僕のヒーローアカデミアーブラッドオブボンゴレー   作:ゴールデンバナナ64

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なるべく原作に沿って話しは進めていきたいと思います。


入学試験その1

俺が遭遇したあの事件は、後にヘドロ事件と呼ばれるようになった。

 

あの後俺はおじいちゃんにヒーローになることを伝え、それを聞いたおじいちゃんはその日から俺に本格的に訓練をつけてくれた。

 

そして迎えた入学試験。

今日行われるのは「雄英」一般入試実技試験。

 

この一年間、やれる事はやった。

個性の使い方はまだまだ拙いけど、精一杯やるだけだ。

 

緊張した面持ちで辺りを見回すと、見知った顔があった。

 

ヘドロ事件の天パの少年だ。

彼も同じように落ち着かない様子でキョロキョロしている。

 

「久しぶり、やっぱヒーローになるんだね」

 

そう声をかけると天パの少年は驚いたようにこちらを見た。

 

「あっ、あの時の…!君も雄英受けるんだね!そういや名前聞いてなかった。僕は緑谷出久(みどりやいずく)。あの時はありがとう!」

 

緑谷出久と名乗った少年は、そう言いながら目を輝かせてた。

 

「俺は沢田綱吉。こっちこそありがとう。緑谷君のおかげで俺もヒーローになる決意が出来たんだ。そういえば、随分ガッチリしたね」

 

 

緑谷君は"無個性"だと聞いていた。

少しでも受験を有利にするために、身体を鍛えたんだろう。

 

「あ…あぁそうだ!実はあの後奇跡的に個性が発現してさ、それでヒーローになりたくて…あと、君が言ってくれた、立派なヒーローになれるって言葉がさ、僕に勇気をくれたんだよ。本当に感謝してる。お互い頑張ろうね!」

 

 

焦ったように、興奮したようにそう話す緑谷君を見てると、自分の緊張も少し和らいだ。

お互い合格出来るようにと握手し、受験会場へ向かった。

 

───────────────

 

 

「エヴィバディセイヘイ!!!」

 

実技試験の説明会場へと集まった受験生達。

プロヒーロー「プレゼントマイク」の声が会場中に響き渡る。

 

"個性"「ヴォイス」は伊達ではない。

 

とてつもない声量に圧倒されたか、みんな緊張しているのかは謎だが、その声に受験生達がノリよく返すことはなく、沈黙が流れた。

 

「こいつはシヴィー!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」

 

YEAHH!!!!

シーーン!!!!!!!

 

再び声を張り上げるも、受験生達は完全に沈黙である。

 

(うわー!俺があそこにいたら恥ずかしさで死んじゃうよ...)

 

共感性羞恥で顔を真っ赤にしながら顔を隠しつつ、綱吉はプレゼン資料に目を向けた。

プレゼントマイクは気にしていない様子で説明を始める。

 

スクリーンに映し出されたのは簡易マップ。

現在地と描かれた場所からA~Gまで振り分けられている。

 

説明によると、仮想(ヴィラン)を相手にポイントを稼いでいくシステムのようだ。

制限時間は10分、持ち込みは自由。

仮想(ヴィラン)は3種配置され、攻略難易度に応じてポイントを設けてある。

 

各々なりの”個性”で仮想敵を行動不能にすればポイントが入る仕組みらしい。

当然、他の受験者への攻撃は禁止行為である。

 

一通り説明が終わった後、受験者の一人が手を挙げた。

 

「質問があります!プリントにて4種のヴィランが記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき自体!そしてついでにそこの縮れ毛の君!!」

 

質問のついでに指をさされたのは緑谷君だった。鋭い目つきで眼鏡君が睨む。

 

「先ほどからボソボソと...気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻ココから出ていきたまえ!!」

 

何かボソボソとつぶやいているとは思っていたが、どうやら眼鏡君は許せなかったようだ。見るからに生真面目そうな見た目をしているしそうなんだろう。

 

(うわぁ、こわ...)

 

綱吉は一人肩を竦めた。

 

プレゼントマイクの説明によると、もう一種のヴィランはステージギミックのようなもので、倒してもポイントは入らないらしい。

所狭しと大暴れしているらしいのでスルー安定だろう。避けて通る。間違いない。

 

「俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の”校訓”をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ボナパルトはこう言った!「真の英雄とは不幸を超えていく者」と!!

Plus Ultra!!(更に向こうへ)それでは皆!いい受験を!」

 

───────────────

 

案内された会場は、ビルが立ち並ぶ市街地を模した場所だった。

もはや試験会場というよりは一つの街。さすが雄英。すべてにおいてスケールが違う。

 

(こんな場所で試験するのか...)

 

ストレッチをする者や精神統一をする者。人によってやることは違うが、皆試験の前の準備をしている。

試験には持ち込み自由とあったため、綱吉はおじいちゃんに持たされたサポートアイテムを取り出した。

 

訓練の時も使っていた物と同じだが、今回綱吉専用に本格的に作られた特別仕様である。

 

家康の事務所は、小さいとは言えヒーローとエンジニアを両方構えている老舗だ。

ヒーローを介しての訓練や装備など、本来ここまでのバックアップを受ける事は非常に稀な事。

ズルだと言われれば否定できないが、使える物は使う。雄英を志望するのだから生半可な事は出来ない。

 

恵まれすぎている環境を綱吉は改めて実感した。

 

(でも、ちょっとやりすぎな気もするよな...)

 

手首まで保護してくれるグローブ型のサポートアイテムを両手に装着し、おじいちゃんの言葉を思い出す。

 

───────────────

 

「よいか綱吉、このグローブはお前の足りない部分を補ってくれる大事なサポートアイテムじゃ。絶対に失くすなよ」

 

「流石に失くさないと思うけど...」

 

事務所の訓練場での”個性”の訓練。主に行ったのは死ぬ気の炎を自由に放出できるようになる事。

この”個性”は使うと最初に額に炎が灯る。ヘドロ事件の時は両手にも炎が出ていたが。慣れると全身からも放出できるようになるらしい。

 

死ぬ気の炎は覚悟の大きさによって炎の出力が変わる。

この”個性”のスタート地点に立つには、まず覚悟とはどんなものなのか理解する必要がある。

 

いきなり精神的、哲学的な問題に直面した綱吉だったが、幸い炎の出し方は身体でなんとなく覚えていた。

 

「人を助けたいという気持ち」これが自分の覚悟であると綱吉は直感した。

強く念じると額に炎が灯る。

 

あの時よりずっと小さいが、確かに炎はゆらゆらと揺らめいている。

 

その様子を見て、家康は頷いた。

 

「うむ。先日の事件を経て、炎の灯し方は覚えたようじゃな。お前の覚悟が強くなればなるほど、炎はそれに応えてくれる。それを忘れるな。さて、そのサポートアイテムの説明だがな、それはまだまだ未熟な「炎の出力」をサポートしてくれるものだ。今のお前では両手から炎を放出するだけで精一杯だろう。それを装着すれば、炎に指向性を持たせて炎圧を高めてくれる。」

 

「なるほど...(炎圧ってなんだろ...)」

 

聴きなれない言葉に綱吉は曖昧な顔を浮かべるが、それを察したように家康が言葉を続ける。

 

「ちなみに炎圧というのは、死ぬ気の炎の出力を表したものだ。死ぬ気の炎は日常的に使う”火”とは違う。己の生命エネルギーを圧縮して放出、可視化したもの。熱を帯びてはいるが、物を燃やす力はほとんど無いと言っていい。これも炎圧次第で変わってくるものだが、お前にはまだ早いだろう。だがその代わりに、普通の炎とは比べ物にならない推進力を持つ。お前の持つ”大空の炎”は特に顕著だ」

 

「”大空の炎”?何それ、初めて聴いたんだけど」

 

次々に聞きなれない単語が出てくるため、綱吉は困惑する。

こんなにややこしい”個性”だったのかと、自分の理解の浅さが身に染みた。

 

「”死ぬ気の炎”は前にも説明した通り、生命エネルギーを可視化したもの。生命エネルギーは人によって違う、指紋のようなものだ。先代はそれらの性質の違いを見出し、人々の役に立てていった。」

 

 

どこから取り出したのか、いつの間にか用意されていたホワイトボードには性質を表す図が書き記されていた。

 

大空、晴、雨、嵐、雷、雲、霧

 

七つに分類されているらしい。

 

「これらを大空の七属性と呼んでいる。」

 

「天気みたいだ」

 

率直な感想を呟く綱吉に、家康は軽く鼻ため息をついた。

 

「いちいち言わんでいい。続けるぞ。大空の七属性はそれぞれ違う性質を持っている。一遍に説明しても理解が追い付かんだろうから、”大空の炎”の性質だけ説明するぞ。”大空の炎”は”調和”、そして七属性随一の推進力を持つ。調和とはつり合い、精神と肉体のバランスを整えたり、時には周囲の環境を変えることが出来る。これには相当な練度が必要で、”大空の炎”を持っていた初代様と二代目様の中でも、初代様しか使うことは出来なかった。環境の変化についてはそう伝えられているだけでどのようになるかは分からん。とりあえずこれは知識だけでいい、まずは炎の出力の仕方だけ覚えてもらう」

 

この先を思い出すと地獄を見る事になるので、綱吉はそこまでで回想をやめた。

 

───────────────

 

(とりあえず、このグローブの使い方は覚えた)

 

グローブを装着してその具合を確かめるように両手を閉じたり開いたりしていると、声をかけられた。

 

「それサポートアイテム?」

 

(これは…女の子の声!?)

 

女子とはあまり縁のない学生生活を送ってきた綱吉にとって、これは予想だにしないイベント。

挙動不審になった綱吉は言葉をどもらせた。

 

「ソッソウ!コレサポートアイテム!!」

 

「挙動不審過ぎでしょ。でも緊張するよね。日本最高峰なんて言われてるわけだし。」

 

サイドテールの似合う美少女は「拳藤一佳(けんどういつか)」と言うらしい。

 

緊張を解すために気を紛らわせていたが、綱吉のグローブに目がいき話しかけたようだ。

 

「そのグローブの…エンブレム?それどっかで見た事あるよ。ヒーローブランドだよね」

 

「あぁ…これおじいちゃんのとこのエンジニアさんが作ってくれたんだよ。こんなデカデカとブランド掲げなくてもいいのにさ」

 

両手の甲にはXの文字をちょっとアレンジした感じのエンブレムが飾り付けられている。その真ん中に小さくあさり貝を模したマークとVONGOLAという文字が彫り込まれている。

宣伝効果も期待しているのだろう。家康の事務所は長くやっているわりには名前が売れてない。

 

「へぇ、ってことはヒーロー一家ってことか…これは負けてらんない。緊張、いい感じに解れたよ。お互い頑張ろ」

 

「うん。頑張ろう!」

 

(女子と、喋ってしまった!!)

 

ちょっと気分が晴れた綱吉はいつ試験が始まってもいいように意識を切り替える。

 

「はい、スタートォ!!」

 

直後、どこからかプレゼントマイクの声が響いた。

いきなりスタートを告げる声に、周囲がどよめき出す。

 

「どしたどしたァ!?賽は投げられてんぞぉ!?ヒーローにヨーイドンはねぇんだよ!!」

 

 

その声にあわてて皆が走り出した。

 

(やばい出遅れる…!)

 

額に炎を灯し、綱吉も走り出す。

 

死ぬ気の炎の発現状態とは、いわば火事場の馬鹿力状態と言ってもいい。

脳のリミッターが外れた状態。

この状態では意識が研ぎ澄まされ、身体能力も上昇する。

世間からの認知では"増強型"と呼ばれる"個性"になるだろう。

 

少々出遅れたが、ものの数秒で前の集団に追いついた綱吉は、そのまま両手で炎を放出し、先頭に抜けた。

 

 

「は、はえぇ!なんだあいつの"個性"!?」

 

「炎を出してジェットみたいに…!?クッソ、当たり"個性"かよ!!」

 

プロヒーローのもと訓練を積んだ綱吉は、自己評価こそ高くないが、一般の受験生と比べてもかなりレベルは上である。

 

加えてサポートアイテム付き。弱いはずが無い。

先頭を引き離すように加速した綱吉は、早速仮装敵を見つける。

 

「目標補足!ブッコロス!!」

 

プレゼン資料で見た1ptのヴィランだ。

早いが、脆い。

 

研ぎ澄まされた意識は情報の処理能力も上がる。

脆そうな箇所を推測し、そこにパンチを叩き込むと、ロボットはいとも簡単に破壊された。

 

(こいつは頭の連結部位を殴ればすぐ行動不能になるか。見つけたら片っ端から叩いていっても良さそうだ。)

 

 

「やばい!あいつの後ろに着いてくだけじゃポイントを奪われるだけだ!散れ散れ!!」

 

 

次々にポイントを取っていく綱吉を見て、他の受験生は散り散りになっていく。

 

ポイントを奪われないよう、なるべく離れる必要があると判断した。

これは点取りゲームと同じ。早い者勝ち。

どのくらいのヴィランが配置されているかも分からないし、時間には限りがある。

 

より迅速に、より強く、より精密に

 

ヒーローに必要とされる課題が、この試験には詰まっている。

 

 

「残り時間は5分!!おらおらボサッとすんなよ!稼いでいけぇ!!」

 

 

───────────────

 

 

 

プレゼントマイクの声が響く中、モニターに映し出された受験生達の様子を、雄英教師陣は観察していた。

 

「なかなかやるじゃないか」

 

「いやいや、ここからが本番さ。この入試はヴィランの総数も配置も伝えていない。限られた時間と広大な敷地...そこからあぶり出されるのさ。状況をいち早く把握する為の「情報力」、遅れて登場じゃ話にならない「機動力」、どんな状況でも冷静でいられるか「判断力」、そして純然たる「戦闘力」。市井の平和を守る為の()()()()がpt数という形でね」

 

「今年はなかなか豊作じゃない?」

 

「いやーまだわからんよ」

 

「真価が問われるのは...()()()()さ」

 

YARUKI SWITCH 起動。

 

 




大体一話に使う文字数ってどのくらいが読みやすいんでしょうか...
この作品を読んで下さっている方は原作を知っている方が大半だと思うので、ストーリーに出てくる細かい会話はなるべく端折っていくつもりです。いちいち説明せんでええわ!なんて事がなるべく無くなるようにしていきたい...
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