至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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次世代のエース part1

結城はいつも通り、2,3年生の居残り組練習に参加していた。最近は、練習してから少し余裕のある影次、真木も参加している。御幸は藤谷さんの指導で、体力をかなり使うようで、参加できないでいるようだ。

 

クリスは右肩を痛めてから、西さんから個別に指導を受けていた。

 

「右肩に負担がかからない程度に、ゆっくりとバットを振って、一切ブレがないように。結城もこっちくるか?」

「はいっ!」

「2人とも相手ピッチャーを想像して、投げてくるボールをイメージして素振りをするんだ。やっているとは思うが、これは大事なことだから、真剣に集中して、実際に対戦したら100%打つことができる。そう思えるくらい振るといい。そのときに自分の想像する理想的な軌道に、スイングがのっていたらなおいいだろう」

 

言われたようにやってみるが、投手のイメージがあやふやである。そうして悩んでいると影次がやってくる。

 

「最初目を閉じてやるといいですよ!まぁ俺もいまだに目を閉じてやってるんですけどね」

 

目を閉じて、素振りをしていく。50回したぐらいであろうか、ようやく上手くイメージすることができるようになってきた。そんな気がした。

 

「結城はようやく身体が出来上がってきたからな。体力と型をつけるための今までの素振りを続けながら、鮮明に相手投手をイメージしてバットを振り抜く。そういったことに意識して取り組んでいくべきだろうな」

「はいっ!」

 

イメージしながらの素振りを続ける。影次が

 

「兄ちゃん!俺にはアドバイスないの?」

 

西さんは影次の方をチラッと見ると

 

「技術的なことはしっかりとできている。身体が成長したらズレが生じるから、それを素振りなどしながら、調整すればいいだろうな。わs、俺よりも思いきりがいいところがあるから、あまり変に気にすることはない」

「結局素振りか~‥‥まぁ、やるけどね‥‥」

 

そうして影次は素振りを再開した。

 

クリスは、時々西さんがやるような、ゆっくりとした素振り、というよりは、バットが出るべき軌道を丁寧になぞっている。

 

少しでも3年生に追い付くために、他の先輩のアドバイスも聞きながら、懸命に素振りをし続けた。

 

 

 

 

 

 

5月の中旬になり、関東大会が開催された。1回戦はシードで、初戦は2回戦となった。先攻、青道のスターティングオーダーは

 

 

 

1 西 晴之 ショート (左)

2 小湊 セカンド (左)

3 玉森 ライト (右)

4 道川 サード (右)

5 結城 ファースト (右)

6 城之内 レフト (左)

7 石橋 センター (左)

8 真木 ピッチャー (右)

9 藤谷 キャッチャー (右)

 

 

 

確定メンバーに加えて、2年生の小湊、伊佐敷が1軍となっていた。

 

スターティングメンバーが発表された時に、球場がざわつく。

 

「ピッチャー1年生?丹波とか伊佐敷じゃないのか」

「え、この時期の1年生登板って、相当期待されてるんだよな?あの打線を育て上げ、武藤、井手を覚醒させた若き名将、片岡監督のことだし、変なことはしないだろうけど、あの選手層に割り込むってやばくないか?」

 

記者の峰は必死にペンを走らせる。

 

「1年生だよな?180cm以上あるんじゃないか?」

「身体も結構がっしりしてるな」

 

 

ドズン!

 

 

球速は138キロと、1年生にしては速いという印象を受けるが、高校野球としてはそこまでではない。注目すべきはその球の威力、重さ。相手打者がバットに当てたとしても、まともに外野に飛んでいかない。キャッチャーの藤谷も、簡単に飛ばされないことがわかっているからか、ゴロを打たせるような配球をして、球数を節約している。

 

(相手も関東大会に出てくるような高校だ、打線が悪いわけではない。しかし、あの落ち着きようと、打者の力を見切ったような投球はなんだ?)

 

真木の1年生らしからぬ落ち着きと、目の前の打者に自分の力を試してみたいという、年相応の目の輝きを見ていく。

 

(青道には他にも気になる点がある。ベンチ入りメンバーに、次期エース候補の丹波がいないのは、真木の存在に納得させられたが、滝川がいないのはなぜなのか。藤谷も相当いいキャッチャーだが、打力を考慮すると滝川の方が総合的には上に思える。普通、外すなら1年生の御幸だろう)

 

結局、5回コールドで13-0と青道が完全勝利を遂げた。試合が終わってからも峰は青道の選手登録について、考察していく。

 

(ゴシップ的なのは書かないが、滝川が外れるとすれば怪我の可能性か。滝川の穴は藤谷で完全に埋まるだろうが、秋以降には岸谷、藤谷はいない。そうか、そのために御幸を1軍に残したのか。滝川の怪我次第では、秋以降、王者青道の牙城が崩れるかもしれないな)

 

峰はそのような展開を予想した。

 

(小湊、結城、御幸、西影次、真木、丹波、伊佐敷が残る。豊富な投手陣に、確立された3,4番を打てる打者。あれ?これでも十分強いのか?)

 

未来の青道を心配しながらも、現在の青道に目を焼かれた記者は、今日も腹ごしらえにうどんを食べに行くのだった。

ふと、今後どこまで書くかなと思ったのでアンケートを1つ。よろしくお願いします。

  • 東世代の卒業まで
  • 結城世代の卒業まで
  • 御幸世代の卒業まで
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