GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

100 / 157
その5

リポート15 不思議の国の横島君 その5

 

~横島視点~

 

アリスちゃん達の異界は暑くも無く、涼しくもなく過ごしやすい快適な温度だ。異界と聞けば恐ろしいイメージがあるが、この異界はまるでキャンプ場のような雰囲気だ。

 

「頑張れば温泉とか作れないかな」

 

過ごしやすい温度で魔界の魔獣こそいるが、魔界の獣と言っても皆大人しくて温厚だ。それにとても人懐っこいなので魔界の獣と思わずに可愛らしい小動物と思ってくれればリラックス効果とかもあって良い気分転換になると思う。海もあるし、川もあるし、BBQが出来るような河原もある。流石にアリスちゃん達が喜んでいる滑り台やブランコにソリは美神さん達には合わないから温泉とかあれば良くないかなあと独り言のように呟くと俺の呟きを聞いていたのか太陽神の化身の赤ちゃんを撫でていた天竜ちゃんが顔を上げた。

 

「温泉ですか?んー作れると思いますけど……天魔どうかな?」

 

「ん、んー氷河が作れたから作れるとは思うけど」

 

「温泉!良いと思いますわッ!温泉作りましょう!皆が手伝ってくれればあっという間ですわ~♪大きな温泉を作ってプールみたいにしてお兄様とお風呂ですわ~」

 

「え、え?ちょ、ちょっとー!?」

 

俺とお風呂と叫んで立ち上がった紫ちゃんを止めようとするが、凄まじい勢いでログハウスを天竜ちゃんと天魔ちゃんと共に飛び出していってしまった。

 

「……なんで?」

 

【紫達からすれば温泉もプールも海も同じ延長線って事なんだろうな】

 

「俺はそれは違うと思うな」

 

幾らなんでもそれは超えちゃいけないラインだと俺は思う。プールや海は分かるが、流石にお風呂は駄目だと思う。

 

「心眼先生、どうすればいい?俺はこのままだとロリコンの性犯罪者になってしまう」

 

どう考えても逮捕案件にしか思えず心眼先生に助けを求める。すると心眼は俺が性犯罪者にならず、アリスちゃん達が楽しめるアイデアを出してくれた。

 

【温水プールにして、スライダーとか流れるプールとかにして考えを逸らしたらどうだ?】

 

「それだッ!!ありがとな、心眼ッ!!」

 

今ならばまだ間に合うと俺は慌ててログハウスを飛び出してのだが……。

 

「ほげッ!」

 

「きゅーい」

 

川を流されていた赤いワニと犬やネコのような動物が岩や木の枝を運んで来て自分の住処を作っていた。おはようと言わんばかりに手を振ってくるのでとりあえず手を振り返しながら紫ちゃん達を探す。

 

「ここに温泉を作るのです」

 

「がうがう」

 

「出来そう?」

 

「ぎゃーう!」

 

「できるって!」

 

「やばいって!?」

 

魔界の獣達を集めて工事を始めようとしている紫ちゃん達を辛うじて止める事に成功し、温水プールとそれに設置できるであろう遊具の話をすることで紫ちゃん達の頭の中から温泉を消す事に成功した。

 

「じゃあ横島も設計を手伝ってくれればいいわ」

 

【お兄さん、私はTVで見た浮き輪でしゃーって滑る滑り台がいいです!!】

 

「なにそれ面白そう!あたいもそれが良い!!」

 

きゃっきゃっとこんな温水プールを作りたいと声を上げるリリィちゃん達に俺は少し待ってと声を掛けた。

 

「作るにしてもまず場所とか、あとは温かいお湯とか準備する為のボイラーとか準備する物……うおッ!?な、なんだ?」

 

「お兄様、あんな感じでどうでしょうか?」

 

強烈な揺れに言葉に詰まっている俺に紫ちゃんがあんな感じでどうだと尋ねてくる。

 

「あんな感じってなに……を?」

 

何を言っているのかと首を傾げながら振り返ると見たことのない平らな平地がいつのまにか出来ていた。まさか紫ちゃんが作ったのかと驚きながら視線を向けると紫ちゃんはふんすっと胸を張った。

 

「頑張りました」

 

「そっかぁ~頑張っちゃったかあ」

 

紫ちゃんを囲んで凄い凄いと褒めているアリスちゃん達と照れている様子の紫ちゃんを見ながら俺はどうするかなあと天を仰ぎ、手をぽんと叩いた。

 

「とりあえずお昼ご飯にしよう。プールを作るのはもうちょっとしっかり考えてからの方がいいと思うんだ。それにお腹空いてない?」

 

俺がそう尋ねると茨木ちゃんやチルノちゃんがお腹を鳴らす。

 

「横島!吾はお腹が空いたぞ!」

 

「あたいも!」

 

「だろ?まずはご飯を食べてから考えよう、じゃあ1度ログハウスに戻ろうか」

 

「「「「はーい!!」」」」

 

元気よく返事を返すアリスちゃん達をつれてログハウスに戻り、魔獣達が持って来てくれた野菜や果物、そしてタタリモッケさんが持って来てくれたウィンナーとかがあるのでそれでバーベキューをする事にする。

 

「ピーッ!」

 

「ピィッ!!」

 

ピー助達に炎を吐いて貰い薪に火をつけてその上に鉄板を置いていざバーベキューという時だった。

 

「……横島、へんなの出てますの」

 

【ほんまやなあ。なんやろか?】

 

「んー?変なのってまた何か魔獣が……なんだ。あの変なの」

 

黒い小さな穴見たいのがログハウスの前に現れていて、なんだ?と首を傾げていると天竜ちゃんと天魔ちゃんが険しい声を上げた。

 

「許可してない誰かが此処に来ようとしています!」

 

「紫結界は?」

 

「ちゃ、ちゃんと作動してますわよ!?え、え、な、なんで」

 

許可していない何者かがこの異界に入ろうとしていると聞いて俺は思わず身構えたのだが……。

 

「横島……何してるの?」

 

その黒い穴が少しずつ大きくなり姿を見せた蛍と目がばっちり合い、天竜姫ちゃん達がびくうっと身を竦めたのを見て天竜姫ちゃん達を背中に庇いながら俺はあえて明るい声を出した。

 

「え?あ、蛍!くえすッ!それに美神さんに琉璃さん、小竜姫様に鬼一さんも!丁度いい所に来ましたね。今からバーベキューをする所だったんですよ。美神さん達はお腹空いてませんか?」

 

勿論美神さん達が俺が天竜ちゃん達を庇って誤魔化そうとしていると事を見抜けないわけが無いのだが……。

 

「そうね、朝から動きっぱなしだし、お呼ばれしましょうかね」

 

「野菜とか切り終わってる?何か手伝う事ある」

 

話に乗ってきてくれた美神さん達に感謝し、慌しく昼食の準備をしながらおろおろしている天竜ちゃん達に小声で声を掛けた。

 

(ちゃんと事情を説明しような?大丈夫。俺も一緒だから)

 

怒られないように俺も一緒だからと声を掛けると天竜ちゃん達は安堵した様子でやっと笑ってくれるのだった……。

 

 

 

 

~蛍視点~

 

 

久しぶりに横島の顔を見る事ができ、昼食を摂った事でやっと人心地ついた気分だった。ただ横島の周りで魔獣や新生した神魔が大きくなったお腹を上にして寝転がっているのを見ると横島が元気そうで安心したのと、これ今後どうなるのだろうかという不安が頭を過ぎる。

 

「紫ちゃん達も俺の事を思ってやってくれたことなので出来れば怒らないで貰えると嬉しいんですけど……」

 

そんな事を考えていると横島がそう話を切り出してきた。怒るなと言うのは正直難しい問題ではある……だが東京で話し合った通り私達としてはこの異界を有効利用すると言う考えだ。

 

「天竜姫様。異界を作れるからやってみたいと言うのは分かりますがもう少し考えて……いえ、私達に相談してから実行して欲しかったのですが……」

 

「むー横島の胸像をへ「わーわーわーッ!!!」む、むぐぅ~ッ!!」

 

天竜姫を抱え、口を塞いで猛ダッシュで走り去る小竜姫様の姿に横島が目を丸くする。

 

「今なんか、俺がどうとかって」

 

「聞き違いじゃない?」

 

「いや、でも確か」

 

「気のせいですわよ」

 

「え、でも」

 

「「「気のせいよ」」」」

 

「あ、はい」

 

強い口調で気のせいと繰り返し言われた横島は腑に落ちない様子だが、頷いてくれたのでこの話はぶり返させないようにしようと誓った。

 

「かんらからから、良く出来てるな天魔」

 

「鬼一様。はい!頑張りました」

 

「そうかーそうかー頑張ったかあ。良し良し」

 

「むふうー♪」

 

鬼一さんは天魔の頭を撫でながら私たちへと振り返った。

 

「この結界の中はかなり安定しているから少し手を加えれば安全な拠点になると保障しよう」

 

鞍馬天狗の鬼一さんが言うのならば本当に安全な拠点なのだろう。

 

「お兄ちゃんが魔獣とかをお世話出来るように作ったんだよ」

 

「だから琉璃さん、名前をつけていいですか?」

 

キラキラとした目をしている魔獣達は残像が見えるほどの速度で尻尾を振っている。その姿を見れば琉璃さんのGOが出れば名前をつけ始めない勢いだ。

 

「駄目です」

 

「だ、駄目なんですか……ちゃんと育ててれる環境はあると思うんですけど」

 

「それとこれとはちょっと問題が違うのよ。そうね、この異界が安定した拠点として成立して、いざって場合のシェルターとしての運用が確実に出来るようになれば考えてあげてもいいけど……使い魔を増やす事は急いで決めることじゃないし、言いにくいことだけど……魔界の魔獣だからポテンシャルの高さは認めるけれど正直チビ達よりも弱い使い魔を増やす事にメリットはないわ」

 

「琉璃さん、ちょっとその言い方がきついんじゃないかと」

 

琉璃さんの厳しい言葉に横島が驚いた様子を見せながら言うと琉璃さんは厳しい表情を一転させ、何時もの気まぐれな猫のような表情を浮かべる。

 

「別に怒ってる訳じゃないし、駄目って言ってるわけじゃないのよ?でも物事には優先順位があるのよ、横島君。今私達が優先するべきと考えているのは緊急時に避難出来る拠点作りなの、この異界は素晴らしく安全な拠点だと言えるしそこで魔獣と遊ぶ事もアリスちゃん達の面倒を見ることも私は、ううん……私達は咎めないわ。だけど使い魔を増やすと言う事は横島君の家に来たがるって事よ?今のこの情勢で東京に魔獣が多く集まったらどうなると思う?」

 

上手いと思った、頭ごなしに否定するのではなく、自分の行動によってどんな被害が出るのかという事を思い至った横島はハッとした表情を浮かべ、頭を下げすいませんと謝罪した。

 

「ん、分かってくれればいいわ。それじゃあ皆でこの異界をどうするかって事を話し合いましょうか?」

 

琉璃さんの意見に当然反対意見などあるわけも無く、この異界をどうするかとどういう風に改造しているのかという話を紫ちゃん達に聞き始めたのだが……紫ちゃん達と私達の考えにはかなりと言うか途方もない差があり、そこから軌道修正するのはかなり難しい上に今は使い魔は増やせないが後なら良いと横島達が受け取ってしまった事もあり、この問題の先送りが後々とんでもない問題を引き起こす事になる。

 

 

 

 

 

~竜神王視点~

 

西洋の天界が結界を展開した事により一切の干渉が取れなくなった。西洋からは東洋からの圧力に屈しない姿勢を見せる抗議活動としているが……確実に離反した4大天使の指示であると見て間違いないだろう。

 

「最高指導者。こんな事を言うのは失礼だと分かっていますが、何故4大天使の手綱を握っている事が出来なかったのですか?」

 

「……これは完全に私の不徳の成す所で謝罪する事しか出来ません」

 

深く頭を下げる天界の最高指導者であるキーやんに頭を上げてくださいと声を掛ける。

 

「家も1枚岩とは言えんけど……天界は更にガタガタやな、とは言え……元々の天界の性質の悪さとも言えるけど」

 

「……そこなんですよね。私の教えが間違って伝わっていることに後悔しかありません」

 

ほかの国や神話体系の神々を陥れて悪魔へと変えたのはその多くが天使による策略だ。

 

「まだ天使の多くは唯一神を信仰していて私を最高指導者と認めていない者が多い、それを改善しようと頑張って来たつもりでしたが……」

 

そこで言葉に詰まるキーやん。確かにキーやんは良く頑張っていた、デタントを進め、天界と魔界の融和に努めた。事実ガープ達が決起しなければ最も平和的な手段で天界と魔界の関係を変えた偉大な指導者となれただろう……だが魔界ではアスモデウスが決起し、天界では4大天使の離反とその思想に賛同した西洋の天界の暴走……全てが悉く裏目に出て。

 

「か、会議中失礼するのねッ!!!」

 

扉が乱暴に開かれた音とヒャクメの大声に思わず驚いて顔を上げる。

 

「何事だヒャクメ、最高指導者との会議中と知っての事か!」

 

「知ってるのね!だから来たのねッ!!」

 

私の声を掻き消すような大声、いや悲鳴を上げたヒャクメはトランク型のPCを机の上に乗せた。

 

「げ、月面がアスモデウス達に制圧され、月の魔力を使った魔導兵器が開発中なのねッ!月神族からのSOSなのッ!!」

 

PCのモニターに映し出されていたのは信じられない光景だった……。

 

『あ、アアアアアアアアアーッ!?』

 

『な、ど、どうし……ぎゃああッ!?』

 

『う、ウガアアアアアッ!!!』

 

狂神石に操られた月神族同士の殺し合い、そして月神族の都市を破壊する量産型レブナント達の群れを見下ろすアスモデウス、ガープ、そして蘆屋の3人の姿と地球を狙っている特大サイズの魔導砲に私は勿論、最高指導者であるキーやんとサッちゃんも言葉を失った。

 

「ど、どうするのね……?」

 

「……月神族の救援など行いたくは無いがあの兵器を見過ごすわけにはいかん、天界の実働部隊の出撃準備だッ!!」

 

「ワイも魔界から出撃させるッ!オーディンには事後承諾にはなるけど、今はそんな事を言ってる場合やないッ!!」

 

月神族への救援ではなく、地球を狙う魔導砲発射阻止を防ぐ為に出撃命令を下したのだが……。

 

「ぜ、全滅だと……しかも月にすら乗り込めなかっただと!?」

 

会敵から僅か7分で神魔混成軍が全滅したという絶望的な報告に我々は完全に言葉を失い、モニターに映る止めれるならば止めてみろと言うアスモデウス達の姿に、神魔では止める事が出来ないと悟らざるを得ず、再び人間に頼らざるを得ないと言う現実に爪が掌を突き破るほどに強く拳を握り締めるのだった……。

 

 

リポート16 月からのSOS その1へ続く

 

 

 




ほのぼのは今回で終了で、次回からまたシリアスメインで話を進めて行こうと思いますが、ここで大きく話の展開を変えていこうと思っております。そもそも平安時代ので月神族なんか助けたくないって皆思ってますからね、ギスギスした感じになりますし、現在の月神族と平安時代の月神族にも違いを与えようと思っているのでかなり原作と違う流れで進めて見たいと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。