名草side
あの戦いからしばらくした後のこと……私は半壊したゴールドタワーを見つめていた
「…………」
神官たちの間ではゴールドタワーが半壊した理由は、古のシステムとの戦いの影響だと話している人たちがいたが……それは違う…………
「まさかあの黒装束の子が放った一撃の余波で半壊したなんて思わないよね」
私だって驚いている。二人の勇者たちが彼女を船に乗せたあと、彼女の言う通りに近くまで何とか向かい、三人の勇者……一人は兄さんらしいけど、三人の勇者が古のシステムに向かっていく中、黒装束の子がとんでもない威力の魔法を放ち、その余波で私たちも吹き飛ばされ………………
「本当にすごい戦いだったな…………」
私たちは私たちなりにできることをして来た……でも今は…………
「名草、来てきたのか」
すると芽吹ちゃんと亜弥ちゃんの二人が声をかけてきた。
「二人もゴールドタワー見に?」
「あぁそんなところだ」
「それと……名草さんに挨拶を」
「挨拶?」
「神官たちから聞いた。兄の家に行くのだろう」
「寂しくなります…………」
「…………え?私、何か防人やめることになってる?」
「「え?」」
何かそんな雰囲気だったけど……私は防人をやめる気はないし…………
「いやいや、だってここから離れて」
「離れて暮らすけど……やめるつもりはないよ?」
何か勘違いさせてしまってたみたい…………私は防人を続けるし……
「そうだったのか……すまない……変に勘違いして」
「あの桔梗さまなんと?」
「兄さんは…………」
一度兄さんと話すために、家を訪ねたけど……
「あの……色々と話を聞いてたけど……兄さんの子供って……」
「別世界のだけど……僕の子供には間違いないからな」
「よろしくお願いします」
丁寧にお辞儀をする兄さんの娘……牡丹ちゃん。いやいや、かなり理解が追い付かないけど…………
「それで名草は……」
「あ、うん、防人を続けるけど……その……戦いメインじゃなくなったから…………」
「兄妹で住むか……まぁ空いてる部屋もあるし……大丈夫だぞ」
「うん、それで…………暮らすのは四月からでいいかな?」
「今すぐじゃないのか?」
「色々と手続きとかあるし、兄さんも勇者部のみんなに話したりしないと」
「まぁそうだな……」
「私たちの止まっていた時間はようやく動くけど……ちゃんとこれまでのこともこれから先のことも全部話したいから…………その時はよろしくね」
「あぁ……そうだな。お前には美森のことも紹介しないとな」
「兄さんの恋人……会うの楽しみ」
「だからこっちに預けてある荷物を少しずつ向こうに運んだりしてるし……」
「そうだったのか……にしても大赦はよくそんなことを許してくれたな」
「あぁ……兄さんの友達の子が何かしたらしいよ……それに大赦はこれからの世界のこと……と言うよりあの下着事件が」
「そうだったな……」
「神官のみなさん……全部奪われたみたいですからね……」
謎の下着強奪事件……勇者を連れ去る際にそんなことがあったらしい……おまけに下着が燃やされたり……謎の怪文書で色々と言われたらしいけど…………それで大赦の信用が落ちたりしてないか心配だ
短めですみません
次回は勇者部編!