僕のヒーローアカデミアーブラッドオブボンゴレー 作:ゴールデンバナナ64
季節の変わり目で風邪引いてました。
皆さんも体調管理にお気を下さいませ。
ご指摘、非常に助かってます。感謝感激です。
死ぬ気の身体測定
雄英高校初登校ーー
指定のブレザーに着替えた綱吉。
日本最高峰への入学。緊張した面持ちで、綱吉は朝食に手をつけていた。
そんな綱吉を見て、家康が口を開く。
「綱吉」
「何?」
「特別合格者として、沢田家の跡取りとして恥じないような振る舞いをな」
「いや、特別合格者なんて言われてるけど一般合格者と扱いは変わらないから…あと、俺はおじいちゃんの事務所を引き継ぐなんて一言も言ってないから」
家康は軽くため息を吐いた。
「はぁ…ヒーローになると決めた時は事務所総出で喜んだんだが…」
「稽古をつけてくれた事は感謝してるよ。でもさ、おじいちゃんの事務所を引き継いでも生活が安定しなさそうじゃん。おじいちゃん達が普段何してるのか、俺あんまり知らないし。警備会社兼ヒーロー事務所だっけ?それってヒーロー事務所だけでよくない?」
「よくない。警備会社というのは初代様から続いている歴史がある。それを消すわけにはいかん」
「だったらヒーロー事務所を消せばよくない?」
「今の世の中、ヒーロー事務所を辞めたら仕事が来なくなるわ。時代に適応するのも世渡りのコツよ」
「なんか…世知辛…サポートアイテムにデカデカとブランド名入れたりとかさ…」
「お前がヒーローになると決めたからには次の世代の育成を本格的に行わなければならん。宣伝は有望な人材を集めるための手段…それにサポートアイテムのアレは伝統だ。初代様から続いている。アレがあるからウチの経営が成り立ってるようなものだ」
「そういうもんなんだ…凄く使いやすかったけどさ…」
「経営科も視野に入れておいた方が良かったか…」
「やめてよ…ヒーロー科も筆記ギリギリだったんだからさ…」
綱吉は勉強嫌いである。
ただでさえ、筆記試験もギリギリまで事務所のサイドキックに無理を言って手伝ってもらっていたのだ。経営科なんて目指そうものなら、死ぬ気でも受かる自信が無い。
「とりあえず、俺の目標は大手に入って安定した収入とヒーロー活動を行う事だから」
朝食を食べ終えた綱吉を見送ると、家康は一人呟いた。
「力を蓄える期間は、そう長くないと思うがな…」
そして茶の間へ戻ろうとした時、新たな来客が現れた。
「あれ?ツナの奴もう出かけたのか。初登校日だって言うから激励しに来たんだけどなぁ」
無造作に散らせた金髪と、甘いルックスを持つボンゴレ事務所のサイドキック。ヒーロー名を『跳ね馬ディーノ』。
「おぉ、ディーノか」
「ボス、おはようございます。ツナを激励しに来たんですが、丁度入れ違いみたいですね。」
幼い頃から何かと綱吉の面倒を見ていたディーノは、綱吉をヒーローを志してからも空いた時間で訓練や勉強を教えていた教育係でもある。
ディーノがいなければ綱吉が筆記試験をクリアする事は出来なかっただろう。
「いや〜、親方の『ビックバンアクセル』を使ったって聞いた時はたまげましたよ。すっかり成長しましたねぇ」
「ふん、まだまだ家光のモノとは程遠いわ。10年早い。しかもサポートアイテム頼りでタメも大きい。賢しいヴィラン相手ならただのテレホンパンチじゃ。家光なら拳一つで跡形もなく吹き飛ばしていただろう」
「まぁまぁ、まだツナは入学したての高校生。これから伸びていきますよ」
「お前は綱吉に甘すぎる...」
「ツナは俺にとって弟分ですから」
───────────────
広すぎる雄英高校の敷地。綱吉は迷いつつもなんとか自分のクラスの1年A組の扉へとたどり着く事が出来た。
「早めに出てなかったら遅刻だったな...それにしてもでっかい...」
これも超常社会。バリアフリーだ。
どのくらいあるか3メートルくらいありそうな扉を見上げながら呆けていると、声をかけられた。
「沢田君!やっぱり合格してたんだ!」
天パの少年、緑谷だ。
ここにいるということは無事に合格したらしい。
「緑谷君!お互い合格して良かった...しかも同じクラスとか、顔見知りがいて安心したよ...」
「僕もだよ。後は恐い二人が一緒でなければいいんだけど...」
「恐い二人?」
「あっ、こっちの話。あはは...気にしないで。それより教室入ろうよ」
誤魔化しながらドアを開ける緑谷。
「机に脚をかけるな!先輩方や製作者の方々に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよてめーどこ中だよ端役が!」
「2トップ!!」
中で早くも言い争う二人がいた。
試験の説明の時に緑谷君を注意していた眼鏡君と、柄の悪そうな制服を着崩した目つきの悪い男だ。
(もう喧嘩してるよ...このクラス大丈夫かなぁ)
冷や汗を垂らしながら呆然と立っていると、こちらに気づいた眼鏡君が話しかけてきた。
「朝から騒がしくてすまない。俺は私立聡明中学の飯田天哉だ」
「あっ、えっと僕は緑谷。よろしく、飯田君」
「俺は沢田綱吉。よろしくね、飯田君」
「沢田...すると君が特別合格者の...!」
綱吉の名前を聞くや、飯田の目つきが変わった。
「えっ、なんで知ってるの?」
「自分の席を見てみたまえ」
何事かと席を確認してみると、そこには煌びやかな装飾で飾られた、『特別合格者』というプラカード。
「えーっ!?なんじゃこりゃー!!?」
一般合格者と変わらないって言ってたじゃんかよ!!てかプレッシャーってこれかよ!!
内心悲鳴を上げつつ、綱吉はプラカードを片付け始める。
周りの視線が突き刺さり、綱吉は顔を真っ赤に染め上げた。
(登校初日から何でこんな目に...)
「ブツブツ(すごい…これが雄英高校ヒーロー科…これもある意味特別な待遇…優秀な生徒でも決して甘やかさず更に試練を与えていく。これがPlus Ultra…校訓通りだ…)」
「恐いよ緑谷君!」
ブツブツ呟く緑谷君。それ癖なんだね。
「ウルセェぞおらぁ!!特別合格者だがなんだが知んねーけどよぉ、あんま調子ノッてんなよ『クリ頭』!!」
2トップの一人、目つきの悪い男が叫んだ。
(クックリ頭!!?そんなの初めて言われたよ...!!)
栗色のツンツン髪を触りながら綱吉は困惑した。
「騒がしい。お友達ごっこしたいなら
教室の外から、ミノムシのような恰好をした男が鋭い声を響かせた。
「ここは...(ヂュッ!)ヒーロー科だぞ」
(((なんか!!!いるぅぅ!!!)))
突然現れた怪しい男に気圧され、生徒達は唖然とする。
その様子を見て、男はミノムシのような恰好を形作っていた寝袋から出てきた。
「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」
見た目こそみずほらしくくたびれた男だが、セキュリティ万全の雄英高校にいるという事は学校関係者だろう。
「担任の相澤消太(あいざわしょうた)だよろしくね」
(((担任!!?)))
「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ」
寝袋をまさぐって取り出したのは、雄英高校指定の体操着。
生徒たちはわけも分からず、言われるままグラウンドへ向かった。
「個性把握...テストォ!?」
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」
お約束行事を全て後回し...どころか無かった事にされ、行うのは個性把握テストという身体測定。
「雄英は”自由”な校風が売り文句。そしてそれは”先生側”もまた然り...ソフトボール投げ、立幅とび、50m走...中学の頃からやっているだろ?”個性”禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない...まぁ、文部科学省の怠慢だよ」
そう言いながら目つきの悪い男へ、先生がボールを渡す。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
(67m!?充分すごいんですけど!っていうか、爆豪っていうんだあの恐い人)
「じゃあ”個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。思いっきりな」
爆豪は軽くストレッチをして投げる体勢を整える。
「んじゃまぁ」
球威に 爆風をのせる──!!
「死ねえ!!!」
(...........死ね?)
爆風が当たりに吹き抜け、爆音と共にボールが吹き飛んでいく。
壊れやしないのだろうか。
空高く舞い上がったボールは数秒経った後地面へ落ちた。
そして相澤先生の持っている端末から音が鳴る。
「まず自分の「最大限」を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
705.2m
そう表示された端末を見て、生徒たちが盛り上がる。
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「”個性”思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」
「...面白そう...か」
そう呟いた途端、相澤先生の雰囲気が変わった。
「ヒーローになる為の三年間...そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「「「はああああ!?」」」
最下位は『除籍処分』。
憧れの雄英に入り、初日から告げられたあまりにも過酷な宣告。
「生徒の如何は
「最下位除籍って...!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても理不尽すぎる!!」
生徒たちから巻き起こるブーイングを相澤先生は鼻で笑い飛ばした。
「自然災害...大事故...身勝手な
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雄英高校1-Aの担任相澤は、各々準備を始める生徒たちを眺めていた。
”個性”というのは公共の場で使用するのは原則禁止とされている。
いくら身体機能...自分の身体の一部としても、運動していない子供がいきなりスポーツを始めても上手くできないように、”個性”を使っても、その
面白そう、そう考えるのも仕方ないことではある。
抑圧された中学までの学生生活。公に自由に”個性”を使える場面は、ここが初めてという生徒も中にはいるだろう。
そういった敷地を持つものや、自体に備えてのイメージトレーニングをこなしていた者も中にはいるだろう。
日本最高峰、言ってみれば彼らはエリート集団。そして、入学試験では必ず”個性”の使用を課題とした。ならばこういったことになる事態も想定しておかねばならない。
倍率300を超えてきた連中にはこれくらいの試練が丁度いい。
「さて、第一種目50m走。最初は蛙吹と飯田からだ」
有精卵か、はたまた無精卵共か...見物だな。
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いきなりの体力測定に困惑したが、やるしかない。
今回はサポートアイテムのグローブは無い。
純粋な今の自分の能力が試される時だ。
(似たようなことをディーノさんとやったなぁ...)
事務所のサイドキックであり、兄貴分のディーノの事を思い出す。
”個性”というのは、意識して使い続けなければ中々伸びる事はない。
筋肉や技術と一緒だ。いくら身体を鍛えても”個性”は変化が無いということは普通にあるらしく、ディーノは常に”個性”の使い方について綱吉に指導していた。
「いいかツナ、お前の”死ぬ気の炎”は一種の火事場の馬鹿力と同じ状態なんだ。発動している時は脳のリミッターが外れ、全ての感覚が鋭くなる。だから、自分の中で
思い出されるはディーノに扱かれる日々だったが、そのおかげで死ぬ気状態のコントロールは上手くなった。
「おーい沢田。沢田?」
自分の名前を呼ばれ我に返る。
聞いたことだある声。緑谷君くらいしか知り合いはいなかったはずだけど。
「いきなり除籍とかやべぇ事になっちまったけど、ここは漢らしくお互い頑張ろうぜ!」
そう言って手を差し出してくる男。
この熱そうな口調は...
「もしかして切島君!?」
「えぇっ今気づいたのかよ...そういや、髪形も色も違ってんだった...」
実技試験の時は黒髪をおろしていたが、今は赤い髪でツンツンだ。
「あんましでけえ声で言いたくねーけどよ、気合い入れて高校デビューみたいなもんだ。みんなには内緒な」
そう言って人差し指を口の前に立てると、切島君は笑った。
「合格したんだね!お互い頑張ろう!」
「おう!」
「次、沢田」
そして自分の番を告げる平坦な声。綱吉は覚悟を決めて、額に炎を灯した。
「特別合格者の実力...見物だな」
生徒たちの注目が集まる中、綱吉はボールを投げる体勢に入る。
(常に100%は必要ない。身体の使い方に意識を向けろ...効率的な動きで力の伝達を最高率で...そして投げる瞬間だけ...100%に!!)
自身の最大最高率で繰り出す投擲に、炎の推進力を乗せる───!!
「ふんっ!!」
炎の放出と共に放たれたボールは大きく空へ投げ出され、地面に落ちる。
「603、1m」
「うおお!すげー!爆豪のまでとはいかねーけど!!」
「”個性”の性質が違うから仕方無いだろうが...それでもすごい。お手本のようなフォーム、瞬間的な炎の出力であそこまで飛距離が出るのか。さすが特別合格者」
(これが、今俺に出来る限界か)
”個性”は人ぞれぞれ違うもの。得て不得手がある。おそらく、それを8種の競技の中で見極める試験にもなっているのだろう。
最大限と相澤先生は言っていた。
自分の出来る最大限で記録を残す。なるほど...簡単ではないな。
「ブツブツ(沢田君の”個性”...パッと見た所、炎系の”個性”に見えるけどそうじゃない...かっちゃんの”個性”には及ばないけど超人的な記録を出してる...かっちゃんのは強力な爆風によって飛距離を出してるけど、爆発と炎の放出では発生する力も違う。これは彼の綺麗な身体の使い方にもポイントがある...おそらく最も力が伝わる技術、そして炎の使い方を彼は熟知してる...ヒーローとして高いレベルにあるんだ...)
緑谷はまた呟いている。
そして何かを閃いたかのような表情に変わった。
(そうか、身体の使い方...!!僕はオールマイトのような器もなければ、”個性”を自在に調整するほどの技術も無い。沢田君のような技術で最大効率を出すことは今はまだ不可能...なら...器が耐えられるギリギリを、部分的にではなく、全身に発動させ、”個性”で技術をカバーする!!)
『ワンフォーオール・フルカウル常時5%』
(くっ...これでもまだ
「次、緑谷」
「はいっ!!」
緑谷君の身体に稲妻のような模様が走っている。
彼が”個性”を使用したらしい。発現したばかりの”個性”らしいが、見た感じ”増強系”だろうか。
「スマァァァァァッシュ!!!!!!」
かけ声と共に投げたボールは大きな弧を描いた。
「322、6m」
「やっ、やった...成功した!」
これまでパットしない成績だった緑谷君の出した記録は、まぎれもない最大限だろう。
順位はどうあれ、相澤の言ったことは体現出来ている。
その様子を見た爆豪が、驚愕の顔で緑谷を睨みつけていた。
「どーいうことだこらデク!!」
「うわああああ!!!」
”個性”をもっていきなり襲い掛かる爆豪に、緑谷は悲鳴を上げる。
だがその瞬間、爆豪の動きは相澤先生の持つ布によって縛り上げられた。
「んだこれ...!”個性”が出ねえ...布も...千切れねぇ!」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ。ったく、俺はドライアイなんだ。”個性”を使わせるな」
「”個性”の発動を消す...それにあのマフラーみたいな布と、ゴーグル...そうか!見ただけで人の”個性”を抹消する”個性”!!抹消ヒーロー『イレイザーヘッド』!!」
「イレイザー?聞いたことないな」
「アングラ系ヒーローだよ!おそらく、”個性”が必要以上に露呈しないようメディアへあまり顔を出さないんだ!!」
(あれはディーノさんと同じ『捕縛布(ほばくふ)』あれは扱いが難しいって言ってたっけ...)
「お前ら、他の種目が終わるまではおとなしくしておけ、減点するぞ」
その一言で生徒たちは静まり返った。
───────────────
そして全ての種目が終了。
除籍をかけた運命の宣告。生徒たちは緊張の面持ちで耳を傾けていた。
「んじゃ結果発表。時間の無駄なので一括開示する」
持っていた端末を操作して目の前にホログラムを投影する。
「ちなみに除籍はウソな、君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
「「「はーーーーーー!!!!??」」」
「あんなのウソに決まってるじゃない...ちょっと考えればわかりますわ...」
全力を見るためのウソ。相澤先生はそう言った。
告げられた真実に生徒たちは驚き、安堵する。
「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ」
(あの雰囲気...本当だと思ってたんだけどな...さすが雄英高校...)
こうして大波乱の初日は過ぎていった。
5000字...本格的にストーリーが始まっていくとむっちゃ長くなりそう...
緑谷君早期強化。
ディーノさんちょい出ししました。
事務所のサイドキックとのことで、今後の登場回数はおそらく多いでしょう。
そして捕縛布を使用していると...
考えてたんですが、イレイザーヘッドしか捕縛布を使っていないってのもちょっと少なすぎやしないかなと。
あくまで原作で目立っているのが相澤先生だけってのもありそうですが...
あとは”個性”との噛み合いとかもあるんですかね?
ヴィジランテでもそこらへんの表記は無かった...あった...?