至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

65 / 148
先攻 青道オーダー

1 藤堂 センター (右)
2 玉森 ライト (右)
3 柳 レフト (左) ○
4 東 サード (右)
5 西 ショート (左)
6 伊藤 ファースト (右)
7 神田 セカンド (左)
8 蜂須賀 キャッチャー (左)
9 武藤 ピッチャー (右、右オーバースロー)



後攻 仙泉学園オーダー

1 江島 センター (左)
2 高田 セカンド (左)
3 三宅 ファースト (右) ○
4 二階堂 キャッチャー (右)
5 平山 レフト (右)
6 小田切 ピッチャー (右、右オーバースロー)
7 寺田 ショート (右)
8 石垣 サード (右)
9 今井 ライト (右)

5回裏 2-0
1アウト満塁
打者:三宅


仙泉学園戦 part5

甲高い音が聞こえ、右隣でボールが跳ねるのを見送る。

 

「ファール!」

 

聞こえた3塁審の声に安堵しながら、反応できなかったことに冷や汗が出る。

 

「タイム!」

 

気づくと、西に引っ張られて、マウンドの武藤のところへ向かうところだった。

 

「去年の夏のエラー‥‥まだ引きずっているのか?清国」

 

西の言葉にドキッとする。

 

「これ以上不甲斐ない様を見せるようなら、監督に加山さんと替えてもらうよう頼み込むぞ?」

 

チームを背負った男に選択を突きつけられる。

 

「4月に、打撃はそこそこで、守備が下手な結城を見て、過剰に反応していたが、あのエラーが気になっていたからか?」

 

図星をつかれ、ぐうの音も出ない。

 

「あれからエラーはたったの3回、今出たとしても、うちの打線なら相手を打ち崩せる。恐れることはない」

「そうだな、加山だってお前になら任せられるって、いつも言ってるからな」

 

西、伊藤さんの言葉が胸に響いてくる。

 

「なんや、ここでファインプレーでもして、もっと加山さんに認めてもらおうや」

 

言い返すと、周りの仲間達が笑う。

 

「そうだ、武藤、ここでズルズル終わるようなら、秋からのエースはもらうからな」

「は!!??」

「そりゃそうだろ。5回なら常に計算できる投手と、自滅する投手、片岡監督がどっちを選ぶか、明白だろ?じゃ!がんばれよ」

 

手をヒラヒラさせながら、西はショートに戻っていく。

 

サードにもどって土を蹴る。

 

(そこまでか‥‥そこまで演技するほどわしらはひどかったか‥‥)

 

「1アウトや!しっかりせぇやー!」

 

声を出して自分を、味方を鼓舞する。

 

(甲子園でもあんな煽りかたはせんかった。去年とは違う、ここで止めてわしらが勝つんや!)

 

気合いを入れて集中していく。3番打者が思いっきり引っ張った打球を、ダイビングキャッチし、戻りきれていないランナーを横目に、3塁ベースへ飛び付いた。

 

 

 

 

 

 

「サード!飛び付いたー!2ぁ、飛び込んだー!ランナー戻れず!1アウト満塁のチャンスが一瞬にして!儚く消え去りました」

 

〈打球に飛び付いて、そのまま跳ねるようにして3塁に突っ込みましたね。〉

 

「お腹を抑えながら、東がベンチへと戻っていきます。おっと、ベンチメンバーに囲まれて、お腹を撫でられたり、揉まれたりしていますね」

 

〈高校生らしさというか、幼さというか、強いというイメージがありますから、この姿は想像できませんでしたね。東は普段からこういう扱いなのでしょうかね?〉

 

「どうなのでしょうか。さて、6回表に移るわけですが、仙泉は交代などは見られないですね。3番柳が、おっと、いつも笑顔なのですが、今はなんというか」

 

〈闘争心を全面に出していますね。しかし、こんなに雰囲気のあるバッターだったでしょうか〉

 

「初球!打ったー!これは入りました、入りましたね!柳がベースを踏みながら雄叫びをあげる!」

 

〈なんと言っていいのでしょうか、全てが完璧、そういったバッティングでした〉

 

「私も打った瞬間入ったと、思わず言ってしまいましたから、えぇ。次の打者の東も怖いですから、ピッチャーの小田切は、集中し直さなければなりません」

 

〈先程のファインプレーもありますから、ここは期待したいですね〉

 

[初球、ストレートが外れてボール!2球目も低めに外れました、2ボールになります]

 

〈東も先程とは別人のような、打席での振るまいに貫禄があります〉

 

[ファインプレーをして、怪物が進化したのか、お!これはファール!3球目のインコースのストレートを、高々とレフトスタンド、ポール際に運んでいきました]

 

〈完全にボールが見えてますね。小田切は頻繁にロージンを触っています。かなりしんどそうですね〉

 

[打ったー!これはいくか!いってしまうのかー!入りましたー!2者連続ホームラン!仙泉学園を突き放す、無慈悲な一撃!]

 

〈ライトにいる今井がしきりに声を出していますが、チーム全体が浮き足立っているみたいですね〉

 

[ここで仙泉学園はピッチャーを替えます、3番手、3年生の吉田がマウンドに上がります]

 

〈吉田は球速は130キロ後半で、変化球はカーブ、フォーク、シュートがありますね。安定感のあるピッチングが魅力的な選手です〉

 

[初球、インコースのストレートが外れて1ボール。まだ1球しか投げていないが、汗の量がすごいですね]

 

〈相手が打の青道、それだけでも投げにくいと思いますが、バッターが西ですからね。なかなか簡単には撃ち取ることができないでしょう〉

 

[2球目を打った!これはでかいが、レフトポールから左へきれてファール!3球目も打っていった!これもライトポールよりも右に飛んでいきファールとなります]

 

 

 

[これで6球目になりますが、ここまで3連続でボール球が続きます、マウンドの吉田]

 

〈打たれた2球共、軽々と捉えられてますから、投げるボールがないですね。ここは四球でもいいとは思いますが〉

 

[バッターの西は、逃がさないと言わんばかりに、マウンド上の吉田を睨み付けています。少しアウトコースに外れるボールをファールにしました]

 

〈ここでとどめを刺す、そんな意思を感じますね。ここで勝負をしても打たれるでしょうし、敬遠すると逃げた印象が強すぎて、流れが更に青道側にいきそうですね〉

 

[ボール!これでフォアボールとなります!かなり遠めに外してきました。おっと、ここで仙泉学園のライトにいた今井がピッチャーに、吉田がライトへ守備位置を替わります]

 

〈この流れを止めることができるのは、エースだけ、ということでしょう。先程の打席での気迫があれば、かなり脅威になりそうですね〉

 

[好打者、伊藤への初球、インコースのストレートで1ストライク!]

 

〈交代する前より球が走っているように見えますね〉

 

[2球目は、インコースの高速スライダーで空振りを奪います!マウンド上の今井、首を振ってなかなかサインが決まらない。打った!これはショート寺田の正面!ライナーで1アウト!]

 

〈しっかりと捉えましたが、打球が上がらなかったですね。エースがここで抑えるとまだまだわかりませんよ〉

 

[打席には7番の神田が入ります。俊足のバッターですから、なかなか簡単にはアウトが取れなさそうです。西が走った!二階堂は2塁へ投げますがセーフ!得点圏にランナーがきました!打った!右中間!西がホームへ走り込んでくるが、外野からの返球はまだ!5点目がはいりました!青道の攻撃が止まらなくなってきました。]

 

〈迷わず神田は2塁へいきましたね。先制点をとったランナーですから、仙泉学園も警戒はするでしょうが、ゴロになれば積極的に狙ってきますよ〉

 

[仙泉学園、タイムをとります。このまま押され続ける流れをなんとか断ち切りたいですね。]

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