桔梗side
園子が持ってきた勇者御記をある程度読み終えたあと、僕は続きを読む前にと話を遮った
「みんなに……知ってもらいたいことがある」
『え?』
「桔梗さん……もしかして」
海は僕が何を話すか察しがついていた……
「あぁ……僕の御先祖……神宮蛍は……初代勇者と…………この名前が消された勇者と大きく関わってるんだ……」
「桔梗くんが……」
「どういうことよ?」
「この書物に書かれてる」
僕はみんなに話した……神宮家と…………消された勇者…………郡千景の事を
千景side
その人は私たちのサポートとして呼ばれた男……正直私は彼の事をよく思っていなかった……だから乃木さんたちに注意をされても私は彼に対しての態度は冷たくしていた
「私は貴方と話すことはないわ」
「……そうですか、今は忙しいんですね。また後で話します」
また後でって…………明らかな拒否をしているのに……
「ぐんちゃん、どうかしたの?」
「あの人…………」
「あの人?あぁ蛍くん?優しい人だよね」
それからと言うもの、彼は私の姿を見つけては、挨拶をしてきたり、他愛のない話をしてきた。
その度に私は彼に冷たくしていくが……彼は特に嫌そうな顔をしたりせずにいた。
いい加減にして欲しいと思い、私は彼に思わず聞いた
「どうしてそんなに私に声をかけ続けるの?」
「え?それは……」
「貴方は大社から派遣されてきた……だから私の家の事情を知っている……憐れみのつもり?」
つい、彼を突き放す感じで問い質してしまったが……彼は優しい笑顔に……少し恥ずかしそうにしながら…………
「その……最初……あなたの写真を見たときに……目を奪われました」
「?」
「そしてこうして会うようになって……確信したんです…………僕は貴方の事が好きです」
「………………はぁ?」
この人は何を言ってるの?私が好き?
と言うか好きでもあんな風に冷たくされたら……普通は諦めるはずなのに……なのにどうして?
「千景さん……僕は貴方の事が好きだからこそ……こうしているんですよ」
「……言葉だけなら…………」
「では……証明をした方が……」
証明って……まさかと思うけど……
「キスをして……証明をしたら殴る」
「しないですよ。ただ貴方の事を僕が守ります」
守るね……守られている癖に…………
それから私と彼の関係は前に比べるとそれなりに良好となったが、それ以上は進まなかった。
私自身が彼に心を開かない事が理由だと思っているが、彼とはそれくらいの距離が一番いいと思っていた。
だけど…………
私の心が不安定になり、私は故郷で町の人を切ろうとしたとき…………
「……どうして?」
彼の身体に大葉刈の刃が食い込んでいた
「言ったじゃないですか…………貴方を守ると…………」
「何で……そんな……無茶を…………」
「好きだからに決まってるからじゃないですか」
血に染まる彼の身体…………私は大葉刈から手を離し、ただ泣き叫んだ……………………
それから数日後……私は勇者としての資格は失った……仕方ない事だと思っている
守るべき人たちを傷つけたんだから…………
「大丈夫ですか?」
「……あなたこそ……」
彼は……蛍は私に優しく微笑んでいた。
「僕は大丈夫ですよ。防刃装備をつけていたとは言え、流石は神器…………」
「…………貴方は……私の事を」
「えぇ、好きですよ」
彼は私にキスをする。私は優しく微笑んだ。
「私も…………」
「これを切っ掛けに郡千景という名前は消されたが、神宮千景として名前を変えたらしい」
「要するに結婚したのね」
「後はこの名前ね」
書物に書かれた名前。それは…………聞いたことのない名前だった
「海は……知っていたか?」
「いや、知らないですね。多分この世界だけです」
そこに書かれていた名前は……蛍と千景の二人の関係を崩さないようにしてくれた人物…………上里空と言う名前があった
最後に出てきた名前は……もうひとつの作品の主人公です