至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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夏合宿

「さぁいこー!声出せー!」

 

6月の2週目に入ると、青道では、選抜メンバー(1軍)の20人を中心とした、夏合宿が始まっていた。

 

ベンチ外の投手の投げた球を打ち返すフリーバッティング、他のものは内外野ノックを順々におこなっていく。

 

「こらぁー!ゆうきぃー!おろおろすんなぁ!どこ見てる!」

「足運びはええんや!ボールにしっかり合わさんかい!」

 

結城はここぞとばかりに、内野ノックを集中的に受けていた。

 

「1つ1つ丁寧にやっていけー!腰を落とせ!まだまだ高い!」

 

田中さんが打つボールをしっかり捕球し、伊藤さんに投げ渡す。

 

「俺の枠を勝ち取ったんだ!しっかり気合いいれてけー!」

 

(悔しいはずなのにここまで‥‥絶対に活躍しないといけないな‥‥)

 

「もういっちょー!さぁこーい!」

「よし!よく言った!」

 

 

 

ノックをこなした後は、順番になったので、フリーバッティングをしに行く。

 

相手は同学年の丹波だった。

 

(周りをキョロキョロ見ていて集中できていない?どうしたんだ?)

 

「丹波!よろしく頼む!」

「はっ!はいっ!」

 

「おい丹波ぁ!緊張しすぎや!リラックスせぃ!」

「はいぃぃぃ!」

 

(先輩の声にも挙動不審になっている‥‥これは大丈夫なのか?‥‥)

 

質のいいボールが、ゾーンの近くにはくるのだが、一向にストライクゾーンに入らないので、2年生の3軍ピッチャーにかわる。

 

(さっきのが俺達の代のエース候補か、不味い気がする。いや、今は打つことに集中せねば!)

 

 

 

思う存分、2年生の3軍ピッチャーから打ちまくったあと、昼御飯になり、田中さんの隣に座る。

 

「やっぱり結城はすごい打つなぁ。あの打撃を見せられたら、1軍になって当然と思えたわ」

「いえ、まだまだです」

「もっと打つ気なのかよ!まぁ、秋になったら、7番か8番くらいは打てそうだし、そのときはOBとして応援してやるよ」

 

お互いにおにぎりを、もっしゃもっしゃ食べながら話す。

 

「栃谷が外野もできるから、ファーストを狙えるからな。あっ!そうだ、伊藤から今のうちにたくさん学んどけよ。あいつは唯一、2年生に1度もレギュラー取られたことがない天才だからな。まぁ努力量も精神力もやばいんだけどな」

「さっきノックに付き合ってくれた、伊藤さんですか」

「おぅ!なんだかんだ西、柳よりも出塁率高いからな。バッティングも学ぶことあるだろうしな」

 

自分に渡されたおにぎりを食べ終わると、東さんが

 

「このおにぎりも全部食えや!」

 

と言っていたのを柳さんが

 

「なに考えとんやー!ノック漬けにするんやから!んな吐かせとく余裕ないやろが!」

 

と東さんをボコボコにしていた。

 

18人がポール間ダッシュ、ベースランニングをする中、伊藤さんに教えられながら、田中さん達3年生からノックを受けていく。

 

「足の運びはバッティングにも繋がるからな!これで好きなバッティングでも更に活躍できるようになるぞ!気張れや!」

 

ノックを受け続け、地面に倒れこむ。

 

「よし!1日目はこんなもんだろ!さぁ!あいつらに合流してこい!」

 

と伊藤さんに言われ、残りの18人に合流して、声を出しながらグラウンドを20周して、1日目を終えた。

 

 

 

合宿は2,3,4日と続き、5日目の16:00頃、片岡監督がノックを打ち始めた。自分は外れろと言われ、クリスと一緒に先輩達の守備を見守る。

 

1時間がたち立てなくなる者が出始める。

 

「おい!角田!こんなものか!隣にいる2年生の神田は立ってるぞ!藤堂!声が聞こえん!もっと声を出せ!3年生!お前らはそんなものか!2年生に負けを認めるのか!」

 

ノックが更に激しくなる。

 

「まだ東、西、柳は元気に守ってるぞ!青道はこの3人だけか?」

 

気合いで他のメンバーが立ち上がる。

 

「もう、いっちょー!」

「こっちにこーい!」

「あぁぁぁぁぁ!」

「ちくしょーが!」

 

各々が声を振り絞り、監督の言葉に応える。

 

「よし!全員立ったな‥‥ラスト一球!‥‥いくぞ!」

 

「「「おぉぉぉ!」」」

 

 

 

「この人たちと‥‥野球をするのか‥‥」

「結城、メンバーに入ったからには、お互いベストを尽くそう」

「あぁ‥‥そうだな‥‥」

 

1年生2人は先輩達の勇姿を、最後まで見届けていた。

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