仮面ライダーセイバー Eternal Promise   作:かなん

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消える兄、狙われた怪物。

《神代玲花》

 

私の胸の中に何度も響くあの言葉。

 

『私は罪を犯しました。だからこそ戦って罪滅ぼしをしなくちゃいけない。そのためにこの力が必要なんです』

 

『あなた達にはわからないですよ、私の気持ち』

 

私にはあの子の気持ちが分かる・・・気がする。あの言葉の裏に隠されている感情も。

彼女を追いかけて走る。見失ったかと思ったら河原で佇んでいた。体育座りでうずくまっている。

 

「ここにいたのね」

 

話しかけてみると肩をびくっと跳ね上げてこちらを振り返った。別に驚かそうとしているわけではないのだけれど。私はそのまま彼女の隣に座り、あえて視線を彼女ではなく空に向けた。

 

「今のあなたの気持ち・・・わかるわ。昔の私と同じね。仲間を信じられずにいる。あなたの言葉の裏には寂しいって感情が混じっていた」

 

「寂しい?仲間を信じないで一人でいるのが良いのに?矛盾してる」

 

まるで他人事のように話すのね、あなたは。今のあなたを見ているとかつての私を思い出す。世界の秩序を守るという目的の為に全てを犠牲にしてきた。今までお兄様とマスターロゴスだけを信じてきたのにマスターロゴスは私達を裏切りメギドと手を組んだ。でも・・・お兄様のおかげで今はノーザンベースの剣士達という仲間が増えた。

 

「でも確かに寂しいかもね。私は普通の生活を送りたかっただけ。あの日のさえ無ければ良かったのに・・・」

 

「あの日?」

 

しばらく沈黙が続く重い空気の中、魔喰の剣士が現れた。

 

「見つけたぞ。神彗」

 

「美乃緒くん!?どうして生きて・・・?」

 

彼女と魔喰の剣士は知り合いみたいね。魔喰の剣士は彼女の手を掴みどこかへ連れていこうとしている。私は煙叡剣を構え剣先を魔喰の剣士へ向けた。

 

「彼女は連れていかせない。あなたを粛清します。変身!」

 

『昆虫大百科!』

 

『狼煙開戦!昆虫CHU大百科!揺蕩う、切っ先!』

 

体に煙を纏い仮面ライダーサーベラへ変身を遂げた。魔喰の剣士は神彗さんの手を離すと面倒くさそうにブックをベルトに装填し、剣を引き抜く。

 

『怒愚魔抜刀!バイオレンスオロチ!』

 

彼は焦っているのか攻撃が単調なものばかり。そのせいで神山飛羽真から聞いていたほどの強さでないのは確かね。狼煙の必殺を使うまでもない。

 

「神彗、俺と一緒にいたいならヤツと戦え!」

 

まさか神彗さんを巻き込み戦うつもり!?二対一になれば状況は変わってしまう。ふと神彗さんを見ると彼女の表情は困惑に満ちていた。しばらく考えた後彼女はスサノオの隣に立った。

 

『照暁玲瓏!必中射撃姫!大和撫子が舞い踊る!』

 

彼女は無言で私を斬る。彼女は悪ではない。だから反撃できないし、私自身彼女とは戦いたくない。煙叡剣のボタンを押して必殺技を発動した。

 

『狼煙霧虫!』

 

私は煙となり、スサノオとアマテラスの周りを漂う。隙をついて彼女を、最悪の場合聖剣だけでも回収できれば良いのだけれど。しかし、彼女の反応は早かった。

 

『暁無双!会心一撃!』

 

強烈な居合い斬りだ。空気そのものを切り裂いてしまった。煙にすらも攻撃を与えるとは、彼女の力は恐ろしい。

 

「トドメだ」

 

倒れた私が見上げるとスサノオがいた。彼は魔喰剣の剣先にアマテラスのブック、必中射撃姫をかざした。

 

『アマテラスの物語!魔喰必殺!』

 

灼熱の炎が私の体を包む。その熱さでアーマーが溶け始める。あと数秒もすれば焼死体になってしまう。でも私はもがき苦しむことしかできない。

 

『再界時!』

 

瞬間、私の視界に黒い装甲が映る。燃えていたはずの体も変身は解けているものの水を被り鎮火している。目の前にいたスサノオとアマテラスは何故か後方に立っている。

私は瞬時に理解した。お兄様だ。

 

「大丈夫か!玲花!」

 

「お兄様・・・!私に構わず彼を・・・」

 

今は私より彼らの持つ聖剣のほうが重要。私は全身火傷の状態で戦えない。悔しいですがお兄様に全て託すしかありません。

スサノオが攻撃を仕掛けるがそれよりも先にお兄様の時国剣(カイジスピア)がスサノオを突く。近距離での戦闘は不利だと感じたアマテラスは暁弓剣を弓モードに変え距離を置いた。しかしお兄様には近距離も遠距離も関係ない。何故なら・・・

 

『界時抹消!』

 

そう、時国剣の能力。刀身を引き抜くことで時間を削って相手との距離を一気に縮めることが出来るのです。

 

『再界時!』

 

剣を元に戻して能力を解除。アマテラスの射線上にいたはずのお兄様は裏に回り込んでいた。お兄様に気づいた時にはもう遅い。カイジスピアの攻撃が直前まで迫っている。

しかし、スサノオがお兄様の攻撃を割って入って来ました。

 

「俺達は生きる!お前達に邪魔はさせない!」

 

「その剣はこの世界にとって邪悪な存在だ!我々が管理する!」

 

つばぜり合いの中、突然時国剣が怪しげな紫色の光を放ち始めました。

 

「くっ・・・!玲花・・・」

 

信じられない・・・その光に包まれたお兄様は時国剣とブックと一緒に消えてしまいました。

 

「お兄様!?」

 

必死でお兄様の行方を探す私。握っている煙叡剣が同じように光り始める。これでお兄様のところへ行ける。お兄様を助けられる。そう思っていました。

 

「玲花さん!絶対に助ける!」

 

全力で走ってきた神山飛羽真。私を助けるつもりなの?邪魔しないで欲しいのだけれど。

 

『聖刃抜刀!クロスセイバー!』

 

『狼煙霧虫!』

 

クロスセイバーの力で煙叡剣を召還し、自身と私を煙で包む。お兄様のことが心配で、意識が朦朧とする私。スサノオとアマテラスの会話が聞こえた気がする。

 

「逃げたか。まぁいい。神彗、一緒に・・・」

 

「ごめんね・・・私はあなたといる資格はないから・・・」

 

彼女の悲しげな声を聞いた後、私達はノーザンベースへの移動に成功したのでした。

 


 

《デザスト》

 

人気(ひとけ)のない河原で俺は一人ラーメンをすする。いつものように紅生姜がいい味を出している。酸っぱくて、少し辛い最高の味だ。

俺の横にはいつも一緒にいたアイツ(緋道蓮)の代わりに無銘剣が刺さっている。咄嗟に持ち出したが、これも運命ってやつだろ。これでストリウスの邪魔もできるしな。それにしてもヤツは何考えてるんだか・・・

麺と具を完食し、残すはスープのみ。紅生姜の風味が染み込んで旨いんだな、これが。ごくごくと飲んでいると後ろから足音が聞こえきた。スープのせいでソイツの匂いがわからない。

 

「お前がデザストだな。お前の持っている無銘剣を渡して貰おうか」

 

フードを被った小さい女は俺じゃなく無銘剣に用があるらしい。スープを飲み干してこの女の匂いを嗅いでみる。うわ、ヤベェなコイツ。

 

「お前、匂うな。哀惜と憎悪に満ちた最低で最高な匂いが」

 

コイツの中の闇はとにかくヤバかった。豚骨ラーメン以上にドロドロしたどす黒い感情。ストリウスと並ぶヤバさだ。

 

「黙れ。私の何が解る?」

 

「匂いでわかるぜ。そんなにこの剣が欲しけりゃくれてやるよ。俺に勝てたらな!」

 

面白そうだから戦ってやることにした。どのくらい強いのか気になるしな。

俺は覇剣ブレードライバーを腰に装着し、ワンダーライドブックのページを開いた。

 

『かつてから伝わる不死鳥の伝説が今、現実となる・・・』

 

ページを閉じドライバーに挿し込み、無名剣を引き抜く。

 

『抜刀!』

 

辺りは静寂に包まれる。

 

「変身」

 

『エターナルフェニックス!虚無!漆黒の剣が、無に帰す!』

 

フードの女もワンダーライドブックを挿し込み変身する。

 

『Kamen Rider Bullinger!The world is My own・・・』

 

ヤツは仮面ライダーソロモンの武器カラドボルグを使った二刀流攻撃を繰り出してきた。俺はとにかく避けまくった。

だが突然後ろから斬りつけられ痛みを感じた。振り返ると三つの剣が自ら宙に浮いて攻撃していた。

 

『土豪剣激土!』

 

『音銃剣錫音!』

 

『闇黒剣暗闇!』

 

自己紹介みたいに名乗った剣は虫みたいにビュンビュン飛び回る。それを機にヤツは自分の聖剣を振りかざす。すると聖剣から溢れてきたオーラが三つの剣に纏う。そのオーラは人の形へ変わっていく。

 

『ブッた斬れ!ドゴ!ドゴ!土豪剣激土!』

 

『剣でいくぜ!NO!NO! 銃でGO!GO!BANG!BANG!音銃剣錫音!』

 

『ジャオウドラゴン! 誰も逃れられない・・・」

 

オーラはそれぞれバスター、スラッシュ、カリバーの姿になる。

 

「これが魔剣の力。聖剣の力を極限まで引き出す能力だ」

 

そんなの卑怯だろ、と言う暇もなく連携して襲ってくる。さすがの俺でも四対一では分が悪い。まぁ俺には再生能力があるから攻撃を受けても大丈夫なんだけどな。一気に決めるか。

 

「カラミティストライク」

 

俺の愛剣グラッジデントと無銘剣は炎となりオーラ三人組を蹴散らしてさらにブリンガーに一撃与える。変身が解除されたヤツは左腕に大きな傷を負っていた。

 

「くそっ・・・実力行使で回収は困難か。次は必ずその剣を奪ってみせる」

 

一撃喰らっただけで逃げるなんて弱すぎる。思わず心の声が漏れた。

 

「・・・つまんねぇな」

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