仮面ライダーセイバー Eternal Promise 作:かなん
《神代凌牙》
ノーザンベース。それが今の俺と玲花の居場所だ。サウザンベースには戻らないのは、元マスターロゴスがいるからだ。
俺は間一髪時国剣で助け出した神山飛羽真とユーリをここに連れてきた。あのクロスセイバーですら魔喰の剣士の必殺技を受けて変身解除となってしまったのだ。ヤツは相当強い。
「助かりました・・・」
「危機一髪だったようだな、神山飛羽真」
ユーリは無言だ。自分の毒を治療するので精一杯らしい。
周りを見渡すと俺達よりも先に玲花達が帰ってきていた。玲花は新堂倫太郎と富加宮賢人の救助に向かっていた。
「飛羽真達も同じ状況だったか」
「賢人!暁の剣士は見つけたのか?」
「いや、だが魔剣士と戦った。俺と倫太郎でも勝てなかったが・・・」
二人の至るところに傷が見える。玲花もギリギリのタイミングで助けたのだろう。
「お兄様。あまり状況がよくありません。早急に三本の剣を回収しなくては」
珍しく焦りを表情に出している。それもそのはず。俺と玲花はその聖剣達の存在を知っていた。
時は神山飛羽真が初めて仮面ライダーファルシオンを倒した頃に戻る。俺と玲花はサウザンベースの禁書庫にいた。
「不死の剣士・・・強大な力を持った者だったようですね」
「あぁ。だがなぜマスターロゴスはこの禁書を解放したのだ?・・・いや、あのお方に疑問を持ってはならないな」
神山飛羽真により本に封印されたバハト。その本をもとの場所へ戻す。たくさんの本が並ぶこの部屋にはさらに異質な本も混じっていた。
「この本は・・・?」
玲花が本を手に取る。
「玲花。あのお方の許可なく勝手に本を開くなど・・・」
俺は言葉が詰まった。その本の題名は・・・
『冥界と現世』
俺はそのタイトルに惹かれページをめくった。そこに書かれていたのは世界の終焉についてだった。
『生と死を司る聖剣と魔力が交わりし時世界は混沌を迎える』
『その三つを加えた全ての聖剣が集いし時、全知全能を越えた究極の力が誕生する』
『そしてそれを救うのは選ばれし三人の剣士』
魔剣、魔喰剣、暁弓剣を含めた全ての聖剣が集まってしまえば強大な力が生まれてしまう。そしてそれを巡って争いが起きるのも容易に想像できる。玲花が焦るのも無理はない。
「お前達は治療に専念しろ。俺と玲花で回収する」
「いや、せっかくこの雷鳴剣も救ってもらったんだ。この恩を返す為に頑張るよ」
玲花はどうやら仮面ライダーブリンガーにブックや聖剣取られる直前、煙叡剣の力によって雷鳴剣を回収していたらしい。さすがは我が妹。
「別にあなたの為に助けたわけでは・・・」
素直に感謝されて困惑している。顔が赤いぞ。変な雰囲気を打ち破るようにバン!とドアが開き須藤芽依と見知らぬ少女が入って来た。
「みんな!新しい剣士を見つけたよ!名前は神彗ちゃん!」
自分と周りの剣士達の治療を終えた光の剣士は神彗という名の少女の握っている剣を見て目を見開く。
「その剣は暁弓剣か!」
大きな声に驚いたのか声を震わせる。
「こ、これは雨寺家に伝わる家宝の剣です」
彼女は大事そうに剣を抱える。そして次第に顔がうつ向いていく。
「私は罪を犯しました。だからこそ戦って罪滅ぼしをしなくちゃいけない。そのためにこの力が必要なんです」
「その剣は危険だ。我々に渡せ」
俺は彼女に詰め寄った。彼女なりに理由があるのだろうが、それと世界の平和は別だ。だが彼女は首を横に振る。仕方ない、無理矢理にでも奪うしかないな。腕を伸ばしたが須藤芽依に止められた。
「大丈夫だよ!神彗ちゃんならこの剣を持ってても。神彗ちゃんがどんな罪を犯したかわからないけど、今こうしてメギドと戦ってるなら神様もきっと許してくれるよ!ね?」
「ふん。だがその力を野放しにしていてはだな・・・」
俺と須藤芽依が喧嘩のように言い争いをしていると、突然少女が叫び出した。
「あなた達にはわからないですよ!私の気持ち」
そう言うとノーザンベースを後にする。
「行っちゃった・・・」
その後を追いかけたのは須藤芽依でも神山飛羽真でもなく玲花だった。
《大秦寺哲雄》
私と尾上は町で様子を探っていた。
「しばらく歩いているがこれといって変わったことはないが・・・強いて言えば人通りが多いことくらいか」
人の多さは死者蘇生が原因だろう。死者が蘇ったとしても人間であることに変わりはないため、見た目ではわからない。このままいけば人口爆発もあり得る。
「亀センもいないみたいだな・・・嬢ちゃんたちが暁の剣士を見つけたらしいから一旦帰るか」
きっとノーザンベースではしゃいでいるんだろう。私はそういうのは苦手だから帰りたくないが、暁の剣がどのようなものなのか気になるので仕方ない。刀鍛冶の血が騒ぐ。
何事もなく時間が過ぎていたが突如周りの人々が胸を抑えて倒れていく。
「何だ!?」
「おい大丈夫か!?・・・こいつ触れないぞ!?」
倒れた人々は体が透明化している。尾上が倒れた男性の肩を掴もうとしたが男性をすり抜けてしまう。
「幽霊・・・いや、死者というわけか」
全員が倒れているわけではない。尾上や私はもちろん、元々生きている人は何の影響もない。
「なんだか面白いことになってるな!剣士共」
聞き覚えのある声。私の耳をつんざくような怒声。倒れている人を避けることなくすり抜けてやって来たのはバハト、仮面ライダーファルシオンだった。
「お前!生きてたのか!」
昨日の件といい、尾上は驚かされてばかりだな。私もだが。
私と尾上は同時にブックを構える。
「「変身!」」
『ブッた斬れ!ドゴ!ドゴ!土豪剣激土!』
『銃でGO!GO!否!剣でいくぞ!音銃剣錫音!』
バハトに向かって一直線で走る。最初の攻撃はもちろん避けられてしまった。
「まだ争うつもりか。醜いな」
『かつてから伝わる不死鳥の伝説が今、現実となる・・・』
『抜刀!』
辺りは静寂に包まれる。まるで音そのものを殺しているようだ。
「変身」
『エターナルフェニックス!
虚無!漆黒の剣が、無に帰す!』
「お前たちを狩って無に帰してやる」
変身して早々ファルシオンの猛攻に防戦一方の私達。一か八かで私がファルシオンの腕を掴む。
「今だ!尾上!」
『会心の激土乱読撃!ドゴーン!』
「これが俺の全力だ!大断断!」
容赦なく必殺技を打ち込むバスター。私は奇跡的に衝撃波で吹っ飛んだだけだった。あまりのパワーに地面が揺れ、辺りが土煙まみれになる。だが土煙が晴れるとファルシオンの姿はなかった。
「やったか!?」
やめろ尾上!それはフラグだ!
予想通り私達の後ろから炎が燃え広がりファルシオンが現れる。ファルシオンの素早い攻撃に反応できずに吹っ飛ばされる。
「俺が不死身なのを忘れたのか?炎の剣士のときは偶然だっただけだ。ハハハ!」
高笑いするファルシオンだったが、何者かに後ろから剣を突き刺される。
漆黒のマントに身を包んだ剣士。魔剣士ブリンガーか。電話で芽依と話した際に聞いた姿と一緒だ。
『そういえば、賢人と倫太郎が魔剣士と戦ったって!見た目は黒いマントに血管みたいな赤いラインらしいから見つけたら気をつけて!』
不意打ちとは言えファルシオン相手に大ダメージを与えたところを見るにアイツは相当な強さだろう。
「不死身の剣士、お前は邪魔な存在だ。偽物の無銘剣に用はない」
変声機を使っているが私の耳には確かに女性の声に聞こえた。若い少女のような声だ。
「ハハハ!・・・邪魔なのはお前のほうだ!」
私達との戦いを邪魔されて腹がたったのか最後の力を振り絞って無銘剣を振るうが、その攻撃が届くことはなくファルシオンは塵となった。
ブリンガーはすぐさまバスターと私に狙いを定める。
「お前達の聖剣をもらう」
ブックの上のボタンを押し必殺技の構えをとるブリンガー。
『ラグナロクローディング!ブリンガーブレイク!』
ブリンガーは黒い狼を召還して噛みつき攻撃を行う。防御力の高いバスターでさえも装甲がひび割れてしまうほどの力だ。
「くっ!しまった!」
ブリンガーは隙をついて土豪剣と音銃剣を奪う。
「次は本物の無銘剣・・・ヤツだな」
ブリンガーは賢人から奪った闇黒剣の能力で闇へ消えていった。