至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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秋の都大会 3回戦 成孔

[秋の都大会 3回戦、成孔と青道の試合が、まもなく始まろうとしています。夏の西東京の都大会では成孔がベスト4、青道がベスト8を記録している両チーム、まだ3回戦ですが好カードとなっております。]

 

〈お互いに打撃を持ち味とするチームですから、点の取り方に注目していきたいですね。ですが、青道は今のところ、エースの武藤が予選を含めた4試合のうち、2試合に先発していまだ無失点です。成孔打線は武藤をどうやって攻略するのでしょうか〉

 

[エースの武藤は最速146キロの直球に、スライダー、カーブ、SFFを混ぜてくる、西東京屈指の投手ですね。コントロールは多少粗いところはありますが、ガンガンゾーンで勝負してくるスタイルに、ファンが多いですね。]

 

〈夏までは、ここぞというときの制球に苦しんでいましたが、開き直ってゾーンで勝負するようになってから、成績を急上昇させていますね〉

 

[強気なピッチングスタイルから、青道の現監督、片岡鉄心以来の闘魂エースとして期待されています。今年の夏の甲子園準優勝を経験した、稲城実業の精密機械、エース 南野 竜と投げ合うことがあれば、面白そうですね]

 

〈現2年生はこの2人が、西東京の投手としては飛び抜けていますからね、期待していきましょう〉

 

[後攻の青道オーダーはこのようになっております]

 

 

 

1 神田 セカンド

2 玉森 ライト

3 柳 センター

4 東 サード

5 栃谷 レフト

6 結城 ファースト

7 滝川 キャッチャー

8 山崎 ショート

9 武藤 ピッチャー

 

 

 

[昨年度の春の甲子園で活躍を見せた野手が、数多く主軸に残っていますから、なかなか怖い打線ですね]

 

〈これに本来でしたら西もいますから、飛車落ちで戦うような形になりますが、これでも全国屈指の野手陣だと思いますよ〉

 

[今日はどういった野球を見せてくれるのか!期待していきましょう。プレイボールまでもうしばらくお待ちください]

 

 

 

……

 

 

 

[さぁ、試合が始まりました。初球、インコース低めにストレートが決まって1ストライク!成孔の1番打者に対して、いきなり強気な攻め方をしてきます。]

 

〈このストレートですよねぇ、伸びがあって迫ってくるように感じるでしょうから、なかなか初見では捉えることは難しいでしょう〉

 

[2球目もインコースにストレート!空振りを奪います!さっ!3球目もストレート!空振り三振!]

 

〈気合いが入ったストレートで押してきますね!フルスイングをしてくる成孔打線にこの攻め方は予想外です〉

 

 

 

 

 

 

(くそ、ガンガン振ってきやがるな)

 

4回表、2アウトランナー1塁の場面で、マウンド上の武藤は汗を拭う。ゾーンで勝負するようになったが、時々コースを攻めすぎてフォアボールになってしまう、その悪い癖が出てしまった。

 

いまだノーヒットに抑えているが、フルスイングしてくる打線に対して、体力の消耗は普段より激しい。クリスとこの2ヶ月間しっかりと話し、お互いのプレーを見て信頼関係を築いてきて、ようやくリードの組み立ての妥協点が見出だせてきた。それ故の今大会無失点。

 

迷いなくクリスのミット目掛けて、要求された以上のボールを投げ込んでいく。

 

「ストライク!バッターアウト!」

 

「よっしゃ!よくやったで武藤!」

「後ろから安心して見ていられるよ」

 

東、神田に声をかけられながらベンチへと戻っていく。

 

8-0と打線が確実に点を取り、エースである俺がしっかりと抑える。

 

(西がいたらもっと点数取って心折ってんだろな)

 

8点取ってくれている打線を頼もしく思いながら、まだ点数を取り足りないと思うのは欲張りになったなと、渡されたスポーツ飲料を飲みながら打席に立つ結城を見る。

 

(この強い形を保ったまま、居残りで頑張ってる1年生が更に後押ししてくれれば、甲子園優勝も夢じゃない。不甲斐ない投球をしても、諦めず使ってくれた監督のためにも。そして、無理をすればベンチ入りして戦うことができたであろうに、あえて秋の大会のメンバー入りを見送って、俺達を信頼して休養に専念した西のためにも、まずは優勝しないとな)

 

「「おおぉー!」」

 

結城のフェンス直撃のシングルヒットで、球場全体が盛り上がる。

 

(結城もクリスも頼もしいね。後輩がいい感じで活躍してると、俺もやらないとなって気になってくるぜ)

 

 

 

 

 

 

クリスのホームランで10点差となり、5回表を武藤が3人で締め、参考記録ながら、ノーヒットノーランを記録して、13-0のコールド勝ちを挙げた。

 

これに驚いたのは他の東、西東京の強豪チームの偵察であった。前チームの夏の状態と、ほぼ変わらないレギュラー戦力に加えて、成孔の強力打線をノーヒットノーランで抑えるエースの台頭。

 

西の登録メンバー落ちで、評価を下げていた青道だが、結果で周囲を黙らせ、優勝候補筆頭と称されるようになった。

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