至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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春の甲子園大会 初戦

[テレビの前のみなさんこんにちは!春の甲子園、1日目の第一試合が始まろうとしています。初っぱなから強豪同士の試合となります。先攻が青道高校、後攻は白龍高校となっています]

 

〈打の青道と機動力の白龍、どちらが今大会の勝利をいち早く手にすることになるのか、楽しみですね〉

 

[青道のオーダーはテレビ画面上のものとなっています]

 

 

 

先攻 青道オーダー

 

1 神田 セカンド (左)

2 西 ショート (左)

3 柳 センター (左)

4 東 サード (右)

5 栃谷 レフト (右)

6 結城 ファースト (右)

7 玉森 ライト (右)

8 岸谷 キャッチャー (右)

9 武藤 ピッチャー (右、右オーバースロー)

 

 

 

[白龍は4番の蒲生くんに期待していきたいですね。]

 

〈すべてにおいてトップレベルの選手ですから、この試合でも活躍してくれることでしょう〉

 

[初回、青道の攻撃は、1番神田から始まります。白龍のエース土井は粘りきれるでしょうか?]

 

〈最速138キロの直球に、スライダー、スローカーブ、シンカーといった変化球を持っています。右のサイドスローで、少し独特なフォームが特徴的ですね〉

 

[さぁ、プレイボールです!]

 

 

 

 

 

 

西は、サイレンが鳴ってから、ネクストのサークルに入る。横からボールの軌道を確認していく。神田が軽々とバットに当てていることから、そこまで脅威なピッチャーではないと把握する。

 

(変則的なピッチャーに見せかけるために、余計な動作が入っていて、十全に体を使えていないピッチャー、何を恐れることがあろうか)

 

神田が9球投げさせてから、センター前に軽くヒットを放つ。いつもの光景に青道ベンチは落ち着いたものだが、白龍ベンチは動揺を隠せない。

 

そして、ここからは青道にとっても普段とは違う。練習戦で試したことはあっても、公式戦では初となる打順構成。

 

「2番 ショート 西」

 

 

 

「「おぉぉー!まってたぞー!」」

 

 

 

甲子園に怪物が戻ってきた。

 

西は打席に立つと、全く力感のない様子でバットを軽く構える。

 

(決め球のシンカー打ってみたいな)

 

大雑把にやることを決める。片岡監督からは、何をするかは神田と西に任せると言質をとっている。なので、やりたいことを2人でやらせてもらう。

 

「走った!」

 

神田が初球から果敢に2塁を陥れる。

 

(様子見に慎重に投げようとしてきたけど、初球の盗塁に焦ってボールが外れたのかな?)

 

ボールカウントが1つ増えて、ノーアウト2塁のチャンスとなる。

 

(バッターを気にしすぎて、ランナーが頭から抜けてるな)

 

バッターの威圧感に呑まれ、相手エースの土井は正常な判断ができていない。

 

(神田、相手のお株奪ってしまえよ)

 

「はっ!走った!」

 

インコースに攻めてきたスライダーを、わざと当てないようにフルスイングする。

 

「キャッチャー弾いた!」

 

白龍のキャッチャーはなんとか前にボールを落とすが、ボールをつかんだ頃には、神田は悠々と3塁に到達し、余裕の笑みを浮かべている。

 

(来るだろう?ここで自信のある決め球、シンカーがよ)

 

コースはしっかりと外角低め、しかし球種が分かっていては

 

 

 

カキィィィン!

 

 

 

逆らわず、それでいて力強い打球がレフトスタンドに突き刺さった。右拳を掲げてベースを踏んでいく。スタンドからの歓声を浴びながら、次の展開について考えていく。

 

ホームに到達すると、神田と柳に迎えられる。ハイタッチしながら小さな声で

 

「打ち頃だぞ」

 

と伝えると柳はニヤッと笑って打席に入っていく。ここから白龍高校の悪夢が始まった。

 

 

 

 

 

 

[試合終了!春の甲子園の開幕試合、強豪同士の戦いでここまで差がつくとは思いませんでした。初回に12得点をあげた青道高校は、そのままの勢いで白龍高校を31-2で下しました。3回までに24点とった青道は控え選手を次々と投入してきましたね]

 

〈そうですねぇ、白龍の投手陣がかわいそうになるくらいでした。それに対して青道は、エースの武藤は5回を投げて、打たれたのは4番の蒲生のヒット2本のみでした。投手力の差というよりは、打線の差がでかすぎましたね〉

 

[白龍の打線も悪いわけではないと思うのですけどね。後半に出てきた1年生ピッチャー2人から、しっかり1点ずつとれていますからね。4番の蒲生は3安打と1人だけ気をはいていましたね]

 

〈青道の打線が規格外でしたね。1番から8番まで切れ目のない打線を、全国の好投手がどう抑えていくのでしょうか、注目していきたいですね〉

 

 

 

 

 

 

初戦に快勝をして、宿に戻るレギュラー陣を見ながら、落合コーチはプルプルと震えていた。

 

(滝川を温存してこの得点力‥‥地方大会レベルのピッチャーならあぁなってしまうか‥‥)

 

明らかに意図的にチームの打線に火をつけた西を見る。

 

(色々と探ってみたが、この打線の相手になりそうなのは、大阪桐生の兵藤、稲城実業の南野くらいだろうな。それ以外だと神田、西の1,2番コンビに崩されて、そのまま終わってしまいそうだ)

 

髪をポリポリとかく。

 

(スター集団に上位個体が加わって、手がつけられないナウ)

 

西が加わっただけで、更に強力になった青道打線の完成形に、苦笑いするしかなかった。




原作の東世代にはもちろん、神田、西、柳、栃谷、玉森、岸谷はいません。クリーンナップがクリス、東、結城であったと考えています。
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