僕のヒーローアカデミアーブラッドオブボンゴレー   作:ゴールデンバナナ64

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意外と読んでいただけていて感謝の極みです。
評価していただけることがこんなにも嬉しいとは思いませんでした。




入学試験その2

「大丈夫か?」

 

「わ、わりぃ…個性の使いすぎで動けねぇ…」

 

地面にへたりこんで動けなくなっている受験生の男の手を取り、綱吉は軽く状態を確認する。

 

(外傷は…擦り傷程度。"個性"の酷使による一時的なものみたいだ)

 

"個性"とは特殊な能力ではあるが、その実態はあくまでも身体機能の一部とされている。

 

筋繊維を酷使すれば筋肉痛が起こるように、"個性"を使えば何かしらのデメリットがある場合もある。

 

身体に合わない"個性"や、成長についていけない者も世の中には多い。

身体機能の異常、精神に肉体がついて行かない状態と判断した綱吉は、その手から"大空の炎"を灯した。

 

「うわっ!何すんだよ!!」

 

いきなり炎が手に燃え移った男は、大慌てでその手を振り払う。他の受験生への攻撃は禁止行為だ。

あわてて立ち上がり、綱吉へ警戒を顕にする。

 

「お前…なんのつもりだよ…!って、立てる?なんでだ?」

 

「いきなり説明も無しにすまなかった。俺の個性で君の体調を一時的に整えた。幸いゲートも近い。それで歩くくらいは出来るはずだ。」

 

"大空の炎"の"調和"

崩れた精神と肉体のバランスを整え、回復を促すことができる、死ぬ気の炎の能力の一端。

 

試験そっちのけで人助けをした綱吉に、男は呆れたように言った。

 

「お前、ライバルに塩送るような真似して大丈夫か?見過ごすだろ普通」

 

受験のライバルとはいえ、困っている人を見逃すことは綱吉にはあり得ない。それは自分自身で決めたヒーロー像を否定すると同じ事だ。 

 

「ヒーローが困っている人を助けないなんてありえないだろ。」

 

「ははっ、違いねえや...助けてもらったとこわりいが、俺は限界だわ。自分の実力不足が身に染みたよ。やっぱ雄英は高すぎるな。お前は合格(うか)れよ」

 

じゃあな、とスタート地点に戻っていく男。

 

彼の他にもこの試験を脱落していく者は少なくない。怪我をした者や限界を迎えた者。

 

Plus Ultra(更に向こうへ)

送られた校訓は受験生全員を激励すると共に、目の荒いふるいにかけているのだ。

 

 

さて、試験も終盤。説明されていたステージギミック...所狭しと大暴れする超巨大ヴィランの姿は未だに見えない。

 

広大な市街地といえど、巨大で大暴れするとなればすぐに位置は特定できるはずだが...

 

THOOM

 

 

 

綱吉の考えは的中した。

 

二足歩行のそれは、ゴジラの如くビルをなぎ倒しながら現れた。

 

 

 

(((いや...デカすぎんだろ!)))

 

 

 

DOOOOOOOOOOM!!!!!!!

 

 

 

轟音をまき散らし、とてつもない重量で踏み出される一歩はあらゆる建物を更地に変えていく。

 

ただただ圧倒的な脅威。

それを目の前にした人間は正直だ。

 

受験生達は次々にロボットから背を向け逃走を始める。

 

逃げながらポイントを稼がねばならないため、試験の難易度は跳ね上がる。

 

その迫力に恐れを成してスタート地点まで逃げる者も出てくる。

当然である。命の危機だ。事故で下敷きにでもなったらただでは済まない。

 

綱吉も背を向けて安全な位置まで下がろうと考える。が、直感が足を止めた。

 

(待て...これじゃあの時と変わらない。)

 

思い出されるのは、ヘドロ事件。

あの時は有効な”個性”を持つヒーローをただ待つしか無かった。

それで助けを求める人を見過ごすところだった。

助けるのはヒーローの務めではある。では自分が今成ろうとしているのは何か?ヒーローだ。

だがあくまでもこれは試験。このヒーロー飽和社会において、別のヒーローを待つのは当然の判断だ。

 

だが、それで助けを求める人はどうなる?

 

待たされる人は不安でいっぱいのはずだ。

何のためのヒーローだ。父さんと母さんはあの時どんな行動を取った?

 

ヴィランに、一歩も引かなかった

 

...試されている。立ち向かう勇気すら。

 

(なんてところだ雄英高校...実技試験にも程があるだろ...!)

 

立ち向かうべきか、今の自分にアレを止められる力は有るか?

死ぬ気の炎の状態はリミッターを外した状態。つまり、自分の身体能力の限界を引き出した状態。

直感が言っている。自分一人で止めることは不可能だと。

他の受験生との協力が必要不可欠。協力しあうこともヒーローに必要な要素。

立ち向かうべきか否か...

判断に遅れが出る。迷えば迷うほど状況は悪化していく。

綱吉はこの試験のもう一つの真意に気づいていた。

 

既に他の受験生達はほぼロボットの進行ルートから外れつつある。

だが機動力に乏しい"個性"では、少しでも足が竦んでしまえば瓦礫に呑まれてもおかしくはない。

 

「ふえぇ...なんでハルがこんな目にぃぃ....」

 

進行ルート状の瓦礫の下に足を挟めて動けなくなっている受験生が一人。

 

(逃げ遅れたのか...!!!)

 

目まぐるしく変わる思考。

ここで見過ごしても減点にはならないだろう。

勝てない相手に無理して立ち向かう事は無い。

もしかしたらロボットは直前で止まるかもしれない。

ここで大怪我を負ってしまったら、試験が無駄になるかもしれない。

 

だけど、もし見過ごすことになれば、俺は父さんと母さんに顔向け出来ないだろ。

 

この炎に決意した。困っている人を見過ごさないと。

両親に誓った。両親のような立派なヒーローになると!

 

 

「自分に嘘をついたままヒーローになったら…死んでも死にきれねえ!」

 

強い決意が、再び綱吉の炎に薪を焚べる。

同時に、新たな道が開かれた。ロボットを止めるための手段。必殺の一撃となり得る炎の一撃。

 

(だけど、これだけでは不十分...!)

 

技のイメージは出来ている。が、敵は迫り続けている。

 

その時、焦る綱吉の横を影が通りすぎた。

 

「わりぃ遅くなって!一瞬逃げようとか思っちまったよ!!でもこんなん漢じゃねェ!」

 

黒髪の少年が大型ヴィランに向かって走っていったのだ。

 

「俺が時間稼ぐからよ!今のうちに救助してくれ!!」

 

少年は迫りくるロボットの一撃を真正面から受け止めた。

鈍い音が響き渡る。生身で受けた音ではない。硬いもの同士がぶつかった音だ。その身を硬める”個性”だろう。

巨大ロボの進行が鈍くなる。

 

「ごめん沢田!私も助太刀する!私の”個性”なら、なんとか足止めできるかもしれない!」

 

先ほど話した拳藤も駆けつけてくれた。いうやいなや彼女の手が肥大化する。

 

「こんなんだけど、大きくなった分筋力も増加してる。そこらのパンチよりずっと強いから!」

 

手を巨大化させるというシンプルな”個性”だが、アレを足止め出来得るほどの力ならば、どうにか出来る。

 

「拳藤さん、それで俺をあいつの所まで飛ばしてくれ!救助するには時間が足りない!俺達で止めるしか無い!」

 

「...考えあるんでしょ!?あんたを信じる事にするよ!!」

 

拳藤の掌に乗り、意識を集中させる。

 

幼い頃に見た父の背中。左手の炎が大きくなる度、その姿が鮮明にイメージできる。

 

「圧縮しろ、更に限界まで!!」

 

拳からあふれんばかりの輝き。それを綱吉は握り込むようにして拳を作る。

その輝きを拳に閉じ込め、綱吉は飛び出した。

拳藤の”個性”による運動エネルギー+右手の炎による推進力+左手にとどめた最大の”大空の炎”

 

『いいか綱吉、よく見ておけ。これが父さんの勇姿。逆境を跳ね返す一撃だ』

 

父があの時放った、絶望を吹き飛ばす一撃。

 

「うおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

拳が巨大ロボの頭部を捉えると同時に、輝きが爆発する。

 

『ビックバン・アクセル』

 

限界まで圧縮した炎を閉じ込めた拳で放つパンチは、熱量と炎圧で巨大ロボをブッ飛ばした。鋼鉄でできた頭部はひしゃげ、一部が溶解している。

巨大ロボットが後ろ向きに倒れ、動かなくなった事を確認すると、綱吉は瓦礫のもとへ走った。

 

が、既に要救助者は助け出されていた。

綱吉や拳藤や硬い男の姿を見て、他の受験生が引き返して来ていたのだ。

 

「お前らが頑張ってるところ見てたらよ、俺も行かなきゃって気になってたよ」

「見てるだけなんてヒーローらしくないよな」

 

 

一部の受験生は巨大ロボを派手にブッ飛ばした綱吉を見て引いていたが。

 

救助された女子は大きな怪我も無く、軽く捻った程度であった。

 

 

「はひぃ〜助かりました…それにしても、まさか普通科の試験でもこんなスプラッタな目に会うなんてハル聞いてません!これは受験の案内をくれた先生に文句を言うべきです!」

 

 

「はっ?(何言ってるんだ?)」

 

 

黒髪を一本のポニーテールに束ねた少女はぷんすかと怒りを顕にする。

綱吉はそんな状況に、一気に気を抜かれてしまう。額の炎は消え、技の反動と死ぬ気状態の影響でヘナヘナと力が抜け、その場に倒れ込んでしまった。

 

 

 

「終〜〜了〜〜〜!!!!!」

 

 

プレゼントマイクの終わりを告げる声が響き渡る。

 

 

それにしても彼女の言うことを素直に受け取るなら、間違って受験した事になる。

天下の雄英でそんな事ありえるのか…

 

ドン引きする綱吉の気持ちは知る由もなく、少女は体操服の埃を払うと立ち上がり綱吉のもとへ近づいた。

 

「助けてくれてありがとうございました...カッコよかったです!あの「ハルを救えなければ、死んでも死にきれねぇ~!!!」まさにヒーローでした!」

 

「いや、そうは言ってないから!!」

 

「ハルはあなたに惚れたもようです...お名前をお聞きしていいですか?」

 

「話聞いてないし!?」

 

ハルと名乗る女子は大怪我する危機だった事も忘れ、助けてくれた綱吉にぞっこん(死語)だった。

ただ困惑する綱吉の肩を、ロボを足止めした男が叩いた。

 

「いや、無事で良かったよ!。それにしてもすげーなあのパンチ!!」

 

「そ、そんな事ないよ!君が止めてくれなかったらあんなの撃てなかったし!」

 

「んじゃ、俺達のコンビプレイってことで!ちなみに俺は切島鋭児郎(きりしまえいじろう)ってんだ!お互い受かるといいな!」

切島君はガッツポーズしながら言った。

 

「ちょっと、私も忘れないでよ。沢田、なんとかなって良かったよ。あんなパンチ撃って大丈夫?なんか、さっきと雰囲気違うけど」

 

「あぁ、うん。あれ”個性”使ってるとああなっちゃうんだ。二重人格とはまた違うんだけど」

 

「へー、闘いだとスイッチ切り替わる人とかいるけど、あんな感じか。まぁ、とりあえずお互いお疲れ様だね」

 

「うん。お疲れ様」

 

「はわ...沢田さんと言うんですね。後で連絡先教えてください...」

 

 

 

その後、保険教師の『リカバリーガール』が受験生達の傷を治して回り、実技試験は幕を閉じた。

 

 

───────────────

 

「実技試験の総合成績が出ました!!」

 

全グループ特に問題なく試験を終え、雄英高校教師陣が集い、各受験生達の入試結果に目を通す。

合格者はわずか36名。倍率300は伊達ではない。

 

(ヴィラン)ポイント50点、救助(レスキュー)ポイント62点。凄いな、100ポイント超えだ。こんな点数見たのいつ以来だ?」

「判断力、スピード、戦闘力、どれをとっても一級品。下手なプロより優秀なんじゃないか?」

「受験番号27番並盛中出身沢田綱吉、とんでもない逸材だな...」

「腕に着けているグローブは専用のサポートアイテムか...ご丁寧にブランドロゴまで着いている」

「VONGOLA...ボンゴレか。随分とマイナーなブランドだ。聞いたことあるか?」

「まぁまぁ、それはひとまず置いておいて...彼はスタートこそ少し遅れたが、瞬時に先頭へ抜け出る程のスピードを見せた。そして仮想敵への対応も的確。何よりあの巨大ロボを打ち破ってみせた戦闘力には目を見張るものがあるね」

「他の受験生になんか治療みたいなことしてたし、炎も出してた。彼の”個性”は汎用性が高そうだ」

「冷静な判断力、中学生が出来る立ち回りじゃないな」

 

「そうだね。本来ならば推薦入学でもいいくらいだよ。そこでね...」

 

雄英高校校長、根津が口を開いた。

 

「長らく見てこなかったけど、100ポイント超えた彼は、ヒーロー科の特別合格者枠として迎え入れようと思う」

 

「そういえば、そんな制度ありましたね...」

 

「筆記はギリギリだったけどね。合格は合格。特別合格者ということでそれ相応のプレッシャーがのしかかると思うけれど、雄英高校(うち)は生徒に常に課題を与え続ける...理不尽を覆してこそヒーローさ」

 

「一番が一番重いってことですか...」

 

───────────────

合否の決定が済んだ後、校長室では根津校長がコーヒーを嗜んでいた。

 

「ボンゴレ...ついに後継者が見つかったんだね」

 

根津は誰に言うでもなく呟く。

 

「九代目が亡くなってしまった時は一つの希望が潰えてしまったと悲しんだけど、そうか、彼は十代目になることを決めたんだね...これから彼には多くの苦難が訪れる。だけどその時に頼れる仲間がいれば、なんとかなるはずさ」

 

───────────────

 

試験を終えた一週間後、沢田家に雄英高校から手紙が届いた。

 

「綱吉、手紙が届いておるぞ」

 

家康が手紙を投げて渡す。

 

「投げないでよ!大事な通知なんだから!」

 

早速手紙を開けてみると、中に入っていたのは小型の機械。

 

それをテーブルに置くと、映像が写し出された。

 

「やぁやぁ、僕は雄英高校校長の根津だよ。後がつかえているから率直に...君の成績はとても優秀だった。筆記はギリギリだったけど。そこで君を特別合格者の37人目として迎え入れることにしたんだ。なんとなく気づいていただろうけど、実技試験にはもう一つの加点要素があってね、それが救助(レスキュー)ポイント。(ヴィラン)ポイントと合わせると112点...これは近年稀に見ない結果さ!特別合格者と言っても一般の合格者とはなんら変わりない。ただ、周りからのプレッシャーは重くのしかかる事になるだろう。だけど君にはそれを乗り越えて行ける力があると信じている。来なよ!雄英(ココ)が君のヒーローアカデミアさ!」

 

 

こうして俺は、雄英高校に通うことになった。

 

 




会話イベントはなるべく巻き、巻きです。
プロヒーローに稽古つけてもらってるハイパーツナ君が弱いわけがナシッ!!

技名ですが、原作からとらせていただきました。
エフェクトなどもあんな感じをイメージしていただければ...
表現って難しい。
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