マヨナカテレビ。
雨の降る真夜中0時に1人でついていないテレビを見ると、そこには「自分と違う誰か」が映る。
それは見た人の「運命の人」である…。
そんな、都市伝説。
だがそれは、実際は全く別のモノだった。
マヨナカテレビに映った人は、霧が出る頃に殺される。
解析不能な死因で、逆さ吊り等という理解不能な形で発見され。
もう、2人の犠牲者が出ている。
これが、今この稲羽市で起きている「連続殺人事件」…。
「…成る程。堂島さんも忙しそうにしてる訳だ」
鳴上の隣を歩きながら、思わず息を吐き出しながら呟く。
正直、マヨナカテレビ云々の話は胡散臭いにも程がある訳だけど…ついさっきもベルベットルームなんてモノを経験した以上、あっさり笑えない。
「しかし、テレビの中の世界、かぁ…」
テレビの中には霧に包まれた異世界が広がっていて、そこにはシャドウと呼ばれる化物がいる。
迂闊に入ってしまった人は、霧が晴れた時、シャドウに殺される…。
これが、連続殺人事件の本質なのではないか、と鳴上は言う。
「…それ、堂島さんに話した?」
「いや…警察に言っても、信用してくれないだろうし」
だよね、と苦笑した。
あまりにも荒唐無稽、さっきの蒼い扉も他の人には見えていなかった時点でお察しの事だ。
「…と、着いた」
見上げた場所には大きなデパート。
そこには「JUNES」の文字。
噂で聞いたばかりの、最近出来たらしいジュネスだった。
「よう、待ってたぜ…ってあれ。そっちは…?」
「んー…あれ、どっかで見た様な?」
フードコートに連れて来られた僕を出迎えてくれたのは、1組の少年少女。
茶髪にヘッドホンを首に引っ掛けた姿が印象的な少年。
緑に身を包んだ姿の、快活そうな少女。
「あぁ、えっと…俺と同じタイミングでここに引っ越してきた、神薙シンだよ。同じ家でお世話になる」
「…よろしく」
頭を軽く下げると、向こうも自己紹介する。
花村陽介、里中千枝、と言うらしい。
「あー!そっかついさっき!だいだらの隣で鎧じっと見てた人じゃん!」
…あー、あそこか。
蒼い扉のあった場所。
ベルベットルームについての説明についてはややこしい事にしかならないと思ったので、とにかく誤魔化す。
「…所で、今日休日だよね?何で制服…?」
「あ、あー、まぁ色々あってさ。所で鳴上…どうして連れてきたんだ?」
僕が疑問に思った事を伝えると、花村はやや誤魔化しながら鳴上を見る。
「ん、ちょっとだけ気になる事があって…」
やってきたのは、家電売り場。
の、テレビコーナーだ。
…人が全然いない。係りの人もいないっていうのは、どうなんだろう…。
「…里中、ちょっとテレビに手を突いてみてくれないか?」
鳴上の言葉に、首を傾げながら里中はテレビに手を突く。
…何の変化も無い。
「…うん。それじゃ次、神薙やってみて」
…言われるがままに手を、テレビの画面に当てる。
その手が、画面へ潜り込んだ。
「のわっ!?」
手が!手がテレビにめり込んだ!?
何これどうなってるんだ!?
「え、ちょ…これってつまり、神薙君も…?」
「力を持ってる、って事なのか…?」
それを見ている2人も驚き、鳴上は何かを考えていた。
これが、テレビの中へ入るって事なのか…?
「…俺達はこれから、この中へ入るつもりだ。神薙は、どうする?」
テレビから手を引き抜いた僕に、鳴上は言う。
「…一緒に入るか?力があるのなら、数が多いに、越した事は無いし…」
…。
連続殺人事件。
それに関わるテレビの中の世界。
イゴールさんの言っていた、数奇な定め…これの事だろうか。
…好奇心は、ある。未知に対する冒険心も、恐怖も、ある。
何より。
呼ばれている気がした。
誘われている気がした。
この、非日常的な「ナニカ」に。
「…良かったら、一緒に行きたい」
…だから、そう呟いた。
「…なぁ、里中。お前には力無いし、やっぱり「行くからね!」…はぁ。絶対無理すんなよ」
里中を気遣っているのか、花村は心配そうに言うも、里中は即答。
花村は溜め息をついた。
「じゃあ…行こう」
鳴上の言葉に頷いて…僕達はテレビの中へと、身体を潜り込ませていった。
今回は意外と短めでしょうか。
速く投稿できてますが、いつスピードが落ちてもおかしくないこの頃です…。
何だかんだ時間かかっちゃいましたが、次回でやっと「あの姿」がお披露目になりそうです。
感想や意見、お気軽にどうぞ。
それではまた、また見える時まで。