仮面ライダーセイバー Eternal Promise 作:かなん
《ストリウス》
私は嬉しいです。無事に最恐のハデスが生まれ、セイバー達を苦しめることができました。生け贄が完全に取り込まれなかったことが残念でなりません。完全体になればこの世界の運命を変えることができる。全知全能の書にはない、新たなページを生み出せるのです。
「さぁ行くのです!ハデスの兵隊達よ!」
ハデスはその力を使って自らを守る兵士を生み出しました。その姿は剣士達そのもの。先程の戦いで彼らの心の闇を汲み取ったのでしょう。面白いことになりますよ。
《須藤芽依》
町で騒がれていた死人事件は知らず知らずのうちに消えていたみたい。またいつもの日常を取り戻したかに思えた。でもそんなはずはない。ハデスやストリウス、マスターロゴスはまだ倒してないから。私達は感じていた。これは嵐の前の静けさだと。
時間はない。日が昇ればきっと世界の崩壊が始まる。何の根拠もないし闇黒剣で未来を見たわけではないけど理解していた。飛羽真を始めとして剣士達は残った時間を聖剣や自身のメンテナンスに費やしている。
私は私にできることをするだけ。みんなのためにご飯を作ったり怪我の手当てをする。
重い空気の中、朝六時を知らせるスマホのアラームが鳴り響いた。剣士達は無言の合図で外に出ていく。私とソフィアさんは彼らの背中に思いを託した。
世界が救われますように。みんなが生きて帰って来ますように。
《尾上亮》
剣士の朝は早い。まだそらが寝ている時間に仕事が始まる。朝日に向かって老若男女が歩いていく姿は圧巻だな。予想どおり世界の混乱が始まり大量のシミーと偽物の仮面ライダー達が正面から歩いてくる。
「小説家、倫太郎、賢人。お前達は嬢ちゃん達三人を迎えに行ってこい。あいつらはもう待ってるだろうしな」
三人を見送った俺、大秦寺、ユーリ、神代兄妹は戦闘態勢に入る。それぞれの偽物と戦うといったところだが、人数的にこっちが不利だな。セイバー、ブレイズ、エスパーダ、ファルシオンの偽物はいないが剣斬とカリバーの偽物は相手をしなきゃいけない。
「なかなかヤバい状況じゃねぇか」
思わず口に出たが大秦寺は笑っていた。
「心配ない。もうすぐ来る」
来る?誰のことだ?そう思っていたがソイツはすぐに現れた。遠くから真っ直ぐこっちに歩いてくる、若き剣士。お前を待ってたぜ!
「今度こそ俺の強さを証明してみせる。だから偽物に勝つ!」
「蓮。お前の風双剣をメンテナンスしておいた。思う存分暴れるといい」
蓮は風双剣を受け取り俺達に並んだ。
「お前達、最高じゃないか」
「せいぜい足を引っ張らないことね」
「玲花。今はいがみ合っている場合ではない」
普段はこんな感じでバラバラなチームだが、戦いになると恐ろしいくらい息が合う。これが最高なんだ。
『一刀両断!ブッた切れ!ドゴ!ドゴ!土豪剣激土』
『双刀、分断!壱の手、手裏剣!弐の手、二刀流、風双剣翠風!』
『銃剣、撃弾!銃でGO!GO!否!剣で行くぞ!音銃剣錫音!』
『最光発光!Get all Colors!エックスソードマン!』
『狼煙、開戦!FRYING!SMOG!STiNG!STEAM!昆虫CHU大百科!』
『界時逆回!時は・・・時は・・・時は時は時は時は!我なり!オーシャンヒストリー!』
全員が一斉に攻撃を仕掛けた。その衝撃が伝わり地面が割れるほどのパワーだ。偽物は既に変身しているから中身は誰かわからないが亀センのような動きじゃない。まるで自分自身と戦っているみたいだ。実力も互角。どちらの攻撃も当たらない。これじゃ決着がつかない、と思っていると
「お前、怖いんだろ?自分だけ死ぬのが。そらや晴香を置いてこの世を去るなんてできないもんな!」
声すらもそっくりな偽物は精神攻撃のつもりか。脅しのように流暢に話し始めた。
「だったらいっそ家族で一緒に死ねばいい。みんなで世界の終焉を見届けようぜ」
怖い?・・・確かにそうかもしれねぇな。でも俺には・・・
「家族を失うのは怖いさ。でもよ、死は怖くねぇ。例え俺が死んでもこの思いを継いでくれる仲間がいるからな!その仲間が俺の家族を守ってくれる!」
俺は一撃に全ての力を注ぎ込んだ。
「尾上のおっさん!これを!」
「お前達に渡すものがあった!古い友人からのものだ!」
蓮とユーリから渡されたのは『こぶた3兄弟』と『ワンダーワールド物語 土豪剣激土』だ。
『こぶた3兄弟』のブックを読み込むと俺が三人に分身した。
「一人でダメなら三人でってな!大断断!」
俺(その一)は『玄武神話』を、俺(その二)は『ワンダーワールド物語 土豪剣激土』を、俺(その三)は『ジャッ君と土豆の木』を使った。大きなツタが偽物の手足を縛る。そしてその二が使ったブックからさらにもう一人バスターが現れた。このブックは土豪剣激土の歴史を辿る本。つまり先代バスターである亀センが現れたわけだ。四人のバスターは巨大な大剣を一気に振り下ろした。
偽物は粉々になったな。さてシミー達、次はどいつが相手だ?
《ユーリ》
まさか俺の影と戦うことになるなんて。ややこしいが影と言っても最光シャドーのことではない。ハデスが生み出した俺達の偽物のことだ。
「お前にはわからないだろうがこの現代世界も悪いものじゃない。世界が変わり、人も変わった」
「それはこの世界での生活に慣れたからだろう?神山飛羽真の言っていることは戯言だ。何も犠牲にせずに全てを救うだと?無理に決まっている。世界か、自分自身を天秤にかけないといけないということをわかってない」
この影はきっと俺の心の闇が具現化したものなのかもしれない。確かにそう思っている自分もいた。だが今は違う。数々の奇跡を目の当たりにしてきた。そして気づいた。その奇跡は全て飛羽真を軸に起こっているということを。アイツならきっと、全てを救うことができるはずだ。
「俺は、飛羽真を信じる!そして剣士としての務めを果たす!」
『光剛剣最光!』
『光剛剣最光に選ばれし剣士と輝く武器の伝説の童話・・・』
『最光発光!』
ワンダーワールド物語ワンダーライドブックにはそれぞれの剣士の歴史が刻まれている。そしてそれを使うことで仮面ライダー最光の全ての力を引き出すことができるのだ。
『最光発光!Who is the shining sword?最光一章!金銀の力を得た輝く剣! 最光!』
『Who is this?最光二章!光から生まれし影! シャドー!』
『最光発光!Get all Colors!エックスソードマン!エピソード1!フルカラーで参上!ババババーン!』
『移動最光!腕最高!Fullcolor goes to arm!』
『移動最光!脚最高!Fullcolor goes to leg!』
聖剣状態、シャドー、エックスソードマン三体の計五人の俺が一斉に襲いかかった。正面からはエックスソードマンが、左右はエックスソードマンパワフルとワンダフルが、上は聖剣状態が、下はシャドーが完全に包囲している。逃げ場がない偽物はなす術もない。全員が一斉に斬り消滅していった。
きっと他の剣士達も偽物を倒した頃だろう。飛羽真達を追いたいところだが大量のシミーが行く手を阻む。仕方ない。後は頼んだぞ、飛羽真。
《大秦寺哲雄》
ドッペルゲンガー。それは自分と全く同じ姿をした分身だ。普通の人間なら驚くだろうが私はそうではなかった。まぁ死人が生き返る世の中だ、そんな都市伝説では驚かないさ。
それにしても私はいつもあんなにハイテンションなのか?偽物はヒャッハーと叫び暴れている。確かにブレーメンを使うと性格が変わってしまうがアレはヘンゼルナッツとグレーテルじゃないか。ユーリによればこいつらの正体は影。つまり心の中に潜む闇だ。きっと心のどこかでこんな自分になりたいと思っていたんだろう。だが私は今のままでいい。何故なら・・・
「私はこれからも飛羽真達を支え続ける。刀鍛冶として、剣士として!」
『音銃剣錫音!』
『『音銃剣錫音に選ばれし剣士とおかしな家の伝説の童話・・・』
『音銃剣錫音!銃剣撃弾!』
ユーリから預かったこのブックの力によって音銃剣錫音は二つに分裂した。
『ヘンゼルナッツとグレーテル!イェーイ!錫音音読撃!イェーイ!』
『ブレーメンのロックバンド!イェーイ!錫音音読撃!イェーイ!』
剣盤モードと銃奏モード、それぞれにブックを読み込ませた。
「喰らえ!スイーツロック・ザ・チョッパー!』
剣で空中に浮かせ銃でトドメの一撃を撃ち込んだ。偽物は見事に爆散、このまま飛羽真達を追うとしよう。そう思ったが尾上が苦戦しているのを見て気が変わった。助けに入るか。
《緋道蓮》
今目の前にはもう一人の俺と大量のシミーがいる。この数を一人で相手するのはなかなかきつい。でもやるしかない、この壁を乗り越えてもっと強くならないとアイツに追いつけない。あんな剣士でもないただの小説家なんかに負けてたまるか!
「強さを求めて何になる?そんなに強さが大事なのか?」
もう一人の俺はそう尋ねた。愚問だ。
「強さこそ正義だ!だから強くならなきゃいけないんだよ!」
「別に強くなる必要なんてないだろ。この世界を守ってるのはお前だけじゃない。仲間と力を合わせて戦うんだ」
気持ち悪い。俺と同じ顔、同じ声のヤツがそんなヒーロー気取りの台詞を言うと寒気がする。確かに言う通りかもしれない。仲間って良いもんだよ。切磋琢磨で互いに強くなれるしさ自分に足りなかったものも見つかったりする。けどさ、今の俺に必要なのは仲間じゃない。
「俺は強くなってやる、一人で。飛羽真とは違う道で強くなって証明してやるんだ!強さこそ正義だって!」
『風双剣翠風!ニンニン!翠風速読撃!ニンニン!』
「うおぉぉ!」
全身に風の力を纏った俺は自分でもコントロールできないくらいの速さで斬りまくった。偽物は一瞬にして木っ端微塵に。やったと喜ぶ暇もなくシミーの波は止まらない。
「マジないわ・・・」