暴力戦隊リベンジャー   作:ロッシーニ

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第四話 広島死闘編(中編)

さて、リベンジャーの5人は箱崎組の宇佐美ケンジに道案内をさせ、繁華街から歩いて10分程の距離にある籠池組の本部の前にやってきていた。

 

ケンジが言う

「ここが籠池組の事務所じゃ。なぁ、ここらでもうええじゃろ。」

「そうやねぇ。おまんが私らと一緒にここにおるが見られたら立場悪うなるきね…。ここらでええかえ?」

 

ナツメが獅子堂を見た。

 

「ほうじゃのう。ワレ、無理言ってスマンかったのう。帰ってええぞ。ワシらと関わったんを知られとうなかったら、しばらく大人しくしとることじゃな。」

 

ケンジは何か言い返したそうに唇を噛んだが、結局何も言えずに走り去るしかなかった。そして獅子道は呟く

 

「さて、カチコミじゃい」

 

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轟文太は

「おりゃあ、ワレ、ゴラァ!」

と誰に対して言っているのかわからない悪態をつきながら、籠池組組事務所のドアを蹴り破って侵入した。

 

それに続きリベンジャーの他の4人も事務所内へ入ってくる。

事務所内にいた籠池組の組員たちは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに

「なんじゃい、おどれら!」

「ここが誰の事務所か知っとるんか!?」

「ぶち殺すど!!」

などと叫びながら近づいてくる。

 

その数、およそ10名程か。

全く何の前触れもない襲撃で組員たちは相当驚いたはずだが、皆、それぞれヤクザ然とした睨みをしっかり効かせている。喧嘩では、動揺している姿を相手に見せたら負けだ。スジモノ同士の戦いをよく理解した籠池組らしい対応だった。

 

「おう、おう、おう、おどれら、ちいと待てや、ワシが話す」

と事務所の奥からやや襟足の長い30代くらいの男が出てきた。何か余裕のありそうなニヒルな笑いを浮かべている。

 

「まず…おどれら何モンじゃ? なぁ。お互い気持ちよく、名乗ってから始めようや。おどれらも、ただワシらトりに来た訳ではなさそうじゃけぇ。」

「まずソッチから名乗れ! ボケがぁ!」

 

殴り込みを初めて経験する文太には余裕がない。コチラから乗り込んできてそれは理屈がおかしいのであるが、男は余裕綽々といった感じで事務所中央にあるソファーに腰を掛けながら話し出した。

 

「ワシは、こん組の若頭やらせてもろうちょる、水木総司いうモンじゃ。」

 

リベンジャーの方からは、先頭にいた文太を制して、後方から獅子道が進み出て話し出した。

 

「ワシは呉の獅子道組。組長の獅子道誠じゃ。」

「へぇ。獅子道組かい。なかなか難儀じゃの。」

 

水木は笑った。獅子道が大和会を名乗らなかった辺り、独断で動いていることを読み取ったみたいだ。

 

「して、何用じゃ。困るのう。扉壊されたら。」

「それはスマンかった。若いのが興奮してしもうてのう」

「人様の家に入るときはキチンとノックでも何でもしてから入るモンじゃ。躾とけや。」

「躾がなっとらんのはお互い様じゃ。」

 

「何がじゃ? ウチの若いのがおんどれらに迷惑でもかけたかのう?」

「若いのならともかく、ウチに迷惑かけてくれたんは、ワリャァんトコの組長じゃけぇタチが悪い。若頭なら組長にキチンと首輪付けとかんかい」

「わからん。どういう事なら?」

「おどれんとこの組長が、この文太の妹を拐ってくれたんじゃあ。なぁ、水木さん。コイツの妹の居場所知らんかのう? 妹さえ返してくれたらワシら大人しゅう帰りますけぇ教えてくれないや」

 

水木は20~30秒ほど何かを考えたように目を瞑っていたが、その後話し出す。

 

「生憎、組長は呉から帰ってからまだここには寄っとらんけん、ワシにその辺りの事情はわからん。じゃがのう。一つ言えるんは、ワシら組のモンは皆、組長に惚れてここにいますけん。あの人のやっとる事が外道じゃろうが何じゃろうが最後までついていくっちゅうことじゃ」

 

獅子道は感心した様に首を縦にふる。

 

「籠池はええ若衆を抱えとるの。まぁいいわい。若頭、まずは組長と会わせてくれないや。さっきも言ったが、文太の妹返してくれたら帰る。それは約束するけぇ。」

「少しでも危害を加える可能性があるモンは組長には会わせん。そもそも今の居場所を知らんし、知っとっても教えん。」

 

二人の間に張りつめた空気が流れ、しばらく沈黙が続いた。

 

その静寂を破ったのは

「どうしたんなら?」

という落ち着いた低い声だった。

 

声のした方、入口方面を一同が見ると、そこにはスラリと背の高い冷たい目をした男が立っていた。籠池組組長、籠池真三である。

 

「籠池ぇ!」

と反射的に飛びかかろうとする文太を南が

「気持ちは分かるけど、少し落ち着きなよ」

と制した。

 

それを見た籠池は

「おどれは…昨日、呉で会ったボウズじゃな」

と思い出して言った

 

「そうじゃ! 明菜を! 妹を返せ!」

「ほう…。あれだけ殴られたんに、まだ追ってくるとはワレ、なかなかええスジしとるのう。」

「当たり前じゃ!」

「まあええ。おどれの根性に免じて、ワシが直々に相手しちゃる。ここじゃ邪魔が入るけぇ、ちいと、ツラ貸しないや」

 

「待ってください。随分トントン拍子に話が進みますね。何が目的ですの?」

と口を挟んだのは吉原空だ。

 

確かに、不自然な流れではあった。これだけ部下が揃っているのに組長が直々に相手をするというのだ。もし、戦うならその前にその怪しさの正体は突き止めなくてはならない。

 

ただ、空の発言の目的は違った。この籠池と文太が一対一で対峙するかのような流れを止めたかったのだ。いくらリベンジャーの力を手にしたと言っても、籠池は駆け出しの文太がタイマンで敵う相手ではないだろう。出来れば、この場で乱戦になった方がまだありがたい。

 

「おう、お嬢さん、仲間のことが心配かのう?」

 

コチラの意図を見透かした様子の籠池に対して空は舌打ちした

 

「イヤな男…。あなた、そこまで鋭いと逆にモテないでしょう?」

 

「ワシの人生は戦場じゃけぇ、生憎女は連れて歩かん。モテなくても、慕とうてくれる若いモンらがいれば十分なんじゃ」

籠池は続ける

「コンナが心配ならおんどれらもついてくればええじゃろ。ワシは5対1でも相手するけんの」

 

「随分、自信があるんですのね」

「なぁに。おどれら、大和会の暴力戦隊リベンジャーじゃろ。一度戦こうてみたかったんじゃ」

 

暴力戦隊リベンジャー。

その名前を聞いて

「兄貴ぃ!」

と大声を出したのは、籠池組若頭の水木だった。

 

「コイツら、ワシにヤらせてつかぁさい。」

「なぁに、心配すんな水木。ワシァ、そう簡単には負けん」

「そうじゃが、兄貴。自分が少しも戦わんで、兄貴に敵の相手させるんは舎弟として一生の恥じゃ。どうか、ヤらせてつかぁさい」

 

水木は頭を下げたが、籠池は頑なだった。

「ワシにはワシの考えがあるんじゃ。信じて待っとれ。」

 

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リベンジャーの5人と籠池は広島港近くの倉庫街まで移動した。移動中、籠池の言いつけを破ってまで、隠れつけてきた籠池組組員たちの気配に気づいて、籠池が彼らを追い返す場面もあった。どうやら、籠池は本当に5対1で戦うつもりらしい。

 

籠池は、5人を荷物がまだ入っていないだだっ広い倉庫に案内した。籠池組管理の倉庫らしい。

 

「ここなら、誰も邪魔はせんじゃろう」

籠池はそう言うと、5人の前に仁王立ちした。

 

獅子道が言う。

「悪いがのう、籠池ぇ。ワシらは5人でも手加減せんぞ。5対1はソッチから言い出したことじゃ。手ぇ抜く方が無礼じゃけぇのう」

「当たり前じゃ! 全力で来い!」

 

籠池はガンロイドへと姿を変えた。

 

「「代紋チェンジャー!!」」

そして、獅子道組の5人もリベンジャーに変身する。

 

戦いが始まると同時にガンロイドは右手に備え付けられた銃口から弾丸を連射して5人の足下を狙った。

一対多数の戦いのセオリー通り、初手でなるべく多くの相手の機動力を削る目的だ。戦いなれた4人はそれを読んでおり、左右に別れて横っ飛びで攻撃をかわす。

ブラックリベンジャーこと文太は攻撃を予想できずにやや逃げ遅れたが、横にいたホワイトリベンジャーのナツメが手を引いて庇ったのでダメージを負わずに済んだ。

 

ホワイトのお陰で間一髪逃れた訳だが、ブラックはそれを恥じた。自分の戦いに皆を巻き込んでいるのに、自分が一番足を引っ張っているなんて。そんな自分に、ブラックは満足できなかった。ここで意地を見せなくては、漢じゃない。

 

ブラックは

「ダンビラソード!」

と叫び、長刀を取り出して、ガンロイドに向かっていく。

 

ブラックが剣を振り下ろすと、ガンロイドは右手を銃剣に変化させて、それを受け止めた。ブラックは負けじと斬撃を繰り出すが、ガンロイドは全てを受け止める。やはり組長クラスともなると、昨日今日渡世入りしたブラックとはなかなか力の差が大きい。やや疲れが見えた隙を突かれ、みぞおちに蹴りを喰らってしまい、ブラックは後方に吹っ飛んだ。

 

しかし、ガンロイドがブラックの相手をしている間に後ろに回り込んだブルーとピンク、ホワイトはガンロイドが蹴りを繰り出した一瞬を使い、チャカシューターで銃撃する。

 

弾丸は全弾命中しガンロイドは

「ぐぁぁぁ!」

と大きな叫び声をあげる。

 

そこへ更にレッドがダンビラソードで連撃を与えた。十分に弱りきったガンロイドにトドメを刺すべく、リベンジャーの5人はガンロイドの真正面に集まった。

 

「ヤマトバズーカー!」

 

レッドが叫ぶと、5人の陣取る場所の真ん中にバズーカー砲が出現する。

 

「「ファイヤー!!」」

 

5人が同時に叫ぶと、巨大な砲弾がガンロイドに向けて発射される。攻撃を受けたガンロイドは巨大な爆発音と共に炎に包まれた。

 

 

「やったんやろうか…?」

「呆気なさすぎる…」

変身を解いたナツメと南が順に呟いた。

 

言われてみれば、自分から5対1を提案してきた割には簡単に勝負がついてしまった。あえて不利な条件で戦う以上、彼なりの勝ち筋は計算にあったはずで、本来なら何か、仕掛けや罠があっても良さそうなものだ。周囲の反応からそれを察して文太も不安を覚えた。

 

本当に籠池を倒したのだろうか。

 

すると、案の定、爆煙が一通りひくと、そこから籠池が姿を現した。さすがは暴新会若頭補佐・籠池組組長。爆散してしまってもおかしくない攻撃であったが、しっかり耐えていたようだ。

とはいえ、変身は解き、片膝を地面についた体勢をしていて、戦うつもりがある訳ではないらしい。

 

籠池は両手をあげて

「あー、わかった、わかった。おどれらの強さはようわかった。降参じゃ。小僧の妹について、ワシの知っとることは全部教えちゃるけぇ、今日はこれくらいにしといてくれないや。」

「随分、簡単に降参なさるのですね。」

 

吉原空が5人の違和感を代弁すると、籠池は笑った。

 

「いやぁ、ワシの見立て違いじゃ。おんどれら、思ったより強いんじゃのう。」

 

非常に演技がかったわざとらしい言い方である。

 

何か、怪しい。

皆、そう感じていたが、リベンジャーたちが広島市までやってきた目的は籠池と化かし合いをすることではない。文太の妹、明菜を取り戻すためで、元から危険は承知の上だ。

 

「じゃあ籠池さんよ。降参いうことは、文太の妹の居場所、教えてくれる気になったっちゅうことじゃと理解してええんじゃな?」

「降参した以上、仕方ないのう。」

 

籠池は、獅子道の言葉にそう頷いて言った。

 

「実は、ウチの親父は相当なロリコンでの。特に腐る直前の高校生くらいが一番好きらしい」

「失礼な! 明菜が腐る直前な訳あるか! 人の妹拐っておいてなんてこと言うんじゃ!」

文太は怒ったが

「そう言うても仕方ないじゃろ。それが親父の言い分なんじゃ。ロリコンの言うこと間に受けんなや」

と言って籠池は続けた。

 

「それでの、あの子は特に上玉じゃったけぇ、親父に献上したんじゃ。」

「じゃあ明菜は今…!?」

「売っぱらって金にするのも、自分で楽しむのも親父の自由じゃが、親父の性癖からすれば、まぁ察しはつくのう。」

 

「明菜は、暴新会組長・暴新会会長・竹下道夫の下にいる…!」

 

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「ここじゃ。」

 

南が運転するジープの助手席で籠池真三が言った。

運転席の南と、後部座席にいる他のリベンジャーたちが窓から外を見ると、巨大な邸宅がある。道に沿って聳え立つ崖の麓に人が一人通れるくらいの幅の階段があり、その先に邸宅の入口がある。複数人による襲撃があっても、門の前を固めれば守りやすい。ちょっとした城みたいな造りである。

 

「へぇ。さすが暴新会会長の家。かなり堅そうだね…」

「まぁ、正確に言えば、家ではないのう…」

「どういうことです?」

 

南が問うと、籠池は妙なくらい親切に教えてくれる。

 

「ここは、いわば、親父の別邸…。お楽しみ部屋じゃ」「お楽しみ部屋…?」

「そん名の通りじゃ。親父が自分の『趣味』を楽しむ為に用意した専用の屋敷よ。」

 

竹下会長の趣味というのは、先程、籠池の証言により発覚した、ロリコン趣味のことだろう。

 

「わざわざ、そんなことのために、こんな立派な屋敷を用意したんですか?」

「むしろ、だからこそじゃ。親父は特にそうじゃが、『お楽しみ中』は誰だって隙だらけになるもんじゃろ。敵に狙われんように守りの堅い砦に籠ってやるんが一番なんじゃろ。」

「まぁ、そうか」

「それと、街中じゃ囲った娘が逃げたら面倒なことんなるって言うんも大きいのう。」

 

 

籠池を解放したリベンジャーの5人は車を降りて屋敷の階段の前に立った。

 

「どう思いますか?」

と空が獅子道に聞く。

 

普通、会長の性癖や隠れ家は組織のトップシークレットのはず。元来、おしゃべりな訳でもないであろう籠池が何でもペラペラと教えてくれるのは不自然であった。

 

「さっきから怪しいは怪しいが…ここしか手がかりがないんじゃ。行くしかないじゃろう」

「まぁ…そうですわね…」

 

そして、空は代紋チェンジャーを発動。ピンクリベンジャーに姿を変えると他の4人に呼び掛けた

 

「あの細い階段から行くのは待ち伏せされて危険ですわ。変身して崖をよじ登って侵入しましょう。」

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