1 藤堂 センター (右)
2 玉森 ライト (右) ○
3 柳 レフト (左)
4 東 サード (右)
5 西 ショート (左)
6 伊藤 ファースト (右)
7 神田 代走 (左)
8 蜂須賀 キャッチャー (左)
9 結城 代打 (右)
後攻 仙泉学園オーダー
1 江島 センター (左)
2 高田 セカンド (左)
3 三宅 ファースト (右)
4 二階堂 キャッチャー (右)
5 平山 レフト (右)
6 小田切 ピッチャー (右、右オーバースロー)
7 寺田 ショート (右)
8 石垣 サード (右) ○
9 今井 ライト (右)
5回表 2-0
2アウトランナーなし
打者:玉森
[仙泉学園の2番手となります、2年生、小田切の投球前練習中です。これまで、今井と土田、共に3年生が先発し、この小田切が最後を締めるという形で勝ち上がってきました、仙泉学園]
〈小田切の変化球はスライダー、カーブの2球種ではありますが、直球は最速140キロ前半を記録しているので、かなり期待できる投手ですね。これまではストレートで押してくる場面が多く見られています。青道打線の流れを切るために、早めに抑えピッチャーを選択してきましたね。この采配が吉と出るか凶と出るか〉
[初球、インコース低めのストレート!コースは少し甘いですが、想定以上のボールだったのか、玉森は反応を見せますがバットが出ません]
〈外れると判断したボールが思ったより伸びたのでしょうか?振りにいくのを止めたが、思いがけずゾーンに入ってきた、そのような反応に見えますね〉
[2球目もインコース低めのストレート!空振りを奪います!]
〈先程よりも厳しいコースにきましたね。〉
[おぉっと!バットは止まった!止まった!外へ逃げるスライダーにバットが止まります!なんとか見極めました、青道の玉森!]
〈インコースに2球見せてからのアウトコースへのボール球、よく見極めましたね〉
[低めに外れるカーブで空振り三振!仙泉学園はなんとか2失点で5回を終えました]
〈更に追加点が入るかと思いましたが、なんとか仙泉学園はふんばりましたね。ここからは、ピッチャーの川口に代打を出したので、青道も継投となるのですが、ベンチには武藤、坂井がいます〉
[坂井は3回戦で、5回を投げてますから、恐らくは武藤が出てくると予想されますが‥‥お、ここで‥‥そうですね、武藤がピッチャーに、神田がそのままセカンドの守備に入ります]
〈武藤は140キロ前半の直球に、スライダー、カーブ、SFFの変化球を織り混ぜてきます。コントロールも良く、次期エースとして期待されていますが、厳しいところを攻めすぎて、結果として四球、甘い球を痛打されるところがあるようです。ここをどう割りきっていくのか、これによって今後が違ってくるかもしれません〉
[責任感がありすぎて自滅する、そういうこともありますから、緊張するのは仕方ないですが、頑張って欲しいですね]
▽
マウンド上にいる武藤が、キャッチャーの蜂須賀さんと軽く話すのを、ショートから見守る。蜂須賀さんが離れたのを確認して、武藤の帽子をポンッと叩く。
「どうしたんだよ?」
「俺達のエース、頼んだぞ」
お互いにニヤッとして別れる。‥‥自分が笑えていたのかわからないが‥‥
「ノーアウト!相手は8番打者!定位置で1つずつしっかり抑えていくぞ!」
内外野から応えてくる味方を頼もしく感じながら、打者の目線、グリップの位置を見ていく。
「内野!セーフティあるぞ!足動かしていけー!」
声と雰囲気で、打者にプレッシャーをかけていく。
(武藤の助けに少しでもなればいいのだがな)
初球のスライダーが、インコース低めに決まって1ストライク。打者は少し仰け反ったか、見逃したというよりは、バットが出なかった印象を持つ。
2球目のストレートが、高めに僅かに外れて1-1の平行カウントに。3球目は指が引っ掛かって、アウトコースにストレートが外れる。
「武藤!間を取って自分のペースで投げろ!」
伊藤さんの声が響き渡る。
4球目のアウトコース低めのストレートを、打者がコンパクトに弾き返すが、セカンドの神田が回り込んで、しっかり1アウトをとる。
「9番 ライト 今井」
「「うぉぉぉぉ!」」
仙泉学園側スタンド、ベンチが盛り上がる。打席には、点を取られたことを受け止めたのか、鬼気迫るような表情の今井さんがいた。
本来であれば、仙泉学園の4番は今井さん。一番危険な打者であり、勢いづかせてはいけないキーマン。武藤はしっかりと深呼吸をしてから、打者と対峙する。
初球、アウトコース、少し浮いたストレートを打たれ、ライト線より僅かに右にきれるファールとなる。武藤はマウンドをならして、蜂須賀さんのサインを見る。
武藤の渾身の、インコースのSFFを、今井さんは強振した。
センター方向へ強いゴロが飛んでくる。
(くそ!とどけ!)
必死に飛び込むが、グローブの先をボールが跳ねていく。仙泉学園側からは、精一杯の歓声、応援が聞こえてくる。続く1番の江島に左中間のツーベースを打たれて、1アウト2,3塁のピンチを迎えた。
「まだこっちが勝ってるからなー!1つずつ丁寧にいこう!」
伊藤さんの言葉で2年生主体の内野陣は、なんとか落ち着きを取り戻す。
(先制点を取ったが、角田さん、川口さんがいなくなったのが裏目に出たか?このチームは、5回までで試合が決まっていないことが少なく、接戦で勝っている、つまり守ればなんとか勝てる試合に慣れていない。東と武藤が、妙に落ち着きがないのはこのせいか)
いつもは率先して声を出す東も、何か動きが固い気がする。
(それにしても本当に急に動きが悪くなったな)
武藤はしっかりと腕を振って投げるが、コーナーを攻めすぎて、四球を与えてしまい、1アウト満塁となってしまう。
「1アウトー!満塁だから近いところ!1つ1つ取っていこう!」
そう言いながらも、西は不穏な雰囲気を拭えないでいた。