仮面ライダーセイバー Eternal Promise   作:かなん

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迫る月闇、暗黒竜の支配。

《神代凌牙》

 

目が覚めるとそこはサウザンベースだった。かつて玲花がソフィアを監禁していた場所だ。辺りを見渡すとブリンガーが奪ったであろう聖剣が置かれている。

 

「お目覚めかな」

 

俺は座っていたフードの女を見るや殴りかかった。だが、女は咄嗟にフードを下ろして手を上げる。

 

「ウチだよ!殴らないで!」

 

その顔は須藤芽依だった。まさか、擬態か!?そう思ったのも束の間、彼女の拳が俺の腹を突いた。

 

「ぐっ!貴様!」

 

「フフフ。騙されちゃって」

 

須藤芽依の顔のまま女は聖剣の中から時国剣を選んだ。

 

「あとは火炎剣と水勢剣、雷鳴剣、それに光剛剣と煙叡剣かぁ」

 

時国剣の剣先で床をなぞり始める。俺への侮辱か?怒りが限界まで溜まっている俺を爆発させるためにしているのだろうか。

だがそんな挑発には乗らない。奴の目的を暴いてここから脱出しなければ。

 

「何が目的だ?聖剣を集めて究極の力を手に入れるつもりか?」

 

奴は時国剣を飽きたオモチャのようにポイっと投げ捨てこちらを向いた。

 

「正解!その究極の力を使って時空を歪める。それが私の目的」

 

まさかあっさりと答えてくれるなんてな。だが新たな疑問が沸いてきた。なぜ時空を歪めるのかだ。これ以上質問責めをすれば奴の機嫌を損なう危険があるから言及はできない。

 

「必要なのは全ての聖剣と人間の生け贄。あなたはその生け贄に選ばれたの。まぁもし力が足りなければあの妹さんも加えるかもだけど」

 

もう限界だ。瞬時に真後ろにあった音銃剣を手に取って銃モードへ切り替えた。そして女に銃口を向けた。

 

「俺を怒らせるな!聖剣を全て回収する!」

 

「出来るかな?」

 

出来るとも。俺はこれを狙っていた。女の背後には煙叡剣を使って侵入した玲花がいた。やはりこの場所を探り当てたか。流石は俺の妹だ。

しかし、玲花が奴を押さえようと飛び掛かった瞬間、女は瞬時に時国剣を手に取り剣先を引き抜いた。

 

『界時抹消!』

 

女は消え、玲花は俺のもとへ飛び込んできた。俺達は倒れて身動きがとれなくなってしまった。

 

「お兄様!申し訳ありません!」

 

「大丈夫だ」

 

慌てて立ち上がった玲花だったが、持っていた煙叡剣が無くなっていた。もちろん奴の仕業だ。

 

「やっぱり面倒だからまとめて生け贄にしてあげる」

 

時国剣と煙叡剣の二刀流で迫ってくる。逃げられるほど広い部屋ではない。絶体絶命だ。俺達は壁まで追い詰められてしまった。ふと壁に手をついたその時、壁が突如歪み俺達は吸い込まれるように謎の空間へ入ってしまった。

 

「何だ!?」

 

「待て!逃がすか!」

 

女は俺達を追い走る。ギリギリ謎の空間に入ると再び襲い掛かろうとしてきた。だが空間に光が差し込み眩しさで何も見えなくなった。目が慣れてくるとここがサウザンベースの倉庫だとわかった。

そして俺達を助けてくれた謎の空間からカリバーが登場した。

 

「闇の剣士!?富加宮賢人か?」

 

俺達が争っている内に闇黒剣を回収したのか。いや、闇黒剣は女が持っているはず。何故だ?

 

「違う。俺は富加宮隼人。賢人の父親だ。事情を話している場合ではない、早くノーザンベースへ行くんだ」

 

そう言って再び暗黒の空間を作り出した。俺と玲花は迷わず入りこんだ。

 


 

《神山飛羽真》

 

俺は倫太郎に神彗ちゃんを任せ、上條さんと戦っていた。

 

「あなたの言う真理を俺は見つけた!だからあなたも協力してください!隼人さんのために!」

 

でもカリバーは攻撃を止めなかった。わかってる。この上條さんは偽物だ。先代バスターのように理由もなく襲ってきている。

 

『ドラゴニック必殺読破!烈火抜刀!ドラゴニック必殺斬り!』

 

「神火龍破斬!」

 

俺は神獣ブレイブドラゴンに乗りカリバーに突撃した。カリバーはブレイブドラゴンに食われたまま必殺技を放った。

 

『ジャオウ必殺読破!ジャオウ必殺撃!You are over』

 

ドラゴニックナイトのブックはドライバーから外れ、辺りに俺の持っていたブックが散らばった。

 

「お前に私の邪魔はさせん」

 

カリバーは落ちていたプリミティブドラゴンのブックを拾うと、ジャアクドラゴンのブックを装填した。

 

『ジャアクドラゴン!ゲット!』

 

俺の襟アーマーを掴むと反対の手でプリミティブドラゴンブックをドライバーに装填し火炎剣を抜刀した。

 

『烈火抜刀!バキッ!ボキッ!ボーン!ガキッ!ゴキッ!ボーン!プリミティブ! ドラゴン!』

 

そして視界は暗闇に包まれた。何もない無の空間。そこにいたのは俺だけでなく幼い男の子の姿をしたプリミティブドラゴンもいた。

 

「助けて・・・お兄ちゃん。僕が僕でなくなっちゃう・・・」

 

その体は傷だらけで、弱り果てていた。俺のもとへ歩み寄って来たけど、あと少しのところで倒れてしまった。

 

「大丈夫か!?」

 

男の子に近づこうとすると、暗闇からもう一人の男の子が現れた。プリミティブドラゴンは幼い男の子だが、彼は高校生くらいの年齢のようだ。

 

「所詮お前は人間にいいように使われた愚かなドラゴン。でも僕は違う。僕が人間を使うんだ。このジャアクドラゴン様がね」

 

その男の子の正体はジャアクドラゴンそのものだった。プリミティブドラゴンの体を乗っ取ったんだ。プリミティブドラゴンは意識を失ってしまった。

 

「プリミティブドラゴン、大丈夫だ。約束する、君を絶対に助ける!」

 

「こんな奴よりも仲間の剣士の心配でもしたら?」

 

男の子が指差すと、そこには暴走した俺がブレイズとアマテラスを襲う姿が映っていた。

 

「大丈夫。倫太郎達なら。でも・・・」

 

俺は男の子を強く抱き締めた。男の子は驚いて固まっている。

 

「俺は君を救いたい。君の物語は俺が決める!」

 

 

昔々、人間と仲良く暮らす一匹の竜がいました。ある時、一人の人間はこの竜を殺してその牙で武器を作ろうと考えたのです。それを知った竜は自ら牙を引き抜いて人間に渡しました。自分が死なないため、人間に喜んでもらうために。しかし、人間はそれだけで満足せず別の竜を殺してしまいました。それに怒った竜は一緒に住んでいた人間を一人残らず殺しました。

他の竜達はこの竜を恐れついにあらゆる生き物がこの竜に近づかなくなってしまいました。

竜はこの悲しみから世界を暗闇に包み、一人で生きていくことに決めました。

 

でも、ある時一匹の竜を見つけたのです。その竜はかつて共に暮らした始まりの竜。始まりの竜は再会を喜びましたが、この竜は拒絶しました。始まりの竜は必死に説得をして、竜をある場所へ連れていきました。そこにはたくさんの生物がいて、たくさんの物語が生まれていました。

その楽園に感動した竜は孤独から解放され仲間と共に生きていくことを決めました。

 

「それが僕の物語・・・」

 

男の子は話に聞き入ってくれ、そして笑顔を見せてくれた。

 

「僕もそうなれるかな?」

 

「なれるさ。これは君の物語だ」

 

暗かった周りに光が差した。プリミティブドラゴンの少年は目を覚まし眠そうに目をごしごしと拭った。

 

「また面白い物語?僕にも聞かせて」

 

「行こう、二人とも。一緒に戦おう!」

 

今までコントロールが効かなかった体がピタリと止まった。倫太郎と神彗ちゃんは装甲が傷だらけでずっと戦っていたみたいだ。

 

「飛羽真・・・!」

 

「お待たせ、倫太郎」

 

俺は後ろで戦いを見ていたカリバーに不意打ちの一撃をお見舞いした。カリバーはガードできず後退りをする。

 

「まさか暴走を乗り越えるとは・・・」

 

俺、倫太郎、神彗ちゃんはカリバーを囲むように立ちそれぞれブックの表紙ページを押し込んだ。

 

『グラップ必殺読破!烈火抜刀!クラッシュ必殺斬り!』

 

『キングライオン必殺読破!流水抜刀!キングライオン必殺斬り!』

 

『真・暁無双!明鏡止水!』

 

「骸炎暗黒斬!」

 

「ライオネル・ハイドロ・ストリーム!」

 

「真・明鏡止水!」

 

三人の同時攻撃になす術がなく必殺技を受けたカリバーはうめき声をあげて消滅していった。そしてプリミティブドラゴンの掴んでいたジャアクドラゴンのブックも静かに消えた。

 

「やったね飛羽真!倫太郎!神彗ちゃん!」

 

陰で様子を見ていた芽依ちゃんが飛び出してきた。まぁとにかくこれで暁の剣士は仲間になってくれた。ユーリの説得がうまく行っていれば魔喰の剣士、美乃緒くんの件も大丈夫なはず。あとは魔剣だな。

 

日が暮れ涼しげな夜が訪れ俺達はそれぞれ明日に備えることにした。

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