桔梗side
先輩の卒業式からしばらく経った。
あの戦いのあと、世界は元に戻されて平穏な毎日が続くと思っていたけど、世の人々にはそれを受け入れるのに時間が掛かったみたいだ。
神樹が消えたこと、新たな二人の女神が世界を守護するようになったこと、戦いの爪痕…………事情を知らない人たちからしたら、本当にどうしたらいいのか分からないみたいだ
「…………」
僕は屋上で絵を描いていると……
「考え事?」
美森が顔を覗かせてきた。と言うか気配が感じなかったけど…………
「まぁな……色々と変わったから」
「世界は救われたのにね……」
「そう言えば安芸先生とは話せたのか?」
「えぇ、銀のお墓参りしたときにね……先生も色々と苦しんだみたいだけど…………」
「と言うか銀は天の世界にいるけど…………会わないのか?」
「それ、そのっちが天の神に聞いたらしいけど、色々と謝ってきたりするだろうからって、会わないって……まぁその内ひょっこり会うかもしれないわね」
「そっか……」
これも仕方ないことかもしれないな…………
「東郷さん、桔梗くん、そろそろ……」
すると友奈がやって来たけど、僕らを呼びに来たのかな?
「何の話をしてたの?」
「これからどうなるのかなって」
「あ……」
「一応言っておくけど……友奈が責任を感じる必要はないよ。今回の件は僕らが望んでやったことだしな」
「うん……そうだけど……こうして世界が変わって…………海くんの世界はまだ……」
そっか……海の世界はまだ…………色々とあったらしいけど……今回みたいなことは起きようがないって天の神が話していた。いや、天の神が言うには……平行世界の中では別の未来を歩んでいる可能性があるらしい。だから海の世界は今後どうなるかは分からないみたいだけど
「海には色々とまだ話していたかったけどな」
あいつも元の世界に戻った。また会うことは出来るかは難しいらしい…………
「今はこれからのことを考えよう。これからは色々と活動も変えていく必要があるしな」
「そうね」
「うん」
部室に向かいつつ、やっぱりちょっと心に引っ掛かるものがあった。僕らの世界だけでいいのかと…………
「そ、そそそ、それでは勇者部部会を始めたいとおもいます。今日は、き…来る新年度4月からの活動について…」
「緊張してる?」
「は、はじめてのことなので」
「ファイト」
「肩の力抜いた方がいいぞ」
「は、はい」
新部長の樹。まぁ海の推薦もあったけど、一番成長している感じがするな
美森が書記を受持ち、黒板に書き始めた
「社会の仕組みも変わってきたから、私たちのボランティアのあり方も変わっていくわね」
「確かに、これからの勇者部は何をするのが一番かって話よね……て言うか何であんたがいるのよ」
何故か混ざってる風先輩……いや、卒業したのに普通に混ざってるし……
「何よ!OGよ!OG!」
「めんどくさい寂しがり屋」
「何!文句あるの!文句!」
まぁ風先輩が混ざってるのは気にしない方がいいかもしれないな
すると園子があるものを取り出して僕らに見せた
「あのね。いっつん、これからのことなんだけどね。これ、覚えてる?」
園子が僕らに見せたのは……お正月に見せた鍬だった。夏凜はまたバンドみたいに今度は畑でもやるのかと聞くと……
「本土にはもう人は残ってないと思うの」
『あっ』
人がいないことは……正直予想はしていた。天の神はその事をあえて触れなかったけど…………
「乃木……続けて」
「これは乃木若葉が残した最後の想い…………その事に話そうと思うけど…………」
何故か園子は笑顔だけど……この笑顔は…………何か企んでいるような…………
「この話をするためにちょっとしたゲストを呼んだんよ」
園子が部室のドアを開けるとそこには海と…………海の娘の友海ともう一人はどことなく園子に似てる?
「海くん!?」
「いきなり天の神に呼び出されて……こっちに来たけど……そのっち、話ってなんだよ?」
「いや、そっちの子は誰よ?」
「まさか海と友奈の二人目の……」
「この子はゆみ、なんと言うか……別世界の僕の娘らしい」
『はぁ?』
「たまたま来たみたいなんやけど…………実はかいくんに話を聞きたくって……かいくんの今の世界はどうなってるか?」