勇者の花、桔梗の花 大満開の章   作:水甲

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今回で大満開の章一話は終わりです!


08 始まり、終わる。始まるワスレナグサ

夏凛お手製の肉を食べたり、樹が作った紫色のカレーを食べたりと、キャンプを楽しんだその日の夜、みんながテントで過ごしているなか……

 

「園子さんが来て更ににぎやかになったね」

 

「急に転入してくるからまぁビックリしたわよね」

 

「ねぇ、もうすぐ冬休みよ。早いわね」

 

「お正月だね」

 

「あっ、その前にクリスマスか。楽しみだなぁ」

 

「その前に受験頑張らないと……」

 

「受験生、大変よね」

 

「そう言えば桔梗くんは寂しくない?」

 

因みに僕は園子が持ってきたテントで寝ていた。流石にそういうのは気にしないとな

 

「寂しくはないな」

 

「きょうくん~わっしー送ろうか?」

 

「もうそのっちは」

 

「あんたら二人になって変なことするんじゃないでしょうね」

 

「独り身の風先輩には酷だよ!?」

 

「あんたらね!」

 

「いや、一応いろいろと気を遣ってるんだけど」

 

「ハグくらいね」

 

「「「「ハグ!?」」」」

 

ん?この流れ……何か嫌な予感が……

 

「わっしーそこら辺詳しく」

 

「ハグしてね。ベッドに……」

 

「頼むからその話はやめろ!?」

 

慌てて止める僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

明け方、早く目覚めすぎたから、散歩をしに行くと美森と園子の二人が話しているのを見つけた。声をかけようとするが、二人の話が耳に入り……

 

「みんながいてよかった。こうやってまた会うことができた。ミノさんとは会ってる?」

 

「どんな顔して会いに行ったらいいのか…前に天の使いになった銀には会ったけど……あの時は状況が状況だし……おいそれ会うこともできない……あそこにいっても……」

 

「それは私もだ」

 

「そのっちは違うよ!ごめん…。私は二人のことを忘れていたから……大切だ、約束だ、友達だってあんなに言っていたのにそれでも私は忘れてしまっていた。私は…自分で自分が許せないのだと思う…私たちは、3人で勇者だった」

 

「わっしー」

 

「たくっ、思い詰めすぎだよ」

 

ちょっと耐えきれずに、会話に交ざった僕。

美森からしてみれば本当に自分は大切な友達を忘れたひどい奴だと思ってるけど……

 

「銀がそんなことを思うか?」

 

「……思わないわね。きっと笑いながら……しょうがないやつだよって言いそうね」

 

「ミノさんなら言いそうだよね」

 

「それに……忘れたのだって散華したことでの影響だから……それならこれからは忘れないようにすればいい」

 

「でも……私じゃなく……桔梗くんが……」

 

「言ったろ、忘れたりしないって……友奈と一緒に誓ったんだから」

 

「そうだったわね」

 

「いや~明け方だから寒かったけど、暖がとれて良かったよ~」

 

園子はなんと言うか……ぶれないな~

だけど僕は未だにあの言葉が頭に響いていた。大切な事を忘れてしまうと……

 

 

 

 

 

 

 

また別の日、海岸の掃除と写真を撮ったりして夕日を眺めていた。

 

「うんうん。これは女子力の高い写真が撮れそうね」

 

と言うか美森は友奈の事を撮りすぎじゃないか?残像が見えるくらいの速度でやってるけど……

 

「はいみんな!記念写真撮るよー」

 

園子がみんなで撮ろうとするが、僕は少し離れた

 

「きょうくん、写らないの?」

 

「僕が交ざるよりみんなでの方がいいだろ」

 

「それもそうだね~」

 

意外と切り捨てるの早いな

 

みんなが集合写真を撮っているのを眺めていると、美森が僕と腕を組んだ

 

「美森?」

 

「二人なら一緒に撮っても問題ないでしょ」

 

「そうだな」

 

園子に頼んで、ツーショットを撮ってもらう僕らであった

 

「少し歩こうか」

 

「えぇ」

 

みんなに離れると伝えて、二人で浜辺を歩きながら……

 

「ねぇ、桔梗くん」

 

「何だ?」

 

「前に絵を描いてくれたよね」

 

前って言うと、夏凛が来る前に描いたような……

 

「また描いてほしいなって……」

 

美森は恥ずかしそうにしながらそんなことを告げた。そんな風に言われると僕も恥ずかしくなるんだけど……

 

「いいよ。描いてあげるよ」

 

「それじゃ前と同じ場所で描いてほしいな……」

 

「あぁ、分かった」

 

「忘れないでね」

 

「忘れないよ」

 

僕らはまた一つ約束をするのであった。

 

「キスするよ!キス!」

 

「あの二人に……本当に追い越されるなんて……うぅ」

 

「なんと言うか……風には毒ね」

 

「あはは」

 

「東郷さん、幸せそうだな~」

 

「さっきの写真を合成して、結婚式にする?」

 

「あんたもろくなことを……」

 

 

 

 

 

 

 

こんな平和な日々がずっと続いていくと……僕は思っていた。だけど…………

 

 

 

 

 

 

『平和なんてすぐに壊れてしまう儚いもの。苦しく辛いものは長く続くのに…………』

 

 

 

 

 

 

これは始まる前……物語…………そしてこれから始まるのはもう一つの勇者の物語

 

「……お兄ちゃん」

 

「どうした?雪」

 

「いえ、ただ思い出していただけです……」

 

「前に話していた……兄の事か?」

 

「お兄ちゃんは……私の事を知らないけど……多分この先は知ることはないと思います」

 

「そうなのか」

 

「何も知らない方がいいですよ……兄からしてみれば…………行きましょう。芽吹さん」

 

勇者になれなかったもう一人の神宮……『神宮名草』の物語…………




新キャラ登場により、次回からはくめゆ編スタート。そして新キャラの名前の由来はワスレナグサからです
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