仮面ライダーセイバー Eternal Promise 作:かなん
《ユーリ》
やれやれ。どの聖剣も一筋縄ではいかないな。暁弓剣は飛羽真と芽依が追っている。魔剣も他の剣士達が追っているが、手がかりは掴めていないようだ。
禁書の中に書かれていた通り、三つが集まれば世界は破滅の道を辿るだろう。具体的に言うと三つの力が宿った究極の聖剣が誕生する。だがその剣は誰にも制御できない。例え様々な修行を積んだ剣士でさえ自我を持ったその剣を従わせることができないのだ。厄介なのはそれだけではない。全ての聖剣が集まったとき、究極のワンダーライドブックが生まれる。そのブックと究極の聖剣を掛け合わせれば神を越える存在になり得る。だから三つとも封印することが最良の選択だ。
俺は魔喰剣を探し薄暗いトンネルを歩いていた。人間にはない能力で気配を感じ取ったのだ。予想どおり魔喰の剣士、美乃緒が壁にもたれ座っていた。
「見つけたぞ。聖剣を渡してもらおう」
美乃緒はキッと俺を睨み付けた。理由は飛羽真から聞いている。暁の剣士、神彗に逃げられ苛立っているからだろう。
「この剣は渡せない。この剣が無ければ俺は消えてしまう」
なるほど。美乃緒は俺と同じ状態、聖剣と融合しているのか。ならば話は早い。
「渡してくれないのなら無理やり奪うまでだ。変身」
『最光発光!Who is this?最光二章!光から生まれし影! シャドー!』
これは俺の影。エックスソードマンよりトリッキーな動きができるからこっちを選んだ。それに薄暗いトンネルには真っ黒なヤツがピッタリだろう?
『怒愚魔抜刀!バイオレンスオロチ!』
単純なスペックは向こうが上だ。しかしスサノオは剣が本体だと気づいていないらしい。影ばかり攻撃している。もちろん当たらない。
「貴様ッ!」
「頼む。その剣は世界を滅ぼしかねない。神彗という子の命だって危ういんだぞ」
軽く脅しの言葉をかけるとスサノオは手を止め動きが完全に停止した。やはりあの子のことが気になるか。
「俺は・・・神彗を救うためにストリウスと手を組んだ。俺達はワンダーワールドで自由に暮らすんだ!」
「お前はストリウスに利用されているだけだ。自由な世界なんてない。あるのは世界の終焉だ。だから俺達に聖剣を渡すか、それとも一緒に戦え。」
この聖剣のせいで死人が蘇ったのだ。少なからず人類を脅かす存在であることは確かだ。
「断る」
返ってきた答えは予想通り。残念だがこうするしかないようだ。
『最光発光!Good Luck!』
失明ギリギリの発光で目眩ましをした俺は隙だらけのスサノオを斬った。そして最光シャドーが魔喰剣を回収しようとしたが突如謎の霧が俺を包み込んだ。
「困るんですよ。私の邪魔をするのは」
「その声・・・ストリウスか!まさかこれは!?」
この霧が毒だと気づいたときには既に体が衰弱し変身が解けていた。
「バイオレンスオロチ以上の毒だな。助かった、ストリウス」
俺は消えいく意識の中、必死に美乃緒に呼び掛けたが彼が振り向くことはなかった。
《新堂倫太郎》
魔剣士ブリンガーを捜す途中、たまたま神彗さんを見かけました。公園のブランコで一人佇む彼女。放っておくことなんて出来ない。でもどうしたら・・・?とりあえず仲を深めることからでしょうか。話しかけてみましょう。
「神彗さん、何かあったのですか?」
彼女は黙ったまま僕を見ることもなく虚空を見つめていました。何か考え事をしているようです。
「・・・仲間ってそんなに良いものなんですか?」
その質問はあまりにも簡単ですね。ここまで戦ってこれたのは仲間がいたからです。僕は今まで組織を信じていいた。それ故に裏切り者がいるなんて信じず飛羽真と衝突したときもありました。でも気づいたんです。僕を育ててくれた家族は組織だけでなく、共に戦ってきた仲間達もなんだと。
「仲間がいなければ生きていけませんよ。あなたもそうでしょう?」
あれ?僕の答え間違っているんでしょうか、とばかりに重い雰囲気。彼女の目から小さな雫が。
「仲間を犠牲にした私は最低です。だからもう私に仲間を作る資格なんてない」
犠牲?一体何のことです?訳がわからず困惑するしかできない僕。
「そんなことない!」
僕より早く彼女の発言を否定したのは飛羽真でした。芽依さんもいますが息を切らせていました。走ってきたんでしょう。
「ウチも飛羽真も華読ちゃんから聞いたよ。美乃緒くんのことはあなたのせいじゃない」
僕は何があったかわかりませんが、二人なら彼女の心を動かせるはず。ここは任せるとしましょう。
「聞いたんですね。あれは私が起こした事故。私がしっかりしていれば美乃緒くんは生きてたの!」
「事故?一体何があったのですか?」
頭に疑問符を浮かべている僕のために神彗さんは語り始めました。そして美乃緒くんが亡くなったこと、その原因は神彗さんをかばったことを知りました。
「そんなことが・・・」
「だから神彗ちゃんは『黄泉の国』の主人公を自分と重ねていたんだね」
芽依さんによれば神彗さんが執筆した小説は自らがモデルらしいです。つまり小説の主人公の男の子は神彗さんを、亡くなった女の子は美乃緒くんを意識していると。
「そして小説と同じように亡くなった人を、美乃緒くんを追って自殺しようと考えてるんでしょ?」
ものすごく怖い顔をしている芽依さん。それもそうでしょう。一人の少女の命がかかっているのですから。神彗さんはただ黙ったまま下を向いて動きません。飛羽真も神彗さんを必死に止めています。
「そんなの絶対ダメだ!美乃緒くんのためにも生きるんだ!約束してくれ!死のうとしないって!」
死にたい人に生きろと言うのは良くないことでしょう。でもそれを考えられる程の余裕が飛羽真にはありませんでした。神彗さんは突然目の色を変え暁弓剣を飛羽真に突きつけました。
「これ以上私の問題に首をつっこむならあなたも死んでもらいます!」
「その通りだ」
突然話に入ってきた黒いスーツに身を包んだ男。その男に見覚えがありました。かつて僕達と対立しカリバーとなった上條大地です。
「なぜあなたが・・・?」
上條大地は消滅したはず。・・・なるほど。死人だから蘇ったわけですね。
「私は再び剣士として生き返った。だから私が真理を探求し真実を突き止める」
『ジャオウドラゴン!誰も逃れられない・・・』
彼は再びカリバーとなって襲いかかる。しかし飛羽真が咄嗟にドラゴニックナイトへ変身し攻撃を防ぎました。
『ドラゴニックナイト! すなわち、ド強い!』
「上條さん!真理ならもう見つけた!マスターロゴスこそ黒幕だったんだ!」
カリバーは飛羽真の声に全く反応を示さない。聞こえているはずなんですが・・・
「上條さんは俺がなんとかする!倫太郎は神彗ちゃんを!」
僕は神彗さんを安全な場所へ避難させようと手を掴む。しかし、その手をなぎ払われてしまいました。
「私に証明してください。仲間がいるのがそんなに良いことなのかを」
彼女は剣を構えました。こんな状況なのに戦いを挑むなんて。
「ならば教えましょう。仲間のすばらしさを!」
『流水抜刀!キングライオン大戦記! それすなわち、砲撃の戦士!』
キングライオン大戦記は肩のキングライオンカノンが特徴的です。その砲撃の強さは戦車以上。しかし今回は使いません。彼女が望んでいるのは剣戟。キングライオン大戦記はタテガミ氷獣戦記よりも機動力が劣り反応が遅れてしまいます。このブックしか使えない以上、なんとかするしかない・・・
『暁無双!月下乱舞!』
「しまった!」
隙を突かれ胸部に必殺技を撃ち込まれてしまいました。まずい。
『焦るな倫太郎。落ち着いて状況を判断すれば勝機はある』
ふと先代ブレイズである師匠の声が脳内に響き渡る。何故声が聞こえてきたのかを気にしている場合ではありません。水勢剣をソードライバーに一度納刀し心を落ち着かせる為に深呼吸。
『キングライオン必殺読破!流水抜刀!キングライオン必殺斬り!』
水勢剣が青い光を放つ。すぐに必殺技は放ちません。エネルギーを溜めてその時を待つ!
「これで終わり!」
アマテラスがギリギリまで接近し攻撃する瞬間、剣を右肩で受け止めて抜刀した水勢剣をアマテラスの脇腹に当てそのまま切り裂く。
アマテラスは変身解除し地面に膝をつきました。
「何で・・・」
「僕は今まで生きるために戦ってきました。仲間達と切磋琢磨してここまで強くなれたんです」
僕は彼女に手を差し伸べました。
「あなたはもう一人じゃありません。僕や飛羽真、芽依さんがいます。美乃緒くんだってきっとわかってくれますよ」
神彗さんは僕の手を掴みました。そして立ち上がり真っ直ぐな目で僕を見る。
「なんだかわからないけど・・・あなたなら信じられる。仲間の素晴らしさも伝わった気がする」
僕は思わずフフフと笑ってしまいました。なんてあやふやな答えなんだと。
「倫太郎!神彗ちゃん!飛羽真を助けてあげて!」
芽依さんが指差した方向にはカリバージャオウドラゴンに苦戦するセイバードラゴニックナイトが。
ダメージを負って動けないセイバーに近づいて、ベルトに何かブックを装填したようです。そしてセイバーはまるで意識を乗っ取られたかのように棒立ちになり青白い炎に包み込まれ変身を遂げました。
『バキッ!ボキッ!ボーン!ガキッ!ゴキッ!ボーン!
プリミティブ!ドラゴン!』