ペルソナ4ザ・ゴールデン~MANIACS~   作:猫ツール

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「僕」が死んで、僕は生まれた

…目が覚めた。

身体が重いし、痛みも感じる…。

 

…頭はマトモに動いていない。

まだ視界もはっきりせず、ぼやけている。

もっとも、そもそも辺りは暗いみたいで、何が見えるかどうかも解ったモノでは無いのだが。

 

何でこうなったんだっけな、と漠然と考える。

 

けれど頭は回らなくて…ふと、とある可能性に思い当たった。

 

僕は、死んだんじゃないか、という事。

 

馬鹿馬鹿しいとは思うし、何が何でも否定したい事だ。

死ぬのは怖いし、まだやりたい事だってあったはずだ。

 

けれど、何も聞こえない。何も感じない。

ただ暗闇の静寂が、自分を包んでいる。

 

死後の世界がどうなのか、等と考えた事が無い訳では無いけれども、案外こんな感じなのかもしれない。

 

何も無い、ただただ静かな闇の中…。

 

…?

 

ふと、何時の間にか自分を見下ろしていた2つの人影に気が付いた。

 

金髪の少年。

少年と手を繋ぐ、黒ずくめの老婆。

 

…死神だろうか。

ぼんやりとそんな事を考える。

お迎えに来たとか?

 

ぼそぼそと、少年が老婆に耳打ちをする。

老婆は聞いて頷くと、僕の顔を覗き込んだ。

 

「坊ちゃんから貴方に、贈り物があるそうです。謹んで受け取る様に」

 

贈り物…?

死をプレゼント、だなんていうのは勘弁して欲しい。

折角だから、生き返れる、とかだったら良いんだけどな…。

 

そう考えていると、口を開ける様に言われた。

言われるがままにする。

 

そこへ、少年は小さな、ぼんやり光る何かを放り込んだ。

口の中、思ったより奥へ入ったそれは、反射的に飲み込む運動をしてしまったのもあり、するりと身体の中へ入っていってしまった。

 

…思いっきり違和感を感じる。

 

そして、その違和感は程なく、痛みへと変わりだした。

 

腹痛の様だと思ったのは一瞬、すぐさま身体全体を焼き付くかの様な痛み。

全身の神経に、針を刺したかの様な痛み。

骨をヤスリか何かで削っていくかの様な痛み。

 

痛い。痛い。痛い痛い痛いいたいいたいいたい。痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタいイタいイタいイタイイタイイタイイタイイタイイタイッ!

 

「っ!っっ!」

 

「大丈夫、痛みは一瞬です」

 

痛みに思わず叫ぼうとしても声は出ない。

転げ回ろうとしても身体は動きやしない。

 

何か老婆が言った気がしたが、そんな事を気にしている余裕は無い。

 

「キミは、アクマになるんだ」

 

そんな子供の声が聞こえたと思うと、僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

「呼吸、脈拍共に安定しています。打ち所が良かったのでしょうか、外傷もだいぶ回復していますし、内蔵や骨も検査を行いましたが、行動に支障はありません。念の為、後少し様子を見るとしましょう」

 

ベッドの上。

目が覚めた僕の周りには、3人の人がいた。

 

医者らしき白衣の人。

やや髭を生やした渋い男性。

制服を着た、人の良さそうな同年代位の少年。

 

「ったく、この野郎!何無茶やらかしてやがる!」

 

病院だからか静かな、しかし厳しい声が叩き付けられる。

 

…そうだった。

 

僕は、家族を無くして、数少ない親戚をたらい回しにされて……。けれどあてが無くなって。

父さんのかつての友人という、今僕を叱った人……堂島さんに(一定期間だけとはいえ)引き取られたのだ。

 

ここへ引っ越してきてすぎに、車酔いを何とかしようと軽く散歩した時。

たまたま車道でトラックに轢かれそうな子供を見つけて、それを助けたんだった。

 

けど、僕はふらついたまま、トラックに衝突して…。

 

…良く生きてるな僕。しかも大した問題は無いときた。

もっとも痛みはあった訳で、そのせいかあんな変な夢も見てしまったんだけど。

 

「…大丈夫か?」

 

少年が静かに聞いてくる。

確か…名前は、鳴上悠、だったかな。

 

僕と同タイミングでここ…八十稲羽市に引っ越してきて、しかも同じ堂島宅でこれから過ごす事になる。

凄い偶然もあったものだ。

 

「うん、大丈夫。心配かけて、ごめんなさい」

 

頭を軽く下げる。

 

「ったく、来て早々こんなんじゃ、お前の親父に合わせる顔がねぇだろうが。しかも交通事故と来た」

 

渋い顔をする堂島さん。

身体が思わず動いてしまったとはいえ、申し訳無い事をしちゃったなぁ…。

 

「すいません…」

 

はぁ、と息を吐いて頭を振り、お前が助けようとした子供だがな、と口を開いた。

 

「怪我1つ無かった。お前が寝てる間も親と一緒に来て、俺にまで感謝して行きやがった…とにかく、大事無い様で何よりだ」

 

良かった、とこっちもゆっくりと息を吐いた。

これで何かあったりしたら何の為に体張ったのか解らない。

 

「先程もお話しましたが、脳への悪影響等もまだ懸念されますので、もう少しだけ安静にしていてください。問題無ければ、明日明後日には退院出来ると思われますので」

 

解りました、と頭を下げる。

 

こうして、僕の転校生活は最初から不穏なスタートとなったのだった。

 




初めまして、猫ツールと申すものです。

祝、P4Gアニメ化ッッッ!

それを見た瞬間かっとしてやった。後悔はしていません。

色々ありまして、人修羅も大好きなんで折角なんで書いてみようという流れでスタートする事となりました(もっともメガテンは色々うろ覚えうわ何をするやめry

未熟者ではありますが、よろしくお願いいたします
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