GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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リポート17 謀略の月
その1


リポート17 謀略の月 その1

 

~ドクターカオス視点~

 

美神達が月に乗りこまらざるを得ない状況を作り出したガープ達には敵ながら天晴れと言う言葉しか出てこない。

 

(監視はしていた。だがそれすらも出し抜かれた)

 

月は特大の魔力炉だ。ガープ達は勿論、魔人に奪われても不味いと監視は続けていた。だがワシは建築されている魔力砲に気付く事は無かった……ワシの技術をガープが完全に越えていると考えるのが一般的だが……どうしても引っかかる点があった。

 

(アシュタロスが何の連絡もしてきておらん……いくらなんでも考えられんわい)

 

スパイとしてもぐりこんでいるアシュタロスから何の連絡もない。監視されていたとしてもアシュタロスならば月で兵器の開発中くらいの連絡はしてくるはず……となれば答えはおのずと出てくる。

 

「まだ表に出ていない高位の神魔か」

 

恐らくだが転移や魔法に長けた最上級神魔をまだガープは手札として残していると考えるのが妥当だ。別の場所で作成し、転移で月へと運んだとワシは考えている。あの規模の魔力砲を移動させるとなれば権限か何かを用いたと考えるべきではないだろうか……。

 

「そう仮定すればあやつらの戦術にも納得出来る」

 

ガープ達の戦術は基本的に電撃戦である、ガープの転移で移動していると考えていたが……今回の魔力砲で別の神魔の影が見えてきた。

 

『ドクターカオス。データはどうですか?』

 

『カオスー?聞こえてる?』

 

「お、おお。すまんすまん、順調にデータは取れておるよ。マリア、テレサ。使ってみた感想はどうじゃ?」

 

モニターに映るテレサとマリアは身体に装着するアーマーを装備しているが、それは機械的で、それこそ特撮に出てくるような代物になっているが……人間界で作れる装備と考えれば破格の性能を有していると言える筈だ。

 

『バリア機能は問題なく機能していますし、ブースターも問題ありません』

 

『あたしはこの打撃を強化する機能と霊波刃を展開出来るのが気に入ったよ』

 

本来はマリア達の主武装で内蔵している物だったが、人間ベースの身体に作り変えたことで武器を内蔵出来なくなってしまった。本来の世界のマリアとテレサと比べれば大幅に弱体化してしまっていたが、これによってある程度は戦えるようになったはずだ。

 

「悪いがもう少し模擬戦を続けてくれるかの?出発まで時間が無い、不具合が不安じゃし、何か気になったことがあったら教えて欲しい」

 

『了解です。ではテレサ、もう少し模擬戦を続けましょう』

 

『OK、姉さんッ!!』

 

凄まじい風切音と打撃音が何度も響いて来るのを聞きながらモニターに視線を向ける。

 

「数値はグリーンゾーンをキープか……通常使用には問題なさそうじゃな、問題は神魔にどこまで食い込めるかじゃが……」

 

量産型レブナントの篭手を解析して作り出した試作品の兵装で、試運転も何もしていないが行き成り実戦に投入する事になりそうだ。

 

「こっちは雪之丞達に渡すかの」

 

ファントムコールダーはオーパーツの集まりだったが、小僧のゴーストドライバーと比べれば科学で作られているだけ、難航こそしたが無事に解析する事が出来た。霊力を流す事で硬度を変えるアーマーに、霊力を増幅させる篭手や、霊力使用を効率化してくれるヘルメット……数多の装備をファントムコールダーのデータから作成する事が出来た。数こそ準備できなかったが……それでも美神達の力になってくれる筈だ。

 

「問題はこっちじゃなあ」

 

月も問題だが、今ワシの頭を悩ませているのは来日したマリア7世の問題だ。国際オカルトGメンや霊防省の問題で日本から出ることも出来ず、そして面会も出来ない。なんせマリア7世の直筆の招待状を持っているワシですら面会出来ない状況だ。

 

「……こっちもなんとかせんとなあ……」

 

月の問題がある中で美神達には言いにくいがマリア7世の救出も恐らく急務になる。マリア7世も極めて高い霊能の霊能の素質を持った女性だ。人造メシア計画の母体に選ばれる可能性は極めて高いと言える……彼女をくだらない天使の策略に巻き込むわけには行かない。

 

「……動くならばこのタイミングしかないか」

 

神魔の力を借りて月へと向かう……大規模な魔力や神通力が東京に溢れる。それを隠れ蓑にしてマリア7世を救出するしかない。

 

「恐らくこれが最初で最後のチャンスになる」

 

ワシが動く事を決めたのは今が動くのに最も適したタイミングであると同時に、マリア7世を拉致しようとしている者も確実に動く確信があるからだ。

 

「……ブラドーに相談しておくかの」

 

西条や唐巣の力は借りれん、ワシとブラドーの2人だけでマリア7世を救い出さねばならない。余りにも厳しいがそれでも成し遂げなければならないとワシは覚悟を決め、ブラドーへ連絡を取るのだった……。

 

 

 

~メドーサ視点~

 

待っていた筈の月神族との邂逅だが、心踊る事無く血液が凍るような感覚があった。逆行する前の世界の出来事は形を変えてこの世界でも起きている……だが私が横島に釣り合う年齢まで若返る保障はないのだ。

 

(罰が当たったのかねぇ)

 

楽しみにしていたと言うのはおかしいかもしれないが……せめて小竜姫くらいの年齢には若返れないだろうかとか、そんな事を考えていた罰が当たったのか、それとも世界の修正力か……不安もあるし、恐怖もある。

 

「ま、情けない姿は見せられないか」

 

若返れなかったらそれもまた運命、若返りすぎて子供になったとしたらそれもまた運命として受け入れよう。

 

「ったく、我ながら損な道を行こうとしてるよ」

 

小竜姫やブリュンヒルデに任せても良いのに死ぬかもしれない月に行こうと決めたのは……。

 

「腸煮えくり返ってるんだよなあ」

 

あの優しい横島をあそこまで追詰めた月神族への怒りだ。ガープとアスモデウスにはあいつらを滅ぼしてもらいたいと思っている、百害あって一利なし……それが月神族と言う神魔の驕りだけを煮詰めたような一族だ。あいつらを生かしておいても何の利益も無いのはガープも

分かっているだろう、それでも滅ぼさないのは横島を誘き出す為だけの餌だからだ。

 

(どこまで行っても善人だからな)

 

月神族へ怒りは横島の中で今も燻っているだろうが、それでも横島は見捨てられない。そういう人種なのだ、とことん戦いに何て向いていない奴だが、それでも私達はあいつを戦いに駆り出さなければならない事実に嫌気が差してくる。

 

「雪之丞。準備は出来たかッ!」

 

白竜寺から連れて行くのは雪之丞だけだ。限定的には言えバルバトスの力を行使出来る雪之丞はガープ達に対しての鬼札になりえる可能性がある。それに魔装術もあるので少なくとも美神達よりは戦える。クシナは霊能力が不安定だし、陰念は爆弾を抱えているので到底連れて行けないと説明したのに陰念が雪之丞と共に待っていた。

 

「メドーサ様。俺も連れて行ってくれ」

 

「メドーサ様。俺からも頼む」

 

「あたしは駄目だって何回も言ったんですけど、聞いてくれないんですよ」

 

クシナが深い溜息と共にどうしましょうと私に声を掛けてくるが、それを無視して私はその後の綱手と三蔵に視線を向けた。

 

「お前は許可した訳だ」

 

「ま、そうなるね。今のこいつなら使い物になるさ」

 

【ぎゃてえ……陰念は凄くがんばったわよ?】

 

綱手と三蔵の言葉に頭痛がしてくる。陰念が抱えてる爆弾は横島の比ではないほどに凶悪な物である……ガープとアスモデウスに裏切られたソロモンの魔神それが陰念のホロウ眼魂に宿っている。

 

「お前はホロウ眼魂を使えないと戦力にならない、ホロウの魂はアスモデウスとガープを見れば暴走する。そんなリスクを私は背負えないね」

 

横島以上に陰念は狂神石との相性が良いだろう。そうなれば確実にガープの手に落ちる……そんな爆弾を抱えるつもりはないと言う私に陰念が差し出したのは2つの眼魂だった。

 

「……あのキューブから更に2つこれを取り出せました。これを使います、テラーとドクター。ホロウは地球に置いていきます」

 

「実戦で使ってもない物を使うって言われてもねえ……」

 

陰念の疲労具合を見れば私が来るギリギリまで眼魂を取り出そうとしていたのは丸分かりだ。どんな能力かも分からない物を戦力に数えるなんて馬鹿のする事だ。

 

「何してる30秒で支度しなッ!!雪之丞はとっくに準備を済ませてるんだよッ!」

 

「は、はいッ!!」

 

駆けて行く陰念と雪之丞を見送り、深い溜息を吐いた。馬鹿のすることだが……その直向さは何か奇跡を起してくれるような気がした。

 

「最初から良いって言ってやれば良いのに」

 

「甘やかしたら図に乗るだろ。あんたらは甘すぎるんだよ、行って来る後は頼むよ」

 

月へ向かう事は極秘事項だが、魔力と神通力で感知される事は間違いない。そうなれば確実に美神達を陥れようとしているやつらが動き出す、そいつらへの対応を綱手と三蔵に頼み、私は雪之丞と陰念を連れて合流場所へと足を向けるのだった……。

 

 

 

~横島視点~

 

月に向かうのは正直乗り気では無いが、そんな事も言ってられない状況だ。それに永琳さんの弟子を何とかして助けたいとも思っているが、出発前に俺は出足を挫かれる事になった。

 

「みむうー」

 

「ぷぎゅ」

 

「うきゅー」

 

「いや、だからチビ達は無理なんだって」

 

チビ達が置いていかれる事に勘付き、凄まじい抵抗を始めていたからだ。

 

「みぎゃあッ!!」

 

「ぴぎいッ!!」

 

「きゅーッ!!!」

 

鳴声だけで分かる。いやだって言ってる……。

 

「……いやだって言ってますの」

 

「うん、それは分かる」

 

ミィちゃんが何て言っているのか教えてくれるが、幾ら馬鹿でもこれは分かる。

 

「宇宙は空気が無いからチビ達じゃ死ぬの分かる?」

 

ぷくうっと頬を膨らませて駄々を捏ねる気満々である……宇宙っていうのが分からないかもしれないが、これは不味いかもしれない。

 

「留守番するしかないなら待てば「みぎゃああッツ!」そ、そんなに怒らないでも良いではないか」

 

茨木ちゃんがチビに負けた……出発の時間が迫っているのに、チビ達が納得してくれないのではと俺が困っているとシズクが前に出てきた。

 

「……お前達では戦えん。大人しく待っていろ、私がちゃんと連れて帰ってくる」

 

【大丈夫ですよ。私も付いて……コフウ】

 

シズクの説得で良い流れに行きそうだったが沖田ちゃんがコフッたのでチビが怪訝そうな顔をしている。

 

【役立たずは置いておきましょう】

 

【そうじゃな、金時。ほれ、こいつ縛っておいたから押入れにでも突っ込んでおいてくれ】

 

【お、おう……】

 

縛られた沖田ちゃんを引き摺っていく金時を見送りしゃがみ込んでチビ達に視線を合せる。

 

「ちゃんと戻ってくるから紫ちゃん達とお留守番な?帰って来たら一杯遊ぼうな?」

 

「みむぅ~」

 

「ぴぎゅ」

 

「きゅーう」

 

チビ達も馬鹿ではない、自分達が付いて行けないという事は分かっているのだ。それでも俺の事を心配してくれていたのだろう、チビ達の頭を撫でて紫ちゃん達に視線を向ける。

 

「じゃあ行って来るから、チビ達と一緒に待っててな」

 

「はい、お兄様も気をつけて」

 

【いってらっしゃい、お兄さん】

 

「うん、行って来る」

 

紫ちゃん達に見送られて玄関を出る。憎たらしいほどの青空が広がっているが、どうしても不安はある。

 

【大丈夫だ、お前を暴走させたりなんかしない】

 

「……ああ。心配するな、横島」

 

心眼の励ましの言葉と俺の手を握ってくれるシズクに胸の中の不安と燻っていた月神族への怒りが少し和らいだ気がした。

 

「もう大丈夫。行こう」

 

月の魔力砲を何とかしなければ全てが終わってしまう……それを阻止する為にも足を止めてる時間は俺達にはないのだった……。

 

 

 

~美神視点~

 

ドクターカオスや琉璃達が準備してくれた霊具を確認している時にその男は現れた。

 

「やあ、初めまして私はセーレ。神魔混成軍から君達の応援に派遣された者だ」

 

セーレの名前に私達は言うまでもなく眉を顰めた。その名前が何を意味しているかを知っているからだ。

 

「正気なの?小竜姫様」

 

「ちょっとそれは聞いてないですよ」

 

「大規模転移が行えるのは現状彼しかいないんです」

 

だとしてもこの人選は余りにも納得が行かない、だってあのセーレだ。

 

「そう怖い顔をしないでくれよ。もう何百年もガープ達と連絡は取ってないんだ。これでも献身的に神魔混成軍に尽くして来たつもりなんだけどね」

 

ソロモン72柱セーレ。アスモデウス、ガープと共にアマイモンに仕えているとされる魔神を信用なんて出来る訳が無い……。

 

「アマイモン閣下がセーレを白と言ってますし、今回は信用して頂けると嬉しいのですが」

 

アマイモンにはGS試験で助けられている。そのアマイモンが白だと言うのならばセーレは信用しても良いのかもしれないが……。

 

(とりあえず警戒で)

 

(言われなくても分かっています)

 

四大天使の反逆の事を考えれば天界と魔界から大丈夫だと言われても、はいそうですかと受け入れる訳には行かない。

 

「大丈夫さ、ちゃんと仕事はする。それにガープ達のやり方にはついていけなくてね、そこはビュレトと同じさ、かつてのよしみとして彼らを止めたいと思ってるのは嘘じゃないよ」

 

信じて欲しいとセーレは訴えてくるが……どうしても不安要素はある。

 

「竜神王様とお父様が派遣したのでセーレは信用出来ますよ」

 

「ちゃんと身の潔白は調べてから派遣してますからセーレは白と断言出来ますよ」

 

ブリュンヒルデと小竜姫様の言葉に怪しいとは思いながらも、流石に四大天使の裏切りの後だ。天界も魔界も馬鹿じゃないはずとその言葉を聞き入れることにした。

 

「分かったわ、月までよろしく」

 

「任された。大船に乗ったつもりでいてくれたまえ」

 

不安はある……だがセーレに頼らなければ月に行けないのも事実であり、差し出されたセーレの手を握り返す。

 

「よろしく」

 

「ああ。任せてくれ」

 

想いっきり握り込んだが神魔であるセーレには何の意味もない、それでもやらずに入られなかった。

 

(こいつの目、気に入らないわね)

 

表面上は柔和な笑みに見えるが、その目には人間を見下す色が混じっている。これが神魔特有の物なのか……それとも小竜姫様達も欺いているからの物なのかは判らないが……お前達の思いとおりにはならないと私はセーレの目を睨み返した。

 

「すいません、遅れましたーッ!」

 

「すみません、遅れましたッ!!」

 

蛍ちゃんと横島君の声がし、私はセーレの手を離して2人の下へ歩き出したが、背中に突き刺さるセーレの絡みつくような視線を感じ振り返る。

 

「何?」

 

「ああ、いやガープの気配を感じてね、何かされてるんじゃないかと思ったのさ」

 

「これね、大丈夫よ。ガープの招待状を持ってるだけだからガープのスパイとかじゃないわ」

 

私の言葉にセーレは睨んだりして申し訳ないと謝罪の言葉を口にするが、私はその言葉に返事を返さず横島君達の下へと向かった。

 

「準備は出来てるわね?」

 

「「はいッ!」」

 

「じゃあ荷物を急いで積み込んで、もう出発まで時間が無いわよ」

 

荷物を積み込んでいるコンテナを指差して2人を離した所でくえすが私の隣に立って、小さなアクセサリーを押し付けてきた。

 

「ソロモンの文献を調べて作った封印式を刻んだ指輪のレプリカですわ。効果は正直未知数ですが、お守りくらいにはなるでしょう」

 

「……ありがと」

 

「別に貴女の為ではありませんわ、横島の為です」

 

そう言って長い銀髪を翻して歩いて行くくえすと、彼女に渡された3つの指輪をまじまじと見つめる。効果は未知数と言っていたが、それでもソロモンの魔神へのカウンターを得れたのはありがたいと指輪をグッと握り締めて空を見上げる。ぼんやりと見え始めている月を睨みつけ、拳をグッと握り締めた。それから15分後私達はセーレの魔法によって地球を離脱し、月の大地に降り立つのだった……。

 

 

リポート17 謀略の月 その2へ続く

 

 




セーレ(敵)を加えての月編スタートですが、ドクターカオスとブラドーによるマリア7世編も加えてリポート17は展開して行こうと思います。初戦は量産型レブナントですかね、ここもかなりアレンジしますが、メドーサが若返れるのかどうなのかを楽しみにしていただけば幸いです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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