至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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紅白戦のあと

13回からは全選手入れ換えて、結局16回まで延長した紅白戦が終了し、御幸は多少の疲れを感じていた。しかし、2,3年生が元気に素振りや、シャドーなどの自主練習をしに行くのを見て、自分も自主練習をすることにした。

 

(伊佐敷さんと組んで2回1失点、真木と組んで4回1失点の守備はいいとして、チャンス以外でとことん打てないのはまずいよなぁ。あっ、飲み物忘れた)

 

取りに戻るのも億劫だったので、少し離れたところにある自販機に向かう。

 

「クリス、お前肩を痛めてるんじゃないか?」

(ん?)

 

角を曲がった先から岸谷さんの声が聞こえてくる。

 

「去年の蜂須賀さんと同じ投げ方になっていた。投げることはできるが、元の投げ方だと痛みでコントロールが効かない、そうだな?」

「‥‥はい‥‥肘を肩より上にして投げると痛みが出るので、若干下にして投げていました」

「いつからだ?」

 

御幸は聞き耳をたて、壁に密着する。

 

「原因として考えられるのは、春の大会の準決勝、1塁へのヘッドスライディングですかね?その試合は大丈夫だったのですが、次の日に痛みが出て、決勝は観戦のみだったので休養、その次の日は痛みがひいていたので、普通に練習に参加していました。あっても違和感程度だったので大丈夫かと思ったのですが、今日の紅白戦で初めて痛みが出た感じですね」

「なるほどな。それで送球時のフォームを修正したのか。このことは監督には?」

「伝えていません」

 

御幸はいまだ内容が信じられず、動けずにいた。

 

「今の軽いうちに伝えておけ。西みたいに痛いのを我慢しながら腕が一時的に動かなくなったわけじゃないんだ。すぐに戻ってこれるだろ」

「しかし、それではチームが」

 

 

ダァン!

 

 

「自惚れるなよ?お前がいない時からチームを支えてる俺と藤谷がいるんだ。クリス、お前がいなくても今のチームは回るぞ。」

「‥‥」

「でも秋以降はそうはいかねぇぞ?」

 

それを聞いて御幸は顔を上げる。

 

「1軍でなんとかやっていけそうなのが、2年生の宮内に1年生の御幸くらいか。クリス、今を考えてくれるのは3年生として嬉しいよ。でもな、蜂須賀さんから教えを受けた、弟弟子でもあるお前が、元気に活躍する姿を見たいってのもあるんだ。俺に任せてくれないか?」

 

少し間があいた後に長く息を吐く音が聞こえる。

 

「分かりました。大人しく監督に伝えることにします。」

「付き添うわ」

「ありがとうございます」

 

そう言うと、雑談しながらこちらへ向かって‥‥向かって?‥‥

 

(やべっ!いやまてよ?)

 

そのまま角を曲がってきた、岸谷さんとクリスさんと対面する。

 

「リハビリの間にレギュラーもらうんで、ずっと休んでいてもいいんですよ?」

「フッ、すぐに奪い返すさ」

 

御幸は盗み聞きをしていたことで、岸谷さんにアイアンクローをされたあと、2人に付いていって、監督室へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り、青道首脳陣は監督室で会議をしていた。落合コーチが早速仕切り始める。

 

「まずは簡単に整理していきましょうか。先に片岡監督と話し合って、夏の大会の1軍は現時点ではこのメンバーが確定、そしてこちらが残り枠を争ってもらうメンバーと考えています。」

 

 

 

1軍確定枠

 

投手

 

武藤、井手、真木

 

 

捕手

 

滝川、岸谷

 

 

内野手

 

結城、道川、会田、東、神田、西晴之

 

 

外野手

 

栃谷、柳、玉森、城之内

 

 

以上15名

 

 

 

残り枠(左から期待値高い)5枠を争う

 

投手

 

遊佐、伊佐敷、丹波

 

 

捕手

 

御幸、藤谷、宮内

 

 

内野手

 

西影次、山崎、小湊、倉持、増子

 

 

外野手

 

石橋、坂井、門田、白州

 

 

 

「残り枠は5つ。候補もかなり絞ってありますが、このメンバーが妥当でしょうな」

 

うんうんと頷きながら、落合コーチは説明していく。

 

「捕手の負担を考慮してもう1人、内野手、外野手を1人ずつと考えるとフリー枠が2つですか。片岡監督はどうお考えで?」

「概ねその構成で大丈夫だろう。守備面を考慮すると、内野手枠に西影次、外野手に石橋を推薦したい。捕手は次を考えると御幸がいいだろうか」

「御幸はいい選手ではありますが、まだ線が細い。無理はさせず2軍で育てるのがいいのでは?藤谷もいいキャッチャーですし」

 

と太田部長が2人の会話に割り込む。落合コーチも

 

「御幸は1軍の空気を感じてもらいましたし、身体作りに専念してもらって、じっくりクリスの後の正捕手として育てる。私もこれがいいとは思いますが」

 

と言って片岡監督を見る。お互いに意見を交わすが平行線で決着がつかない。その時、

 

コンッコンッコンッ!

 

とノックの音が部屋に響く。

 

「3年生の岸谷です。片岡監督にお伝えしたいことがあって伺いました。入室しても大丈夫でしょうか?」

「あぁ、はいれ」

「失礼します!」

 

そう言って岸谷、クリス、御幸が入ってくる。ちょうど捕手の枠で話し合っていたところであったため、太田部長はギョッとした顔をする。クリスが肩を痛めたこと、違和感が前からあったことを説明し、報告しなかったことを謝罪をする。

 

すると、片岡監督は怒るでもなく

 

「よく自分から言ってくれた、すぐに病院へ手配をする。高島副部長、付き添いを頼めるか?」

「はい!手続きもこちらでいたします」

 

そう言うと、高島副部長はクリスを連れていき、岸谷、御幸も

退出していった。

 

 

 

予想外の出来事であったが、不幸中の幸いか、現3年生が残っている時期であった。

 

「落合コーチ、藤谷と御幸を1軍確定枠に頼みます」

「怪我ばかりは仕方ないですな。わかりました。それでいきましょう」

 

その後も太田部長を含めた3人で話し合い、今後のことを決めていくのであった。

 

6月の1軍固定まで、残り2枠をかけた戦いが始まる。








残り2枠の流れが分かりづらかったようなので、補足します。



話し合い前に残り5枠

片岡監督の推薦で西影次、石橋、御幸
→西影次、石橋には反対がないので決定、御幸で話し合い

この時点で残り3枠

クリスが怪我の報告で離脱が判明し、怪我の状態がわかるまで除外のため残り4枠

岸谷のみとなった捕手に、1年生の御幸だけでは不安なため、藤谷をセットにして1軍へ→残り2枠

こういった流れになっています。

ふと、今後どこまで書くかなと思ったのでアンケートを1つ。よろしくお願いします。

  • 東世代の卒業まで
  • 結城世代の卒業まで
  • 御幸世代の卒業まで
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