仮面ライダーセイバー Eternal Promise 作:かなん
《須藤芽依》
飛羽真と尾上さんが突然蘇った先代剣士と戦った次の日、ノーザンベースでは私と倫太郎、賢人、ユーリ、哲雄、ソフィアさんが二人から昨日の出来事を聞いてちょっとした会議的なものが開かれた。
「まさか・・・死んだはずの人間が襲ってきただなんてそんなことがあり得るのか?」
大秦寺さんは呟く。死人が復活だなんてそんな非現実的なことが・・・そっか。そもそも世間一般ではメギドとか仮面ライダーとかそういう存在も非現実か。
「あり得るも何も実際に襲ってきたんだ。信じられねぇのはこっちだ」
尾上さんはあちこち傷だらけ。先代バスターは相当強かったみたい。
「彼らは普通のホモサピエンスなのでしょうか?それとも・・・」
いやいや。お盆はまだ早いし。ってかホモサピエンスって言いたいだけでしょ倫太郎。
私はテーブルの上に自分のスマホを置く。その画面を見ようとみんなが集まる。昨日の怪我で動けない飛羽真とそれを治療中のユーリ以外。
「それは?」
スマホから遠くて画面が見えない飛羽真の為に私は説明してあげた。
「ネットニュースのやつなんだけど今は生きているはずのない有名人が普通に町にいるって・・・」
その記事には、つい最近亡くなった俳優が再びドラマの撮影を行おうとしたと書かれていた。私が大好きな俳優だ。今も生きているなんて夢みたい。
「あの聖剣が封印から解き放たれたのですね・・・」
悲しげな顔をするソフィアさん。あの聖剣?まだ私達の知らない聖剣があるってことかな?
「あぁ。恐らく魔剣の仕業だろう」
飛羽真を治療中のユーリは語る。やっぱり何か知っている様子だ。
「闇黒剣の力で未来を見た時に見知らぬ剣があったが、それが魔剣か。だが他にも剣はあったぞ」
賢人は闇黒剣の力を使ったことがある。そして全ての聖剣を封印しようと飛羽真達の前に立ちはだかった時もあった。今はこうして一緒に戦ってるけど。
私の知ってる聖剣は飛羽真が使う火炎剣、倫太郎の水勢剣、賢人の雷鳴剣、尾上さんの土豪剣、今は別行動中の蓮が使う風双剣、哲雄の鈴音こと音銃剣、神代兄妹の煙叡剣と時国剣、今は賢人が持ってる闇黒剣、ユーリの光剛剣、バハトの無銘剣(どこに行ったんだろう?)、そして刃王剣十聖刃。
「魔剣以外にも、お前達の知らない聖剣はある。少し長くなるが話そう」
いつものユーリ解説タイムだ。
「遥か昔、魔剣、魔喰剣、
魔剣は闇黒剣、光剛剣と一緒に生まれた。ただし、この二つと違って魔剣は人間の悪意の感情によって偶然生まれた。この剣を使った人間は狂暴になり悪魔と化す。その強大な力に危険を感じた俺は魔剣を封印し、ワンダーワールドにいる俺の友人に管理を任せた。
魔剣は光と闇の剣の力を使っても封印できなかった。だから魔剣を封印するための剣、魔喰剣を作った。そして魔喰剣もろとも封印に成功した。
暁弓剣はその数百年後に生まれ、他の聖剣と同じように世界を守る剣だった。しかし突如として剣士と共に姿を消してしまった。」
「でもその聖剣と死者の件は何の関係が?」
誰もが思っていたであろう疑問を飛羽真がぶつけた。
「魔剣には『他の聖剣の力を活性化させる力』、魔喰剣には『生の力』が、暁弓剣には『死の力』がある。暁弓剣と魔喰剣の力が魔剣によって活性化し、暁弓剣の力で死者の魂が現実世界を徘徊するようになり更に魔喰剣によって魂だったものが実体を取り戻し生き返ったんだろう」
ユーリさらっと怖いこと言った。魂が徘徊って。ホラー映画じゃあるまいし。しかも生き返るってヤバい。
まるで夏の怪談後のように冷や汗が止まらない私のスマホに着信が。編集長からだ。
「もしもし・・・編集長!はい!喜んで!では失礼しまーす」
内容は仕事のことだ。とある学生へのインタビューの担当者が体調不良で仕事に行けなく、代わりに私がインタビューに行ってほしいとのこと。
「うち、急用ができたから行くね!」
こうして剣士達と一緒にいるけど私自身は普通の人間と変わらない。私には剣士じゃなくて編集者という仕事がある。これは編集者の仕事じゃない気がするけど。
ドアを開き立ち去ろうとする私が耳にしたのは聖剣を探す班編成の話だった。
「じゃあ俺とユーリは魔喰剣と魔剣を、倫太郎と賢人は暁弓剣を探してくれ」
「俺と大秦寺は町の様子を探る。今度こそ亀センを倒す!」
「皆さん、お気をつけて。私は皆さんの為におにぎりを握っておきますから」
飛羽真と尾上さんを筆頭に剣士達は動き出す。さ、私も仕事に行かなきゃ。
《???》
サウザンベース。そこに人の姿はなく、まるで廃墟のように佇んでいる。マスターロゴスはここにいるはず。思っていたよりも滑稽なものなのかもしれない、組織の長というのは。もっとこう、部下をこき使って自分は王座にどっしりと座っているみたいなイメージがあったが。部下みたいなのはどこにもいない。
私は正体がバレないように黒いマントのようなローブを羽織り、フードを被る。まぁ、今から会うヤツに面識はないのだが。
人がいないおかげでヤツのいる部屋まであっさりたどり着けた。私は自身の三倍はあろう大きな扉を開き堂々と侵入する。中はとても広い。まるで学校の体育館のような広さだ。そして一つちょこんと椅子が置いてあり、そこにヤツ、マスターロゴスはいた。
「あなたは何者ですか?」
ヤツ不審な人物に一切動じない。椅子に腰かけたまま私に話しかける。
「私は全ての聖剣を使ってあることを成し遂げる。そのためにあなたの持つ力が必要だ。だから犠牲になってもらう」
「私に敵うとでも?・・・まぁいいでしょう」
質問をガン無視したのに怒ったのかオムニフォースのブックを取り出し変身しようとするマスターロゴス。面倒なことになる前に目的を果たすとするか。私は剣を構える。黒を基調とした禍々しい形の剣。これが私の持つ聖剣だ。その剣の力でヤツは身動きが取れなくなる。そして私は持っていた一冊の本の表紙をめくる。
「消えろ」
ヤツは変身することなく本に喰われた。喰われたというより封印という言葉がふさわしいか。オムニフォースのブックとベルトだけが残った。私はその二つを回収し、次なる目的のためにサウザンベースを去った。
待っていて、あなたを必ず救うから。