至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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1 伊藤 ファースト (右)
2 玉森 ライト (右)
3 柳 レフト (左)
4 西 ショート (左)
5 東 サード (右)
6 藤堂 センター (右)
7 角田 セカンド (右)
8 蜂須賀 キャッチャー (左)
9 川口 ピッチャー (左投げ左打ち、サイドスロー)


咆哮の嵐

藤堂が右打席に立つと、強烈な視線を感じて、思わずそちらを見てしまう。そこには威圧するように、こちらを見てくる北川がいた。

 

西は無表情ではあるが、ショートで、内野陣全体を優しく見守る、まるで、縁側でお茶を飲むお爺ちゃんのような、安心感を与えてくれる。それに対して北川は、闘志を剥き出しにし、チーム全体に力を見せつけて、尻をたたいて結果を出さなければならないと思わせる、魔王のようなショートである、そんな印象がある。

 

先程、西がホームランを打ったときに凝視してたし、絶対ライバル視してて、相性悪いよなぁと思う。東にはそんなことはなかったとは言われるが、あまり信じられない。いや、意外とヤンチャ魔王と歴戦の老執事系幹部で、上手くやれたりするのか?と東の持っている少女マンガを思い出し、妄想が暴走しようというところで、主審のストライクのコールで現実に戻る。

 

そしてそのまま三振してしまった。

 

威圧に気を取られたが、後の妄想部分は要らなかったなと思いつつ

 

「しっかり集中して、1球1球大切にしていけ!」と周りに言うと、さすがに片岡監督にはバレていたのか、じとっとした視線を向けられて、冷や汗をかいた。キャプテンじゃなかったら代えられてたなと反省をする。

 

角田が強い打球を放つが、セカンドライナーとなり攻守交代する。

 

 

 

センターの守備位置からは、よく全体が見える。レフトの柳はサイドステップをして身体を温めているし、ライトの玉森は‥どこだ?‥あー、定位置にいた。定位置で普通にその場で軽くジャンプしている。

 

内野陣は、伊藤と西、角田と東のペアでキャッチボール、川口と蜂須賀は投球前練習をしている。

 

普段通りの光景だが、相手は市大三高。気を引き締めろよと、全体に声をかけると、1回裏の市大三高の攻撃が始まった。

 

 

1番打者が右打席に入る。確か、打撃はそこまででもないが、粘ってくるやつだったか。初球、川口はインコース高めに、クロスファイヤーとなるストレートを投げ1ストライク。仰け反った打者を見て、アウトコース低めにストレートを投げ2ストライク。そして、焦った打者はアウトコースやや低めから、外へと逃げていくシンカーを振って三球三振となった。

 

今日は腕が振りきれてる、当たりの日かと安心する。まだ左肘を庇うように、腕を振りきれないことがある。それが、川口の一番の課題となっていた。

 

2番、3番を続けて内野ゴロに打ち取り、ベンチに戻るが、相手の北川がしきりに、市大三高メンバーに声をかけ、いや、叫び散らして、西とは違う方法でチームのテンションを上げていく。

 

確実にこちらが勝っているのに、相手の気持ちが北川の存在により、落ち込んでいかない。むしろ蹴り上げられていっているようにすら思える。蜂須賀、川口はゴロに仕留められ、2巡目の伊藤の会心の当たりを、またもや北川に止められて、アウトになる。

 

2回裏の先頭打者の北川が、初球、アウトコースから逃げるシンカーを微動だにせず、見逃して1ボール。そして、川口の気持ちのこもった、低めのクロスファイヤーを、こちらにまで風がきそうなフルスイングで叩き潰し、レフスタンドまで一直線に運んでいった。

 

これはまずいな‥、と藤堂は思う。

クロスファイヤーは、今の川口が頼りにしている武器のうちの1つ。これを完璧に打たれると、崩れるかもしれないと不安になる。

 

そしてそれは的中し、この後更に3連打され、北川のソロホームランを加えると、計3失点して、1点差となった。

 

ここから血で血を洗うような、点の取り合いが始まり、お互いが投手陣を建て直せないまま、それが7回まで続いた。

 

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