至高の一打   作:もぐもぐファンタ爺

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夏合宿 part2

現3年生がこなす合宿メニューは、1,2年生には早すぎた。結城、影次以外は脱落し、木陰に倒れこみ、休息を取っている。

 

そうした現状に対して、片岡監督は

 

「2年生の槙原、丹波、増子、1年生の川上、倉持、白州。以上6名は3年生1軍の練習に混ざれ。お前達から1軍を奪い取った奴らが脱落した練習、お前らが引き継げ」

「「はいっ!」」

 

こうなるとわかっていたかのように、2軍にいる秋以降の戦力を1軍に混ぜる。最初はキレよく動いていたが、2日目、脱落組が復活しても、支援組に回ることは許されず、3年生を追い込むメニューを同じように課される。

 

(やべぇって、なんでこの人達こんなに動けるんだよ)

 

昨日脱落して、今日復活した御幸は、重いからだを動かし、岸谷さん、藤谷さんを見る。ノッカーのクリスさんに前後左右に走らされる。

 

(キャッチャーフライ、落としたらベースランニング一周してすぐもう一回とか鬼畜過ぎんだろ)

 

昨日3連続落球しダウンしたため、今日は落球なしでいきたい。すると、クリスさんがボールを自分の前に転がしてくる。

 

「ボール2つ!」

 

すかさず拾って2塁へ投げる。

 

「2塁に誰もいないのに投げるやつがあるか!指示があってもカバーがいなかったら投げるな!ベースランニングゴー!」

「くそったれがぁぁぁ!」

 

全力で一周した後、キャッチャーフライを打たれる。なんとかキャッチして藤谷さんと交代する。息を整えていると岸谷さんが

 

「クリスのやつ、変にバリエーション増やしてきて鬼畜だな」

「ぜぇ‥‥ぜぇ‥‥ですね。すごく嫌なことしてきますよ」

 

「ボール3つ!」

 

捕球した岸谷さんが反応しかけるが、投げるのをやめる。3塁を見ると、東さんがニヤニヤしながらこちらを見ている。

 

「サードに東さんが控えていたのに投げないのはダメですよ!ベースランニングゴー!」

「くそやろぉぉぉ!」

 

岸谷さんが走らされる。

 

(クリスさん容赦ねぇな)

 

そんな日々が続き、合宿メニューの最後に監督ノックが行われたが、1,2年生は全員が脱落し、3年生の西さん、柳さん、東さんだけが最後まで立っていた。

 

「もういっちょー!」

「まだまだいけるやんな!」

「さぁこいやー!」

 

ラストはこの3人が10球ずつ、ミスなしでノックを切り抜けた。

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

 

 

明日から2日間、合宿の締めとして練習試合が行われる。明日は2試合、明後日は1試合の予定である。

 

御幸は、今日は早く寝て、明日の朝、相手について研究することを決めて、布団にもぐった。

 

 

 

……

 

 

 

「おきろー!」

 

先輩の声にハッ!と目を覚まして時間を見ると7時10分、朝練習は合宿の翌日として休みであったが、ご飯を食べねばまずい時間。

 

ご飯をかきこみ、準備をしてグラウンドに行くと、今日の練習試合の相手、国士舘と白龍高校のメンバーが準備運動をしていた。

 

(あっ、相手研究してねぇ‥‥どうしよ‥‥)

 

今日第一試合のスタメンマスクをかぶる予定の御幸は、盛大にやらかしていた。

 

第一試合の青道のスタメンは

 

 

 

1 石橋 センター (左)

2 小湊 セカンド (左)

3 結城 ファースト (右)

4 道川 サード (右)

5 玉森 ライト (右)

6 西 影次 ショート (右)

7 城之内 レフト (左)

8 御幸 キャッチャー (左)

9 武藤 ピッチャー (右、右オーバースロー)

 

 

 

国士舘の投手はエース財前が先発である。

 

昨秋の時点で最速141キロ、持ち球はスライダー、カーブ、フォーク、ツーシームと豊富である。

 

御幸はかろうじてその情報は覚えていた。

 

(攻撃の時にベンチでサッと復習するしかないか)

 

こちらが先攻なので、早速スコアブックを見ようとベンチに入ると、隣に武藤さんが座る。冷や汗が垂れる。

 

「今日のバッターの特徴は~」

 

1番打者から簡単な特徴を説明される。

 

「すぐに爆睡したと報告を受けてな。まだ身体ができあがってないんだ。無茶をするなよ」

「う、うす」

「罰として試合が終わったらグラウンド10周だからな。監督にも最初から言ってある」

 

御幸はうなだれ

 

「はい、走らせていただきます」

 

と言うしかなかった。

 

 

 

投手戦となると思われたが、2回表に先頭打者の道川さんのツーベースヒットと、玉森さんのセンター前ヒットの連打で青道は先制点をとる。その回は後続は続かないで追加点はお預けとなるが、4回表にも石橋さんが四球で出塁すると、亮さんがバントでランナーを得点圏へ送る。1アウト2塁で哲さんが、レフトフェンス直撃のタイムリーヒットを放ち、2点目をとると、道川さんのシングルヒット、玉森さんの四球で1アウト満塁のチャンスとなる。

 

バッターは今日6番に入った西 影次。

 

「影次いったれー!」

「怪物を継ぐものー!いけいけー!」

 

財前さんのカーブ、ストレートに食らいつく。

 

 

パァン!

 

 

「ストライク!バッターアウト!」

「あぁー!見逃し!」

「満塁だぞー!積極的に行けー!」

 

過剰な期待、合宿の疲れで動きが鈍ったか、影次はインコース低めのフォークを見逃してしまった。

 

「ドンマイ!ドンマイ!」

「次もチャンス回ってくるぜー!」

「城之内ー!仇とったれー!」

 

 

キィン!

 

 

決して大振りではないスイングで、しっかりと捉えられたボールは、右中間を破っていく。

 

「まわれまわれー!」

「おぉぉぉ!打った!さすが怪物世代!」

 

2,3塁のランナーはホームへ到達し、2点追加した。青道は4-0と国士舘からリードし、なおも2アウト2,3塁のチャンス。

 

「8番 キャッチャー 御幸一也」

「まだまだちっこいのー!」

 

(うるせぇ、もっとでかくならぁ!)

 

若干イラッとしながら、ピッチャーの財前を観察する。

 

(ストレート、カーブを主軸に、時折フォークを投げてくる。ストレートは140中盤くらいは出てるかな。さっきはカーブでやられたし、カーブ狙うか)

 

2球続けてインコースのストレートを投げられ、手が出ない。

 

(そろそろくるか?)

 

 

ギィン!

 

 

(いってぇー!)

 

カーブに詰まらされ、セカンドゴロとなった。

 

(あまり曲がらないけど威力のあるカーブだった?前の回とは違う種類のカーブか‥‥厄介だな‥‥)

 

武藤さんは無失点のまま、軽快に国士舘打線を6回まで抑え続ける。財前さんは5回以降も曲がらないカーブを使って、出塁すら許さない投球をし、7回表終了時点で4-0と、試合の動きが停滞していた。

 

ふと、今後どこまで書くかなと思ったのでアンケートを1つ。よろしくお願いします。

  • 東世代の卒業まで
  • 結城世代の卒業まで
  • 御幸世代の卒業まで
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