GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その5

 

リポート17 謀略の月 その5

 

~美神視点~

 

短い仮眠の後横島君達が連れて帰ってきてくれた依姫と豊姫の2人から魔力砲に関して興味深い話を聞く事が出来た。

 

「あの魔力砲自体が生き物、恐らく合成魔獣の類……か」

 

魔力砲は本当に突如月に現れたのだが、その前に魔力反応を持つ小型の飛行物体の反応が感知されていたと依姫は言うのだ。

 

「月は魔力が多いからな、隕石が月の魔力を帯びたと考えていたんだが……恐らく隕石に混ぜて自立行動出来る魔力砲のパーツを飛ばしていたんだと思う」

 

その話を聞いて私が思ったのは無駄が無いという物だった。自立行動出来るので発見されそうになれば隠れる事が出来る、見つかれば自ら迎撃できる、そして金属ベースの生き物なので月の岩に擬態する事も出来る……。

 

「小竜姫様、これ天界と魔界にも伝えておかないと不味くないかしら?」

 

「ええ、私もそう思います……ガープの科学力をまだ私達は甘く見ていたのかもしれません」

 

顔を歪めながら言う小竜姫様だがまさか自立行動出来る巨大建造物なんて考え付くわけもない……いや、逆か。

 

(思いつかないから作成したのかもしれないわね)

 

誰も想像がつかないのだから予見が出来ない……だからこそ安全に設置する事が出来る超兵器が月面に作られた魔力砲なのだろう。

 

「私達も後手に回ったのは申し訳ないとは思ってるわ。気付いてから色々と調べてみたんだけどあれ、多分龍種だと思うわ」

 

龍種の言葉に思わず身体が強張った……竜神とは違う、生物としての龍は生態系の頂点とも言える。その上神魔に匹敵する霊力への耐性があり、そして当然ながらその鱗は強固で物理も殆ど聞かない化物と来た。

 

「メドーサ、勝てる?」

 

「魔眼が通って五分五分、小竜姫と2人でも6ー4で殆ど僅差だね。ブリュンヒルデ、お前の弟援軍に呼べないか?」

 

「お父様に相談してみます。ジークはあれでもドラゴンスレイヤーですから、今回は頼りになるかもしれません」

 

ジークはバルムンクを所持しているので龍に対しては強いかもしれないが、不安は当然ある。

 

「魔界の金属でコーティングされていると厄介ですわね」

 

「それに金属の部分で銃火器まで搭載してるかもしれないですね、美神さん」

 

魔力砲に改造して作られた龍なのだから近代兵器を搭載している可能性もある……。

 

「南部グループが子供に思えてくるわね」

 

霊的兵器を作り出そうとしていた南部グループだが、ガープはその1歩も2歩も先に行っているのだ。しかも実験段階の南部グループと違い実戦投入できるレベルとなるとますます頭が痛い。しかもそれに加えてスルト、トール、正体不明の神性を持つ眼魂で変身している量産型レブナントまでいるとなると正面からの戦いの勝率は0%だ。

 

「いいじゃないか、ガープと話をするんだろ?上手く交渉して時間を延ばしてくれていればその間に何か工作が出来るかもしれないよ?」

 

「セーレがやってくれるのですか?」

 

「僕?無理無理、僕が月にいるのはガープも感知してるだろうから対策されてるよ。まぁ爆弾を設置するとかは出来るけど、多分警報が鳴り響くことになってそのまま戦闘ってなっても責任は取れないよ」

 

かつての仲間なのだ、対策されているのは当然だが……ここまでセーレが役立たずとなると裏でつながっているのではないかという疑惑が又鎌首を持ち上げてくる。

 

「……自我があるなら私のほうで操れる可能性もあるが……間違いなく自我は残ってないだろうな」

 

「そうなるとネクロマンサーの笛でも厳しいですね……」

 

真っ向勝負でも、絡め手でも駄目……純粋に強いって言うのが一番困る。付け入る隙があればそこから崩す事も出来るけど、自我が無いとなれば機械的な反応をしてくるから本当に純粋な力勝負になってしまうと人間の私達のほうが圧倒的に不利だ。

 

「武力を見せて降参を促す……なんて甘いことをガープは考えていないでしょうね」

 

「多分ね、ガープとの話し合いだけでもやばいって分かってるのに魔力砲も自立行動出来る化物とか本当に勘弁して欲しいわ。一応確認だけど……貴女達は協力してくれるのね?」

 

依姫達に問いかけると2人は勿論と頷いてくれたが……。

 

「私達の能力は確かに強力だが……」

 

「ただ強いだけなのよね……ある程度自己研鑽はしてるけど……数千年ぶりの実戦となると……ちょっと不安はあるわ」

 

月神族だけあってそのポテンシャルは高いが、敵がいなかったので技術は古く、戦闘勘にも不安があるとこっちが心配になる返事をしてくるが、それでも月神族の能力の高さと2人の能力に期待したい。

 

「それでもいいわ、協力してくれるだけでありがたいわ。小竜姫様達は出来れば援軍を、正面衝突になるわ」

 

少数精鋭で魔力砲を破壊し、ガープ達の作戦を妨害させて退却させると言う最初の作戦は失敗した。戦う為に応援を、出来れば地球に残っている沖田ちゃんや牛若丸達を呼んできて欲しいという話をしていると扉が開く音がした。

 

「おはよーございまーす!美神さん、見てください、朝起きたらほら!可愛い狐がいたんですよ!」

 

「コン♪」

 

どこから連れて来たのか満面の笑みで狐を抱えている横島君を見て、私達は頭を抱えた。月に狐なんかいるわけないし、そもそも宇宙空間だ。普通の生き物がいるわけが無い……そしてこのシェルターは結界を張っていたが敗れた痕跡もない。つまりあの狐は転移、もしくは……。

 

(抑止力……だと良いんだけどなあ……)

 

ガープ達の抑止力として召喚されたタマモの別側面の英霊だったりすれば良いんだけど、いや、英霊だとしても不味い事に変わりは無く私達は揃って溜息を吐くのだった……。

 

 

 

~横島視点~

 

朝起きたら布団の上で丸くなっていた狐の前で正座する俺の前には美神さん達が立っていた。

 

「その狐は何処から来たの?」

 

「朝起きたらいました」

 

本当に朝起きたら腹の上で丸くなっていて驚いたのだ。俺が起きると狐も起きてじゃれてきたのでそのまま暫く遊んでから起きて来たのだと説明する。

 

「心眼。この狐はタマモと関係ある?」

 

【無いとは言い切れないが、あるとも言えない。タマモキャットの同類……つまり】

 

「英霊って事ですか」

 

くえすと心眼の話に俺は驚き、目の前の狐を抱き上げた。

 

「お前英霊なのか?」

 

「くうん?」

 

何言ってるのか分からないみたいな鳴声を出すが、ソッポを向いて尻尾を振る姿を見れば流石に俺でも分かる。

 

「多分英霊」

 

「多分じゃなくて英霊よ、横島。何か予兆みたいなのは無かったの?」

 

「予兆……予兆……ああっ!」

 

予兆は無かったかと尋ねられて俺はポンと手を叩いた。

 

「変な夢を見たんですよ。NFFサービスとかなんとか、美人で頼りになる秘書は欲しくないかって聞かれたんで、俺は学生だからいらないって言ったんですよ。そしたら今度は美人のメイドはって言われたんですけど、ルイさんが頼んで手伝いに来てくれているルキさんがいるのでメイドさんも欲しくないなと、そしたら今度は美人の先生は欲しくないかって尋ねられたんですけど、美神さん達がいるしって、最後にモフモフの可愛いマスコットが欲しくないか?って言われたので欲しいって言いました。「何で欲しいって言うの!?」痛いッ!いや夢だと思ったから……」

 

夢だと思って返事を返したが、まさか本当にマスコットがくるなんて思って無かった。

 

「はぁ……押し売りで来た訳ね」

 

「夢に入ってきたとなるとやっぱりタマモとの縁があったからでしょうね」

 

美神さん達が困っているのを見て申し訳ないと思うが……まさか夢の中の返事で本当にマスコットが来るなんて夢にも思って無かった。

 

「来てしまったのならしょうがないですよ。召喚出来る条件が整っていたのならば抑止力の可能性が高いです。ガープとの話し合いの切り札が1枚増えたと思う事にしましょう」

 

「かなり力のある狐だから戦闘に関しては頼りにしてもいいと思うよ。性格が良いかどうかは分からないけどな」

 

小竜姫様とメドーサの言葉に美神さん達はもう1度深い溜息を吐いた後に手を叩いた。

 

「もうその狐をどうするか話し合ってる時間はないわ。抑止力の英霊であることを期待して連れて行くわよ」

 

「まじですか?美神さん」

 

「マジよ、シズクの転移で逃げれるかどうかは不安は残るし、超加速は駄目だろうし、少しでも手札が多い方がいいわ。ブリュンヒルデ達も頼りにはしてるけど最悪には備えるべきだからね。打ち合わせどおりメドーサと陰念達は待機、私達だけで行くわ、横島君も早く準備をして」

 

「ういっす!」

 

ガープとの話し合い……間違いなく決裂するだろうが、それでも何かガープ達の手の内を知る事が出来ればと期待し、文珠、ブリュンヒルデさんのルーン、くえすの魔法にシズクの転移……いざと言う時の脱出手段を幾つも用意し、蘆屋に渡された招待状を手にシェルターを出るとそこには……。

 

「ンンン、お待ちしておりましたぞ。ささ、ガープ様の所へ参りましょうか」

 

その言葉と共に投げられた札に俺達は反応出来ず、その札が体に張り付くと同時に俺達はシャンデリアに照らされた部屋の中にいた。

 

「ようこそ、質素な館ではあるが話をするには十分だろう。さ、座るといい。安心して欲しい、話し合いの場で戦うような無粋な真似はしないさ」

 

モノクルを嵌めた人間の姿をしたガープに促され、俺達は警戒したまま椅子に腰掛け、ガープとの話し合いを始めるのだった……。

 

 

~ガープ視点~

 

警戒心が向けられるが、私はそれに対して笑みを浮かべ、口を開いた。

 

「安心して欲しい。話し合いが終われば元の場所に帰す事を私の名の下に約束しよう」

 

「……平安時代でアスモデウスとの戦いに割り込んで来てそれを言うのかしら?」

 

美神からの言葉に私はふむと頷いた。確かに私は1度反則すれすれで約束を無碍にしていることを思い出した。

 

「分かった言い換えよう、話し合いが終われば君達全員を五体満足で精神干渉もせずに必ず元の場所に帰そう。これで良いだろう?」

 

五体満足と精神干渉をしないと付け加える事で私達からは何の攻撃をすることも出来なくなった所で私は改めて、美神達をこの場に呼び出した目的を口にした。

 

「単刀直入に言おう、仲間になるつもりはないかね?」

 

私は有能であれば人間であろうと仲間として迎え入れる。芦屋が良い例だが……美神達は仲間にする価値のある人間だと私は考えている。

 

「馬鹿を言うんじゃないわ、なんで私達がお前の仲間になるのよ」

 

「馬鹿な事かね?四大天使は離反、それに増徴する天界の神魔は人間の徹底管理を目的とし、四大天使に怨みのある魔族……私もそのひとりではあるが魔族も最高指導者から離反している。人間だけで天界と魔界の侵攻を防げると本気で思っているのかね?」

 

私の言葉に美神達は呻き声を上げる。その声を図星だと判断し、私は話を続けた。

 

「確かに私達は反逆者である。そして人間界の被害を与えた事を認めよう……だが我らには我らの大儀がある。所詮人間世界と、天界と魔界には関係ない場所とし戦場にしようとしている神魔に義理立てする必要があるか?」

 

「馬鹿言うなよガープッ!」

 

私の言葉に横島が馬鹿を言うなと言うが私は首を左右に振り、横島に指を向けた。

 

「では横島よ、小竜姫、メドーサ、ブリュンヒルデ、ビュレト、ワルキューレ、ジーク、そして韋駄天に清姫……それ以外にお前達を助けようとした神魔はどれだけいる?」

 

私の問いかけに横島だけではなく、美神達も言葉に詰まった。そして小竜姫達は反論も出来ず黙り込んだ、その沈黙が雄弁に神魔の対応を物語っていた。

 

「そら見たことか、所詮人間界での戦いと神魔は高を括っているのだよ。神魔は確かに守るだろう、だがそこに人間は含まれるか?と言われれば答えはNOだ。先祖返り、妖怪、神魔とのハーフ、天使達はそれらを人間とは認めない。仮に四大天使が天界の覇権を握れば世界は間違いなく人間達は住み悪い場所となるだろう。そう特に……横島、お前のような人間は特にだ」

 

私の言葉に美神達が身体を強張らせる。私の言う事は可能性未来……だが実現する可能性が極めて高い未来でもある。

 

「ガープ。それは話し合いとは言わないと思うのですが?」

 

揺らいで来たなと思った所で第3者の声が響き、レクス・ローが部屋の中に現れた。

 

「邪魔をするのか、レクス」

 

「邪魔などととんでもない、私も話し合いに参加しようと思ったまで、神魔が守るのならばそれを壊す、神魔が壊すならばそれを守る。1つの観点からの話ならば、別の視点の話も加える。それが中立にして公平という物でしょう?」

 

……なるほど、それが目的だった訳か……私と横島達に話し合いに割り込む事がレクス・ローの目的だと気付き、こいつがどんな話をするのかと興味を持ち背もたれに背中を預ける。

 

「そこまで言うのならばお前も話せば良いだろう?」

 

「許可を出していただきありがとうございます」

 

にやにやと笑うレクス・ローは道化のように一礼し、抱えていた本を開いた。

 

「では話をしましょう。これより語るは1つの真実、皆様方どうかお楽しみください」

 

その言葉と共に脳内に叩きつけられるのは富を持つ者、貧困に喘ぐ者、正義を語る者と悪を語る者、弱者と強者、清い者と醜い者……ありとあらゆる両極端の映像が脳内を駆け巡った……。

 

「……こんな物を見せて何がしたい?」

 

「こんなのを見せて何がしたのかしら?」

 

私と美神達の問いかけにレクス・ローは楽しそうに笑い、手の中の仮面ライダーの絵が描かれたカードを弄ぶ。そのカードに描かれていたのは……。

 

「俺!?」

 

仮面ライダーウィスプ……初めてこの世界に現れた仮面ライダーの姿だった。横島が声を上げるとレクスはそのカードを握り潰し、手を広げると今度はウィスプ、シェイド……そして絵柄が描かれていない3枚のライダーカードがレクスの指の間に挟まれていた。

 

「未来とは不確かな物。1つの側面で見れば正義であるが、1つの側面を見ればそれは悪である」

 

ウィスプの絵柄がシェイドに変わり、シェイドの絵柄がウィスプへと目まぐるしく変わる。

 

「絶対の正義も悪もない。それが世の常、ですがこうして話し合いの場についたのです。最初から喧嘩腰で無く有益な話をするべきではないでしょうか?」

 

レクスの言葉に私は溜息を吐いて、手を叩くと扉が開きメイド服を着た量産型のレイ達がその姿を見せる。

 

「まずは茶でも飲まないか?1度互いに気を落ち着けるべきだと思うのだよ」

 

この話し合いで本当に美神達が私達の仲間になるのならばそれも良し、決別しても横島に楔を打ち込めれば私達の目的は成し遂げられるのだ。

 

「いいわ、折角戦わずに貴方と話が出来る機会なんだもの……それを無碍にするのは余りにももったいないわよね」

 

美神達も冷静になった用で何より、此処から本当の意味で私と美神達の話し合いが始まるのだった……。

 

 

 

 

~レクス視点~

 

禄に話し合いにもならず決別しかけたのを何とか取り成す事が出来たことに私は安堵していた。

 

(ここも重要な分岐点、良く考えてもらわなければ)

 

私は横島が辿り着く結末に口を挟むつもりはない、それもまた人間達が、神魔が、そして横島が辿り着いた答えならばそれに横から口を挟むべきではない、それがどんな悲劇的な結末だろうが……それも1つの答えとして私はそれを収集しよう。だが偏見と先入観で間違った道へ進むと言うのならばそれは正さなければならない。

 

(まだ絵柄は現れないか……)

 

横島が辿り着く未来はまだ定まっていない、このライダーカードに絵柄が刻まれた時……それは1つの結末が横島の歩む道と繋がった事を意味する。逆に絵柄が現れずカードが消え去ったのならばそれはこの時代の横島がその結末に辿り着かない事を意味する。

 

(……今はまだ答えは出ず。悩め、苦しめ、その先にしか道はない。そしてその苦しみが……1つの間違いを作り出すのだよ)

 

仮面ライダーカードと重なるサーヴァントカード……描かれた絵柄はタキシードを着た悪魔がお辞儀する姿が描かれている。刻まれたそのクラスの名は「プリテンダー」ライダーカードに仮面ライダーの姿はない、だがそのカードには漆黒のプログライズキーと呼ばれる変身ツールの絵がゆっくりと浮かび始めているのを見て私は溜息を吐いた。

 

(しつこいお嬢さん方だ、どうやらまだ私を追っているようですね)

 

ここではない未来の世界、そこで私はある物を持ち出し、それを取り返すべく私を追っている者達がいる。何度敗れても追いかけてくるそのしつこさには正直うんざりしていたが、態々殺すまでもないと考えていたが……どうもそうも言ってられなくなったようだ。

 

(お前達がその結末を作り出す。余計な事を言われる前にその記憶は奪っておくことにしましょうかね)

 

月の魔力砲によって未来との道が繋がり、そこから現れる者は私にとって都合の悪い者達だ。地球に放たれれば地球環境を変える威力を秘めた魔力砲だとしても歴史の海に造れる波紋は小さい物、だがその波紋によって定まっていない未来からの使者が訪れようとしている事に苛立ちと歓喜……相反する物を私は感じ美神達とガープの話に耳を傾け、いつこの流れを破壊してやろうかと笑みを深めるのだった……。

 

 

 

 

 

リポート17 謀略の月 その6へ続く

 

 




レクス・ローは割りと人格破綻者だったりします。道化のように振舞う事もあれば、盤面を力で引っくり返そうとしたり、喜んでいるのに苛立っていたりとかなりコロコロとその考えが変わりますが、大本は結末に至る道を正すというのを目的しています。次回ガープとの話し合いを本格的にやって、リポート18に入ろうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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