至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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ふせ!

クリスが1軍の2,3年生にしごかれていた頃、3軍ではそれ以外の1年生全員が練習していた。片岡監督から、基礎的な体力が足りていないと、ランニングが主になり、その間に3軍の2,3年生に混ざってノックを受け、トスバッティングをしていく。

 

周りの視線などが気になって、ピッチングにしっかり集中できない丹波、常に全力でコントロールの定まらない伊佐敷。

 

どこでも守れると豪語した結城は、ほとんどのボールを後逸したり、弾いたりしてろくに捕れず、先輩たちから

 

「何がどこでも守れますだ!どこも守れねぇじゃねーか!おい、グローブのせいにするな!グローブは悪くねぇ!」

 

と怒られる。キャッチャーの宮内は高校球児としては体が細いため、プロテインを勧められていた。逆に増子は食べ過ぎることを注意され、小湊はダボダボの大きいユニフォームを着て、将来でかくなるからと頑固さを見せつけた。

 

これを見て「未来ないわ」発言をした東は、クリスから報告を受けていた西含めた2年生の1軍メンバー全員に囲まれ、正座をしていた。

 

「申し開きは?」

 

と栃谷に詰められると、

 

「思ったことを言うただけや!何が悪ぅぁぅぁぅぃいぃい?」

 

笑顔ではあるが目が笑っていない柳が、顔を掴みながら

 

「最初はあんなもんやんね。まだ一週間もたっとらんのに、1年生のやる気削ぐこと言うて、変なことなったらどないするんか?」

 

と平坦な声で言い放つ。

 

1人ずつ1説法をくらい撃沈した東を見て

 

「俺達の代ではお前がおそらくキャプテンになる。体や声と態度がでかいだけのやつでは困る。盛り上げ上手なんだからもったいない。もっと人のこと、特に今はできていないやつのことを考えろ。それとお前、太ったか?」

 

と西が発言する。

 

(転生して青道に来たけど、私がいなかったら変な暴君になってたんじゃないか?)

 

と心配になったが、太っ‥‥た?‥‥と絶望してお腹をなでている東を見て、いや、コイツはよくてマスコット枠だろうなと思い直す。

 

「まぁ、しっかり努力せぇへんと、1年生の代は厳しいのは確かやね。それに夏に蜂須賀さんが抜けて、来年岸谷が抜けたら、キャッチャー陣の有力な選手はクリスのみになる。負担が大きくなりそうやんな。今から基礎力鍛える他のやつらはええけど、クリスは1軍の現実をしっかり見続ける。岸谷、他の1年生キャッチャーで見込みありそうなんはおらんのんか?」

 

と柳が聞くと岸谷は

 

「現状は厳しい‥‥それに‥‥俺達の代でも、俺以外は中堅校レベルのキャッチャー止まりくらいだろうな」

 

意見交換をしていくと思った以上に東がクリスに言った「大変やで」の言葉が的を射ていることに気づく。馬鹿なんだけどなーと、まだお腹をなでている東の頭を皆が思い思いに軽くポンポンする。変に鋭いキャプテン見習いは置いといて、自分達の代が最上級生になったときにどう1年生を導いていくかを考えていく。

 

今のところレギュラーはキャッチャー以外は2年生で固まってしまうかもしれない。俺達の代は別にそれでいいが、今の1年生がそれで苦労する。

 

西は誰か強い心を持ったやつが、中心となって1年生を引き上げてくれたらいいのだが、と考えながら、今日の練習が終わった後に、2年生が自主練習をしているなかで、ひっそりと1人バットを振り続ける結城の姿を思い出していた。

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