至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

55 / 148
先攻 紅チーム

1 山崎 2年生 ショート (右)
2 佐々木 3年生 ライト (左)
3 神田 2年生 センター (左)
4 加賀谷 3年生 ファースト (右)
5 滝川 1年生 キャッチャー (右)
6 安達 3年生 レフト (右) ○
7 牟田口 3年生 セカンド (右)
8 道川 2年生 サード (右)
9 川口 3年生 ピッチャー (左投げ左打ち、サイドスロー)


後攻 白チーム

1 田坂 3年生 レフト (右) ○
2 栗原 3年生 ショート (左)
3 藤堂 3年生 センター (右)
4 加山 3年生 サード (右)
5 田中 3年生 セカンド (右)
6 岸谷 2年生 キャッチャー (右)
7 梅田 3年生 ライト (左)
8 結城 1年生 ファースト (右)
9 坂井 3年生 ピッチャー (右投げ右打ち、オーバースロー)

紅vs白 1-0


紅白戦(1打席目)

1回裏

 

先頭の田坂さんが三振に倒れるが、栗原さんがレフト前へヒットを放つ。1アウト1塁の場面で、打者はキャプテンの藤堂さん。

 

「よっしゃー!いいぞー!ここで畳み掛けろー!」

「キャプテンー!ここで確実に追い付きましょー!」

 

ベンチ内や、観客からの声援がより一層大きくなる。

少し照れた様子の藤堂さんは、アウトコース低めのカーブを引っ張って、左中間へツーベースヒットを放ち、1アウト2,3塁へとチャンスが拡がる。

 

いかにも強打者といったオーラを纏った、4番の加山さんが右打席に立つと、球場の雰囲気が変わる。みんなが固唾をのんで見守るなか、確実に外野へ弾き返して、犠牲フライで、白チームは同点に追い付いた。

 

2アウト2塁のチャンスとなり、5番の田中さんはしぶとく四球を選び、2アウト1,2塁と後ろへ繋げる。6番の岸谷さんは、チームの期待に応えて、左中間方向へ鋭いあたりを放つが、センター神田さんのファインプレーで、白チームは勝ち越すことはできなかった。

 

 

 

2回表

 

1塁から周りをよく観察しながら

 

「坂井さん!1つ1つ丁寧にいきましょう!」

 

と声をかける。これは田中さんから、お前から声を出して言ってみろと、言われたので、声をかけてみたのだが、

 

「結城ー!お前も落ち着けよー!また足元にくるかもだぞー!」

 

とからかわれてしまった。

 

ファーストミットを軽く2回叩いて

 

「さぁこーい!」

 

と声を出す。改めてチームの一員になれた気がして、少し嬉しかった。

 

エンジンがかかってきたのか、坂井さんは、ゾーンにボールがまとまり始め、6番、7番と連続三振を奪う。

 

「坂井さん!球走ってます!どんどんいきましょー!」

 

とキャッチャーの岸谷さんが、相手に強気でいくぞとアピールする。しかし、それとは逆に、8番の道川さんに対して、変化球を要求して、わずか2球でショートゴロに仕留めた。白チーム全員でハイタッチしながらベンチに戻っていく。

 

 

 

2回裏

 

7番の梅田さんが左打席に入るのを、ネクストのサークルで見送る。川口さんの持ち球は、140キロ前半のストレートに、スライダー、カーブ、シンカー。ピッチャーが弱点と言われてはいるが、かなりいいピッチャーだと思う。ただ、時々ボールがゾーンに来なくなるときがあり、そのせいで防御率が悪化していると、先輩たちから説明を受けている。

 

今日はいい日らしいが、打席では果たしてどのようなものか。

 

先頭打者の梅田さんが三振に倒れたので、俺は右打席へ向かう。

 

打席に入ろうとすると、クリスが

 

「ようやく来たか」

「一人で寂しそうだったから、早めにチャンスをもらえてよかったよ。」

「これは真剣勝負だからな。チャンスをつかめるかどうかは、お前次第だな。」

 

お互いにフッと笑う。

 

「お願いします!」

 

そう言って右打席に入り、息を深く吐きながらバットを構える。

 

「1軍レベルとは初対戦だろー!思いっきりいけよー!」

「形はいいから食らいついていけー!」

 

ベンチからの言葉、打席に立てているからこそ、もらえるものを噛み締める。

 

初球、低めのクロスファイヤーを空振りして1ストライク。

 

「川口ー!大人げないぞー!」

「1年に何むきになってんだー!」

 

とからかいの声が飛ぶが、ピッチャーの川口さんの表情は真剣で、目はクリスのサインだけを見ている。バットを持つ手に力が入る。2球目の外へ逃げていくシンカーを、遠いと感じて見逃すが、2ストライクとなる。

 

すると、観客席でざわめきが起こる。自主練習をしていた野手レギュラー陣が、姿を現して紅白戦を見に来たのだ。打席を外してその方向に目を向けると、柳さんがこちらを指差しながら、東さん、西さんと話しているのを見つける。柳さんと目があった気がした。

 

「打席ではいつも冷静に、心を落ち着けてバットを振り切ることが重要やね。リードを読んで打ったり、球種を絞って狙ったりと色々あるんやけど、そういうの苦手やんな?てっちゃんは来た球に反応して打てばええよ。何がなんでも食らいつきな。」

 

前にいわれた言葉を思い出す。磨いてきた自身のスイングを信じて、試合でそれをするだけ。練習でできることを試合でそのまま実行することは、とても難しいことである。しかし、それをやらなければ次へ進めない。

 

腹をくくってバットを握る手から力を抜いて、自然体を心がける。インコース低めに入ってくるスライダーを真芯で捉え、鋭い打球を放つが、サード道川さんのグローブに、直接入っていった。

 

「結城、いいスイングだった。次の打席も期待している」

「は!はい!」

 

いきなりの監督からの声かけにビックリするが、スイングを誉められて、自分がやってきたことは間違ってないと確信した。

 

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