空回りし始めていると感じる。

 

その現状を見て、片岡はこういうときの立て直しをどうすれば良いか、それを真剣に考える日々を送っていった。

 

 

 

8月の甲子園での全国高校野球選手権大会が始まると、西東京代表ととなった、市大三高の活躍がテレビで放送される。

 

エースの田辺に、それを援護する打線。特に春季大会ではスタメンに名を連ねていなかった、4番打者、1年生の北川 小虎の活躍は目覚ましかった。

 

西東京では、打撃の派手さや爆発力で、青道という光の影に隠れてはいたが、中学時代は松方シニアの4番ショートを務め、高校デビューを遅れて果たした北川は、ようやく注目を集める存在となり、甲子園という舞台で、全国へ名を轟かした。

 

惜しくもベスト8で甲子園を去ってしまうこととなるが、4試合で17打席14打数11安打、3本塁打12打点、3四死球と好成績を納めた。

 

それを見たムードメイカーの東が奮起して、復調し、他の面々もスイングが鋭くなり、迷いが消えていく。

 

今回は、自力でチームを立て直すことができなかった片岡ではあったが、他のチームの選手の活躍、雰囲気を感じることで、負けず嫌いの選手達は発奮してくれるのだと、こういうこともあるのだと、自身の経験に加えた。

 

また、全国の監督が行っている、1年生の起用方法を、テレビ越しではあるが、じっくりと観察し、去年は伊藤や川口、そして今年は東や武藤に負担をかけてしまったのを反省し、監督として前へ進もうとしていた。

 

それからは更に練習試合をチームは経験し、時は9月、秋の季節へと移り変わっていく。




青道偵察メモ

北川 小虎 1年生 市大三高

右投げ右打ちのショート
松方シニア時代から片鱗を見せつけるバッティングと、他を寄せ付けない圧倒的なオーラを持っていた。

中学3年生の時に召集されたU-15では、北川がセカンドを、西がショートを守り鉄壁の二遊間として、各国代表の打線に立ちはだかった。代表では3番打者を主に務めた。南野が先発のときは、3番から6番打者にかけて、全員の名前に方角が入ることから、東西南北打線として日本の強力打線を形成していた。

代表では肩の強さと足の速さ、送球の精度から、経験のあるセカンドへコンバートされたことを根に持っており、西をライバル視しているようだ。春季大会ではベンチでずっと西を見ていたことからそう考えられる。
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