色んなヤクザ・マフィア映画を元にした戦隊モノです。
方言が出てきますが、だいぶ適当なのであしからず。
第一話 仁義なき戦いの始まり
20××年、第三次世界大戦が終わりを告げようとしている頃。
広島は、核の炎に包まれた!
その結果、日本は無条件降伏。多大な犠牲を払いながらも、戦争という大きな暴力は消え去った。
だが、それから数年後。
秩序を失った国土には、また新たな暴力の嵐が吹き荒れようとしていた。
拳と拳。
銃弾と銃弾による応酬。
人々は生きていくために、そして、降りかかる無法に対抗するために、自らもまた暴力に頼るほかなかったのである。
人々のほとんどは、戦時中に利用された西洋の技術を導入し、自らを
いかに身体の多くに質のよい改造手術を受けるかが人の生死を分けた。この世はまさに弱肉強食。強者が弱者から富を奪い、また力を増す。弱者には力による絶対的な搾取に怯える道しかなかった。
広島県呉市。ここにも力に支配され、必死に頭を地面にこすり付ける青年が一人いた。
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「許してつかぁさい、許してつかぁさい!」
港町の晴れ渡る空に、青年の悲痛な叫びがこだまする。
青年の名は轟文太。19歳。
第三次世界対戦により両親を亡くして以来、妹を養っていく為に学校を辞め、仕事をいくつも掛け持ちしながら暮らしてきた。
しかしある月、とうとう金が尽き、妹の学費を払えなくなった。
そこでとある若者向けローン会社に泣きつき金を借りたのだが、借りた相手が悪かった。
それは広島市から呉市に乗り込んで来て勢いに乗る、広島県最大の暴力組織・暴新会がバックにつく金融会社だったのだ。
文太はボロボロに汚れ半分破けたジーパンの裾を引きずりながら、いかにもヤクザというような悪人面の三人組に近づいていく。
そして、その内の一人、パンチパーマでサングラスをした男の足に、倒れこみながら必死にしがみついた。
「もうちいと、もうちいとだけ待ってつかぁさい! 必ず、必ずお金は払いますから!」
男はダルそうに首を回したあと、文太の身体を思いっきり踏みつけた
「いらいんさんな! おんどれは、何様んつもりじゃ!」
「うぁぁぁ!」
「お兄ちゃん!」
苦痛の声をあげる文太を見て、そう叫ぶ少女。
悪人面三人衆の内の二人に脇を抱えられている。
少女の名は轟明菜。両親を失って以来、たった一人の家族として支えあって生きてきた、文太にとって何よりも大切な妹である。
艶やかな黒髪と雪のように白い肌。戦前から「街一番の美少女」と讃えられた彼女の美しさは貧しい生活の中でも変わらなかった。
その彼女が、整った顔立ちを歪ませながら、なりふり構わず叫んでいる。駆け寄ろうともしているようだが、二人の男に身体を掴まれていて必死にもがく両足は空転するばかりだ。
「諦めい。怨むんなら妹一人養えんこの甲斐性なしのクソ兄貴を怨むんじゃのぉ。」
明菜の右肩を掴む全身黒い服を着た背の高い男が淡々と言った。恐ろしい程、冷たい目をした男だ。
すると、左側にいるボサボサの長髪で不潔感漂う男も続いた
「クソ兄貴! クソ兄貴!」
甲高い声で非常に頭の悪そうな話し方。
何か人をイラ立たせるモノがある。
「お兄ちゃんは、クソ…なんかじゃない…」
明菜の声は震えている。目には涙が浮かんでいた。
兄である文太にはその涙の理由がわかる。
あれは怖いからでも悲しいからでもない。怒りからだ。
「え? 何て? クソじゃない? ウンコじゃろ、あんなモン。ウンコ、ウンコ。でなかったら、あの地面に転がってる薄汚いアレは何じゃ? ゲロ? ボロ雑巾? 何?」
不潔男は明菜をイラつかせていることに気づいていないのか、それが楽しくてやっているのか。言葉をたたみ掛けてくる。
そして、明菜はキレた。
両方から腕を掴まれながらも懸命に首を振りかぶって、不潔男に頭突きをお見舞いした。
「ぐええ!」
唸り声をあげる不潔男。
驚いたのか、右側にいた冷たい目のリーダーっぽい男も明菜から手を離してしまう。
明菜は一目散文太に駆け寄った。
しかし、倒れた文太のいるところまで、あと数メートルというところで「パン!」と乾いた音が周囲に響いた。
走ってきた勢いのまま、ヘッドスライディングするようなカタチで地面に倒れこむ明菜。左足からは多量の出血。銃で撃たれたようだ。
「明菜!」
文太が地面を這いずりながら近づき声をかけると、
「お兄ちゃん、大丈夫…?」
と明菜はかすれた声で言った。
「『大丈夫?』はお前じゃろうがい、明菜…。お兄ちゃん、言うたじゃろ。『お前は奴らに逆らってはいかん。痛い思いも、辛い思いもお兄ちゃんだけで十分じゃ。お兄ちゃんに任せとけ』って…。ワシが、ワシが不甲斐ないばっかりにこがいなことになったんじゃ。明菜、お前がこがいな思いすることはないんじゃ…」
「お兄ちゃん、そんなん言わんでよ。たった二人の家族じゃないの…」
そんな二人にガシャンガシャンと音をたてて近づく影。
ニメートルはあろうかという巨体と銀色に輝くボディー。
右手に備え付けられたライフルの銃口から煙が立っている。
おそらく、その姿は巨大な銃を型どっている。
「
文太は身体から力が抜けていくのを感じた。
薄々勘づいてはいたが、そうでないことをどこかで期待していた。でも、相手がサイボーグでは万が一にも敵わない。
この時代、富める者は自らの身体に改造手術を施す。そして力を得て、弱者から富を貪る。強者は更に富み、弱者は更に貧しくなっていく。絶対に覆せない社会の構図であった。
「何をしでかすと思えば、随分とムダなマネしてくれるのう」
その淡々とした語り口は、この銃のサイボーグ、ガンロイドが明菜の右肩を抱えていた冷たい目の男の
「さすが、籠池の兄貴! 百発百中じゃのう!」
不潔男がそう騒ぐ中、ガンロイドは正反対に冷たく言った
「まぁいいわい。気に入った。貝原、連れていけ。」
そう指示された不潔男・貝原は足を負傷し抵抗出来なくなった明菜の身体を抱えあげて後方に停めてある黒いロールスロイスの車内へ乱暴に投げ込んだ。
ガンロイドも人間態の冷たい目をした男・籠池の姿に戻り、同じ車に乗り込む。
文太は車に向かって叫ぶ
「おんどれら、明菜を、妹を、どこ連れていくつもりじゃ!」
「キャキャキャ! おんどれの妹はのう、ソープに売られるんじゃあ! ええ売女になるぞ、おんどれの妹は。淫売はこれくらい強気でのうてはつとまらんわい!」
「そんくらいにしとかんか。」
籠池がせせら笑う貝原を制して車は出発する。
「待て!」
力を振り絞り立ち上がろうとした文太を、その場に取り残されたパンチパーマの男が蹴飛ばした。
男はダルそうに首を回しながら言う
「死体ん処理は、またワシん仕事か…。たいぎいのう。でも、しっかり殺らにゃあ兄者がうるさいけぇのう…。怨みば力は恐ろしいだのなんだの…。」
そして男は姿を変える。頭には二本の角。顔の半分を覆う大きな目。その中に無数の複眼が見える。ウジャウジャと動く6本の腕。そしてどっしりと構える2本の足。蜘蛛型サイボーグ・スパイダーロイドだ。
スパイダーロイドは文太の首根っこを掴んで身体を持ち上げると、その腕に徐々に力を加えていく。
「くっ…は…」
文太は徐々に息が苦しくなっていくのを感じた。
「無様じゃのう。悔しいじゃろう。家族を拐ったヒドイ奴らに殺されるんじゃ。でも、諦めろ。弱いお前が悪いんじゃ。」
こんな奴らに殺されてたまるか。
文太は必死に足をバタつかせて抵抗するがスパイダーロイドには全く効き目がない。
「ち…ち…ちくしょう…」
文太がそう呟いた時、どこからか、ドスの聞いた大きな声が響いた。
「待てい!」
スパイダーロイドは驚いて力を緩め文太の身体を地面に落とした。スパイダーロイドと文太がほぼ同時に声のした方を見ると、そこには三人の男女が立っていた。
「物騒じゃのう。何やっとるんじゃ。」
横一線に並ぶ三人の中央にいる男が低く響くような声で言う。
見るからに筋肉質でゴツい体格。短髪に刈りあげていて、額に剃り込みが入っている。スーツを着崩していて、下に着ている派手なワイシャツが見える。いかにもヤクザ然とした風体でそれだけでも特徴的だが、何よりも鋭い眼光が印象的だ。
次にその右側にいる青い和服を着た女が進み出る。
「ウチらのシマのモンに乱暴してもろうては困るんよ」
広島弁とは違った訛りだ。四国の言葉だろう。色白で切れ長な目が特徴的な和風美人。上品さを感じる風貌だが、目の前で行われる暴力行為を見ても微塵も動揺した様子がない。何か迫力を感じる面構えだ。
最後に発言したのは左端にいる若い男。文太と同じかそれ以下の年齢だろう。スラッと細い体格でメガネをかけている。ダラリと首のあいた黒いTシャツにお洒落なグレーのパーカーを羽織っている。この時代の地方都市にはあまりいないタイプ。戦争の影響を受けなかった地域にいる、所謂インテリ大学生といった感じの雰囲気だ。
「その人のこと、おとなしく離してくれたら痛くしないけど、どうする?」
それを聞いて、スパイダーロイドは高笑いした。
おそらく、インテリ大学生っぽい男の首筋を見たのだろう。
文太はそう思った。
過去にサイボーグ化手術を受けた人間には首筋に特殊な手術痕が出来る。インテリ大学生の首元の空いたシャツからのぞくその部分には手術痕がなかった。
他二人の首は服で隠れていてそこまでハッキリとは見えないが、仲間ならおそらく手術は受けていないだろう。
「フハハハ、何カッコつけとるんじゃ! おんどれらがワシに敵うわけないじゃろう!」
スパイダーロイドの言う通りだ。
いくら三人いるとはいえ、サイボーグに普通の人間が勝てるはずがない。
文太はそう思い
「逃げろ! あんたらがワシにかまう必要などないんじゃ!」
と必死に叫んだが、三人は余裕綽々といった感じで笑みさえ浮かべている。
「人間がサイボーグに逆らうなんて無謀すぎる…」
「普通やったらそう思うろうねぇ…」
インテリ大学生と和服の女が順に言った後、中央の男が声高らかに叫んだ
「だが、ワシらーなら勝てる!」
三人は同時に錨のような紋章が描かれたスマートフォンを取り出した。そして、それを掲げて叫ぶ
「「代紋チェンジャー!!!」」
すると、三人の身体が光に包まれて、その中から三人の戦士が姿を表した。
「レッドリベンジャー! 獅子道誠! 喧嘩はトるか、トられるか!」
「ホワイトリベンジャー! 桐生ナツメ! ナメたらいかんぜよ!」
「ブルーリベンジャー! 万田南! 地獄の沙汰も金次第!」
「「暴力戦隊! リベンジャー!! 見参!!」」
変身した…。
でも、サイボーグではない。文太の見たこともない戦士がそこにいた。
おそらく、スパイダーロイドも同じはず。
でも、この世界では相手にビビっていると思われたら負けだ。
「ふざけたカッコしおって…トれるモンなら、トッてみい!」
スパイダーロイドは動揺を悟られぬよう強気に叫び、口の中から白い粉の入った薬包を取り出した。
覚醒剤のようにも見えるその粉を地面にバラまくと、その中から顔全面を覆うマスクをして、身体にチンピラ特有の派手なアロハシャツっぽい模様の描かれた全身スーツを着た戦闘員が無数に現れた。
「行け、チンピラン!」
チンピランと呼ばれた戦闘員たちは次々リベンジャーたちに向かっていく。
それに対してリベンジャーたちはそれぞれどこからともなく武器を取り出し立ち向かう。
中央にいたゴツい男・獅子道誠の変身したレッドリベンジャーは「ダンビラソード!」と叫び刀身が一メートル以上はあろうかという大太刀を取り出した。
和服の女が変身したホワイトリベンジャーは「ドスブレード!」と叫び短刀を取り出して逆手に構える。
インテリ大学生風な男・万田南の変身したブルーリベンジャーは「チャカシューター!」と二丁の拳銃を取り出した。
力の差は圧倒的であった。
レッドリベンジャーは
「うおおお!」
と大きな声で叫びながら大太刀を振り回して、一太刀で複数人のチンピランを切り払っていく。
ホワイトリベンジャーはチンピランの間を上手くすり抜けながらドスブレードで素早く切り裂き、ブルーリベンジャーは正確な射撃を続けてチンピランたちを近づけさえしない。
無数にいたチンピランの数はみるみる内に少なくなり、遂には三分かからず全体倒されてしまった。
「あーらら。もう一人になっちゃったね。どうする? 降参する?」
挑発に見事にのったスパイダーロイドは張本人のブルーリベンジャーの方へ向かって駆けていく。
ブルーリベンジャーはスパイダーロイドの足下を射撃し動きを止めようとしたが、敵もなかなか素早く左右に上手く飛んで近づいてくる。
そしてブルーの目の前まで迫ったスパイダーロイドは
「ドアホゥ! ワシを見くびったのう!」
と言い拳を大きく振り上げたが、ブルーは横っ飛びしそれをかわした。
そうすると、今度危機に陥ったのはスパイダーロイドの方だった。ブルーのいた場所の真後ろにホワイトリベンジャーがドスブレードを持って待ち構えていたのだ。
大振りのパンチをかわされて無防備になったスパイダーロイドの胴体をホワイトリベンジャーが切りつける。
そして、ホワイトリベンジャーの影には更にレッドリベンジャーが控えており、ポントーソードでスパイダーロイドをこれまたバッサリと切り払う。
大ダメージを負ったスパイダーロイドは
「ぐぎゃぁぁ!」
と叫びながらその場に崩れ落ちた。
「よしゃあ、トドメじゃ! ヤマトバズーカ!」
レッドリベンジャーが拳を突き上げると、リベンジャー三人のいる中間地点に巨大なバズーカ砲が現れた。
そしてそれを三人で担ぎ上げて標準をセットする。
「ファイヤー!!」
ヤマトバズーカから眩い光弾が放たれ、スパイダーロイドに命中する。
「うわぁぁ!」
スパイダーロイドは断末魔をあげながら爆散した。
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「ボウズ、大丈夫か?」
レッドリベンジャーが地面に這いつくばる文太に声をかけてきた。
「あ、あんたらは一体…」
「ワシらは大和会・獅子道組のモンじゃ」
「そうじゃのうて…」
「ああ、こいかい…こいは、ウチの先代が作ったモンで、サイボーグじゃのうてもサイボーグと戦えるようになる代物じゃ」
「サイボーグじゃのうてもサイボーグと戦える!」
いきなりの大声に驚くリベンジャーたち。
文太はそんなことも気にせず地べたに頭を擦り付けながら懇願した
「お願いします、力を貸してつかぁさい!」