ペルソナ4ザ・ゴールデン~MANIACS~   作:猫ツール

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影とアクマ

「…でっ!?」

 

豪快に尻餅を突いて思わず呻く。

尻をさすりながら起きあがって周りを見渡す。

 

…これは、何というか。

 

霧が濃くて見えにくいのもあるけど、とにかく広い場所だというのは解る。

 

床には、多くの人が倒れている様な絵…。

照明器具ややたらと高く組み上げられた鉄骨…。

…何だろう、撮影スタジオ?

 

周りを見回している間にも、他の3人は誰かに話しかけていた。

 

…着ぐるみ?何で、わざわざ着ぐるみ…?

 

空っぽだとか解る解らないとかでギャーギャー騒いでいる花村と着ぐるみに、里中が「うっさいよあんた等!」と一喝する。

 

「それよか、昨日ここに誰か来たでしょ」

 

「なんと!?クマより鼻が利く子がいるクマ!?お名前、何クマ?そっちのキミも、教えて欲しいクマ」

 

「お、お名前?千枝、だけど」

 

「僕は、シン。神薙、シン。君は……?」

 

「クマは、クマクマ」

 

…クマ、なのか。

まぁ、クマ、なのかな?

というかそのままなのか。それで良いのか。

 

「それは良いから、その『誰か』の事教えてよ!」

 

「確かに昨日、キミらとお話したちょっと後位から、誰かいる感じがしてるクマ…クマは見てないから誰かは分からないけど」

 

里中の質問にクマは答えると、向かって右を指差した。

 

「気配は向こうの方からするクマ。多分あっちクマ」

 

「あっちね…みんな、準備は良い?」

 

里中からやや鬼気迫る様な気迫を感じるのか、気圧され気味に花村はおう、と頷く。

 

走っていく3人。

クマと一瞬顔を見合わせた後、遅れない様に僕等も走り出した。

 

 

 

 

 

たどり着いた僕等を出迎えたのは、いかにもファンタジーとかでありそうな洋風の城だった。

 

「もしかして、昨日の番組に映ってたの…ここなのかな?」

 

番組…マヨナカテレビの事かな。

 

花村に番組についても質問されたクマが、首(?)を横に振る。

元々クマとシャドウしかいないこういう世界だ、番組を撮る等といったものは無い、と。

 

「キミ達の話を聞いてる限りだと、そのバングミ?っての…その子自身に原因があって産み出されてる気がするクマ」

 

「こういう世界だとか言われても、意味が分かんねーっつーの!」と呻く花村、「あーもう頭こんぐらがって来た!」と唸る里中、頭をかきながら考え込む鳴上。

 

…まぁ、僕も置いてけぼりなんだけども。

 

「ねぇ、雪子…このお城にいるの?」

 

「話を聞く限り、間違い無いクマね」

 

城を見上げる里中にクマが答える。

 

雪子、というのは里中の友達だろうか…初対面ではあるが、何だろう、必死さが伝わってくる。

 

「あ、でさ、『逆ナン』って「ここに雪子が…あたし、先に行くから!」え、ちょ、チエちゃーん!?」

 

クマの言葉をスルーし、走っていく里中。

おい、1人で行くなって!、と怒鳴る花村の声も聞こえていないのか、里中の姿はどんどん小さくなっていった。

 

「あー、ったく!1人で行っちまったよ…」

 

ボヤく花村の横で、クマがあ、と声を上げた。

 

「お城の中はシャドウが一杯クマ…オンナノコ1人はキケンかも…」

 

冷や汗をかいている様な顔。

花村もマジかよ!?と焦る。

 

「それ先に言えよ!くそ、里中を追うぞ!」

 

頷きあうと、僕達も城の中へ走っていった。

 

 

 

 

 

赤い絨毯。赤のカーテン。

思った以上に赤の配色が多い場所だな、と漠然と思う。

 

「敵2体クマッ!」

 

クマが叫ぶと同時、窓ガラスから何か液体の様なモノが床に落ちた。

仮面を適当にくっつけた様なそれは、宙に浮かぶと球体へと姿を変え、そこへ口が形作られる。

また、角を生やした魚の様な形のナニカも宙に浮かんでやってきた。

 

これが、シャドウ…?

 

早速お出ましか、と花村が言うと同時、花村と鳴上の前に蒼く輝くカードが落ちてきた。

…何だ、あれ…?

 

「イザナギ!」

 

「来い、ジライヤァ!」

 

鳴上は握り潰し、花村はそれをレンチで叩き潰した。

何かの力が吹き荒れ、それが形を成して2人の背後へと浮かび上がる。

 

学ランを羽織り、長刃の得物を構えた戦士。

赤いマフラーに迷彩柄が特徴的な、忍者。

 

それらを見て、身体の中で「ナニカ」が疼いた気がした。

 

「うっしゃ、行けぇ!」

 

クルクルとそれ…ジライヤは周り、まるで忍術でもするかの様に手を構える。

すると風が巻き起こり、魚の様なシャドウを巻き上げ地面に叩き付けた。

 

その隣でイザナギが構えると同時、雷が口だけオバケ(?)を打ち据える。

 

体勢を敵が崩した、まさに絶好のチャンス。

 

「行くぜ相棒!」

 

「あぁ!」

 

そこをゴルフクラブやレンチの滅多打ちが襲い、もれなく敵は全滅した。

 

「よっしゃ、これなら行ける…しっかり付いて来てくれよ、神薙!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

階段を上がり、扉を開ける。

 

そこに先へ走っていった里中の姿はあった。

 

それを見つけて安堵すると同時に、どこからともなく女子の声が聞こえてきた。

 

「これ…天城の、心の声か?」

 

「そして多分、この場所はユキコって人の影響で、こんな風になったクマ」

 

花村とクマが話している間も、声は続く。

 

自らの名前への嘆き。

自分に価値を見いだせないと呟くその声は、千枝…里中を羨む声へと変わっていった。

まるで自分を守る騎士であるかの様に、崇めるかの様に。

 

けど……驚いたのは、それからだった。

 

「優しい千枝…だってさ。笑える」

 

響く声に戸惑う里中の前に。

瓜二つの少女が現れたからだ。

 

「…里中に双子っていたの?」

 

「聞いた事ねーよ!あれってまさか…!?」

 

「あぁ、花村の時と同じ…!」

 

「抑圧された内面…それが制御を失って、シャドウが出たクマ!」

 

思わず間の抜けた事を呟く僕に花村が答え、鳴上とクマが続く。

…あれも、シャドウだって…?

 

「雪子が、あの雪子が!私に護られてるって!自分じゃ何にも出来ないってさ!」

 

そうこなくっちゃねぇ、と里中シャドウはニヤリと笑う。

 

「雪子ってば、美人で、色白で、女らしくて…男子なんかいつもちやほやしてる。そんな雪子が、時々あたしを卑屈な目で見てくる…それが、たまんなく嬉しかった」

 

金色の瞳で里中を真っ直ぐ見据え、ソレは言う。

自分がいなきゃ雪子は何にも出来ない。

自分が、雪子より上なのだ、優れているのだ、と。

 

「ど、どうすりゃ良いんだ?」

 

「とにかく、里中を護らないと!」

 

「センセイの言う通りクマー!」

 

話し合った結果、とりあえず里中へと駆け寄る。

 

「や、やだ!来ないで!見ないでぇ!」

 

けど、彼女はまるで里中シャドウを背にして僕達に叫ぶ。

まるでソレを、隠すかの様に。

 

落ち着け、となるべく鳴上が優しく冷静に言うも、彼女は錯乱しているのか、違う、違う、と震えながら繰り返す。

 

「ば、馬鹿、それ以上言うな!」

 

「そうだよねぇ……1人じゃ何にも出来てないのも。人としても、女としても、本当は勝ててないのは、あたし

 

焦って花村が割り込もうとするも、里中シャドウは続ける。

 

「けどそんな私を、雪子は頼ってる…ふふ、だから雪子は大事な『トモダチ』。手放せない…」

 

それでも尚否定するかの様に首を振る里中を見て、ソレは一層笑みを深くする。

 

「うふふ…今まで通り、見ないフリであたしを抑えつけるんだ?けど、ここでは違うよ…いずれ『その時』が来たら、残るのはあたし」

 

残忍な笑みを浮かべて、ソレは言った。

まるで宣戦布告でもするかの様に。

 

「良いよね?あたしもアンタなんだから」

 

「黙れ!!アンタなんか…!」

 

「ダメだ、里中!!」

 

花村が叫ぶも、もう止まらなかった。

 

「アンタなんか、あたしじゃない!!」

 

それが、引き金だった。

 

高笑いし、黒いもやが集まったかと思うと、そこにはもう里中を模した姿は無かった。

 

長い黒髪。

黄色で統一されたその身体は、顔まで黄色で覆われている。

鞭を持ったソレは、数人の学生の上に、文字通り乗っていた。

 

まるで女王が如き、姿。

 

…ナニカが、身体の中で蠢いた。

身体が、熱い。

息が荒くなるのを自覚する。

心臓の音が、煩い。

 

『我は、汝…』

 

思わずよろめく。

目の前では、2人がもう臨戦態勢だ…。

 

『汝は、我…』

 

頭に響く声が煩い。

気を抜けばすぐ身体は床に倒れてしまいそうだ。

 

『呼べ、我を…呪われた炎を…』

 

手に、何かが収まった。

1枚のカード。

そこに描かれているのは、宙吊りにされた人間の姿。

12、という数字。

 

「ペル…ソナ…!」

 

カードを握り締め、光の塊となったそれを口に押し込んだ。

 

「う、おァァァァァ…ッ!」

 

熱い。

さっきなんかよりずっと熱い、まるで本当に身体を焼かれているかの様な感覚。

 

『キミは、アクマになるんだ』

 

いつか、聞いた声。

 

『我はカグツチ…そなたの糧となろうぞ…』

 

新しく、響く声。

 

…一瞬だったのか、だいぶ時間が経ったのか。

気が付けば、膝をついていた。

 

熱過ぎたのだろう、無意識の内に上着を脱ぎ捨てていたらしい。

 

霧が深く、見通しが悪かったハズの世界はだいぶ見える様になった。

熱も嫌な気分も、今は感じない。

奇妙な、説明しにくい感覚だけが身体にはある。

 

…両手を見る。

奇妙な紋様が、手に、腕に胴体にと現れている…。

いつもなら不気味に思うだろうそれも、何も感じない。

パニックになってもおかしくないのに、どうとも思わない。

「僕」はこうなのだ、と、あっさり受け入れてしまっている僕がいた。

 

…力を、感じる。

今、僕がするべき事は。

 

目の前のアレを、倒す事だ。

 




ついつい長くなってしまいました…あっはっは…。

という訳で、とうとう「人修羅」の姿がお披露目となりました。

早速で恐縮なのですが、原作との相違点。

この世界の人修羅は、マガタマではなく、ペルソナを飲み込んで身体に憑依させる事でアクマ化します。

初期ペルソナは、刑死者、カグツチ。
…元ネタ的にはちょっと待て、みたいになりますが、まぁ色々ネタがあるもので、ついやってしまいました。反省はしていない(ぉぃ

正直初心者のノリで突っ走っているもので、不安な処もあったりします。

意見や感想、お待ちしております。
それでは、また見える時まで。
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