至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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次に向けて

春の都大会 決勝では、青道と稲城実業の試合が行われていた。

 

先攻 青道オーダー

 

1 石橋 センター (左)

2 山崎 ショート (右)

3 神田 ライト (左)

4 道川 ファースト (右)

5 西 影次 サード (右)

6 岸谷 キャッチャー (右)

7 城之内 レフト (左)

8 小湊 セカンド (左)

9 伊佐敷 ピッチャー (右、右オーバースロー)

 

関東大会行きを決め、夏の大会のために、手の内を明かしたくない両校は、お互いに控え選手をメインにしたオーダーを組んでいた。

 

しかし、野手陣の差はかなり大きく、稲城実業の控え投手では、青道打線を抑えることができない。特に勝敗を分けたのはキャッチャーの差であった。青道のキャッチャーは、守備においてはクリスに並び、信頼感では凌駕さえする岸谷であったのに対して、稲城実業のキャッチャーは、中堅校の域を出なかった。

 

「ゲーム!」

 

試合が終わり、記者の峰は感嘆する。

 

「青道の背番号1桁メンバーは、キャプテンの神田のみ。それでいて攻撃意識高く、稲城実業投手陣を全員で崩していく攻めの野球。守備では岸谷の、1年生投手の特徴を活かしたリード。伊佐敷を5回1失点、丹波を2回2失点でリードしきった。」

 

「後のない3年生の強い思いか、控えとは思えない粘り強さ。稲城実業は気迫に圧されて、一方的な展開になってしまった。特に2年生の結城、滝川にレギュラーをとられている道川、岸谷の存在感。レギュラー同士の戦いであれば違うのだろうが、12-3での7回コールド。選手層の差が如実に出たな」

 

メモをまとめていく。

 

「今年の青道が飛び抜けて強いわけだ。各ポジションをスター選手が埋め、控えにもそれに追随する選手がいる。言葉としては変かもしれないが、並みの強豪校では相手にならないだろう。夏の大本命でいいだろうな」

 

そうまとめると球場を後にした、

 

 

 

 

 

 

青道は春の都大会で優勝し、次のGW連休中の練習試合や、関東大会に向けて練習をこなしていた。

 

片岡監督は全体の様子を見て、ある種の達成感を得る。

 

(相手も控えメインではあったが、稲城実業にコールド勝ちしたのがよかったのだろう。更に自信をつけて、練習に打ち込んでいる。伊佐敷、丹波も相手打線を抑えることができる。それを自信にして更にステップアップを狙いたいものだ)

 

こういった時に1番怖いのが怪我だ。練習している様子を注意深く観察し、異常がないことを確認していく。

 

(うん、特に問題無さそうだ)

 

そう判断して監督室へ戻り、落合コーチと合流する。

 

「片岡監督、お疲れさまです。現在、投手、捕手に問題は無さそうです。大会が終わったので軽いスクリーニング検査、聞き込みをする予定ではありますが、動き自体は悪い選手はいません。それどころか決勝で火が着いて、むしろ動きが良くなっている感じすらしますね」

 

片岡監督は頷き

 

「後のない3年生は意気込みが違う。特に道川、岸谷には頭が上がらない。1年生の頃から東達に追い付くんだと、練習をし続けてきた者達だ。努力量は私がエースをはっていた頃の野手陣のものよりも多く、逞しく育ってくれたと思っている」

「あいつらに追い付け追い越せ、そういった雰囲気を維持し、育て上げたのは、片岡監督の手腕もあってこそと考えますが。まぁ、ここで怪我などされては面白くないですし、より慎重に磨き上げていきましょう」

 

お茶ではあるが乾杯をして飲み干す。

 

「ではブルペンに戻ります」

 

そう言って落合コーチは退出していった。

 

片岡監督は再び直接指導するために、グラウンドへと向かう。

 

(書類仕事やOB、後援会への対応を気にする必要がなくなって、かなり余裕ができてきた。そのぶん選手達にしっかりと指導ができていることに感謝せねばならないな)

 

(それに、落合コーチがきて、指導する姿を見ていると気づかされた。怒った姿を見せて、選手達に考えることを要求して、大体の方針を提示する。教師としてはそれが正しいと思っていたが、言葉でしっかりと説明し、諭して導いてやる。そういった指導の方が自分に向いていることがわかった。)

 

「結城!当てにいこうとするな!意識が行き過ぎてスイングが鈍くなってるぞ!」

「はいっ!」

 

「西!影次のほう!調子に乗って、セカンドの守備に混ざるんじゃない!ショートにもどれ!」

「げっ!ばれた!はい!」

 

「今から俺がノックする!受ける元気があるやつは残れ!」

「「しゃぁぁぁ!やってやるぜ!」」

 

こいつらと野球ができるのも、ノックをしてやれるのもあと4ヶ月。悔いのない練習を、試合を、結果を。今できることを精一杯に片岡 鉄心は指導していく。

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