暴力戦隊リベンジャー   作:ロッシーニ

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第二話 極道の紋章

広島県呉市。大和会・獅子道組の組事務所内。

 

文太からこれまでの経緯を聞いた獅子道誠は

「そいつは難儀じゃのう…。」

と言って天井を仰いだ。

 

「君、金を借りた、相手が悪いよ。」

そう言うのは獅子道組の金庫番・万田南だ。

 

癖なのか、メガネのブリッジを人差し指で上げながら文太に説明する。

 

「奴等は暴新会…。広島市を根城にする非合法組織…まぁ、非合法なのはウチも人のこと言えないんだけどさぁ。」

「広島…じゃあなして、この呉に…呉市はあんた方、大和会が仕切っとるんじゃないんですか?」

「そうだけど、シマをあらしに来てるんだよ。奴等はさ」

「そんなんしたら戦争じゃないですか。」

「戦争したいんだよ、アッチは。」

「だから、なして?」

「勝てる自信があるからさ。日本で一番大きな非合法組織ってどこかしってる?」

「京都の冷泉会ですか?」

 

南は頷いた

 

「そう。暴新会は半年ほど前、君みたいなカタギでも知ってるあの冷泉会の傘下に入ったんだよ。上納金納める代わりに広島県内の利権は全部暴新会のものにしていいって許可をもらったらしい…」

「そんな…大和会はそれを黙って見とるんですか?」

「暴新会はともかく、冷泉会が乗り出してきたら勝ち目がない。今出来るのは相手に戦争の大義名分を与えないことだ…。大儀がなければ、いくら冷泉会でも戦争は仕掛けられないからね。悔しいけど、黙ってるのが今一番利口な方法なんだ。だけど、それは相手もわかってる。だから暴新会は呉で滅茶苦茶やってコッチに先制攻撃させようとしている訳さ。」

 

南は懐から一枚の紙を取り出した。

文太がローン会社と結んだ借金の契約書である

 

「これ、見せてもらったんだけど、あり得ない。いくらなんでも利息が高すぎる。まぁちゃんとした知識もなく契約する君も君だけどさ、然るべき所に訴えられたら確実に負けるよ。同業として言うけど、これで妹をカタに連れていくなんてバカげてる。要するに、君のところも巻き込まれた訳さ。暴新会が呉でやってる滅茶苦茶にね」

「じゃっとん、そげな滅茶苦茶なことやったら、攻撃されても文句いえんのではないですか? そげんで大義名分が立つんですか?」

 

「おまさんたちとは生きちゅー世界が違うんや」

答えたのは桐生ナツメだ。

「奴等もウチらも極道やき、乱暴狼藉は日常茶飯事。その辺にいる奴をいくら殴っても戦争の正当な理由にゃならん」

 

「じゃ、何ならええんですか?」

「相手が先に撃ってきたら」

「そんな…」

「真珠湾攻撃やろうが9.11やろうがなんだってそうろうが。先に痺れを切らして弾撃った方が悪いがよ」

 

唖然とする文太を見て、獅子道はため息をつく。

 

「じゃからのう、こん世界は力が全て。ワレが今巻き込まれとんのはそういう世界なんじゃ…」

「じゃあ、このまま諦めろいうんですか!?」

「ワレ、そがいに妹を取り返したいんか?」

「当たり前じゃろうが!!」

 

「なら文太ぁ。ワレ、極道になれ。」

「え?」

 

文太のみならず、南とナツメも同様に声をあげた。

 

「兄貴…本気ですか?」

獅子道は南に向かって頷く

 

「いくらシマのモンでも組に関係ないモン殴られたって戦争の理由にはならんじゃろう」

「だから、盃交わして舎弟の妹が拐われたってことにする訳か…。でも兄貴、本気で暴新会と…いや、冷泉会とコトかまえるつもりですか!?」

「なぁ、南よ…。ただ武器持って暴れまわるだけじゃ、単なる外道じゃ…。ワシら極道じゃないの。極道いうんは、弱きを助け、強きを挫く。その道を極めるモンのことをいうんじゃ。」

「兄貴…」

 

南の目は涙で潤んでいる。感激しているようだ。ナツメも静かに微笑んでいる。獅子道は床に置かれた徳利から盃に酒を並々注いで文太に差し出した。

 

「文太、極道ゆうんは、甘うない。正しかろうが悪かろうが望みは自分の力でつかみとるしかない。文太、ワレにゃあ、そん覚悟があるか!?」

「勿論じゃ!」

 

文太は獅子道の手から盃を受けとると、注がれた酒をぐいっと飲み干した。未成年である文太にとってはこれが初めての酒である。五臓六腑に染み渡る、というヤツだろうか。文太は腹の中が沸騰するように熱くなっていくのを感じた。だが、それは酒に含まれるアルコール分のせいだけではなかった。

 

文太の身体と獅子道の胸元が同時に光を放ち出す。

 

「これは…!」

「やっぱりワシの見込み通りじゃったのう」

 

獅子道は胸のポケットから背面に錨を象った紋章の描かれたスマホ型のアイテムを取り出して文太に差し出した

 

「これが、代紋チェンジャー…大和会系獅子道組の…いや、暴力戦隊リベンジャーの証じゃあ!」

 

文太が代紋チェンジャーを受けとると、獅子道は立ち上がり部屋の出口の襖を開けた

 

「獅子道さん…いや、兄貴! どこへ?」

「舎弟の妹が拉致られたんじゃあ。きまっとろうが。カチコミよ。」

 

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現在、呉市は広島市、福山市に次ぐ広島県第三の都市にあたる。その発展は戦前に日本海軍の鎮守府が置かれたことに始まり、その後の呉市の歩みは海軍の強大化と常に共にあったと言ってもよい。急激な発展を遂げ強国を打ち負かした、世界に冠たる連合艦隊の根拠地であるというのが戦前、呉市の人々の誇りであった。

 

しかし、戦時中、戦況が悪化していくと、その誇りは悲しみへと姿を変えていった。四方を海に囲まれた日本は海軍を失えば翼をもがれた鳥に等しい。そう知った連合国軍は西日本最大の軍港を有する呉市とその周辺都市に猛攻撃を仕掛け、瀬戸内地方最大の都市であった広島市には人類最大の禁忌、核爆弾の投下さえ行われたのだった。

 

国家は機能を失い、周囲には焼け野原が広がるばかり。それでも人々は生きていかなくてはならない。そして、その為なら何でもやった。

 

若い男は暴力に訴え、女は物や金を恵んでくれる相手なら誰とでも寝た。また、年寄りから子どもまで皆が盗みを働いた。そんな無法の中で勝ち残るために、また、身を守るために、人々は徒党を組み自警団のような組織を形成していった。そして、ある程度の復興がなされた現在もそういった組織が社会から弾き出された者たちの成り上がる手段として続いている。それが、戦後広島における非合法組織の成り立ちであった。日本全国に点在する他の非合法組織も大半は似たようなモノだろう。獅子道組の属する呉市の大和会もそうであるし、広島市を本拠地とする暴新会も例に漏れない。

 

 

さて、獅子道組の事務所は呉港から程近い場所にある。そこから北に向かうと歩いて14~15分くらいのところに呉駅があり、その一帯に商店の立ち並ぶ地域がある。大都市のそれと比べるとこじんまりとはしているが、この街一番の繁華街である。

 

表向き賑やかな通りのはずだが、そこに住まう人々はここのところ、不安を感じながら日々を過ごしていた。この時代、どこの街にも裏の顔がある。繁華街には必ず、路地裏や雑居ビルの一室を使い麻薬売買や賭場の経営を行う者。はたまた、厄介なクレーマーを追い払う用心棒をする者などがいて、善悪関係なく、その街の経済活動の中で一定の役割を果たしているのだ。

 

そうした者たちの縄張り意識は強い。彼らは元々が社会から弾かれた者たちの集まりである。そこすら追い出されてしまえば最早路頭に迷うしかない人々だ。他人に縄張りを荒らされることは死に等しい。一方で、捨てるものが何もない人々ともいえる。野望に燃える者たちは危険を省みず他人の富を奪い取りにくる。一度縄張りを巡って争いが起きれば流血は避けられない。彼らの世界はそういう世界なのだ。そして、この街にもそれが降りかかろうとしていた。

 

戦後、大和会が仕切ってきたこの繁華街に暴新会が乗り込んできたのである。日本最大の暴力組織、京都・冷泉会の後ろ楯を得た暴新会はあえてこの地域のど真ん中に事務所を設置。大和会の縄張りで彼らの商いをするという挑発をすることで、大和会に先制攻撃をさせ、同じ広島県内のライバルを潰す大義名分を得ようとしているのであった。

 

 

「ギャハハハハ!」

と下品な笑い声をあげながら繁華街を闊歩する5人の男たち。

 

皆それぞれ刺青が見えたり、顔面に傷があったりと異様な風体であるが、中でも中央にいる男は特徴的だ。

長髪でボサボサな髪。何日も洗っていないような感じで表面が脂でテカっている。背は低く、あっても160㎝くらいだろうか。目がギョロギョロとしており、何もしていない状態でも何かを物色しているのではないかと思われそうなほどだ。

 

文太の妹、明菜を拐った男の内の一人、貝原である。

 

貝原は

「おぅ、野郎ども、今日も遊びつくすでぇ!」

と取り巻き達に声をかける。

 

やたらと声が大きいのはわざとであった。

 

広島市の暴新会が呉の街で大きな顔をして遊び回るのを、大和会に見せつけているのだ。

 

「そうじゃのう、今日はあそこがいいわい。」

 

貝原はこの繁華街の中でもネオンが一段ときらびやかに光る店舗を指差した。

店名はアムール。

 

貝原達には知る由もないが、ピンクリベンジャー、吉原空が潜入するキャバクラ店であった。

 

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「オイ、みるく! ボサッとするな!」

 

汚ならしく無精髭を生やした小太りのボーイが怒鳴るように言いながら、アムールの休憩室に顔を出した。

 

きらびやかな店内とは裏腹にゴミの散乱した室内で携帯リズムゲームに興じていた『みるく』は、ダルそうに首を回し、不服な表情を浮かべながら言った。本来童顔で可愛らしいはずの顔がひきつって人相の悪い印象になっている。

 

「え? 私、今休憩入ったばかりですけど。」

 

ボーイは舌打ちする

 

「そんなこと言ってる場合か!?」

「は? それってどういう…。訳を説明して下さい、意味わかんないですよ」

 

ボーイは地団駄を踏んだ。説明してる暇なんかないから、とにかく言うことを聞け。そうとでも言いたげだ。

 

「客だよ」

「客? 団体ですか? ホールにいるキャストだけで対応できないの?」

「暴新会だよ、暴新会の奴らが来たんだ!」

「あぁ…広島の…」

 

みるくもその名は知っていた。

呉市の大和会と広島市の暴新会の争いは、今やこの繁華街一番の感心事だ。暴新会の構成員達は大和会を挑発するために、わざと派手に遊び散らかしているという。泣かされた女の子やお店も随分多いと聞く。

 

「いいか、粗相のないようにな! みるく、わかったな!」

みるくがしばらく黙っているとボーイは畳み掛ける

「わかったか、みるく! 返事は! みるく!」

「あー、わかった、わかった。いいから大きな声出さないで下さいよ。頭痛くなりそう。」

 

みるくはため息をつきながら立ち上がる。Gカップのバストがいつもに増して重たく感じた。

 

「はぁ、みるく、みるく言わないで欲しいなぁ。」

 

『みるく』というのは当然、源氏名だ。由来は、彼女のたわわな胸のふくらみにある。店のオーナーが面接時に一目見て決めた。彼女からすると、あまりにも露骨で下品な源氏名のように思えたが、指名をとるにはそれが一番よいらしい。客がタイプのキャストを名前だけで見分けられるからだ。

 

つまり、この源氏名は

「おっぱい星人を捕まえて指名客にしなさい」

というオーナーからのメッセージなのである。

 

オーナーからすると、この業界に飛び込んだ若い娘への親心なのかもしれない。実際、オーナーは親切な人でこんな下品な店の経営者とは思えないような人だ。

 

でも、彼女はこの名前が気に入っていなかった。男に騙され、借金を背負わされた挙げ句、流されてこのような地方にやってきてはいるが、東京にいた頃はそれなりに名のある大学の学生だったのだ。ミスキャンパス候補にも挙げられていたし、将来はアナウンサーを目指していた。

 

その頃は、大きな胸も密かな自慢の一つだったが、今となってはそんな風に思っていた過去も愚かしく感じる。こんな馬鹿デカいモノが胸部についていなければ、悪い男に言い寄られることもなかったのである。そして、そんな忌々しいモノを象徴するような名前で活動しなくてはならない今の自分に嫌悪感を感じるのだ。

 

源氏名は、今まで何度も変えて欲しいと頼んだが、未だに聞き入れてもらえない。店長曰く「そんなことは売上あげてから言え」だそうだ。

 

 

さて、私が呼ばれたということは、暴新会に紛れておっぱい星人が襲来したということだろうか。一瞬浮かんだ考えをみるくは即時に否定した。いや、そういうことではないだろう。たまたまオーナーも店長も不在で一日だけ店を任されたその日に暴新会の襲撃を受けてしまったアンラッキーなボーイのあのビビりよう。きっと店を挙げての歓待を行い、機嫌をとろうということなのだろう。

 

無駄なことを…。

 

そう思い、みるくは更に憂鬱になった。どうせ暴れるのが目的の奴らだ。どんなにいい思いをさせてやったところで難癖つけてくるに決まっている。だったら初めから喧嘩の一つでも売ってやった方が幾らかマシなのではないか。

 

そう思うと、手は自然に携帯電話に伸びていた。

そして一本電話をした後、みるくは意を決してホールへ出ていったのであった。

 

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「おう、ネーチャン! いいケツしとんのう! ちいと触らせてみい!」

 

みるくがホールに出ると、長髪の男がそう言って笑っているのが見えた。

 

「アイツは確か…貝原っていったかな…」

 

みるくもその名は聞いたことがあった。呉市にやってきた暴新会構成員の中でも指折りの武闘派。この繁華街で最も派手に遊び回っている男だ。嫌なヤツがやってきたものだ。ボーイがビビってしまうのも無理はない。

 

貝原は横で接客をしているこの店のNo.1嬢、ミキの身体をやや強引にソファー上でひっくり返して、背後を向かせた後、尻を鷲掴みにした。そして何度も揉みくちゃにするように激しく触った。

 

「おお! プリンプリン! プリンプリンじゃあ!」

貝原が興奮して叫ぶと、取り巻きたちも

「たまらん! たまらんのう!」

などと下品に盛り上がる。

 

みるくには普段大嫌いなミキがひどく哀れに思えてきた。ミキはこんな地方のチンケな店でNo.1になったくらいで周囲に威張りちらすようなプライドの高い女だが、それ故に客のマナーにも厳しい。

少しでも禁止行為を働いた客は彼女曰く「私が相手するに値しない客」だそうで、即刻店員に言いつけて出禁にするようなことを何度もしてきている。

この無礼な振る舞い。相手が暴新会でなければ、ビンタの一つでも浴びせているところだろう。

 

そのミキが、四つん這いにされ、尻を強引に触られているというのに

「もー、お客さん、おさわりは禁止ですよぉ、やめて下さい」

と苦笑いを浮かべながら注意することしかできない。

冗談めかした言い方をしているが、そうとう屈辱的に違いない。

 

 

「ひいぃぃ。こ、怖い…。あの人たち、ヤクザって本当ですかぁぁ?」

 

みるくに背後から、震えた声で問いかけたのは、店に入って半年間、指名客ゼロの最下層ガール。源氏名、ユリナである。

モデルのようなスレンダーボディーとクリクリとした大きな目。相当な美貌の持ち主ではあるのだが、何ぶん性格がこの仕事に向いていない。

 

出身地が同じ東京ということで、よく話すようになったのだが、聞くところによると、彼女は全国区で名の知れた会社の会長一族の娘なのだという。ところが、第三次大戦に関する裁判が進んでいくなかで父親が軍需産業に深く関わったとされc級戦犯指名を受ける。そこから一家の転落が始まり、今に至るのだという。

 

周囲の女の子たちは彼女の境遇に同情しつつ

「ソープに落とされなかっただけマシなんだから、頑張りなさい」

というようなことを言っているが、みるくは、一概にそうでもないのではないか、と思っていた。

 

キャバ嬢というのは、ただ可愛ければよい訳ではない。その場を盛り上げ、男に気持ちよく話をさせ、時に好きでもない相手に擬似的な恋愛を提供し、だけどある程度の線は引いて客と嬢の関係を守らなくてはならない。ここでは、そういった世渡りの術が求められているのだ。いくらルックスがよくてもユリナみたいな臆病でお行儀のよい元お嬢様がのしあがっていける世界ではない。せめてこんな片田舎のキャバクラでなく銀座あたりの品がよいクラブならば…。あるいは、性風俗店の方がまだマシかもしれない。

 

みるくも東京にいたころ、巨乳を集めたソフトな性風俗に勤務したことがある。その頃の同僚にソープとの兼務で働いている女の子がいたが、その子曰く。

 

キャバ嬢・ホステスはコミュニケーション力が問われる仕事の上位にあたる。真面目だけど世渡り下手な所謂優等生タイプは性風俗の方が向いている。キャバにくる客はそれぞれカタチは違えど嬢との人間関係を求めてきている。対して性風俗の客は単に性交渉を求めている。それまでの性体験が少なくても、経験を積み重ねていけば、男に快感を与える為の技術は身につく。辛くても辞めずに続けていける優等生こそが、立派なテクニシャンとして一人立ちできる仕事なのだ。

 

 

今すぐあんたはキャバクラを辞めてソープで働きなさい。その方が向いているし、早く儲けて夜の世界から抜けられるから。

今日ほどユリナにそう勧めようと思った日はないが、もう遅い。危機はもうそこに迫っていた。

 

 

「ヤクザ、怖いよー」

ユリナはいいようにされるミキを遠くから見ているだけなのに涙目になっていた。いちおう、大和会の構成員ならよく店に来ているので、今さらヤクザを怖がるのも何だか滑稽だったが、ユリナの目には全く違って見えるのだろう。

 

大和会の奴らはガラは悪いが単に楽しむのが目的だ。そして、お人形みたいに可愛らしいユリナの気を惹こうとして、会話が上手くつながらず撃沈して帰っていくのだが…。今日来ている暴新会の奴らははなっから暴れることか、暴力をちらつかせて好き勝手振る舞うのが目的だ。大和会の連中とも上手く話せないユリナが、あの貝原らに上手く接客できる訳がない。

 

 

「アンタ、奥にさがってなよ。アイツらは私が相手するからさぁ。」

みるくが言うと、ユリナは震えながらも食い下がった。

「でも、ミキさんたちも頑張ってるし…。私も、私も頑張らないと。お店の為に頑張らないと…。」

 

お店の為に…。

なぜ、自分を借金のカタにもらい受けた店の為に危険を侵し頑張らないとならないのか。

ミキたちだって、別に普段仲良くしてる訳でもない。

たぶん、逆の状況でも店の人に命令されなきゃ助けてくれないだろう。

 

「アンタのそういうところがダメなのよ!」

みるくの言葉にユリナは目を見開いた。みるくは構わず続けた

「アンタみたいのが、アイツらの相手したって怒らせるだけでしょ! 向いてないんだからスッこんでなさい!」

 

みるくは、わざとキツい言葉を放った後に優しく言った

「ユリナ、アンタこの店辞めなさい」

「え? でも…借金が…」

「嫌なこと言うって思われるかもしれないけど、借金はソープで働いて返しなさい」

「そ、そ、ソープ! それって所謂、ソープランドのことですか?」

「そう。アンタ、いい子だからキャバには向いてない。駆け引きとか、そういうのできないでしょ?」

「えぇ…。キャバクラでも満足に働けないのにソープだなんて…それもいきなり…」

「騙されたと思って、やってみて。アンタ、天下とれるわ」

そう微笑んでから、みるくは貝原たちの席へと向かっていく。

 

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「どーも! みるくです! よーろしくお願いします!」

みるくは席に座る貝原らに向かって、前屈みになり胸の谷間をアピールしながら言った。

 

我ながら頭の悪そうな格好ではあるが、みるくお決まりの得意ポーズでもあった。とりあえず、これをやっておけば大体の客の機嫌はとれるだろう。

 

みるくはそう思っていたが、貝原はそれを見た途端、拳を握り机をガンと叩いた。

 

「ふざけとるんか!」

アムールの面々は何が起きたのか分からず目を丸くするばかりだが、貝原の部下たちは何かを察したようで、皆一様に、慌て出した。

 

「ドアホウ! 早うその女引っ込めい!」

「貝原の兄ぃは巨乳を見ると暴れたくなるんじゃ!」

 

貝原は何やら呟いている

「巨乳は悪だ…絶対的に悪だ…。汚らわしい…。」

「へ?」

「母ちゃんも! 母ちゃんもそうじゃった!ワレも男に身体を売り渡しとるんじゃろうがい!」

 

貝原はテーブルを倒しながら前に進み出る。そして、みるくの身体を押し倒し、首を掴んで締め上げた。

 

「やめ…、ふっ、ふざけ…ん…」

叫びたかったが、喉がふさがり言葉が出てこない。

 

危険を承知で出てきはしたが、出会って数秒、しかもこんな理不尽に暴力を振るわれるとは。この男、母ちゃんだの何だのと意味不明なことを言っているが、何かトラウマでもあるのだろうか。でも、そんなこと私には関係ない。確かに、綺麗な身体でないことは自分でも承知しているが、それで他の誰に迷惑をかけただろうか。それに、お前だってさっきまで欲望に駆られてミキの尻を撫で回していただろうが。尻は良くて、おっぱいはダメだというのか。ふざけている。本当にふざけている。

 

みるくは怒りに任せて足をバタつかせ抵抗を試みる。みるくの蹴りが貝原の腹の辺りに何発もヒットするが、貝原は動じていない。この男、特別タフなのか、我を忘れているのか。もしくはその両方なのかもしれない。

 

このままでは本当に殺される…。

そう思ったその時、みるくの視界に映ったのはヒラリと揺らめく黒いドレスだった。

 

ドレスからはみ出た白くて細い足が、貝原の顔面にヒットする。

貝原は、その衝撃で後方へとぶっ飛び、先程まで腰かけていたソファーに後頭部をぶつけた。

 

何が起きたのか。

見上げると、そこにはユリナの姿があった。

 

「ちょっと! アンタ、引っ込んでなさいって言ったでしょ!」

みるくはそう叫ぶが、ユリナはお構い無しに不敵な笑みを浮かべる。

そして、貝原らに言った。

「当店はね、おさわり禁止なんですよ。しかも、随分と激しい触り方をしてくださったご様子で。」

 

「なんじゃあ、ワレ!」

 

貝原の手下の一人がユリナにつかみかかろうとした瞬間、ユリナは自らのドレスの裾を徐にめくり上げた。貝原の一味達はそこから現れた純白のパンティーに目を奪われたようだが、彼らはそんなところに注目するべきではなかった。

 

ユリナは両足のガーターベルトに取り付けられたホルダーから黒光りする全長50センチ程の物体を取り出し、それを左右の手に一つずつ持って前方へと構えた。

 

サブマシンガン。

日本語で言えば、短機関銃ともいう。

 

みるくも映画で見たことがあったので、その物体の名称は知っていた。だが、物騒な事とは無縁のはずのお嬢様崩れのキャバ嬢であるユリナが持っていると、どうしてもそれがサブマシンガンには見えなかった。

 

ユリナのヤツ、一体何をするつもりなの…?

 

みるくは疑問に思ったが、ユリナの取り出した物体が短機関銃だと理解できていれば、もっと話は早かったはずだ。敵対する相手を目の前にして、それを取り出したらやることは一つ。撃ちまくることだ。

 

 

バババババ!

とけたたましい音がなる。

 

ユリナは貝原らの一味全員に攻撃ができるように、銃口を左右にゆっくりと振りながら弾を乱射している。暴新会の組員達は皆、叫び声をあげながら倒れた。

 

目の前で繰り広げられるのは間違いなく殺戮であったが、みるくはそこに恐怖も嫌悪も感じなかった。銃撃によって砕け散ったグラスが宙に舞い、キラキラと光を放ち、そこに撃たれた男たちの身体から吹き出した鮮血の真っ赤な色が混じる。

その中心に立つユリナは同性のみるくがうっとりとする程に美しかった。

 

あれは何時だったか…美術館で見た西洋画の女神様みたい…。

あれ、なんて題名だったっけ?

確か、フローラの王国…。

 

しばらくすると銃声が止んだ。弾を撃ち尽くしたみたいだ。

ユリナは銃を床に捨てた。急に力が抜けたようで、それは手元から滑り落ちるように床に落ちた。銃撃が止み、束の間、静かになっていた店内にガチャンと大きな音が響く。

 

その音から言って、ユリナが捨てたサブマシンガンにはかなりの重量があるはずだ。撃てば反動もあるだろう。両手に片方ずつ持って撃つなんて、できるものだろうか。

 

映画なんかに出てくる軍人も脇に抱えて撃っている印象がある。きっと普通はできないのだろう。女の子ならなおさらだ。

改めて見てみると、ユリナの腕は、先程までそれを行っていた者の腕とは到底思えないほど細い。

 

みるくには、ユリナが床に銃を落とすその様が、殺戮の女神が、普通の女の子に戻っていく過程のようにも思えた。

 

そして、ユリナは文字通り、憑き物がとれたようにスッキリとした様子で、ため息をつきながら呟いた

 

「カ・イ・カ・ン…。」

 

カイカンって…。快感ということだろうか。

「ユリナ…あんた一体…」

 

みるくが近づいていこうとするとユリナは

「動かない方がいいですわ」

といつもに増してお嬢様っぽい口調でそれを制した。

 

たぶん、こちらの話し方がユリナの素に近いのだろう。

みるくはそう直感した。

 

 

「オイ、コラ、ワレィ! 何者んじゃあ!」

と瓦礫の中から貝原が立ち上がった。

 

みるくはギョっとしたが、ユリナは表情一つ変えず冷静に言った

 

「やはり、改造人間(サイボーグ)…。まだ生きてらっしゃいましたか」

 

確かに、ある程度、身体の改造率が高いサイボーグなら、機関銃による攻撃を耐えることも可能。そして貝原が評判通り、暴新会屈指の武闘派であるならば、そのレベルに達したサイボーグである可能性は高い。ユリナはそこまで計算に入れていたようだ。

 

「何だか知らんが、こっちは若いもんトられとるんじゃ! 女でも手加減はせんぞ!」

 

貝原はそう言うと、うなり声をあげながら、銀色に光る大きな貝のような形状へと変身した。やや縦長な貝殻はおそらく牡蠣を模したものだろう。

 

ユリナはやや暢気に微笑んだ

「へぇ。さすが、広島の極道さんですわ。牡蠣のサイボーグなんですね。オイスターロイドと言ったところでしょうか…。じゃあ他にも広島焼きやもみじまんじゅうのサイボーグがいらっしゃるんですの?」

「おどれ! 今、何言った!」

「だから他にも広島焼きとか…」

「広島焼きじゃない! お好み焼きじゃあ!」

 

ユリナは広島人の逆鱗に触れた。

 

オイスターロイドは飛びかかるようにユリナとの距離を詰めようとするが、ユリナも同時に後ろに飛んで距離を作った。そして胸元から碇を模した代紋の描かれたスマホ型のアイテムを取り出して叫ぶ。

 

「代紋チェンジャー!」

ユリナの身体を光が包み、そこから姿を表したのはピンクの戦闘用スーツを身にまとった戦士であった。

 

「ピンクリベンジャー! 吉原空!」

 

みるくは思わず目を見開いた

「ユリナ、あんたがリベンジャーだったの…」

 

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さて、正式に獅子道組とリベンジャーのメンバーとなった轟文太は獅子道誠、万田南、桐生ナツメの3人と共にジープに乗って暴新会・呉支部のある繁華街へと向かっていた。

 

運転手はナツメで、後部座席に獅子道と文太がいる。助手席に座る南の代紋チェンジャーから音がする。電話がかかってきた模様だ。

 

「はい、万田です」

といつも通り極道らしからぬ落ち着いた口調で話していたが、話をするうちに段々と声が大きくなっていく。

 

「あ? あの、お嬢、ホンマあほんだらがぁ! すぐ行くから時間稼ぎしながら待っとれって伝えろ! 無理だぁ!? やれや、ドアホ!」

 

南はお国言葉である大阪弁で怒鳴り散らして電話を切った。

 

「どうしたんならぁ、ちったぁ落ち着けぃ」

獅子道が言うと、南は深呼吸をしてから、いつもの口調に戻って言った。

 

「アムールのみるくからです。空が、店で暴新会の貝原と遭遇…。一人で戦闘を始めたみたいです」

「あの子、またプッツンしてしもうたんやろか?」

ナツメの問いかけに南はため息をつく

「でしょうね。全く、アイツ、自分の役割わかってるのか…。一体何のために潜入させているんだか…。」

 

獅子道は呆れる南を

「まぁ、ええじゃないの」

と諌めて言った

 

「アムールなら暴新会の事務所とも近い。向かう場所も相手も変わらんじゃろ。ワシらも早う行って暴れようや」

 

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「チャカシューター!」

 

ピンクリベンジャーはオイスターロイドの足元を狙って銃を撃つ。オイスターロイドはそれを横っ飛びで素早く避けた。銃弾は商店街のレンガの敷き詰められた地面に当たって火花を放つ。

 

オイスターロイドは体勢をたて直すと、ピンクリベンジャーに駆け寄り貝殻のついた右手を振り下ろしパンチを繰り出す。

 

ピンクは白刃取りの要領で拳を受け止めるが、貝の固さで強化されたパンチにはそれなりの衝撃はあり、思わず「ツゥッ!」と声をあげる。

 

だが、それも覚悟の上だ。

腕をつかまれ隙の出来たオイスターロイドのどてっ腹に蹴りをお見舞いする。

 

貝で守られている箇所ではないのでそれなりにダメージはあったようでオイスターロイドは「ぐぅ!」と唸りながら後ずさりしたが、決定的なダメージにはならなかった。

 

「なかなかお強いのですね」

「なんじゃい、今さら気づいても遅いわい! 地獄で後悔しろい!」

 

「残念ながら、そうはなりませんわ」

 

ピンクが言うと、そのタイミングで丁度一台のジープが商店街に乗り込んできた。

 

ジープのドアが空く。

そこからリベンジャーのメンバー4人が降りてきた。

 

「あら、あなたは? ここは危ないですよ。あまり近づかない方がよいと思うのですが…。」

文太が盃を交わした経緯を知らないピンクは、同志3人についてやってきた見知らぬ青年を見て首を捻った。

 

「空、心配するなぁ。コイツ…文太は新しい仲間じゃ」

獅子道の言葉に驚いた様子のピンク

「え、彼が…何か普通っぽいですね。大丈夫なんですの?」

 

まだ素顔は見たことがないが、話し方や所作から言ってかなり育ちがよいであろうこの女に何故こんな心配をされなくてはならないのか。勿論、ついさっきまでカタギだった訳で自分がまだソレっぽくないことは重々承知しているのだが、文太はそれでも何だか気にくわなかった。

 

「言ってくれるのう! ワシはどうあっても暴新会は許せんのじゃ!ワシの覚悟よう見とれい!」

 

文太は代紋チェンジャーを取り出して構える。他の三人も同様に構え、声を揃えて叫ぶ。

 

「代紋チェンジャー!」4人の姿が戦士に変わり、リベンジャー5人はオイスターロイドに向かって横並びになった。そして次々に名乗りをあげる。

 

「レッドリベンジャー! 獅子道誠! 喧嘩はトるか、トられるか!」

「ホワイトリベンジャー! 桐生ナツメ! ナメたらいかんぜよ!」

「ブルーリベンジャー! 万田南! 地獄の沙汰も金次第!」

「ピンクリベンジャー! 吉原空! カ・イ・カ・ン…!」

「ブラックリベンジャー! 轟文太! おひけぇなすって!」

『暴力戦隊! リベンジャー! 見参!!』

 

「リベンジャー…。大和会んもんじゃな! おどれら、暴新会に手ぇ出してタダで済む思うなよ!」

 

 

ブラックリベンジャーに変身した文太はオイスターロイドに怯まず言い返した。

 

「暴新会がなんじゃい、冷泉会の力ぁ笠に着せんと何もできんクセに、こんクサレ外道が!」

「何じゃと!」

「おどれ、妹を! 明菜をどこんやった!」

「妹…。ワレ、今朝の小僧か!」

「そうじゃ!」

「おう、おう、あの子、可哀想じゃったのう。兄貴がバカで弱いばっかりにあげなメんあったんじゃ…。」

「ふざけんさんな! おどれがやりよったんじゃろうがい!」

「まぁいい。おどれは、どうせここで死によるんじゃ、教えてやるわい。あの子はのう、籠池の兄貴があの後すぐ広島に連れてったんじゃ。上玉じゃったからのう。いい金ズルになるわい。」

「何じゃと!」

「残念じゃったのう…。いつもならワシも味見させてもらうトコなんじゃが…。あまりに高値で売れそうじゃけぇ、籠池ん兄貴が手ぇつけさせてくれんかったんじゃ。とはいえ、誰かが調教せにゃソープには売れんからのう。今頃、兄貴、いい思いしとるんかのう。兄貴は気ぃ強い女をムリヤリ犯すのが大好きなんじゃ。羨ましいのう」

「おどれぃ! 死ぬれや!」

 

挑発に我を忘れたブラックリベンジャーはオイスターロイドに殴りかかった。パンチを連打するが、オイスターロイドは肘についた硬い貝殻でガードする。殻に阻まれてなかなかダメージが通らない。少し疲れが見え、パンチの速度が遅くなったところでオイスターロイドは右ストレートを繰り出す。パンチはブラックリベンジャーの顔面に命中。ブラックリベンジャーは後方にぶっ飛んだ。

 

「文太!」

「大丈夫ですの!?」

 

ブルーリベンジャーとピンクリベンジャーが駆け寄ろうとするが、

「待て!」

とレッドリベンジャーがそれを制した。

 

そして、ブラックリベンジャーに語りかける。

「文太ぁ、人に頼るな! 自分で立ち上がれ! こんなは、もう弱い男じゃない! 極道に、強い男になるんじゃろ! 強くなって、妹を取り戻すんじゃろ! 自分の力で、立ち上がってみせぇ!」

 

「そうじゃ、ワシは強うなるんじゃ…誰にも負けないくらい…誰が相手でも大切な人を守りきれるくらい、強うなるんじゃ!」

 

ブラックリベンジャーは

「うぉぉぉ!」

と叫び声をあげながら立ち上がり、再びオイスターロイドに向かっていく

 

「くっ! 死に損ないが!」

 

オイスターロイドは薬包を取り出して、白い粉を周囲にまく

 

「いけ、チンピラン!」

 

地面にまかれた粉からよくチンピラが着ているアロハシャツの柄の全身スーツを身にまとった戦闘員が無数に生まれてくる。

 

「いくぞ、ワシらも文太に加勢する!」

 

レッドの号令に合わせてリベンジャーたちとチンピランたちの乱戦が始まった。

 

レッドはダンビラソード、ブルーはチャカシューター、ホワイトはドスブレード、そしてピンクはマシンガンモードにしたチャカシューターでそれぞれチンピランと戦いだした。

 

ブラックは徒手空拳でチンピランを殴り倒す。先程、リベンジャー入りしたばかりで武器の使い方もよくわからないブラックはとにかく夢中で拳を振り回した。

 

乱戦の中で、ホワイトがブラックに声をかけた。

「文太、行きな! 貝原は、アンタの相手やき!」

「姉さん、ありがとう! 任せます!」

 

そしてブラックリベンジャーは再びオイスターロイドと相対した。

 

「性懲りもなく、また来たか!」

「それはどうかな? ダンビラソード!」

 

オイスターロイドは剣を取り出したブラックを鼻で笑った

「おい、ワリャア、そげなモンでワシのボディーを貫けると思っとんのか、舐められたもんじゃのう」

「思っとらんわい! これは、こうして使うんじゃ!」

 

ブラックはダンビラソードを槍投げのような要領でオイスターロイドに投げつけた

 

「バカめ!」

 

オイスターロイドはまたも貝殻で攻撃を弾き返したが、その直後、ブラックリベンジャーを見失った。

 

どこへいった?

 

キョロキョロと口を半開きにしながらブラックの姿を探すオイスターロイドに

「上じゃい! ドアホウー!」

と声がかかる。

 

思わず、その声通り上を見上げるオイスターロイドの口に何か固いものが差し込まれた。

ブラックリベンジャーのチャカシューターである。ブラックはオイスターロイドがダンビラソードを跳ね返す一瞬の隙をついて高く飛び、落下の勢いをつかってチャカシューターをオイスターロイドの口に差し込んだのである。

 

ブラックは両手でチャカシューターを構えた。

 

「ひゃ、ひゃめてくれ…」

オイスターロイドは嘆願したが、ブラックは容赦しなかった

 

「おどれは、ワシや明菜がそう言っても聞かんかったじゃろうが! 因果応報じゃのう!」

 

ブラックが引き金を引くと、オイスターロイドの身体へ入り込んだ銃弾が、勢いよく火花を飛び散らせた。

 

「がぁぁぁ!」

 

悶絶するオイスターロイドを見つめるブラック。

そこへチンピランを倒し終わった他のメンバー4人が合流する。

 

「文太、よくやったぞ!」

そう叫ぶレッドリベンジャー

「それじゃあ、トドメだ! ヤマトバズーカー!」

ブルーリベンジャーが手をあげて叫ぶとバズーカー砲が出現する。5人は全員でそれをかかえて叫ぶ。

 

「ファイヤー!」

 

砲弾はオイスターロイドに命中。オイスターロイドは大爆発した。

 

 

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「ハァハァ…。」

変身を解いてひざまずく文太。

 

リベンジャーの面々も変身を解き、普段の姿に戻る。

 

「初めての戦いじゃ…疲れたじゃろう」

獅子道は文太の肩に手をついた。

 

「す、すんません。ワシ、行かんと…広島に…明菜がいるんじゃ…」

「文太、その身体ではムリじゃ。今日は、もう休め。」

「ほいじゃが…」

「いかん。広島は相手の本拠地じゃ。乗り込むんじゃったら準備もいる。感情に流されたら妹は取り戻せんぞ…」

 

「くっ…」

悔しそうに唇を噛む文太の気持ちを察してか、ナツメが明るく言った

 

「せっかく獅子道組に入ったんや。今日は文ちゃんの歓迎会にしよ。」

「あ、それなら私、いいお店を見つけましたの。」

「何のお店?」

 

南の問いかけに空はにこりとしながら答えた

「広島焼きの…」

 

「空ぁ! 広島焼きじゃのうて、お好み焼きじゃあ!」

獅子道の大きな声がところどころ瓦礫の広がる商店街に響いた。

 

 

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